FXニュース:1990年以来の円安ドル高

2024年4月23日
FXニュース:1990年以来の円安ドル高

 

東西FXニュース – 2024年4月23日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • ドル円一時154円86銭付近
  • 中東情勢緩和で欧米株反発
  • 安全資産欧米国債と円売り
  • 抵抗は為替介入警戒と日銀
  • 米より早い欧英利下げ予想
  • 欧ECB高官6月利下げ予想
  • 英BoE副総裁のハト派発言
  • 今年最大のポンド安ドル高
  • 今日は欧英米のPMIが発表

今日2024年4月23日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の154円66銭付近から、円の安値でドルの高値の154円86銭付近の値幅約20銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は154円81〜82銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の154円65〜66銭付近の前東京終値比では約16銭の円安ドル高であった。

今日の日本の東京外国為替市場と英国ロンドン外国為替市場の取引時間が重なる午後16時31分頃に、対ドル円相場は一時154円86銭付近と、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で記録した一時154円85銭付近を上抜けた1990年6月以来のおよそ34年ぶりの今年最大の円安ドル高を更新した。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州英国市場では、中東情勢警戒感の緩和によるリスク選好のリスクオン (Risk-on) ムードの中で、欧州ドイツの独DAX (Deutscher Aktien-indeX) や英国FTSE (Financial Times Stock Exchange) の株価が反発したことを受けて、安全資産の欧米国債が売られたため、欧米債券価格低下に伴う利回り上昇が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は昨夜20時台には一時4.665%付近に上昇し、欧州長期金利の指標となる独連邦債10年物の利回りも一時は昨年2023年11月以来の高利回りに向かうなど、日米欧金利差トレードの円売りに加えてのリスクオンの低リスク通貨の円売りにより、ドルや欧州ユーロに対して円相場が下落したため、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時154円76銭付近であった。

ただし、154円台後半では、155円を目前にした日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) による為替介入警戒感の早期の利益確定や持ち高調整の抵抗が入ったことや、155円付近に大量に観測されていたノックアウト・オプション (Knock-out Option) による価格急落への警戒感などもあったことなどから、昨夜21時21分頃にドルは円相場で一時154円68銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

一時は世界的に流動性の高いドルも欧州ユーロに対して売られたものの、昨夜は欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会メンバーの欧州ユーロ圏のフランスの中央銀行にあたるフランス銀行 (Banque de France) のビルロワドガロー総裁が、現地の新聞記事のインタビューで、中東情勢の悪化を背景とした原油価格の先行き不透明感により欧州の利下げ開始時期を遅らせる可能性があるかどうかという質問に対し、「いいえ。経済データにサプライズがない限りは、欧州利下げを待ちすぎるべきではない」とハト派の発言をしたことが話題になり、一方の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) は6月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) でも米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) 誘導レートを据え置きする市場予想が優勢であったため、市場予想での欧米の利下げ開始時期の違いにより、ユーロドルが東京終値時の小幅なユーロ高ドル安からユーロ安ドル高に市場反転を始めた影響も、対ドル円相場にドル上昇圧として波及し、すぐにドルの買い戻しが入り始めて円相場で反発した。

また、昨夜の米国ニューヨーク株式市場の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が前営業日比で一時460ドル以上も上昇したほか、米国主要株価三指数が揃って上昇に向かい、欧州英国の株式市場のトレンドの影響もあり、中東情勢警戒感緩和による欧米株価の反発を受けたリスク選好のリスクオン市場になり、安全資産の欧米国債売りによる債券価格低下時の利回り上昇の影響が続き、米国と欧州の長期金利が上昇し、日米欧金利差拡大による円売りが続いたため、ドルだけでなく欧州ユーロに対してもリスクオンで低リスク通貨の円が売られて円相場が下落した影響も波及し、午前1時22〜24分頃にドルは円相場で一時154円85銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録し、この時点での1990年6月以来のおよそ34年ぶりの今年最大の円安ドル高を記録した。

