FXニュース:米消費者物価指数(CPI)発表控え

2023年4月12日
FXニュース:米消費者物価指数(CPI)発表控え

 

東西FXニュース – 2023年04月12日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米財務長官発言で景気懸念緩和
  • 米シカゴ連銀総裁のハト派発言
  • 欧中央高官達は利上げ継続示唆
  • 英中銀金融政策委員会に新委員

今日2023年4月12日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値134円4銭前後から高値133円55銭前後の値幅約49銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は133円83~84銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約70銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの要因と世界市場のトレンド動向の分析は、昨夕の欧州英国市場ではイースター連休明けの現地実需や米国長期金利の一時低下もあり、ドル売りユーロ買いから参入したため、他の主要通貨への影響の波及で円相場でも一時132円97銭付近のドルの日通し安値を一時記録したが、欧州英国市場の後半から始まった昨夜から今朝までの米国ニューヨーク市場からは、再び円売りドル買いが優勢になった。

原因はまず、米国のイエレン財務長官が記者会見で、先日の米国シリコンバレー銀行 (SVB) の破綻に起因した米国金融不安に関して、「米国の銀行システムは強固な資本と流動性を持ち、健全性を維持している」と発言し、米銀の貸し渋り等による経済への影響や景気懸念が緩和され、安全資産の米国債が売られる動きになったことで、米10年債の利回りが指標になる米国長期金利が上昇に転じ、主要通貨に対してのドル買いが入った。

米国金融不安緩和により、米国ニューヨーク株式市場では主要米国株価指数が上昇し、ダウ・ジョーンズ平均が一時190ドル以上も上昇したことでリスク選好のリスクオンになり、以前の米株安時のリスク回避で買われていた低リスク通貨の円売りとドルの買い戻しなども加わったことで、日本時間で今朝未明の午前4時前頃にドル円相場は一時133円81銭付近の円安ドル高を記録し、米国市場での円の安値でドルの高値を記録した。

また、先日の日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田和男新総裁と副総裁達の就任会見での発言を受けて、日銀の金利抑制の大規模緩和金融政策の継続による日米金利差拡大予想の円売りドル買いの動きも、休暇明けの市場参加者を中心に継続していた。

ただし、今夜この後21時半の翌米国市場では、最新重要米国経済指標の3月の米国消費者物価指数 (CPI) 発表予定の米ドルの大イベントを控えていることでは、前日高値の133円87銭付近がテクニカル分析のレジスタンスになり、高値圏のドルの利益確定売りとイベント前の持ち高調整や、イベントリスクの買い控えや様子見などの抵抗も入り始めた。

さらに、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国シカゴ連銀のグールズビー総裁は、11日の米国地方経済団体主催のイベント講演で、米国金融不安の影響による銀行融資等の与信環境の引き締まりが米国のインフレ抑制につながるのかどうかを見極められるまでは、「更にデータを収集し、利上げに積極的になりすぎないように注意するべきだ」と発言した。「米国連邦準備制度理事会 (FRB) は、慎重さと忍耐をもって利上げを行うべきであり、過度に積極的な利上げには慎重であるべきである」などの発言は、米国利上げ継続に慎重なハト派の発言と受け止められ、米国長期金利が上昇幅を縮めたことでは日米金利差縮小時の円買いドル売りの抵抗につながり、対ドルの円相場は前半の下げ幅を市場後半には縮めた時間もあった。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は円の高値133円6銭前後から安値133円81銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を133円68銭付近の前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約7銭の円安ドル高でつけていた。

今朝7時頃からは同じく次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国フィラデルフィア連銀のハーカー総裁の発言があり、追加利上げの必要性を判断するためにデータを注視し、データ次第では利上げ終了の可能性もあることを示唆する一方で、「金融政策による経済への効果が出るまでには、18カ月かかることもあるため、今後も入手可能なデータを精査し、どのような追加措置が必要であるかを判断していく。その上で、米国のインフレ率を目標の2%にすることに完全にコミットしている」とデータ重視を強調したことで、もともと注目度が高かった今夜この後に発表予定の最新米国重要経済指標の米国消費者物価指数 (CPI) に更に注目が集まった。

一方、今朝8時半頃から同様に米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を有する米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の大学講演での発言では、米国連邦準備理事会 (FRB) の利上げや米銀破綻の影響による融資減少が米国のリセッション (景気後退) を起こす可能性はあるものの、米国のインフレの高止まりを容認すれば、労働市場にとって厳しい状況になると就職前の学生達の前で講演をしたことでは、2%目標のインフレ抑制の重要さがより強調されており、タカ派寄りとも受け止められた。

また、カシュカリ総裁はインフレ率に関して、自身はそれほど楽観視しておらず、米国のインフレ率は今年末までに3%台に低下したとしても、目標の2%を依然上回るとの見通しを示し、利上げ継続を示唆するような発言もしていた。

その影響もあり、今朝早朝のアジア・オセアニア市場では米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いが先行した。

なお、今朝8時50分には日本の最新経済指標の3月国内企業物価指数が発表され、前年同月比は前回の8.2%と前回修正の8.3%と市場予想の7.1%に対し7.2%であったが、日本の場合は日銀のインフレ抑制の利上げの可能性がないことから市場への影響は少なく、また前月比では前回の-0.4%と前回修正の-0.3%に対し市場予想通りの0.0%であった。

