FXニュース:欧州中央銀行が大幅利上げ継続

FXニュース:欧州中央銀行が大幅利上げ継続

 

東西FXニュース – 2023年03月17日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 対策準備報道で欧金融不安緩和
  • 欧米株リスクオフとリスクオン
  • 財務省と金融庁と日銀が3者会合
  • 来週の米新政策金利発表を控え

今日2023年3月17日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値133円60銭前後から高値132円74銭前後の値幅約86銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は133円2~4銭付近と、前日17時の前東京終値比で約8銭の小幅な円高ドル安であった。

ただし、その後の英国ロンドン市場では、18時台には一時は小幅な円安ドル高にも市場反転しており、米長期金利の動きなどにつられるように再び小幅な円高ドル安に戻すなど、僅差の横ばいレンジ圏付近での値動きも見せている。

今日のドル円の為替相場の値動き原因は、まず昨夜の欧州英国市場と米国ニューヨーク外国為替市場時間に、欧州中央銀行 (ECB) が欧米の金融不安の中でも市場予想通りの0.5%の大幅利上げ継続に踏み切ったことにより、米国連邦準備制度理事会 (FRB) も来週に開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) では0.25%の利上げ継続の市場予想が高まったものの、先日に経営破綻した米国シリコンバレー銀行 (SVB) などに続き、昨日支援策が発表された経営不信のクレディ・スイス (CS) 、そして、昨夜には米国ファースト・リパブリック・バンク (FRC) も経営難が発覚したことから、欧州大幅利上げを受けた景気警戒と欧米金融不安で、対策準備の発言や報道があるまでは、欧米株価の一時下落時のリスク回避で安全資産の米国債買いによる利回り低下時のドル売りと低リスク通貨の円買いで円相場が上昇し、一時131円72銭付近の2月中旬以来の円高ドル安を記録した。

しかし、欧州中央銀行 (ECB) の新政策金利発表後の会見でラガルド総裁が、「金融市場の動向に注視し、必要に応じて対策を行う用意がある」と欧州の金融システムの安全性を強調した発言をしたことや、米国大手のJPモルガン・チェース (JPM) などの11の米国銀行が、ファースト・リパブリック銀行 (FRC) に300億ドル規模の預金による金融支援を発表したことなどがニュースになり、欧米の金融不安が緩和されるにつれて、一時大幅に下落していた欧米株式市場は上昇に転じ、それまでの米株安時のリスクオフで買われていた安全資産の米国10年債がリスクオンで売られて利回りが指標となる米国長期金利が一時3.58%台に上昇し、日米金利差拡大と次回FOMCでの日米金利差拡大予想もあり、低リスク通貨の円が売られて、円相場でドルが一時133円83銭付近に反発した。

ただし、政府の仲介の提携計画でクレディ・スイスの買収案の有力候補という噂があったスイスの大手銀行UBSグループ (UBSG) とクレディ・スイスは、それぞれの戦略を継続したいという意向から、強制的な統合は最後の手段と見なしており、反対しているという関係者からの情報の報道があり、ニュースを受けて一時133円39~40銭付近の低リスク通貨の円買いも入った。

また、米国のフィラデルフィア地区の製造業限定の一部の地域的な経済指標とはいえ、3月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数が前回の-24.3と市場予想の-15.6に対し-23.2の市場予想以下であったことは、米国景気懸念もやや燻っていた。

一方で、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国市場で発表されていた最新の米国経済指標も前週分の米国新規失業保険申請件数は前回の21.1万件前回修正の21.2万件と市場予想の20.5万件に対し19.2万件に改善され、米国失業保険継続受給者数も前回の171.8万人と前回修正の171.3万人と市場予想の171.5万人に対し168.4万人に改善されていたことも、堅調な雇用市場を示したことで、米国利上げ継続予想が優勢になり、来週の次回利上げ予想値は70%の確定値付近から80%を超え、今日は87.8%付近に上昇しており、一時は30%近くに浮上したことのあった利上げ見送り予想は12.2%付近にまで減退した。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の高値131円72円銭前後から安値133円83銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を133円74銭付近の前日同時刻比で約32銭の円安ドル高でつけていた。