155円台終盤では利益確定の抵抗も入り始めたが、今週は注目度の高い最新米国重要経済指標の発表予定と日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合のイベントを控えており、来週には米国連邦公開市場委員会 (FOMC) のビッグイベントも控えているため、米国の根強いインフレ圧を背景にした米国利下げ先送り予想と、欧州や英国よりも米国で高金利が長期化する可能性についての市場予想による持ち高調整なども影響を及ぼし始めていたため、米国ニューヨーク外国為替市場の終盤の午前6時前頃にも再び、ドルは円相場で一時154円85銭付近の市場高値を再記録した。

なお、米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の前述の米国ダウ工業株30種は38,239ドル98セントの終値と前営業日比で253ドル58セントの大幅高で終え、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) も5,010ドル60セントの終値と前営業日比で43ドル37セントの小幅高で引け、米国ナズダック総合 (NASDAQ Composite) は15,451ドル30.5セントの終値と前営業日比で169ドル29.5セントの大幅高で三指数が揃って上昇した終値を今朝早朝に迎えており、低リスク通貨の円の買い戻し幅は限られた。

一方で、米国ニューヨーク債券市場では、米国債券価格低下後の日米イベント前の安値買いの影響で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は今朝早朝の米国ニューヨーク債券市場の終値時には4.610%付近と、前営業日比で-0.013%に留まっていた金利差は、やや対ドル円相場の抵抗になったことでは、米国市場では高値を再度上抜けしなかった。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の154円68銭付近から、円の安値でドルの高値の154円85銭付近の値幅約17銭の値動きで、先週土曜日の朝6時前頃のニューヨーク終値は154円85銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の154円64銭付近と比較して約21銭の円安ドル高をつけていた。

今朝早朝8時51〜52分頃のシンガポールなどのアジア市場とオーストラリアなどのオセアニア市場でも、対ドル円相場は一時154円84銭付近に上昇した後に早期の利益確定売りが入り始めたため、今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時154円81〜83銭付近であった。

しかし、今朝の日本の国内ニュースでは、日本政府の鈴木俊一財務相が参議院財政金融委員会の答弁で、先日の日米韓の共同声明の合意により日本の為替介入に対する米国や韓国の容認の空気があるのではないかという質問に対して、「適切な対応につながる環境が、整ったと捉えられてもいい」と発言したため、為替介入への警戒感による円買いや持ち高調整が高まり、今朝10時17分頃と20分頃に対ドルの円相場が反発し、一時154円66銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、今朝の東京株式市場でも、昨夜の欧州英国株式市場や今朝までの米国株式市場のトレンドを受けて日経平均株価が前営業日比で一時350円以上と大幅に上昇してリスク選好のリスクオン市場になったことでは低リスク通貨の円が売られやすくなり、また日経平均株価が利益確定売りなどの一時抵抗を受けた時にも、今日の日本市場の時間外の米国債券取引では世界的な安全資産の米国債売りの影響で米国長期金利が4.6%台の高止まり傾向で推移していたため、日米金利差トレードの影響も続き、ドルは円相場で反発後に上昇した。

午後15時台には、今日の日経平均株価は3万7,552円16銭の終値をつけ、前営業日比で113円55銭高の大幅高で大引けし、世界的なリスクオンムードの中で低リスク通貨の円売りの影響が続いた。

午後からは欧州英国市場が参入し、日米金利差もあり低リスク通貨の円がドルに対して売られていたため、午後16時31分頃に対ドル円相場は一時154円86銭付近と、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で記録していた一時154円85銭付近を上抜けた1990年6月以来のおよそ34年ぶりの今年最大の円安ドル高の記録を続伸した。

155円手前では、再び日本政府と日銀 (BoJ) の為替介入警戒感による利益確定や、先日の日銀総裁の発言を受けたイベント前の追加利上げの可能性の燻りなどが抵抗になった。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は154円81〜82銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の154円65〜66銭付近の前東京終値比で約16銭の円安ドル高になった。

今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定や米国債入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは今夜22時45分に4月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) と米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) と米国総合購買担当者景気指数 (PMI) の速報値が発表され、続いて今夜23時には 3月の米国新築住宅販売件数と、 4月の米国リッチモンド連銀製造業指数、26時に米国2年債の入札予定と、米国ニューヨーク株式市場で米国主要企業の決算報告シーズンが続いており、明日の米国株引け後の時間にテスラなどの決算報告も予定されており、米国債などの債券利回りの影響に加えて、世界情勢のニュースの影響なども市場では注視されているところである。

