FXニュース:来週の日米欧金融政策控え

2023年7月20日
FXニュース:来週の日米欧金融政策控え

 

東西FXニュース – 2023年07月20日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 英消費者物価指数が下振れ
  • 欧州利上げ継続予想も後退
  • 日米の金融政策の相違点
  • 日経平均株価下落で円買い

今日2023年7月20日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値139円70銭前後から円の高値でドルの安値139円10銭前後の値幅約60銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は139円59~61銭付近と、前日同時刻の前東京終値比で約10銭の円安ドル高であった。

ただし、その後には来週の日米欧の新金融政策発表イベント前の持ち高調整も入り始め、今夜その後の19時台の英国ロンドン外国為替市場では小幅な円高ドル安にも転じている。

今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、前回の東西FXニュースでもお伝えした通り、先日インドで開かれたG20 (20カ国・地域) 財務相・中央銀行総裁会議の後の日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田総裁の発言を受けて、来週開催予定の日銀金融政策決定会合での大規模緩和金融政策の長短金利操作のイールドカーブコントロール (YCC) の早期修正予想が後退し、昨日の日本市場でも円安ドル高が進んでいたところに、昨日の午後15時に発表された6月の英国消費者物価指数 (CPI) が今年初めて市場予想を下回り、昨年2022年3月以来の鈍化を見せたことで、これまでは市場予想を上回り続けてきた英国の高インフレの抑制のために前回は英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) が通常の倍の0.5%の大幅利上げを行ったが、昨日の最新英国物価指標を受けて次回の英国大幅利上げ継続予想が減退し、英国ポンドに対するドル上昇圧が円相場に波及し始めた。

また、欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバー達にもハト派発言が出始めており、先日のオランダ中銀のクノット総裁に続き、昨夜もギリシャ中銀のストゥルナラス総裁が、自身の欧州のインフレ予測を示しながら、「更になる欧州利上げ継続は、欧州経済に悪影響を与える可能性がある」と指摘し、「あと0.25%の利上げで十分だ」と発言したことを受けて、英国ポンドと連動しやすい近隣の欧州通貨のユーロに対するドル買いも入った。

一方で、来週開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) では、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が堅調な米国経済を背景とした小幅な米国利上げ再開の市場予想が確定値超えの優勢になっていたことで、米英金利差予想の調整などにより、昨日の日本市場の後の昨夜の英国ロンドン外国為替市場でも英国ポンド売りドル買いが続き、円相場でもドル上昇して影響が波及し、ドルは円相場で昨夜20時半頃に一時139円99銭付近の円の安値でドルの高値を記録した。

続いて昨夜21時頃から始まった今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場でも、英国通貨や欧州通貨に対する金利差予想の調整のドル買いの影響が、他の主要通貨である円相場にもドル高として波及したことに加えて、日米の金融政策の方向性の違いが改めて意識されており、日米金利差拡大予想も再燃し、一旦は利益確定売りの抵抗で139円38銭付近まで下げていたドルは円相場で再び上昇し、昨夜23時半頃に再度139円98〜99銭付近の円安ドル高を記録した。

ただし、来週の米国と日本と欧州の新金融政策発表を控えたイベントリスクもあり、米国債券市場では安全資産の米国10年債が買われており、債券価格は上昇する一方で利回りが一時3.73%台に低下した影響や、テクニカル分析的な50日移動平均線のレジスタンスラインの140円台前半の手前で139円99銭付近のダブルトップを上抜けできなかったことでは、高値のドルの利益確定売りの抵抗が入った。

しかし、米国主要企業の決算報告期が続く米国株式市場では、市場予想を上回る米国主要企業の決算報告や期待値などで米国株高が続いており、米国ダウ工業株30種平均は8営業日連続で続伸し、2022年4月以来の高値を記録したことなども影響を及ぼし、リスク選好のリスクオンの強気 (ブル) マーケットでは、低リスク通貨の円売りや投資用のドル買いが出ていた。

また、米国債券価格の一時上昇後には利益確定売りの抵抗や、来週の日米欧の新政策金利や金融政策発表のイベントを控えた市場では、持ち高調整と様子見も交え始めたことでは、やや横ばいに近い動きも混じった。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値139円38銭前後から円の安値でドルの高値の139円99銭前後の値動きをし、今朝6時頃のニューヨーク終値は139円65銭付近と、前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約82銭の円安ドル高をつけていた。

その後の今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場では、米国トレンドの影響が残る今朝9時2分頃に一時139円70銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、前述の6月の英消費者物価指数 (CPI) のインフレ上昇率が市場予想を下回ったことを受けて、英国や欧米のインフレ圧への警戒感緩和が意識され始め、欧州債や米国債利回りが低下を見せた影響もあり、140円台手前の高値を記録後のドルには投資系の利益確定売りが入り始めた。

