FXニュース:米雇用統計を控えた持ち高調整

2023年4月07日
FXニュース:米雇用統計を控えた持ち高調整

 

東西FXニュース – 2023年04月07日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米新規失業保険申請数増加理由
  • 米FRB高官のタカ派発言の影響
  • 欧米イースター前の株高円売り
  • 欧ECB専務理事の利上げ発言も

今日2023年4月7日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値131円94銭前後から高値131円57銭前後の値幅約37銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は131円88~89銭付近で、前日17時の前東京終値比では約52銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの要因と市場トレンド動向の分析はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で、昨夜21時半に発表された最新米国経済指標の米国労働省の前週分米国新規失業保険申請件数が22万8千件と市場予想の20万件よりも増加し、前週分米国失業保険継続受給者数も182万3千人と予想以上の悪化で、先日発表された全米供給管理協会の米国サプライマネジメント協会 (ISM) の3月の製造業と非製造業の景況感指数や、ADP全米雇用報告なども相次いで市場予想を下回ったことから米国景気懸念が強まり、安全資産の米国債買いで米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が低下し、一時3.2477%付近の前年9月9日以来の低利回りを記録したことで、日米金利差縮小時の円買いドル売りが起き、ドルは円相場で一時130円95銭付近に下落した。

ただし、米国新規失業保険申請件数が想定以上に増加した一因には、季節調整の方法が変更になった影響もあったことなどが伝わったことで、安値のドルの買い戻しが優勢に転じた。

また、欧米の春の復活祭のイースターの連休前のホリデー前ムードの中、米国グーグルの持ち株会社のアルファベット株などの欧米株価が上昇したこともあり、祝日前の持ち高調整で高値後の安全資産の米国債が利益確定売りされたこともあり、一時は米国景気懸念で約7カ月ぶりの低水準を記録後の米10年債の利回りが3.30%台付近に回復を見せたことも、日米金利差拡大時の円売りドル買いと低リスク通貨の円売りに繋がり、円相場でドルは一時131円90銭付近に上昇した。

今夜この後の米国重要経済指標の米国雇用統計の発表を控え、持ち高調整の円売りドル買いもあったことで、高値圏からの利益確定のドル売りの抵抗後も、ドルは円相場では131円後半付近で推移した。

その原因には、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国セントルイス連銀のブラード総裁の「米国のインフレ率は高すぎる」というタカ派の発言が注目された日米金利差拡大予想によるドル買いも支援材料となった。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の高値130円95銭前後から安値131円90銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は131円78銭で、前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約46銭の円安ドル高であった。

今朝8時半には日本の最新経済指標の発表があり、2月の毎月勤労統計調査の現金給与総額の前年同月比は前回の0.8%に対し市場予想通りの1.1%の増加であったが、2月の全世帯家計調査の消費支出の前年同月比は前回の-0.3%と市場予想の4.3%に対し1.6%と想定以上の倹約傾向が観測された。想定していた企業の賃上げにも関わらず、消費の節約志向の継続は続いていることから、小売系企業の業績予想にやや影響を与えたものの、この後の今日の日経平均株価も昨夜の欧米株価上昇の影響もあり小幅高になった。

また、同時発表の3月の外貨準備高は、前回の1兆2260億ドルに対して1兆2571億ドルに増加していた。

今朝9時からの今日の日本の東京外国為替市場では、昨夜の米国経済指標の影響もあり、早朝には円買いドル売りから始まったものの、9時55分の仲値決済に向けては輸入実需の円売りドル買いが入った。

ただし、貿易相手の欧米がイースターホリデー時期に入るため、輸入実需のドル買いは続かず、イースターも平日営業の日本市場では輸出系の円買いドル売りも入り、再び円相場が上昇した。

また、今日は欧米では聖金曜日 (グッドフライデー) で祝日休場や時短営業の市場があり、ちょっとした値動きでも増幅しがちなボラティリティーが予想されている上に、今夜21時半には最新の米国重要経済指標の米国雇用統計の発表イベントの予定があることなどから、午前の日本市場では米ドルのイベントリスクによる持ち高調整の円の買い戻しなども加わり、今朝10時26分頃に今日の日本市場の円の高値でドルの安値の131円57銭付近を記録した。

