FXニュース:米製造業景気指数が上振れ

2024年4月19日
FXニュース:米製造業景気指数が上振れ

 

東西FXニュース – 2024年4月19日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米FRB高官達のタカ派発言
  • 欧ECB高官達のハト派発言
  • 米長期金利上昇時の金利差
  • 日本の為替介入警戒感継続
  • 国内消費者物価指数が鈍化
  • 中東情勢で一時リスク回避
  • 日経平均今年最大の下落幅
  • 来週日銀金融政策会合控え

今日2024年4月19日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の154円67銭付近から、円の高値でドルの安値の153円59銭付近の値幅約1円8銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は154円47〜48銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の154円26〜27銭付近の前東京終値比では約21銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時154円37銭付近で、この時間の米国債券取引では世界的な安全資産でもある米国債が買われた影響があり、米国債券価格上昇に伴う利回り低下の影響により米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.59%台で推移していたため、昨夜21時9分頃にドルは円相場で一時154円32銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、昨夜21時30分に発表された最新米国経済指標の4月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数は、前回の3.2と市場予想の2.0を大幅に上回る15.5に上昇して2年ぶりの高水準を記録し、個別項目では新規受注や出荷が伸び、支払価格が大幅に上昇したことを受けて、市場予想を大幅に上振れする米国景気要因のインフレ圧により、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国政策金利のフェデラル・ファンド金利誘導目標レートを根強い米国インフレ抑制のために高金利で長期間維持をする可能性が意識され、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が再び一時4.65%台に向けた上昇を始めたため、日米金利差拡大による金利差トレードの円売りドル買いなどでドルは円相場で反発し、為替介入警戒による早期の利益確定や持ち高調整の抵抗を混ぜながらも、再び上昇トレンドに転じた。

昨夜21時30分に同時発表された米国雇用市場関連の最新経済指標データの前週分の米国新規失業保険申請件数も前回の21.1万件と前回修正の21.2万件と市場予想の21.5万件に対し21.2万件と堅調であったことでも主要通貨に対してドルが買われたが、前週分の米国失業保険継続受給者数では前回の181.7万人と前回修正の181.0万人と市場予想の181.0万人に対し181.2万人とやや強弱が入り混じったことも抵抗の一因となった。

続いて、昨夜23時に発表された3月の米国景気先行指標総合指数の前月比が前回の0.1%と前回上方修正の0.2%と市場予想の-0.1%を下回る-0.3%であったことと、同時発表の3月の米国中古住宅販売件数の年率換算件数も前回の438万件と市場予想の420万件を小幅に下回る419万件に低下したことも小幅な抵抗になったものの、昨夜には次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達にタカ派発言が相次いだことでは、米国政策金利の先高観による米国長期金利上昇時の日米金利差拡大による円売りドル買いの影響が強かった。

次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁は、「米国利下げの緊急性を全く感じていない」ことや、「米国の利下げ開始時期は、経済状況により決まる」と、米国利下げには距離感がある発言をしたほか、「米国の追加利上げは私個人の基本的な予想ではないものの、経済データが要するなら米国連邦準備理事会 (FRB) は利上げするだろう」と米国の追加利上げの可能性に言及するタカ派発言をし、利下げ開始どころか追加利上げの可能性を否定しなかったことが話題になり、米国長期金利の上昇に伴う円売りドル買いや、欧州ユーロなどの主要通貨に対するドル買いも起きた。

また、一方で欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) の高官達にはハト派発言が続いており、昨夜も米国の経済チャンネルCNBCテレビのインタビューで欧州ユーロ圏のフランスの中央銀行にあたるフランス銀行 (BdF / Banque de France) のフランソワ・ビルロワドガロー総裁が、欧州ユーロ圏では米国とは違って物価上昇率が鈍化していくディスインフレーション (Disinflation) に確信が持てる様になっていると指摘し、次回6月の欧州中央銀行 (ECB) 理事会について「大きなサプライズがなければ、欧州利下げを決めるだろう」とハト派発言をした。

