FXニュース:米消費者物価指数が市場予想以下

2023年4月13日
FXニュース:米消費者物価指数が市場予想以下

 

東西FXニュース – 2023年04月13日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米インフレ利上げ長期化予想減退
  • 米長期金利低下で日米金利差縮小
  • 今夜の米卸売物価指数(PPI)に注目
  • 欧中銀の利上げ継続予想のユーロ

今日2023年4月13日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値133円35銭前後から高値132円98銭前後の値幅約37銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は133円1~3銭付近で、前日17時の前東京終値比で約82銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの要因と世界市場のトレンド動向の分析では、昨夜21時半に米国ニューヨーク外国為替市場で発表された最新米国重要経済指標の3月の米国消費者物価指数 (CPI) の上昇率が市場予想以下に鈍化し、米国のインフレ抑制のための米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げ長期化予想が減退し、米国長期金利低下時の日米金利差縮小による円買いドル売りの原因となった。

最新の3月の米国消費者物価指数 (CPI) は、前月比が前回の0.4%と市場予想の0.2%に対し0.1%で、前年同月比でも前回の6.0%と市場予想の5.2%に対し5.0%にインフレ上昇率が鈍化した。次回5月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で利上げ終了か金融不安への対処もあり米国政策金利を据え置きにする可能性の市場予想が高まったことで、円安要因であった日米金利差拡大予想の減退が起き、対ドルで円相場が上昇したほか、利上げ継続予想のある欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨に対しても米ドルが売られて下落した影響も波及し、ドル円は米国消費者物価指数 (CPI) 発表前の133円90銭付近から発表後には一時132円73銭付近に一時急落した。

ただし、3月の米国消費者物価指数 (CPI) のコア指数の方の前月比は前回の0.5%に対し市場予想通りの0.4%で、前年同月比も前回の5.5%に対して市場予想通りの5.6%であったことでは、食品などの気候等で価格変動の激しい項目を除けば依然として2%の米国インフレ目標にはまだ距離があることを示しており、もし次回で米国政策金利の利上げが最後となって終了または見送りや停止をしたとしても、その後に早期の利下げに転じる可能性が少ないことでは、米国長期金利の市場となる米国10年債の利回りが再び上昇に転じると、安値圏からのドルの買い戻しの抵抗も入った。

一方で、市場ではWTI原油先物価格がおよそ5カ月ぶりの高値を記録しており、北米の産油国であるカナダの資源国通貨の加ドル買いでドルが売られていたことでは、ドル買い抵抗が弱まった。

また、昨夜23時には北米カナダの中央銀行にあたるカナダ銀行 (Boc) が新加政策金利を発表し、市場予想通りに金利を停止し、これまでの4.50%の金利に据え置きを決めた。声明では、「加消費者物価指数 (CPI) は今年半ばには3%程度に急速に減速した後に徐々に低下し、2024年末までには目標の2%に達すると予想する」とあったものの、「必要があれば、利上げを再び実施する用意もある」とも書かれていた。

続いて、今朝未明3時頃に、米国連邦準備理事会 (FRB) が3月21~22日開催分の前回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨を公開し、「先日の米国の銀行破綻の影響で引き起こされた金融不安が広範囲に拡大しないと明確になるまでは利上げを一時停止することも検討したが、最終的には米国のインフレ抑制を優先するという結論になった」ことや、「数多くのメンバー達が、最終金利のピークに関する見通しを引き下げた」こと、そして、「メンバーは、今年中に穏やかなリセッション (景気後退) を予測している」ことなどが報じられたことで、安値からの買い戻し抵抗後のドルには再び売られる機会もあった。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の安値133円90銭前後から高値132円73銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を133円13銭付近の前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約55銭の円高ドル安でつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場を中心とした世界市場でも、昨夜の米国消費者物価指数 (CPI) を受けた日米金利差縮小予想で円買いドル売りが優勢であった。

今朝8時50分には日本の最新経済指標の発表があり、3月マネーストックM2の前年同月比は前回と横ばいの2.6%で、前週分の対外対内証券売買契約等の状況の対外中長期債は前回の-4834億円に対し-7888億円であった。

今朝9時からの今日の日本の東京外国為替市場でも、米国消費者物価指数 (CPI) 発表後の日米金利差縮小予想による円買いドル売りが優勢で、9時半頃に今日の日本市場での円の高値でドルの安値の一時132円98銭付近を記録した。

ただし、今朝のニュースで日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田和男総裁が、主要7カ国 (G7) の財務相及び中央銀行総裁の会議後の記者会見で、「日銀は物価目標の持続的かつ安定的な実現を目指し、金融緩和を継続すると述べた」と発言していたことが報道された。

また、今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需の円売りドル買いが優勢で、ドルは今朝までの下げ幅を縮め、133円台で緩やかな上昇を続け、午後15時9分頃には今日の日本市場での円の安値でドルの高値の一時133円35銭付近を記録した。

