FXニュース:米雇用統計発表で景気懸念緩和

2023年4月10日
FXニュース:米雇用統計発表で景気懸念緩和

 

東西FXニュース – 2023年04月10日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米失業率が市場予想よりも堅調
  • 米長期金利上昇のドル買い影響
  • 日銀植田和男新総裁の就任会見
  • 今日欧英市場はイースター連休

今日2023年4月10日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値132円79銭前後から高値132円8銭前後の値幅約71銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は132円8~9銭付近で、前営業日17時の前東京終値比で約21銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの要因と市場トレンド動向の分析はまず、先週金曜の欧州英国市場は聖金曜日のグッドフライデー (Good Friday) の祝日休場で、今日も春の復活祭のイースターマンデー (Easter Monday) の連休休場であるが、先週の金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、米国連邦準備制度理事会 (FRB) も注目していた最新の米国重要経済指標の3月の米国雇用統計の発表があった。

7日の金曜の夜21時半に米国労働省が発表した最新の3月米国雇用統計では、米国非農業部門雇用者数は市場予想の23.9万人に対し23.6万人増のほぼ予想通りで、米国平均時給の前月比も前回の0.2%に対し市場予想通りの0.3%増であったが、米国失業率は前回と市場予想の3.6%に対して3.5%に改善され、過去最低レベルに近い記録的な低失業率で完全雇用に再び近づいたことで、米国景気懸念が緩和された。

これまでの東西FXニュースでもお伝えしてきた通り、米国市場では前営業日までに発表された米国経済指標の多くが軒並み市場予想以下で、米国の景気減速への警戒感からリスク回避の影響が出ていたが、この最新の米国雇用統計を受けた景気懸念の緩和により、米国長期金利が再び上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いが起きた。

堅調な米国雇用統計を背景に、米国連邦準備理事会(FRB)の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での利上げ継続の市場予想が強まり、米国長期金利が一時3.4093%付近に上昇し、日米金利差拡大時の円売りドル買いに加えて、日米金利差拡大予想による円売りドル買いも優勢になり、米国雇用統計発表後のドルは円相場で131円52銭付近の市場安値から高値に一気に急騰し、一時132円38銭付近の円安ドル高を記録した。

ただし、この日は米国でもキリスト教の聖金曜日のグッドフライデーの祝日の州が多く、米国ニューヨーク株式市場と商品先物取引の米国コモディティ市場は祝日休場で、米国ニューヨーク債券市場も半日の短縮取引で、米国ニューヨーク外国為替市場と世界FX市場の一部は開いていたものの、イースターホリデーの時期で世界市場の全体的な参加者が少なく、イースターマンデーの月曜までの連休前の持ち高調整で短期の利益確定売りの抵抗もやや入ったが、その後もドル円は132円台前半付近で推移を続けた。

そのため、先週末の金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は円の高値131円52銭前後から安値132円38銭前後の値動きで、土曜の朝6時頃のニューヨーク終値は132円16銭付近で、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約38銭の円安ドル高であった。

今朝早朝のアジア・オセアニア時間の世界市場も、香港、オーストラリア、ニュージーランドが祝日休場で、市場参加者が少なかった。なお、今日の午後からの欧州英国市場もキリスト教の春の復活祭のイースターマンデーで連休休場で、今日は日本市場と米国市場の値動きが出やすくなっている。

今朝8時50分には、日本の最新経済指標の 2月の国際収支が発表され、貿易収支は前回の-3兆1818億円と市場予想の-5178億円に対し-6041億円で、季節調整前の経常収支は前回の-1兆9766億円と前回修正の-1兆9893億円と市場予想の2兆5357億円に対し2兆1972億円であった。

日本では週明けの今日のイースターマンデーは平日営業の月曜日であるため、今朝9時から始まった今日の日本の東京外国為替市場の値動きは、世界市場に影響を与えやすかった。

今朝の日本市場でも先週金曜の夜に発表された米国雇用統計を受けた米国景気懸念の緩和の影響で円相場でドルが上昇しており、今朝9時頃の132円8銭付近が今日の日本市場での円の高値でドルの安値になった。

今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済でも、今日は10日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい「5と10のつく日の五十日 (ゴトービ) 」にあたるため、 日本企業の輸入実需による円売りドル買いが活発でドルが上昇を続け、13時3分頃には一時132円79銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。

午後からの欧州市場と英国ロンドン外国為替市場は、イースターマンデーの祝日連休で休場であるが、時間帯の近い世界FX市場にはキリスト教以外の営業中の国もあるため、高値後のドルには利益確定売りの安値の円買いも入り始めた。