米国と欧州の今年の利下げ開始予想時期の違いによる欧米金利差予想で、欧州ユーロに対するドルの買い戻しが入った影響が対ドルの円相場に波及し、円相場でドルが上昇を続けたため、米国長期金利は一時4.654%付近に上昇し、日米欧金利差拡大による円や欧州ユーロなどの主要通貨に対するドル買いの影響で、ドルは円相場で午前2時42分頃に一時154円68銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、154円台後半では、前米国市場で発表後の日米韓共同声明後の為替介入警戒感による早期の利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入り始めたほか、テクニカル分析的にも先日に記録した今年最大の円安ドル高の154円79銭付近には上値抵抗線のレジスタンスライン (Resistance Line) が位置していることや、155円付近には再び大量のノックアウト・オプション (Knock-out Option) が観測されていたことなどは抵抗となり、午前3時49分頃に円相場は一時154円55銭付近の154台中盤付近にまで反発した。

一方、米国ニューヨーク株式市場では、米国主要企業の決算報告シーズンが続いており、企業決算に影響を与える要因に対して慎重姿勢になっていたため、企業ローン金利などが企業決算や株価に影響を与える可能性から米国高金利の長期化への警戒感もあり、米国主要株価三指数がやや小動きになり、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) は前日比で小幅高の終値になったが、ハイテク企業比率の多い米国ナスダック総合 (NASDAQ Composite) や米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) は前日比で小幅安になったため、一部の米国株価下落を受けたリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で安全資産の米国債やドルから買える低リスク通貨の円がやや買われた影響もやや抵抗要因になった。

しかし、米国主要株価三指数のうちの二指数の下げ幅が小幅安域に留まっていたことを受けては、米国株式市場の終値よりも遅い終値を迎える米国ニューヨーク外国為替市場の終盤に向けたドルの買い戻しも入ったことでは、午前5時38分頃にはドルは円相場で一時154円68銭付近の市場高値圏にまで再び反発した時間もあった。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の154円32銭付近から、円の安値でドルの高値の154円68銭付近の値幅約36銭の値動きで、今朝6時前頃のニューヨーク終値は154円39銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の154円39銭付近と比べて約25銭の円安ドル高をつけていた。

今朝8時30分には、日本の最新重要経済指標の3月の日本全国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) が発表され、前年同月比は前回と市場予想の2.8%を下回る2.7%に国内インフレが鈍化し、生鮮食料品除く国内CPIコア指数の前年同月比も前回の2.8%に対し市場予想通りの2.6%に低下し、生鮮食料品とエネルギー除く国内CPIコアコア指数の前年同月比も前回の3.2%と市場予想の3.0%を下振れする2.9%に鈍化したため、来週に日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) は日銀金融政策決定会合を控えているが、日本のインフレ圧鈍化を受けて、日銀の追加利上げの必要性が減ったことが市場で意識された。

そのため、今朝早朝のシンガポールなどのアジア市場やオーストラリアなどのオセアニア市場に続いて始まった今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時154円61銭付近と、日米金利差が意識されて、対ドルの円相場がやや下落して始まった。

また、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、明日の20日は土曜日のために今日が前倒しで5と10が付く日の日本の貿易企業の決算日が集中しやすい五十日 (ごとおび / ゴトーび) にあたるため、日本企業の輸入実需の円売りドル買いもあったことで、今朝9時57分頃にはドルは円相場で一時154円67銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、続いては、国内輸出企業の円買いドル売りも入ったことや、154円台後半では、昨日の日米韓共同声明後に、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) が韓国や米国容認で為替介入がしやすくなったことが意識され、155円台に近づくと為替介入警戒感が高まるため、早期の利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入り始めた。

そこに、今朝の世界ニュース速報が入り、複数の中東メディアと米国ABCニュースなどが、「中東のイラン領内の複数の場所で爆発があり、イスラエル報復によるミサイル攻撃か」と報じたため、中東情勢緊迫化によるリスク回避のリスクオフのムードが急激に一時高まり、日経平均株価が前日比で一時1300円超安の大幅に下落したほか、世界的な安全資産でもある米国10年債買いの影響で利回りが指標の米国長期金利が一時4.50%台にまで急落し、日米金利差縮小時と日本株価下落時の国内第一安全資産の低リスク通貨の円がドルだけでなく他の主要通貨やエキゾチック通貨に対しても買われたため、影響の波及で対ドルの円相場は一時大幅に反発し、ドルは円相場で一時大幅な急落を見せて、午前11時50分頃に対ドル円相場は一時153円59銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、世界ニュースの続報では、イランの核施設などは無事であったことや、イランの高官が「イスラエルからのミサイル攻撃ではなく、爆発音はドローンを撃墜した際に発生したもの」など詳細が明らかになると、中東情勢緊迫化のリスクオフが緩和され、米国長期金利は一時4.60%台に向けて大幅に反発して再び日米金利差が拡大し、低リスク通貨の円は市場高値後の利益確定や持ち高調整でドルに対して売られて、一方で対円のドルもショートカバーなどで買い戻されて反発して下げ幅を戻し、再びドル円は154円台中盤に向かった。

