FXニュース:米FOMCとFRB議長発言控え
2024年5月01日東西FXニュース – 2024年5月01日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米雇用コスト指数が上振れ
- 米賃金インフレ圧の根強さ
- 米利下げ見通しに不透明感
- 米長期金利上昇時の金利差
- 日米金利差拡大時の円売り
- 日銀当座預金残高介入8回分
- 欧GDP速報前期比想定以上
- 欧英より強い米インフレ圧
今日2024年5月1日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の157円69銭付近から、円の安値でドルの高値の157円99銭付近の値幅約30銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は157円87〜88銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の156円85〜87銭付近の前東京終値比では約1円2銭の大幅な円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と、時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析は、まず昨夜17時の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場では、昨夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の最新重要経済指標の1〜3月四半期の欧州域内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) 速報値の前期比が前回の0.0%と前回修正の-0.1%と市場予想の0.2%を上回る0.3%に上昇し、前年同期比も前回の0.1%と市場予想の0.2%を上振れする0.4に上昇したことを受けては、発表後に円だけでなくドルなどの主要通貨に対しても欧州ユーロが買われた影響が対ドル円相場に波及していたため、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時156円96銭付近の始値で、昨夜21時14分頃には一時156円84銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、昨夜21時30分に発表された最新米国重要経済指標の1〜3月四半期の米国雇用コスト指数の前期比が、前回の0.9%と市場予想の1.0%を上回る1.2%に上昇し、前期と市場予想を上振れする米国賃金インフレ圧が意識され、最近の景気要因の根強い米国インフレ圧とも相まって、昨夜から始まった二日間の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で、米国の中央銀行制度にあたる米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の金利据え置き予想がすでに優勢であったが、今後の金利見通しが市場で注目されており、米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) 誘導目標レートが高金利のままで長期間維持されるのではないかという市場予想が高まり、年内利下げ回数や開始そのものにも不透明感が出てきたほか、米国インフレ再燃時には追加利上げの可能性を排除できないこともあり、金利先高観から米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が発表前の一時4.62%台から発表後は一時4.67%台に上昇し、円安要因の日米金利差拡大による円売りドル買いが起きたほか、欧州周辺のインフレよりも米国インフレの根強さの方が意識されたため、米欧英の利下げ開始予想時期の違いなどもあって欧州ユーロや英国ポンドなどの他の主要通貨に対してもドルが買われて上昇した影響が対ドル円相場にも波及し、ドルは円相場で発表時の21時30分に一時157円26銭付近に上昇し、157円台に乗せたまま更に157円台中盤付近へと上昇を続けた。
続いて、昨夜22時に発表された2月の米国住宅価格指数の前月比も、前回の-0.1%と市場予想の0.2%を大幅に上回る1.2%に上昇し、同時発表だった2月の米国ケース・シラー住宅価格指数の前年同月比も前回の6.6%と市場予想の6.7%を超える7.3%で、市場予想を上振れする米国住宅インフレの根強さによる米国インフレ圧も改めて意識された。
ただし、昨夜22時45分に発表された4月の米国シカゴ購買部協会景気指数は前回の41.4と市場予想の45.0を下回る37.9に低下し、昨夜23時の4月のコンファレンス・ボードの米国消費者信頼感指数も前回の104.7と前回修正の103.1と市場予想の104.0を下振れする97.0と弱かったことではややドル売りの抵抗も入ったものの、昨夜は4月末決算時期の月末要因があったため、同時進行していた世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場ではサマータイム (Summer Time) は日本時間で深夜頃にあたるロンドン・フィキシング (London Fixing) の値決めに向けて世界的に流動性が高い基軸通貨で主要取引通貨でもあるドル買いのフロー (Flow / 流れ)が起きたことで、ドルは一時抵抗後も円相場で157円台に乗せたまま反発上昇し、157円台中盤から後半に向かった。
米国ニューヨーク債券市場では、前述の米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利の上昇が続き、一時4.69%台に向けたため、日米金利差拡大による円売りドル買いが続き、午前5時45分頃にはドルは円相場で一時157円85銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
今夜この後で日本時間では米国との時差で明日未明の午前3時にあたる米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 終了とその30分後から始まる定例記者会見での米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長のタカ派発言への警戒感などでもドル買いが入っていた一方で、米国ニューヨーク株式市場では米国インフレ再燃警戒による高金利長期化予想が企業決算や株価影響に与える影響への警戒感で、月末の株式ポートフォリオのポジション調整や利益確定に加えた株売りが入り、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が37,815ドル92セントの終値で前日比570.17安の大幅安で終え、米国ナズダック総合 (NASDAQ Composite) も15,657ドル82.2セントの終値で前日比325ドル26.2セント安の大幅安、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500) は5,035ドル69セントの終値で前日比80ドル48セント安と、米国主要株価三指数が揃って下落したことを受けては、米国ニューヨーク債券市場での米国10年債の終値時点での利回りは4.683%で、市場終盤には低リスク通貨の円買いの抵抗も混ざった。