日本市場でも、今夜19時15分頃から日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田和男新総裁達の就任記者会見が予定されていたことで、日銀新総裁による今後の大規模緩和金融政策の修正期待による円買いや、イベント前のリスクでドル円の持ち高調整の利益確定のドル売りや安値の円の買い戻しなどが入り始め、午後の日本市場では円相場が対ドルで今朝からの下げ幅を縮めていった。

14時には日本の最新経済指標の3月の消費者態度指数の一般世帯が発表され、前回の31.1と市場予想の31.8に対し33.9に上昇した。

15時には、日本の経済指標の3月の景気ウオッチャー調査の先行き判断 (DI) も発表され、前回の50.8と市場予想の50.9に対し54.1に上昇し、3月の景気ウオッチャー調査の現状判断 (DI) も前回の52.0と市場予想の52.8に対し53.3に上昇し、日本景気好感による円買いも入った。

その一方で、今日のフェッドウォッチ・ツール (CME FedWatch Tool) でも、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での0.25%の米国フェデラルファンド (FF) 政策金利の追加利上げの可能性の予測値は61.4%付近と優勢で、次回の利上げ停止予想は38.6%付近に低下していることでは、日米金利差拡大予想による前営業日比での円安ドル高の範囲内で、今夜17時の日本市場の東京終値をつけた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は132円8~9銭付近で、前営業日17時の前東京終値比で約21銭の円安ドル高になった。

そして、今夜18時台にも19時15分からの日本銀行の新総裁の植田和男新総裁達の就任記者会見の発言前の持ち高調整や様子見などの値動きが観測されている。

今日の日本市場と世界市場では今夜19時15分頃からの日銀の植田和男新総裁達の就任記者会見が注目されているが、今夜この後の米国ニューヨーク外国為替市場も営業予定のため、最新の米国経済指標の発表予定や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定などがあり、今夜23時に2月の卸売売上高の前月比の発表と、29時15分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言予定なども値動き予想材料として話題に上がっている。

尚、明日には欧州英国市場などが、先週の金曜から今日のイースターマンデーまでの春の復活祭のイースター休暇の連休明けとなる。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は144円14~16銭付近で、前営業日17時の前東京終値比で約20銭の円安ユーロ高であった。

原因は、日欧金利差拡大予想や、米国雇用統計発表後の米国景気懸念緩和と今日の日経平均株価が上昇していたことなどで、今朝はリスクオンの低リスク通貨の円売りでユーロ買いがあったことなどが影響を及ぼしたが、午後にはドル同様に今夜の日銀新総裁の発言予定を控えた円の買い戻しの抵抗も入った。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0913~1.0915ドル付近で、前営業日17時の前東京終値比で約0.01セントの僅差のユーロ安ドル高であった。

欧州ユーロ圏にはキリスト教国が多く、今日はイースターマンデーの祝日休場であるが、先述の米国雇用統計を受けて米国連邦準備制度理事会 (FRB) の次回利上げ継続予想が強まったことにより、ユーロ売りドル買いがあった一方で、欧州中央銀行 (ECB) にも利上げ継続予想があることで、ユーロの買い戻しが入ったことなどが影響していた。

先週末のインタビューで、欧州中央銀行 (ECB) 理事会のオランダ中銀のクノット総裁は、「欧州の利上げはまだ終わってはいない」ことや、「来月5月の次回利上げ幅が、0.25%か0.50%になるかは、まだ決めていない」と発言しており、欧州利上げ継続と大幅利上げ継続の可能性も示唆したことなども影響していた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は164円9~15銭付近で、前営業日17時の前東京終値比で約7銭の円安ポンド高であった。

原因は、以前に発表された10.4%の英国の高インフレを受けて、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) にも利上げ継続予想があり、日英金利差拡大予想が影響を及ぼしていたが、今夜の日銀新総裁の発言前の今後のイールドカーブコントロール (YCC) 修正期待の円買いや持ち高調整では円相場には抵抗要因もあったため、この時間は小幅域になっていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年4月10日の日本時間(JST)19時15分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時15分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:15の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 132.16 〜 132.18 +0.29 (円安)
ユーロ/円 144.19 〜 144.21 +0.25 (円安)
ユーロ/ドル 1.0909 〜 1.0911 -0.0005 (ドル高)
英ポンド/円 164.33 〜 164.39 +0.31 (円安)
スイスフラン/円 145.92 〜 145.98 -0.07 (円高)
豪ドル/円 88.20 〜 88.24 +0.16 (円安)


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