しかし、世界的に流動性の高いドルは安値からの需要も高く、アジアなどの春の新年度の持ち高調整などもあって円売りドル買いでドルが反発と上昇を始めた。

14時には日本の最新経済指標の2月景気一致指数 (CI) の速報値が発表され、前回の96.4と市場予想の99.1に対し99.2で、2月景気先行指数(CI)の速報値も前回の96.6と市場予想の97.5に対し97.7に上昇を見せたことなどでは日本円が買われる抵抗もあった。

ただし、今日は日本銀行 (日銀 / BoJ) の黒田東彦総裁の退任記者会見があり、将来の大規模緩和金融政策からの出口戦略に関しては、「金融システムの安定を確保しながら、出口戦略を進めることが充分可能」と言及したが、10年に及ぶ任期を振り帰って、「これまでの政策運営は適切だった」と発言し、最近副作用が指摘されている日銀の長短金利操作のイールドカーブコントロール (YCC) の有効性を強調していたことなどでは、引き継ぎ後の早期修正予想のやや減退による円売りも起きていた。

午後から参入の欧州英国市場では今日はグッドフライデーの欧米祝日で、今日は日本市場などの開場中の市場の値動きが大きく出やすくなっていたため、前述の通り、昨夜の欧米株高の影響もあり今日は日経平均株価も小幅上昇で15時15分に大引けしたことなどから、以前に日本株安時のリスク回避の安全資産として買われていた低リスク通貨の円が利益確定で売られる機会が増え、春の持ち高調整も相まって15時37分頃に今日の日本市場での円の安値でドルの高値の131円94銭付近を記録した。

夕方になると、今夜の米国雇用統計の結果が分かるまでの様子見やイベント前のポジション調整後の買い控えなどの抵抗も入ったが、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は131円88~89銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約52銭の円安ドル高になっていた。

今夜この後には、21時半から最新の米国重要経済指標の米国雇用統計の失業率、平均時給、非農業部門雇用者数、製造業雇用者数などの発表予定が注目されている。また28時にも、米国経済指標の2月の米国消費者信用残高の発表予定もある。

一方、欧州ユーロは今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は143円91~94銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約64銭の円安ユーロ高であった。ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値1.0914~1.0915ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.08セントの小幅なユーロ高ドル安だった。

主な原因は、昨夜の欧州英国市場で欧州中央銀行 (ECB) のチーフエコノミストのレーン専務理事のインタビューが公開され、先日の欧米金融システム不安以前の経済予測の見通しの基本的なシナリオが維持される場合には、「5月に追加利上げをするのが妥当である」とタカ派の発言をしたことが話題になり、来月の欧州中央銀行 (ECB) 理事会の次回利上げ継続予想が強まり、円やドルに対しユーロ買いが起きたことなどが影響を及ぼしていた。

また、欧州や英国には伝統的なキリスト教の国家が多く、今日の聖金曜日の祝日から始まるイースターホリデーの連休前の持ち高調整もあり、欧米株価上昇時のリスクオンのユーロ買いの安全資産のドルや低リスク通貨の円売りや、休暇前のポジション調整でユーロが買い戻されたことなども影響していた。

今日の午後15時45分には欧州ユーロ圏のフランスの経済指標の発表もあり、2月の仏貿易収支は前回の-129.39億ユーロと前回修正の-125.38億ユーロと市場予想の-117.00億ユーロに対し-99.04億ユーロに赤字額が減少し、2月の仏経常収支も前回の-36億ユーロと前回修正の-33億ユーロに対し-30億ユーロに改善されたことなども市場で好感された。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は163円91~97銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1銭の僅差の円安ポンド高であった。

昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、今週に高値を記録後の英国ポンドの利益確定売りが入ったが、イースターホリデー時期を控えた持ち高調整での英ポンドの買い戻しや、円相場では日英金利差拡大予想もあったことなどが為替相場の値動きに影響を与えていた。

しかし、今日の午後からの英国ロンドン外国市場は祝日で実需が少ないこともあり、今夜19時台には小幅な円高ポンド安にも転じている。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年4月7日の日本時間(JST)19時25分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時25分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:25の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 131.61 〜 131.63 +0.27 (円安)
ユーロ/円 143.65 〜 143.67 +0.38 (円安)
ユーロ/ドル 1.0915 〜 1.0916 +0.0009 (ドル安)
英ポンド/円 163.76 〜 163.82 -0.14 (円高)
スイスフラン/円 145.57 〜 145.63 -0.06 (円高)
豪ドル/円 87.96 〜 88.00 +0.07 (円安)


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