FXニュース:日銀新総裁候補が緩和継続発言

2023年2月24日
FXニュース:日銀新総裁候補が緩和継続発言

 

東西FXニュース – 2023年02月24日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米コアPCE上方修正で利上げ継続予想
  • 米GDP改定値で米債券利回り一時低下
  • 長期的には今後の日銀緩和修正期待も
  • 輸出企業の五十日円買いドル売り抵抗
  • 今夜の米PCEデフレーター控えた調整

今日2023年2月24日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値134円92銭前後から高値134円5銭前後の値幅約87銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は134円85~86銭付近で、前営業日17時の前東京終値比で約13銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの要因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で昨夜22時半に米国商務省が発表した最新米国経済指標の前年10~12月四半期の米国コア個人消費支出 (PCE) 物価指数の改定値が、前期比年率で前回と市場予想の3.9%を上回る4.3%に上方修正され、食品とエネルギーを除く米国消費インフレ圧を示し重視される物価指標の上昇であったことから、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米インフレ抑制のための利上げ継続予想が強まって米国長期金利が一時3.97%付近に上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いが起き、一時135円37銭付近の昨年12月以来の円安ドル高を記録した。

同時発表の前週分の米国新規失業保険申請件数も前回の19.4万件と前回修正の19.5万件と市場予想の20.0万件よりも改善された19.2万件で、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の169.6万人と前回修正の169.1万人と市場予想の170.0万人よりも良い165.4万人であったことも、堅調な米国雇用市場を背景に米国の政策金利の利上げ継続がされやすくなることから、ドル買いの一因となっていた。

しかし、同じく発表された同四半期の米国実質国内総生産 (GDP) 改定値では、前述のコアPCEが示す米国インフレ圧の根強さの傍らで、米国GDPの成長率が前期比年率で前回と市場予想の2.9%を下回る2.7%の上昇率に鈍化したことでは、米国景気懸念により安値になっていた安全資産の米国債が買われた影響で、米10年債の利回りが指標となる米国長期金利がそれまでの3.97%付近の高利回りから一時3.88%付近に急落したことでは、日米金利差縮小時の円買いドル売りが入り、ドル円は一時134円48銭付近に円相場が反発した。

同米国市場では日本時間では今夜にあたる翌米国市場で発表予定の最新経済指標の米PCEデフレーターの発表イベントを控えた持ち高調整もあり、またこの時点では今日の日本銀行 (日銀 / BoJ) の新総裁候補の植田和男氏の所信聴取前で発言への警戒感もあったことなどから、一時135円台の高値圏に上昇後のドルには、イベントリスクによる短期の利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入りやすくなっており、134円台に下げる値動きになった。

そのため、今朝7時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は134円65~75銭付近で、この時点では前日同時刻比で約20銭の円高ドル安に転じていた。

今朝8時半に日本の最新経済指標の1月の全国消費者物価指数 (CPI) が発表され、前年同月比が前回の4.0%に対し市場予想通りの4.3%の高い伸びを示し、1981年9月以来の上昇率と報道された。生鮮食料品除いた総合のコア指数も前回の4.0%と市場予想通りの4.2%に上昇し、生鮮食料品とエネルギーを除くコアコアCPIのみが前回の3.0%と市場予想の3.3%に対して市場予想以下の3.2%で、日本の物価上昇圧による今後の日銀の大規模緩和の金融政策の修正圧予想もあり、今朝9時半からの日銀新総裁候補の植田和男氏の衆議院の所信聴取前の持ち高調整もあって、ドル円は早朝の日本市場に開場前のアジア・オセアニア市場時間に一時134円台前半の134円27銭付近を記録した。

今朝9時半からの日銀新総裁候補の植田和男氏の衆議院の所信聴取では、「現在日銀が行っている金融政策は適切」であり、「金融緩和を継続し経済をしっかりと支える」という大規模金融緩和策を継続する意向を示す発言があり、日米の金融政策の方向性の違いが意識され、円相場でドルが買われて9時半過ぎに一時134円92~93銭付近に再び上昇した。