今朝発表されていた日本の最新経済指標の6月の貿易統計が、通関ベースの季調済と季調前ともに赤字額が減少したことも、日本市場では低リスク通貨の円の貿易赤字リスク低下と好感されていた。

今日の9時55分の日本市場の仲値決済でも、今日は日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10が付く日の五十日 (ごとおび/ゴトーび) であることから、139円台のドルには割高感から日本の輸出企業の円買いドル売りの方が活発で、対ドルの円相場が反発した。

また、今日の東京株式市場では、先日上昇分の利益確定分を含めてではあるが、日経平均株価が大幅な下落を見せたことで、日本株安時の国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いが強まり、11時27分頃に一時139円10銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

日本市場と時間帯の近いアジア市場では、中国人民銀行が対ドルの中国人民元の売買基準値を連日の人民元下落後に前日比で4営業日ぶりの元高ドル安の7.1466元に設定したことを受け、人民元買いドル売りの影響も他の通貨にも円相場にドル安圧として波及していた。

しかし、午後になると、欧州英国市場の参入により、米長期金利が再び上昇し、ドルが買い戻され、円相場の先ほどの下落分を回復し始めた。

一方で、午後15時15分には今日の日経平均株価は3万2490円52銭の前日比405円51銭安の大幅安のまま大引けしており、日本市場では低リスク通貨の円需要もあった。

来週には日米欧の新政策金利や金融政策の発表イベントを控えており、持ち高調整の後には、買い控えや様子見も混じり始めた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は139円59~61銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約10銭の小幅な円安ドル高になった。

今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、来週のイベント前の持ち高調整もあり、19時台には前日比で横ばいレンジ付近から小幅な円安ドル高から円高ドル安に転じる時間もあった。

今夜この後にも最新米国経済指標の発表予定があり、日本時間のスケジュールは今夜21時半に 前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数、同時刻に7月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数、23時に 6月の米国中古住宅販売件数と、6月の米国景気先行指標総合指数などが発表される予定である。

米国株式市場では、米国主要企業の決算報告期が続き、来週には世界市場でも注目度の高い超巨大IT企業のビッグテックのGAFAM (Google/Alphabet, Amazon, Facebook/Meta, Apple, Microsoft) の決算報告も予定されており、株式市場からのリスクオンやリスクオフによる為替相場の値動きへの影響にも引き続き注意が必要である。

米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達は、現在、来週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) を控えた発言自粛のブラックアウト期間に入っているため、今夜は特に発言予定はない。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は156円44~46銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約18銭の円高ユーロ安であった。ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.1206~1.1207ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比では約0.21セントのユーロ安ドル高だった。

主な要因は、先述の通り、欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバー達のハト派発言により、欧州利上げ継続予想が減退し、次回の利上げ後の利上げ停止時期を見据えた市場予想が出始めたことなどが影響を及ぼした。

欧州中央銀行 (ECB) 理事会にも、来週に新政策金利の発表予定があり、米国同様に次回の利上げ後に、見送りや終了に向かう可能性も出てきたことが、対ドルのユーロ下落の原因となり、その影響が他の主要通貨の円相場にも波及した。

今日の午後15時に発表された欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の6月の独生産者物価指数 (PPI) の前月比も、前回の-1.4%と市場予想の-0.4%に対し-0.3%と、前回と市場予想ほどではないもののマイナスの鈍化を示していた。

ただし、15時45分に発表されたフランスの最新経済指標の7月の仏企業景況感指数は前回と市場予想一致の100で、17時の欧州ユーロ圏総合の最新経済指標の季調済の5月欧州経常収支は、前回の40億ユーロと前回修正の38億ユーロに対し91億ユーロに上昇していたことでは、大幅なユーロ安にはならなかった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は180円22~28銭付近で、昨夜17時の180円55~61銭付近の前東京終値比で約33銭の円高ポンド安であった。

主な原因は、前述の通り、昨日の午後発表された最新の6月の英国消費者物価指数 (CPI) が市場予想を下回ったことで英国大幅利上げ継続予想が減退し、主要通貨に対するポンド売りが起きた影響が大きく、対ドルのポンド売りが他の主要通貨である円相場にも波及した。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年7月20日の日本時間(JST)19時35分(チャートの時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時35分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:35の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 139.36 ~ 139.38 −0.14 (円高)
ユーロ/円 156.26 ~ 156.28 −0.36 (円高)
ユーロ/ドル 1.1211 ~ 1.1213 −0.0016 (ドル高)
英ポンド/円 180.03 ~ 180.09 −0.52 (円高)
スイスフラン/円 162.39 ~ 162.45 −0.04 (円高)
豪ドル/円 95.39 ~ 95.43 +0.77 (円安)


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