FXニュース:日銀の早期修正期待が後退

2023年7月19日
FXニュース:日銀の早期修正期待が後退

 

東西FXニュース – 2023年07月19日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米リセッション懸念が緩和
  • 米企業決算が市場予想超え
  • 日米株高リスクオン円売り
  • 英CPIが市場予想を下回る

今日2023年7月19日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値138円85銭前後から円の安値でドルの高値139円67銭前後の値幅約82銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は139円49~51銭付近と、前日同時刻の前東京終値比で約1円27銭の大幅な円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク (NY) 外国為替市場では、最新米国重要経済指標の6月の米国小売売上高が3ヶ月連続の続伸の期待がされていたことでは一時138円62銭付近にドルが上昇していたが、昨夜21時半の発表では、米国小売売上高の前月比は前回の0.3%と前回上方修正と市場予想の0.5%に対して0.2%の市場予想以下で、米国小売売上高から自動車を除いたコア指数の前月比も前回の0.1%と前回上方修正と市場予想の0.3%に対して0.2%の市場予想以下であったことでは、米国長期金利が低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りが先行し、発表後にはドルが円相場で137円69銭付近に一時急落した。

しかし、米国小売売上高の上昇幅が前回上方修正と市場予想以下であったとはいえ、確かに3ヶ月連続でプラス圏の上昇は続けていたことでは米国景気後退 (リセッション) 懸念が緩和され、また米国株式市場が決算報告期で市場予想以上に好調な米国企業が増えたことや、今年の米国金融不安の後に好調な米国銀行決算が出たことなども好感され、米国株価三指数上昇に伴うリスクオンの低リスク通貨の円の利益確定売りと、米国強気市場 (ブルマーケット) の投資用を含めたドル買いが強まり、ドルは円相場で直ぐに反発と上昇を始めた。

堅調な米国経済を背景に、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が来週開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で0.25%の米国利上げ再開をするという市場予想値は、今日のフェッドウォッチ (CME FedWatch Tool) でも確定値超えの99.8%付近に上昇していた。

さらに、日本銀行 (日銀 /BoJ) の植田和男総裁が、インドで開催されたG20 (20カ国・地域) の財務相・中央銀行総裁会議の後に、「持続的・安定的な2%のインフレ達成にはまだ距離があるという認識がこれまであり、長短金利操作 (イールドカーブ・コントロール = YCC) の元で、ねばり強く金融緩和を進めてきた。前提が変わらない限りは、全体のストーリーは変わらない」と発言した影響で、市場では来週の日銀金融政策決定会合での長短金利操作のイールドカーブコントロール (YCC) の早期の見直しと修正期待が後退し、日本と欧米の金融政策の方向性の違いが意識され、円安要因の日米金利差拡大予想の円売りドル買いや、欧州通貨などの他の利上げ方向の主要通貨に対するクロス円の円売りが入り、円相場は主要通貨に対して一時全面安を記録したほか、ドル円も一時139円13銭付近にドルが上昇し、米国市場での円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、来週に日米欧の新金融政策発表を控えている市場では、139円台からは短期のドルの利益確定売りや持ち高調整の抵抗も入った。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の137円69銭前後から円の安値でドルの高値の139円13銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を138円83銭付近と、前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約12銭の円安ドル高でつけていた。

今朝早朝のオセアニア市場でも、米国トレンドを受けて、今朝8時39頃に一時139円19銭付近にドルが再び上昇したため、ドルの139円台の高値感からの利益確定売りが入った。

今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、今朝の139円台からの利益確定売りの流れが先行し、今朝10時頃に一時138円85銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録したが、日銀の早期の大規模緩和金融政策の修正期待が弱まったことや、日本と欧米の金融政策の方向性の違いによる日米金利差拡大予想の円売りドル買いや、日本の主要貿易先の米国の景気後退懸念の緩和による米国株高を受けた日経平均株価の上昇などでもリスクオンで低リスク通貨の円売りドル買いが再び優勢になり、ドルが円相場で上昇を続けた。

