証拠金またはマージンは、FX会社での常用語で、各取引を維持するために利用される金額を指します。FXの取引を始めるには、まずFX会社に一定の金額を担保として預け入れる必要があります。この預け金を「証拠金」と呼ばれ取引を維持するために確保され、この金額内での取引が可能になります。
行った取引が決済されると、FX会社に預けてある証拠金に含み損益が加減され算出された金額が「有効証拠金」になります。
しかし、「有効証拠金」の全額を取引に使うことはできません。「有効証拠金」から「必要証拠金」を差し引いた金額の「余剰証拠金」の範囲内で新規の取引注文をおこなうことができるのです。特定のロットサイズをオープン(売買)するために必要とされる証拠金の額は、 選択したレバレッジにより決まります。
さて、海外FX会社は、50倍から500倍までというフレキシブルなレバレッジ率を提供しています。そのため、多くの日本人トレーダーから注目されることになりました。例えば、XM社は1倍から888倍までのレバレッジ率を提供しています。これらのレバレッジ率によって、トレーダーは取引戦略やリスク管理を柔軟性に対応することを可能にしています。
さて、先述した「有効証拠金」や「必要証拠金」については、このレッスンのなかでレバレッジを使った取引例から詳しく説明していきます。
証拠金は数字およびパーセンテージとして表すことができ、特定のオープンポジションを維持するために必要な取引資金の金額を示します。さっそく下の例で、異なるレバレッジオプション及びパーセンテージの証拠金を計算する方法を見てみましょう。
必要証拠金 = 1 / レバレッジ x 100
レバレッジ | 合計取引額の必要証拠金 |
888倍 | 0.11% |
500倍 | 0.20% |
400倍 | 0.25% |
300倍 | 0.33% |
200倍 | 0.5% |
100倍 | 1% |
50倍 | 2% |
1倍 | 100% |
特定の取引に必要になる証拠金の計算公式は以下の通りです。
公式1:必要証拠金 = 取引サイズ(ロットサイズ)x クォート通貨価格 / レバレッジ
では、次の例を検討してみましょう!あるトレーダーは、取引口座に200,000円を入金し、レバレッジ200倍を選択するとします。これにより、各オープンポジションの必要証拠金は0.5%(1/200=0.005)となります。トレーダーの名目上の有効証拠金総額は(200,000円 x レバレッジ200倍)40,000,000円です。
さて、このトレーダーは、利用可能な有効証拠金の総額のうち、103.00円でUSD/JPYの標準ロットを1ロット(100,000 USD)買うことにしました。上述の公式1を使って必要証拠金を計算すると、この取引に必要証拠金は、(100,000 USD x 103.00円 ÷ 200)51,500円となります。
例 – USD/JPY – 1ロット103.00円で買う場合
例 – USD/ JPY 1ロット103.00円で買って103.50円で売る場合
(表1)
(表1)の例では、103.00円でUSD/JPYを買った時に、価格が10ピップス増加するたびに10,000円(10ピップス×1,000円=10,000円)の利益が出ていることがわかります。
また、レバレッジを増やすことで必要証拠金は少なくなっています。つまり レバレッジと必要証拠金の間で反比例関係が存在していることがわかります。一方で、レバレッジを下がると、取引当たりの必要証拠金は増加することになります。
レバレッジ200倍 | レバレッジ500倍 |
買い注文:
標準ロットの1ロット(100,000 USD)×103.00円= 10,300,000円 必要証拠金: 10,300,000 / 200 = 51,500円 余剰有効証拠金: 200,000円 – 51,500円 = 148,500円 |
買い注文:
標準ロットの1ロット(100,000 USD)×103.00円= 10,300,000円 必要証拠金: 10,300,000 / 500 = 20,600円 余剰有効証拠金: 200,000円 – 20,600円 = 179,400円 |
有効証拠金は、評価損益の調整後に入金された証拠金の現在の価値を表します。損益に従って口座の有効証拠金は変動します。上記の表を見ると、価格が10ピップス上がった時に、有効証拠金も利益の金額の分増加することがわかります。有効証拠金の計算式は、以下のとおりです。
有効証拠金 = 口座残高 +/- 損益
(表1)の例では、円相場が103.00から103.10になった時、有効証拠金は増加しています。
有効証拠金 = 200,000円 + 10,000円の利益 (+10ピップス) = 210,000円
余剰証拠金とは、新しいポジションをオープンするために利用可能な残りの証拠金のことを指します。例えば円相場が10ピップス上がったときには、余剰証拠金および有効証拠金も増加します。
余剰証拠金 = 有効証拠金 – 使用した証拠金
(表1)の例では、円相場が103.00から103.10まで上がった時に、余剰証拠金は148,500円から158,500円まで10,000円増加しています。
103.00円での余剰証拠金 = 200,000円 – 51,500円 = 148,500円
103.10円での余剰証拠金 = 210,000円 – 51,500円 = 158,500円
証拠金維持率は、トレーダーの証拠金に対する有効証拠金の比率(%)を表します。証拠金維持率は、新しいポジションを取ることができるかどうかを示すので、トレーダーにとって非常に重要な尺度となります。証拠金維持率の計算式は次のとおりです。
証拠金維持率 = 有効証拠金 / 使用された証拠金 x 100
例では、円相場が103.00円から103.10円 (+ 10ピップス)まで上がった時には、証拠金維持率も増加します。
証拠金維持率 = 210,000円 / 51,500円 = 407.7%
次のレッスンでは、なぜ証拠金維持率の重要性に加えてマージンコールやロスカットとは何かを学びます。