FXニュース:日米欧金利差拡大予想の円安に

2023年4月11日
FXニュース:日米欧金利差拡大予想の円安に

 

東西FXニュース – 2023年04月11日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日米欧の金融政策の違いを意識
  • 日銀新総裁が金融緩和継続発言
  • 米インフレ期待率が上昇に転ず
  • 米雇用統計後のドル買いも継続
  • IMF世界経済見通しの発表を控え

今日2023年4月11日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値133円69銭前後から高値133円4銭前後の値幅約65銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は133円14~15銭付近で、前日17時の前東京終値比で約1円8銭の大幅な円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの要因と世界の市場のトレンド動向は、日本時間の昨夜の欧州英国市場はキリスト教の春の復活祭のイースターマンデー (Easter Monday) の祝日連休で休場中であったが、昨夜19時15分頃から日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田和男新総裁らの就任会見があり、金利抑制が日米金利差拡大による円安要因になっていた大規模緩和金融政策を現状維持する意向であることや、長短金利操作のイールドカーブコントロール (YCC) を支持する発言などがあり、一部で期待されていた日銀新総裁による早期の金融政策修正予想が後退し、先週末に堅調だった3月の米国雇用統計発表後の米国景気懸念緩和等により米国連邦準非制度理事会 (FRB) の米国政策金利の利上げ継続予想があった中で、日本と米国の金融政策の方向性の違いが意識され、日米金利差拡大予想が強まり、昨夜の世界市場と昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で円売りドル買いの円安ドル高が進行した。

また、米国ニューヨーク連銀が発表した米国消費者の1年先の期待インフレ率が、前回の4.2%に対し4.7%に5カ月ぶりに上昇したことも、明日発表予定で注目されている最新米国重要経済指標の3月の米国消費者物価指数 (CPI) の米国のインフレ高止まり予想に繋がり、インフレ抑制のための米国利上げ予想が高まっていたことも影響した。

米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME) グループのフェッドウォッチ・ツール (FedWatch Tool) では、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の0.25%の利上げ継続の可能性の予想値が66.7%付近に上昇し、市場予測値の確定値と考えられている70%付近に近付いていたことも米国長期金利の上昇による日米金利差拡大と日米金利差拡大予想による円売りドル買いの原因になり、日本時間の昨夜24時前には一時133円87銭付近の今年3月15日以来の大幅な円安ドル高を記録した。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は円の高値132円86銭前後から安値133円87銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を133円61銭付近の前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約1円45銭の大幅な円安ドル高でつけていた。

その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場では、早朝9時頃から日米金利差拡大予想による大幅な円安ドル高を受けた日本の輸出企業や投資系による高値のドルの利益確定売りと安値の円買いの抵抗が加わり、円相場が一時反発した。

ただし、9時55分頃の日本市場の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需の円売りドル買いや、投資系の円売りドル買いも入り、再び円相場でドルが上昇し、今朝10時半頃に今日の日本市場での円の安値でドルの高値の一時133円69銭付近を記録した。

その後には、再び日本の輸出企業などの高値のドルの利益確定売りと円の買い戻しが入り、円相場は下げ幅を縮め、また午後からのイースター連休明けの欧州英国市場の参入では、今夜の国際通貨基金 (IMF) の世界経済見通しの発表を控えて時間外の国債市場で一時安全資産の米国債買いなどがあり、米10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時低下していた影響もあって、高値圏からのドル売りと安値圏からの円買いが入ったことでは、円相場は今朝までの大幅な下げ幅を縮め、午後16時44分頃に133円4銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、日本市場や連休明けの欧州英国市場でも、昨夜の日本銀行 (日銀 / BoJ) の金利抑制の大規模金融緩和維持の報道や日米金利差拡大予想の影響は強く、前日比では大幅な円安ドル高の範囲内に留まっていた。

経済学者としても著名な日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田和男新総裁は、昨夜19時15分から1時間以上にも及ぶ就任記者会見で、挨拶に続き記者団の質問にも答え、副作用が指摘されていた日銀の長短金利操作のイールドカーブ・コントロール (YCC) について、イールドカーブの形状は、総じてスムーズになってきている等の発言をしたほか、現在の経済や物価と金融情勢などを考慮した上で、現状の金融緩和策とイールドカーブ・コントロール (YCC) を継続するのが適切であると言及したことで、日銀新総裁による早期の大規模緩和金融政策修正予想が減退し、円安要因となっている日米金利差拡大予想が強まっていた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は133円14~15銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1円8銭の大幅な円安ドル高になった。

