FXニュース:米PCE物価指数で利上げ長期化予想

2023年2月27日
FXニュース:米PCE物価指数で利上げ長期化予想

 

東西FXニュース – 2023年02月27日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日米の金融政策でも金利差拡大予想
  • インフレ高止まりで米長期金利上昇
  • 米国経済指標受け大幅利上げ予想も
  • 米長期金利3.97%記録の全面ドル高

今日2023年2月27日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値136円55銭前後から高値136円1銭前後の値幅約54銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は136円10~11銭付近で、前営業日17時の前東京終値比で約1円27銭の大幅な円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの要因はまず、先週の金曜の夕方の英国ロンドン外国為替市場では、日本銀行 (日銀 / BoJ) の新総裁候補の植田和男氏が、衆議院運営委員会の所信聴取と質疑で、「現在の金融政策は適切」とし、「副作用が生じているが、経済と物価情勢を踏まえると、2%の物価安定目標の実現にとって必要かつ適切な手法であると思う。これまで日銀が実施してきた金融緩和の成果をしっかりと継承し、積年の課題であった物価安定の達成というミッションの総仕上げを行う5年間としたい」と、当面は日銀の現在の大規模緩和の金融政策を継続し、2%の物価安定目標の政府と日銀の共同声明も当面維持する発言をし、新副総裁候補達も異論を唱えなかったことを受けて、日米の金融政策の方向性の違いによる日米金利差拡大予想により、米長期金利が上昇し、円売りドル買いが優勢であった。

ただし、長短期金利操作のイールドカーブコントロール (YCC) に関しては、「日銀は去年12月以降、副作用をなるべく緩和する意図のもと、様々な措置を採用し、現在はその効果を見守っている段階だと私は考えている。具体的なオプションの是非について申し上げることは、現時点では控えたいが、時間をかけて議論を重ね、望ましい姿を決めていきたい」と、変更の可能性は否定していなかったことから、日本市場での円売り反応は比較的少なかったものの、金曜の夕方の欧州英国市場の頃から英訳された世界的なFXニュースが多く出回り、米長期金利が上昇し、円売りドル買いの世界市場の反応が顕著になってきていた。

さらに、英国市場の後半から始まった先週末の金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、日本時間の金曜の夜22時半に発表された最新米国経済指標の1月の米国個人消費支出 (PCE) の前月比が、前回の-0.2%と前回修正の-0.1%と市場予想の1.3%に対して1.8%に上昇し、米国個人消費支出 (PCE) デフレーターの前年同月比も前回の5.0%と前回修正の5.3%と市場予想の5.0%に対し5.4%に上昇し、食品とエネルギー除いた米PCEコア・デフレーターの前年同月比も前回の4.4%と前回修正の4.6%と市場予想の4.3%に対し4.7%に上昇し、前月比でも前回の0.3%と前回修正の0.4%と市場予想の0.4%に対し0.6%に増加したデータを受けて、米国インフレの高止まりや長期化予想により、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げ継続と長期化予想が強まり、日米金利差拡大予想による円売りドル買いの勢いが増した。

1月の米国個人所得も前月比で前回の0.2%と前回修正の0.3%に対し0.6%に増加しており、市場予想の1.0%ほどではなかったが、賃金インフレの影響によるサービスインフレも増加傾向であった。

続いて24時に発表された米国経済指標の1月の米国新築住宅販売件数も好調で、年率換算件数では前回の61.6万件と前回修正の62.5万件と市場予想の62.0万件に対し67.0万件に上昇し、前月比でも前回の2.3%と市場予想の0.7%に対して前回上方修正と一致する7.2%に増えていた。

同時発表の2月の米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値も、前回の66.4と市場予想の66.4に対し67.0に上昇しており、堅調な米国景気を背景とした米利上げ抵抗要因の景気懸念も緩和されていたことで、また、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) でも投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェファーソン理事が、「インフレに、迅速かつ強力に対処する」とタカ派の発言をしたことも、インフレ抑制のための米利上げ幅に対する市場予想に影響を及ぼした。

米国ボストン連銀コリンズ総裁も、「米国のインフレはなお高すぎる、インフレ抑制に向けて、一段の利上げが必要」と発言していた。

米シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME) グループのフェッドウォッチ・ツール (CME FedWatch Tool) が示す米国連邦準備制度理事会 (FRB) の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での利上げ幅の予測値も、以前は9割以上もあった0.25%の利上げ幅予測が71.6%に低下した一方で、0.5%の大幅利上げ予測値が28.4%超えに増加してきており、米利上げ予想により米長期金利が上昇し、日米金利差拡大予想の円売りドル買いが優勢であったことに加えて、ドルは主要通貨に対しても一時全面高になった。

米国インフレの長期化と堅調な米国景気を背景に、米FRBの利上げ長期化予想により、米長期金利は一時3.97%付近に上昇し、金利抑制の大規模緩和継続予想の日銀との日米の金融政策の方向性の違いも意識され、日米金利差拡大と拡大予想による円売りドル買いで円安ドル高が再燃し、一時136円52銭付近の前年12月20日以来の円安ドル高水準を記録した。