ただし、今日の東京株式市場では日経平均株価が、先ほどの中東情勢緊迫化のリスクオフの一時の前日比1300円超安の超大幅な下落幅はその後の続報のよる緊迫感の緩和のよりやや縮めたものの、今朝までの米国ナズダック総合の一部の米国ハイテク株価下落の影響もあって戻りは鈍く、日本のハイテク株にも売りが入っていた影響もあり、午後15時台に3万7068円35銭の終値をつけて、前日比1011円35銭安の今年最大の下げ幅で大引けしたことでは、日本株価下落時のリスク回避の低リスク通貨の円買いの影響も残った。

午後からの欧州市場の参入では、地政学的リスクに弱い欧州ユーロに対してはドルやスイスフランも安全資産であったが、低リスク通貨の円も買われていたため、対ドルでも円相場は154円台中盤付近で推移した。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は154円47〜48銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の154円26〜27銭付近の前東京終値比で約21銭の円安ドル高になった。

今夜この後の米国市場では、米国ニューヨーク株式市場で主要企業の決算報告シーズンが続くものの、重要度の高い最新米国経済指標の発表予定は特になく、米国債などの債券利回りの影響や、世界情勢のニュースの影響などが注視されている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は164円58~60銭付近と、日本市場の前営業日同時刻にあたる昨日17時の164円73~75銭付近の前東京終値比で約15銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、前述の通り、今朝のリスク回避の大規模な低リスク通貨の円買いの影響があったほか、地政学的リスクに弱い欧州ユーロは、欧米の利下げ予想時期の違いもあって世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルに対しても売られていた影響が円相場にも波及した。

そのため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0653〜1.0655ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0677〜1.0679ドル付近の前東京終値比で約0.24セントのユーロ安ドル高であった。

ただし、今日の午後15時に発表された欧州ユーロ圏の主要国ドイツの最新経済指標の3月の独生産者物価指数 (PPI / Producer Price Index) の前月比は、前回の-0.4%と市場予想の0.1%に対し0.2%とやや市場予想を上回ったことでは、小幅域のユーロ安に留まった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は192円22〜28銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の192円36〜42銭付近の前東京終値比では約14銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、欧州ユーロ同様にリスクオフの際には英国ポンドもドルや円に対して売られやすかったほか、今日の午後15時に発表された最新英国経済指標の3月の英国小売売上高が、前月比は前回の0.0%と前回修正の0.1%と市場予想の0.3%を下振れする0.0%で、前年同月比も前回の-0.4%と前回修正の-0.3%と市場予想の1.0%に対し0.8%で、3月の英国小売売上高の自動車を除くコア指数の前月比は前回の0.2%と前回修正と市場予想の0.3%を下回るマイナス圏の-0.3%に悪化し、前年同月比では前回の-0.5%と前回修正の-0.4%と市場予想の0.9%に対し0.4%と、いずれも市場予想を下回ったことも英国景気懸念による英国ポンド売りに影響を及ぼしていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年4月19日の日本時間(JST)19時46分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時46分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:46の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 154.51 〜 154.52 +0.25 (円安)
ユーロ/円 164.60 〜 164.62 -0.13 (円高)
ユーロ/ドル 1.0651 〜 1.0653 -0.0026 (ドル高)
英ポンド/円 192.17 〜 192.23 -0.19 (円高)
スイスフラン/円 170.06 〜 170.12 +0.40 (円安)
豪ドル/円 99.04 〜 99.08 -0.42 (円高)


注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。