明日に最新の米国重要経済指標の3月の米消費者物価指数 (CPI) の発表予定や、前回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事録の公表予定を控え、今夜は特に重要な米国経済指標の発表予定はないが、今夜22時頃から世界的な国際通貨基金 (IMF) の世界経済見通しが発表され始めるほか、26時に米国3年債入札予定と、26時半頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官で次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国シカゴ連銀のグールズビー総裁の発言予定などが、プロのFXトレーダー達の今夜の値動き予想材料として話題に上がっている。

一方、欧州ユーロも、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は145円6~7銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約89銭の円安ユーロ高であった。

主な原因は、新日銀総裁の金利抑制の大規模緩和金融政策の継続に対し、欧州中央銀行 (ECB) の利上げ継続予想のユーロに対しても日欧金利差拡大予想による円安ユーロ高になった。

欧州中央銀行 (ECB) のスペイン中銀のデコス総裁は、「欧州ユーロ圏のコア・インフレは、年内は高止まりする見通し」であることや、データ次第で、「金融政策の面で、実施すべきことはまだある」などの発言で、欧州中央銀行(ECB)の追加利上げを示唆していた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0894~1.0896ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約23銭のユーロ安ドル高であった。

欧州市場は今日がイースターの祝日連休明けで、先週金曜のグッドフライデーの休場中に米国市場で発表されていた3月の米国雇用統計が堅調であったことなどから、米国景気懸念が緩和され、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げ継続予想も高まっており、米国長期金利上昇時には円相場だけでなくユーロなどの主要通貨に対してもドル買いが優勢だったため、今日の日本市場にも影響を与えていた。

また、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場でも、主要通貨に対してのドルの値動きを示すドルインデックスが一時102.81付近に上昇していた。

今夜18時には、欧州ユーロ圏の最新経済指標の2月の欧小売売上高が発表され、前月比は前回の0.3%と前回修正の0.8%に対して市場予想通りの-0.8%で、前年同月比は前回の-2.3%と前回修正の-1.8%と市場予想の-3.5%に対し-3.0%に市場予想ほどは悪化しなかったことでは、今夜の欧州英国市場でユーロはドルに対する下げ幅を縮めた。

また、明日の重要米国経済指標を前にした米ドルのイベントリスクのドル売りでは、連休明けのユーロの買い戻しなどの持ち高調整なども入っていたが、フランスなどではホリデーが長く、まだ連休とつなげてホリデーを取っているような大手投資系の市場参加者達もおり、全体的な欧州の市場参加者がまだ少ない様な値動きもしていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は165円40~46銭付近で、昨夜17時の前東京終値比でほぼ横ばい付近で、17時には僅差で約1銭の円高ポンド安であったが、その後18時台の英国ロンドン外国為替市場では同じく僅差で円安ポンド高に転じている。

原因は、日銀の金利抑制方向の金融緩和継続に対して、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) は利上げ継続予想があり、日英金利差拡大予想による円売りポンド買いがある一方で、以前の1月発表の国際通貨基金 (IMF) の世界経済の見通しの「世界経済の見通し (WEO) による最新の成長率予測」では、日本経済は以前の1月の今年分がプラスの成長方向の予測値であったことに対して、英国経済は以前の1月の今年分がマイナス成長方向の予測が以前に出ていたことなどで、今夜この後に発表予定の最新の4月発表の国際通貨基金 (IMF) の最新の世界経済の見通しを前にしたイベントリスクなどで、英国ポンドに対する低リスク通貨の円買い抵抗も入っていた。

また、今日は英国の最新経済指標の3月の英国小売連合 (BRC) の小売売上高調査が発表されたが、10.4%の英国の高インフレにも関わらず、前回と同じ4.9%の横ばいであった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年4月11日の日本時間(JST)19時19分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時19分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:19の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 133.11 〜 133.12 +1.05 (円安)
ユーロ/円 145.28 〜 145.30 +1.11 (円安)
ユーロ/ドル 1.0913 〜 1.0915 -0.0004 (ドル高)
英ポンド/円 165.62 〜 165.68 +0.21 (円安)
スイスフラン/円 147.22 〜 147.28 +0.35 (円安)
豪ドル/円 88.60 〜 88.64 -0.13 (円高)


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