今日の日経平均株価は大幅な上昇を見せ、午後15時15分に3万2896円3銭の前日比402円14銭高の大幅高で大引けしたことでリスク選好の低リスク通貨の円売りが強まり、午後からの欧州英国市場の参入もあり、ドルは円相場で上昇を続け、午後16時48分頃には一時139円67銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、今日の日本市場の高値を記録後のドルには、来週の日米欧の新金融政策のイベントを前にした早期の利益確定売りや、持ち高調整の一時抵抗がやや入った。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は139円49~51銭付近と、昨夜17時の前東京終値比では約1円27銭の大幅な円安ドル高になった。

また、その後の今夜の英国ロンドン外国為替市場では、18時26分頃に一時139円89銭付近と、今日の日本市場での円の安値でドルの高値をさらに更新している。

今夜この後にも、最新米国経済指標の発表予定や、米国株式指標の米国主要企業の決算報告予定などがあり、日本時間で今夜20時に米国MBA住宅ローン申請指数、20時頃から米国金融大手で投資銀行部門も持つ米国ゴールドマン・サックス (GS) の決算報告、21時半に6月の米国住宅着工件数と米国建設許可件数、23時半に米国週間原油在庫、26時に米国20年債の入札予定などがある。また今夜の米国株式市場時間の後になるが、テスラ (TSLA) とネットフリックス (NFLX) などの米国主要企業の決算報告も注目されている。米国株高が続けば、再び米国のインフレに影響を与える可能性なども指摘されており、株式市場からの世界FX市場と為替相場への影響などにも注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は156円59~61銭付近と、昨夜17時の前東京終値比で約1円5銭の大幅な円安ユーロ高であった。

主な原因は、日銀の早期の金融緩和見直しや修正期待が減退し、金利抑制の大規模緩和金融政策の継続予想が再び優勢になったことで、日欧金利差拡大予想による円安ユーロ高が強まった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.1225 〜1.1227ドル付近と、昨夜17時の前東京終値比では約0.28セントのユーロ安ドル高だった。

原因は、欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーのオランダ中銀のクノット総裁が、昨夜に欧州のインフレが横ばいに近くなるという自身の見通しから、9月以降の利上げは「あり得るが、確実ではない」というハト派発言をした影響で、高値後のユーロに対してドルが買い戻される動きがあった。また、欧州国債の利回りが低下した際にも、欧米金利差によるドル買いが入っていた。

なお、今夜18時に発表された最新の欧州ユーロ圏の重要経済指標の6月の欧州消費者物価指数 (HICP) の改定値の前年同月比は、前回と市場予想一致の5.5%の横ばいであったが、HICPコア指数の改定値の前年同月比では前回と市場予想の5.4%に対し5.5%であった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は180円55~61銭付近と、昨夜17時の180円89〜95銭付近の前東京終値比で約34銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、今日の午後15時に発表された最新英国経済指標の6月の英国消費者物価指数 (CPI) が、前年同月比が前回の8.7%と市場予想の8.2%に対し7.9%に鈍化し、前月比も前回の0.7%と市場予想の0.4%に対し0.1%で、CPIコア指数も、前年同月比が前回と高止まりの市場予想の7.1%に対し6.9%と、前回と市場予想を下回った。

同時発表の6月の英国小売物価指数 (RPI) の前年同月比も、前回の11.3%と市場予想の10.9%に対し10.7%で、前月比でも前回の0.7%と市場予想の0.5%に対し0.3%と、市場予想よりも英国インフレの減速が観測されたことで、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の大幅利上げ継続予想が減退したことで、英国債の利回りが低下し、ポンド売りドル買いなどの主要通貨に対するポンド下落の影響が円相場にもポンド安として波及した。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年7月19日の日本時間(JST)19時12分(チャートの時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時12分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:12の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 139.80 ~ 139.81 +1.58 (円安)
ユーロ/円 156.90 ~ 156.92 +1.38 (円安)
ユーロ/ドル 1.1222 ~ 1.1224 −0.0027 (ドル高)
英ポンド/円 180.73 ~ 180.79 −0.16 (円高)
スイスフラン/円 162.89 ~ 162.95 +1.75 (円安)
豪ドル/円 94.59 ~ 94.63 +0.52 (円安)


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