今朝9時から日本の東京外国為替市場が始まり、今夜発表予定の3月の米国消費者物価指数 (CPI) の食品とエネルギーを除くコア指数の前年同月比の上昇率加速の市場予想の影響で、今夜の発表前の持ち高調整の米国債売りなどが時間外の米国債権市場であり、米国長期金利上昇につられて日米金利差拡大予想による円売りドル買いも起きた。

日本市場の今朝の9時55分頃の仲値決済でも、日本企業の輸入実需の円売りドル買いが入り、円安ドル高が進行した。

今日の日本市場時間にも先日の日本銀行 (日銀 / BoJ) 新総裁会見後の日米金利差拡大予想で米国長期金利が更に上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いが進み、昼の12時8分頃には一時134円4銭付近の3月15日以来の円安ドル高を記録した。

しかし、134円台の大台の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録後には、今夜この後の米国消費者物価指数 (CPI) などの発表イベントを控えたイベントリスクの持ち高調整の抵抗が入り、高値のドルの利益確定売りと円の買い戻しなどが入り始めた。

昨夜の米国株価上昇の影響もあり、今日の午後に日経平均株価が大幅高で大引けしたことでは、安全資産のイベントリスク前のドルが売られてリスクオンのユーロ買いも入っていた。

また、今日の日本市場の午後の時間外の米国ニューヨーク原油先物価格が先日のOPECプラス原油減産の影響などもあり、81ドル中盤で高止まりをしていたことを受け、産油国の資源国通貨のカナダドルや豪ドルなどが対ドルで上昇した影響が、円相場にもドル低下として波及したこともあり、16時4分頃には一時133円55銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、欧州英国市場の本格参入後ということもあり、そこからは再び、原油高時の低リスク通貨の円の貿易赤字リスク増加の円売りや、日米金利差拡大予想による円売りドル買いと安値圏からのドル買いなども入り、円相場で再びドルが上昇した。

また、日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田和男日銀総裁の第98回信託大会の挨拶文が内田副総裁により代読され、経済と物価情勢と金融政策運営などについての発言があったことも、日銀の金利抑制の大規模緩和金融政策の継続による日米金利差拡大予想の円売りドル買いを継続させていた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は133円83~84銭付近で、前日17時の前東京終値比で約70銭の円安ドル高になった。

今夜この後には最新の米国重要経済指標の米消費者物価指数 (CPI) の発表予定などがあり、20時に米国MBA住宅ローン申請指数、21時半に注目の3月米国消費者物価指数 (CPI) とコア指数、22時から米国リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言、23時には北米で米国の市場予想への影響の可能性もあるカナダ中央銀行 (BoC) の新政策金利と声明発表、23時に週間の米国原油在庫、24時からカナダ中銀のマックレム総裁の発言、25時から米国サンフランシスコ連銀デイリー総裁の発言、26時に米10年債入札、27時に前回の3月21〜22日開催分の米国連邦公開市場委員会議事 (FOMC) 議事録要旨、27時に3月の米国月次財政収支などが発表される予定で、イベント時の値動きには注意が必要である。

欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は146円22~24銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1円16銭の大幅な円安ユーロ高であった。

原因はまず、昨夜の連休明けの欧州市場と今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場でも、日本銀行 (日銀 / BoJ) の先日の新総裁就任会見の発言の影響もあり、日銀の金利抑制による日欧金利差拡大予想の円売りユーロ買いがあった。

加えて、日米欧株高時のリスクオンや今日の原油先物高などでも低リスク通貨の円売りとユーロ買いが優勢であったことで、大幅な円安ユーロ高になった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0925~1.0926ドル付近で、前日17時の前東京終値比で約0.30セントのドル安ユーロ高であった。

前述の株高時のリスクオン市場でユーロが買われ、安全資産の欧州国債売りで欧州長期金利も上昇しており、大幅利上げ継続予想もあるユーロはドルに対しても上昇を見せた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は166円22~28銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約7銭の円安ポンド高であった。

原因は、昨夜の英国ロンドン外国為替市場で、ハント英財務相が英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の金融政策委員会 (MPC) で超ハト派として知られていたテンレイロ前委員の後任として、新メンバーにコンサルティング会社のグローバル・チーフエコノミストのメーガン・グリーン新委員を任命したことを発表し、7月から任期3年で英国金融政策委員会 (MPC) に参加することで、よりタカ派寄りになる可能性があり、日英金利差拡大予想の円安ポンド高に影響を及ぼした。

しかし、今夜その後には円買い英ポンド売りの抵抗が強まり、19時台には円高ポンド安に市場反転もしている。その一因には、今夜22時からと28時15分からは、2回に渡って英国中央銀行 (BoE) のベイリー総裁の発言予定があることなどが注目されており、イベントリスクでの利益確定売りの持ち高調整などの影響が見られた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年4月12日の日本時間(JST)19時21分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時21分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:21の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 133.69 〜 133.70 +0.56 (円安)
ユーロ/円 146.13 〜 146.15 +1.07 (円安)
ユーロ/ドル 1.0929 〜 1.0931 +0.0034 (ドル安)
英ポンド/円 165.95 〜 166.01 -0.20 (円高)
スイスフラン/円 148.24 〜 148.30 +0.21 (円安)
豪ドル/円 89.16 〜 89.20 +0.20 (円安)


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