そして、今週金曜日には日銀金融政策決定会合の結果発表と日銀総裁の要人発言予定、来週4月30日〜5月1日には米国連邦公開市場委員会 (FOMC) と終了後に米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の要人発言予定なども控えていることには注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は165円28~29銭付近と、日本市場の前営業日同時刻にあたる昨日17時の164円83~85銭付近の前東京終値比で約45銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、先述の通り、日米欧の株価上昇時のリスクオン市場で買われやすい欧州ユーロに対して低リスク通貨の円が売られやすかったほか、安全資産の欧州債売りの影響で欧州長期金利が上昇し債券利回りの日欧金利差トレードの影響があった。

今日の午後16時15分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の4月の仏製造業購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は前回の46.2と市場予想の46.9を下回る44.9であったが、4月の仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は前回の48.3と市場予想の48.9を上回り景気ボーダーラインの50超えの50.5に上昇と強弱混合であった。

午後16時30分に発表されたドイツの4月の独製造業購買担当者景気指数 (PMI) の速報値も前回の41.9と市場予想の42.8に対し42.2と前回よりは改善したものの市場予想に届かなかったが、4月の独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は前回の50.1と市場予想の50.5を上振れする53.3と好調だった、

続いて、今夜17時に発表された欧州ユーロ圏総合の4月の欧州製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回の46.1と市場予想の46.6を下振れする45.6であったが、4月の欧州サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は前回の51.5と市場予想の51.8を上振れする52.9に上昇し、欧州の製造業の弱さとサービス部門の強さが入り混じる結果になったが、欧州景気懸念後に不景気と好景気の境界線のボーダーラインである50を超える好景気側の欧州景気指標が増えたことは、世界市場ではやや好感された。

このため、ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0675〜1.0677ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0657〜1.0658ドル付近の前東京終値比では約0.18セントのユーロ高ドル安であった。

今夜の英国ロンドン外国為替市場では、欧州中央銀行 (ECB) のデギンドス副総裁が、「欧州インフレとの戦いは、終わりつつある。サプライズがなければ、6月の欧州中央銀行 (ECB) 理事会での欧州利下げはほぼ確実」と発言したため、米国の利下げ時期の方が欧州よりも先送りされ、米国高金利の方が長期間が維持される市場予想が更に強まり、ドルは欧州ユーロに対する昨夜の前東京終値時点からの下げ幅を小幅から僅差に縮め、今夜19時台には横ばいレンジ圏にも達している。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は191円37〜43銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の191円27〜33銭付近の前東京終値比では約10銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、英国景気要因のインフレ圧鈍化などを見込み、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の英国利下げ開始予想時期も、米国よりも早期になる可能性が」意識され、昨夜には英国ポンド売りにより一時対ドルで今年最大のポンド安ドル高を記録したが、その後の買い戻しでは、今日の日経平均株価がリスク選好のリスクオンムードで、低リスク通貨の円売りで欧州ユーロの影響を受けやすい英国ポンドも買われた。

先日には、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) のラムスデン副総裁が、「英国内のインフレ圧の根強さをめぐるリスクが弱まっていることに、自信を高めている」と発言しており、英国インフレ見通しに対するリスクバランスが「下落方向に傾いている」と指摘されたことで前日の日本市場では一時は円高ポンド安になった後の買い戻しで小幅域であったために、今夜19時台の英国市場でも小幅な円高ポンド安にも転じている時間があった。

また、今夜17時の日本市場終了後の今夜17時30分に英国市場で発表された最新英国経済指標の4月の英国製造業購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は前回の50.3と市場予想の50.4を下振れする48.7に低下したが、欧州同様に4月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は前回の53.1と市場予想の53.0を上振れする54.9と強弱が入り混じる結果になっていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年4月23日の日本時間(JST)19時40分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時40分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:40の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 154.79 〜 154.80 +0.14 (円安)
ユーロ/円 164.97 〜 164.98 +0.14 (円安)
ユーロ/ドル 1.0657 〜 1.0658 ±0.0000 (レンジ)
英ポンド/円 191.22 〜 191.28 -0.05 (円高)
スイスフラン/円 169.66 〜 169.72 -0.18 (円高)
豪ドル/円 99.84 〜 99.88 +0.43 (円安)


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