しかし、午後からの欧州英国市場の参入では、時間外の債権市場で米国長期金利が低下に転じたこともあり、日本市場での高値を記録後のドルには利益確定売りが入り、欧州英国通貨や円が買われたことでは、再び円相場でドルが下落した。

また、今夜21時半に発表予定の最新の米国経済指標の3月の米国卸売物価指数 (PPI) や、前週分の新規及び継続の米国失業保険申請件数などを控え、米ドルのイベント前の持ち高調整や買い控えなども入った。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は133円1~3銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約82銭の円高ドル安になった。

欧州英国市場でのユーロとポンド買いのドル売りはその後も続き、17時12分頃には一時132円89銭付近を記録し、ドルは今朝の日本市場の円相場での市場安値を更新したが、その後には再び安値のドル買いも入り始めていた。

今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間で今夜21時半には米国のインフレ関連の指標で市場の注目度が高い米国生産者物価指数とも呼ばれる3月の米国卸売物価指数 (PPI) とコア指数が発表されることに加えて、最新の米国雇用関連の前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数も発表される。また、22時からは、以前に米国の金融政策の市場予想に影響を与えたことのある北米カナダ銀行 (BoC) のマックレム総裁の発言予定があり、26時には米国30年債の入札予定なども、プロのFXトレーダー達には今夜の為替相場の値動き予想材料とされている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は146円31~33銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約7銭の円安ユーロ高であった。

原因は、昨夜の欧州英国市場で欧州の利上げ継続予想などで欧州長期金利が上昇し、日欧金利差拡大時の円売りユーロ買いがあったことに加えて、昨夜の米国消費者物価指数 (CPI) の鈍化を受けた米国利上げ長期化予想の減退では、ドルが円だけでなくユーロに対しても売られており、他の主要通貨に対するユーロ上昇の影響が円相場にも波及した。

昨夜、欧州中央銀行 (ECB) 理事会のメンバーのオーストリア中銀のホルツマン総裁が、「欧州のインフレは粘り強く、次回5月の理事会ではさらに0.5%の大幅利上げすることを議論する」とタカ派の発言をしたことが話題になり、一時146円67銭付近の前年12月15日以来およそ4カ月ぶりの円安ユーロ高も記録後であった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0999~1.1001ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.73セントのユーロ高ドル安であった。

同じく、前述の米国消費者物価指数 (CPI) を受けた米国利上げ長期化予想の減退に対し、欧州中央銀行 (ECB) の利上げ継続予想が優勢であったために、特に米国長期金利低下時には欧米金利差縮小予想によるドル売りユーロ買いが観測されていた。

欧州中央銀行 (ECB) 理事会のデギンドス副総裁にもイベント発言があり、欧州の基調的なインフレは予想以上に手強いことに言及し、欧州インフレ率を目標の2%に抑制するための決意を改めて表明していたことなども欧州利上げ継続の市場予想に影響を与えていた。

今日の午後15時には欧州ユーロ圏主要国のドイツの3月独消費者物価指数 (CPI) の改定値が発表されたが、前月比と前年同月比共に前回と市場予想通りの横ばいの高止まりを見せていた。

18時には欧州ユーロ圏総合の2月の欧鉱工業生産が発表され、前月比は前回の0.7%と前回修正と市場予想の1.0%に対し1.5%で、前年同月比は前回0.9%と市場予想の1.5%に対し2.0%と堅調で、欧州利上げ抵抗要因の景気懸念も弱まっていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は166円22~28銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約3銭の小幅な円安ポンド高であった。

昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、円相場で欧州ユーロ上昇の影響もあって元欧州連合 (EU) の英国ポンドも上昇していたが、今日の午後15時には英国の最新重要経済指標の2月の月次英国内総生産 (GDP) が発表され、前月比は前回の0.3%と前回修正の0.4%と市場予想の0.1%に対し0.0%に低下しており、英国ポンドは安全資産のドルや低リスク通貨の円に対しての上昇幅を縮めた。

同時発表だった2月の英国鉱工業生産の前月比も前回の-0.3%と前回修正の-0.5%と市場予想の0.2%に対し-0.2%の市場予想よりも弱かったが、前年同月比では前回の-4.3%と前回修正の-3.2%と市場予想の-3.7%に対し-3.1%の市場予想以上よりも強く、やや強弱入り混じる結果となっていたことなどでは、終値の頃には前日比で円安ポンド高の範囲に留まっていた。2月の英国製造業生産指数の前月比も、前回の-0.4%と前回修正の-0.1%と市場予想の0.2%に対し0.0%で、前回のマイナス域は脱したものの、市場予想には届かなかった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年4月13日の日本時間(JST)19時14分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時14分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:14の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 133.17 〜 133.18 -0.66 (円高)
ユーロ/円 146.81 〜 146.82 +0.57 (円安)
ユーロ/ドル 1.1023 〜 1.1025 +0.0097 (ドル安)
英ポンド/円 166.71 〜 166.77 +0.52 (円安)
スイスフラン/円 149.59 〜 149.65 +1.07 (円安)
豪ドル/円 89.63 〜 89.67 +0.53 (円安)


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