ただし、植田氏は、「物価上昇率2%の実現が見通せることが見込まれる場合には、金融政策の正常化に踏み出すことができる」とも発言し、初の金融政策の出口戦略についての言及もあった。日銀の国債買い入れオペについても、「最大の目的は、持続的・安定的な2%の目標を達成すること」で、「当然の帰結として、それが達成された暁には大量の国債の購入は止める判断になってくる」とも発言しており、長期的にはいずれは日銀の大規模緩和金融政策の修正もあり得るということでは、この時点では135円台には抜けなかった。

また、今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済では、明日の25日は土曜日であることから、今日が実質的な日本の貿易企業の決済日が集中しやすい五と十が付く日の「五十 (ゴトー) 日」にあたるため、輸出大企業のまとまった円買いドル売り注文が入り、対ドルの円相場は一時134円5銭付近に大きく反発し、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、当面の金利抑制の方向の日銀と、利上げ継続方向の米FRBの日米の金融政策の方向性の違いが意識され、日米金利差拡大予想による円売りドル買いが再び優勢になり、安値からのドル買いもあってドルが円相場で再び上昇した。

13時からは日銀の新副総裁候補の内田真一氏と氷見野良三氏の衆議院の所信聴取での発言もあったが、内田氏が「この先も金融緩和は必要」と発言するなど、新総裁候補の植田氏の発言内容と一致しており、大規模緩和の金融政策の継続への反対意見なども特になかったことから、日米の金融政策の違いによる円売りドル買いが午後も継続した。

午後からの欧州英国市場も、日米金利差拡大予想による円売りドル買いで参入した。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は134円85~86銭付近で、前営業日17時の前東京終値比で約13銭の円安ドル高になった。

また、その後の英国ロンドン外国為替市場では17時台後半から再び135円台に円安ドル高が進行している。

今夜この後にも、米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間では今夜22時半に1月の米国個人所得、米国個人消費支出、米国PCEデフレーター、米国PCEコア・デフレーター、24時に1月の米国新築住宅販売件数と、2月の米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値、24時15分からは米FRBのジェファーソン理事の発言と、米国クリーブランド連銀メスター総裁の発言、25時半からは米国セントルイス連銀のブラード総裁の発言、27時半からは米国ボストン連銀の)コリンズ総裁の発言、そして27時半からは米FRBのウォラー理事の発言予定などがあり、FXトレーダー達が値動き予想材料として注目している。

また、週末を控えた欧米市場のポジション持ち高調整の影響や、23~25日までG20財務相中央銀行総裁会議が開催されていることにも、やや注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は142円79~80銭付近で、前営業日17時の前東京終値比で約73銭の円高ユーロ安であった。

今日は16時から欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新の重要経済指標である前年10~12月四半期の独国内総生産 (GDP) の改定値が発表され、季調前の前年同期比が前回と市場予想の0.5%に対し0.3%の市場予想以下の伸び率で、季調後の前年同期比も前回と市場予想の1.1%に対し0.9%に鈍化し、前期比も前回と市場予想の-0.2%に対し-0.4%で、今日のユーロ安の原因になっていた。

また、後述のユーロドルでユーロが対ドルの安値圏で推移していたユーロ安の影響も、他の主要通貨である円相場にも波及していた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0587~1.0589ドル付近で、前営業日17時の前東京終値比で約0.66セントのユーロ安ドル高であった。

前述の米国の利上げ継続と長期化予想などにより、ユーロ売りドル買いが優勢であった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は162円12~18銭付近で、前営業日17時の前東京終値比で約30銭の円安ポンド高であった。

今日は最新のイギリスの経済指標の2月の英国GFK消費者信頼感調査が発表され、前回の-45と市場予想の-43に対し-38に下げ幅が改善されていたことでは、英国景気懸念の後退によるポンド買いが入っていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年2月24日の日本時間(JST)20時25分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時25分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:25の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 135.28 〜 135.29 +0.56 (円安)
ユーロ/円 143.16 〜 143.18 -0.36 (円高)
ユーロ/ドル 1.0582 〜 1.0583 -0.0071 (ドル高)
英ポンド/円 162.22 〜 162.28 +0.40 (円安)
スイスフラン/円 144.64 〜 144.70 +0.41 (円安)
豪ドル/円 91.61 〜 91.65 -0.10 (円高)


注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。