その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、今朝早朝には昨夜の欧州中央銀行 (ECB) の利上げ後の日欧金利差拡大の円売りユーロ買いの影響や、日米金利差拡大予想と米長期金利上昇時の日米金利差拡大による円売りドル買いで、今朝9時半過ぎに一時133円60銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、今朝の仲値決済からは、今日は日本企業の円買いドル売りが優勢に転じた。

また、今日の日本市場では、前述の一時の欧米の金融システム不安の影響もあり、日本政府の財務省と金融庁と日本銀行 (日銀 / BoJ) が今日の夕方16時45分からの三者会合の噂と予定が報道されたことなどで、日本国内の安全資産の円買いや、時間外の米債権売買による米長期金利指標の一時低下のドル売りなどが入り、日本市場時間に円相場が上昇を続け、午後16時台に今日の日本市場の円の高値でドルの安値の一時132円74銭付近を記録した。

午後からは欧州英国市場の参入もあり、今日の日経株価も前日比で上昇して大引けしたためにリスクオンの円売りもあり、そこからはドルが反発をした。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は133円2~4銭付近と、昨夜17時の前東京終値比で約8銭の小幅な円高ドル安になった。

今夜その後の英国ロンドン市場では、18時台には小幅な円安ドル高にもドルが市場反転しており、米国債売買の影響で利回りの米長期金利の動きなどにつられるように再び小幅な円高ドル安に戻すなど、週末と来週の米国の新政策金利のFOMCイベント週を控えた持ち高調整と様子見などがあり、19~20時にも僅差の横ばいレンジ圏付近の値動きを見せていたが、20時台にはイベント前の買い控えもあり、再び小幅な円高ドル安になっている。

今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定があり、日本時間の今夜22時15分に、2月の米国鉱工業生産と米国設備稼働率、23時に2月の米国景気先行指標総合指数と、3月の米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値が発表される予定である。

また、来週には、スイスと英国と米国の新政策金利と金融政策の発表イベントが予定されており、世界のFXトレーダーや投資家達が注目しており、イベント週の前の持ち高調整や、結果がわかるまでの買い控えや様子見なども入り始めている。

欧州ユーロは、今日の今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は141円87~89銭付近と、昨夜17時の前東京終値比で約44銭の円安ユーロ高であった。

原因は、昨夜の欧州中央銀行 (ECB) の利上げ後の日欧金利差拡大と、欧米金融不安でのリスク回避で一時は円高が進んだ後の、金融不安緩和時のリスクオンの円売りとユーロの買い戻しなどがユーロ円の為替相場に影響を及ぼしていた。

しかし、今夜の欧州市場では、利上げ後の景気懸念や警戒もあり、再び低リスク通貨の円が買われる機会もあったことなどでは20時台には一時小幅な円高ユーロ安にも転じている。

今回の金融不安の一因が欧米の利上げによる副作用とも言える債権価格の下落による負債であったことなどから、米国債が買われて利回りが再び低下した時間があり、また安全資産のドルに来週の利上げ継続予想のイベントリスクが現在あり、今回の金融不安の発端でもあったため、金利抑制の日本円が「低リスク通貨」として注目されている一面もあった。

ユーロドルは、今日の今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0663~1.0665ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.38セントのユーロ高ドル安であった。

欧州中央銀行 (ECB) が0.5%の大幅利上げをしたが、来週に開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) では、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の0.25%の利上げ予想が今日の市場で優勢であることから、米欧金利差縮小が意識されていたことなどが影響した。

英国ポンドは、今日の今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は161円84~90銭付近と、昨夜17時の前東京終値比で約14銭の円高ポンド安であった。

原因は、欧州の利上げ継続や米国の利上げ継続予想と比較すると、英国の利上げ終了時期が近づいているという市場予想が強まっており。来週の英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の新政策金利発表を前にした持ち高調整などがあったことも影響していた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年3月17日の日本時間(JST)20時21分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時21分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:21の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 132.75 〜 132.76 -0.35 (円高)
ユーロ/円 141.23 〜 141.25 -0.20 (円高)
ユーロ/ドル 1.0637 〜 1.0639 +0.0012 (ドル安)
英ポンド/円 161.08 〜 161.14 -0.90 (円高)
スイスフラン/円 143.29 〜 143.35 -0.57 (円高)
豪ドル/円 88.87 〜 88.91 -0.14 (円高)


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