一方で、米国ニューヨーク株式市場では米国の政策金利上昇への警戒感から、米株売りでドルを買い戻す市場反応を示したほか、株安時のリスク回避で低リスク通貨の円も買われたことや、週末前の高値のドルの利益確定売りによる持ち高調整がやや抵抗になったものの、米長期金利上昇を受けてユーロなどの他の主要通貨に対するドル高の影響もあり、円相場ではドルの大幅上昇後の高止まりからやや横ばいに近い小動きになる程度の抵抗にとどまった。

そのため、先週末の米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は円の高値135円20銭前後から安値136円52銭前後の値幅約1円32銭で、先週末の土曜の朝7時のドル円のニューヨーク終値を136円47~48銭付近の前日同時刻比で約1円78銭の大幅な円安ドル高でつけていた。

週明けの今日の日本の東京外国為替市場でも、先週末の最新の米国重要経済指標を受けた米利上げ長期化予想の日米金利差拡大予想により、今朝9時の市場開始頃から今日の日本市場の円の安値でドルの高値の136円55銭付近を記録した。

ただし、今日の日本市場では月末の締め日もあり、今朝9時55分の仲値決済に向けて輸出企業の円買いドル売りが抵抗として入り始めたことから、投資系なども高値のドルの利益確定売りと安値の円買いの持ち高調整を入れて、昼前の11時台には今日の日本市場での円の高値でドルの安値の136円1銭付近を記録した。

原因は、今日の昼頃からは、先週金曜の衆議院での次期日銀総裁候補の植田和男氏の所信聴取と質疑に続き、参議院の所信聴取と質疑も予定されていたことから、念の為の持ち高調整なども入っていたのだが、市場予想では同様の発言を見込んだ今日の市場高値からの円の利益確定売りと日米金利差拡大予想のドル買いが再び始まり、市場予想通り、今日の13時10分頃からの参院での植田和男次期日銀総裁候補の発言も前回と同様で、「金融緩和を継続し、経済をしっかりと支える」とし、金利抑制の大規模緩和金融政策についても「メリットの方が副作用を上回っている」と発言しており、円安ドル高トレンドが継続した。

午後からの欧州英国市場の参入では、15時台に136円台中盤で高値感が出ていたドルの利益確定売りと安値の低リスク通貨の円買いの抵抗もやや入った。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は136円10~11銭付近で、前営業日である先週金曜17時の前東京終値比では約1円27銭の大幅な円安ドル高になった。

その後の欧州市場では、17時台に一時136円0銭付近まで利益確定売りの抵抗が続いたが、そこからは再び日米金利差拡大予想でドルが買われ始めて、18時台には136円台前半から19時台には136円台中盤付近に推移している。

今夜この後にも最新の米国経済指標や米国FRB高官の発言予定があり、日本時間のスケジュールは22時半から1月米国耐久財受注、24時に1月米国住宅販売保留指数、24時半から米国FRBのジェファーソン理事の発言予定があり、FXトレーダー達が値動き予想のために注目している。また、今夜の米国市場は、週明けかつ月末であるために、株式市場などの利益確定などのポジション調整や、リスク回避などの影響にもやや注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は143円60~62銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比では約82銭の円安ユーロ高であった。

主な原因は、今日のドルに対する大幅な円安の影響が、ユーロなどの他の主要通貨にも円安として波及していた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0550~1.0552ドル付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約0.39セントのユーロ安ドル高であった。

米国の最新経済指標を受けた米利上げ長期化予想による米長期金利上昇時には、ドルはユーロなどの主要通貨に対しても一時全面高を記録した影響もあり、先週末の米国ニューヨーク市場では一時1.0536ドル付近の1月6日以来のユーロ安ドル高も記録していた。

今夜19時には欧州ユーロ圏の最新経済指標の発表もあり、2月の欧州消費者信頼感の確定値は前回と市場予想と同じ-19.0で、同時発表の2月の欧州経済信頼感は前回の99.9と前回修正の99.8と市場予想の101.0に対し99.7に低下したことではドルに対するユーロ安トレンドは継続したが、高値のドルの利益確定売りが抵抗要因となり、ドルに対する大幅な円安の円相場と比較すると、対ドルのユーロは比較的小幅な範囲内でのユーロ安に留まっているため、円相場では円安ユーロ高も今夜20時の英国ロンドン外国為替市場では前日比1円強の大幅な円安ユーロ高の域に進行している。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は162円75~81銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比では約20銭の小幅な円高ポンド安であった。

原因の前述の米国の利上げ長期化予想で、ポンドもドルに対して売られて一時大幅に下げていた影響が出ていたが、今日の午後からの英国ロンドン外国為替市場では安値のポンドの買いや買い戻しが入り始めたため、今夜の欧州英国市場では20時頃には小幅な円安ポンド高に市場転換している。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年2月27日の日本時間(JST)20時15分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時15分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:15の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 136.30 〜 136.32 +1.47 (円安)
ユーロ/円 143.96 〜 143.98 +1.18 (円安)
ユーロ/ドル 1.0561 〜 1.0562 -0.0028 (ドル高)
英ポンド/円 163.16 〜 163.22 +0.21 (円安)
スイスフラン/円 144.81 〜 144.87 -0.16 (円高)
豪ドル/円 91.50 〜 91.54 -0.22 (円高)


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