また、前回の東西FXニュースでもお伝えしていた通り、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀当座預金残高の見通しからの推定額では、先日の日本市場が昭和の日の祝日であった4月29日月曜日の為替介入観測はおよそ5.5兆円規模の約350億ドルレベルの予想が優勢で、市場では1日のドル円の取引量は約700億ドル規模の日もあるため、その半分量に近いかなりの大規模が短時間に連続で分割されて投入されたのではないかと推測されたほか、世界一の対外純資産額を持つ日本の外貨準備資金の中でも、円買いドル売りの為替介入に今すぐにでも使える日銀当座預金の推定残高は、同様の為替介入で約8回分はまだ残っているとも市場で話題になり、銃社会の米国では、「日本政府と日銀 (BoJ) の為替介入の実弾は、8発残っている。そして、為替介入のトリガー (Trigger / 引き金) となるのは、一日で数円も動くような急激な価格変動性のボラティリティー (Volatility / 英語:ボラティリティ) であり、日本市場の時間外が特にステルス (覆面) 介入で狙われやすい」などの日本の為替介入への警戒感が燻っていた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の156円84銭付近から、円の安値でドルの高値の157円85銭付近の値幅約1円1銭の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は157円80銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の156円35銭付近と比べて約1円45銭の大幅な円安ドル高をつけていた。
今日はメーデー (May Day) やレイバーデー (Labor Day) などの海外一部の祝日のため、今朝のアジア市場ではシンガポール、香港、韓国、中国市場が休場で、午後からの欧州市場ではドイツ、フランス、ポーランド、スウェーデン、ノルウェー、スイスが一部休場で、世界市場でもブラジル、メキシコ、南アフリカ、トルコが休場あるが、世界三大市場の日本、英国、米国市場と、世界FX市場は今日も平日営業である。
今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は早朝の為替介入警戒感の影響もあり、早朝のニューヨーク終値から少し対ドルの円相場が反発した一時157円75銭付近からの始値で、日本市場での時間外の米国債券取引で安全資産の米国債が安値から買われた影響もあり、今朝の米国長期金利がニューヨーク終値時の一時4.68%台から一時4.67%台に向けて低下したことを受けては、今朝9時2分頃には一時159円69銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、今日の日本の東京株式市場では、今朝までの米国主要株価三指数の下落トレンドを受けて、日経平均株価も大幅下落に向かったことも、世界的な安全資産の米国債買いや、国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いの抵抗に影響を与えていた。
しかし、日本はゴールデンウィークの連休の狭間の平日ではあるものの、今日は5月の月初めで今朝の日本市場の仲値決済に向けては日本企業の輸入実需の円売りドル買い注文が入っていたほか、昨夜の最新米国経済指標を受けた米国インフレ圧による米国市場トレンドが、日本市場や午後から参入の一部開場中の欧州市場と平日営業の英国ロンドン外国為替市場でも再燃し、午前には一時下げた米国長期金利が午後には反発上昇して一時4.69%台に向かったため、日米金利差拡大による円売りドル買いや、日米の金利差が拡大したままの状態が長期間続くという市場予想も優勢で、今夜この後の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の金利据え置き市場予想が優勢さを保つ中で、米国インフレ警戒感により米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の要人発言と今後の米国金利見通しへのイベント前の持ち高調整ではドルが買われる機会が多く、イベントリスクによる様子見や買い控えも混ざったものの欧州ユーロなどに対するドル買いの影響もあり、ドルは円相場で上昇を続け、英国ロンドン外国為替市場参入後の午後16時5〜7分頃の数分間にかけて、一時157円99銭付近で高止まりをしたが、為替介入警戒感が続いていたことや、イベントリスクによる早期の利益確定や持ち高調整と様子見の買い控えの抵抗要因もあったことでは、158円台には上抜けせずに、抵抗によりドルの上値が抑えられた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は157円87〜88銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の156円85〜87銭付近の前東京終値比では約1円2銭の大幅な円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場は、最新米国重要経済指標の発表予定や、米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の米国新政策金利と金融政策発表と米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の要人発言と米国政策金利見通しのビッグイベントの予定があり、日本時間の経済カレンダーのスケジュール予定は、今夜21時15分に最新米国重要経済指標の4月の米国ADP (Automatic Data Processing) 雇用統計、22時45分に4月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index)) 改定値、23時に3月の米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数と重要指標の4月の米国ISM (Institute for Supply Management / 米国サプライマネジメント協会) 製造業景況指数と3月の米国建設支出、23時30分に週間の米国原油在庫、そして27時 (午前3時) に世界が注目の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の米国新政策金利と声明発表イベントと、27時30分 (午前3時30分) 頃から市場への影響力が大きい米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の定例記者会見の大イベントの連続予定があり、イベント時の急激な値動きに関しては、為替介入への警戒感も続いている。
また、米国株式市場では、米国主要企業の決算報告シーズンの影響も続いているなどにも注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は168円34〜36銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の167円80〜81銭付近の前東京終値比で約54銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、前述の通り、昨日に発表された欧州経済指標の中に1~3月期の欧州ユーロ圏の欧州実質域内総生産 (GDP) 速報値と一部の欧州インフレ指標に市場予想を上振れした指標があったことでは欧州長期金利も上昇し、低金利通貨の円に対して欧州ユーロが買われており、昨夜の米国経済指標を受けた米国のインフレ圧の欧州比の強さからドルに対してはその後に欧州ユーロが売られたものの、円相場では円安ユーロ高になっていた。
そのため、ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0660〜1.0662ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0703〜1.0704ドル付近の前東京終値比では約0.43セントのユーロ安ドル高であった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は197円11〜17銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の196円70〜76銭付近の前東京終値比では約41銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、先週に日銀 (BoJ) が緩和的な金融政策を維持したことを受けた日英金利差トレードの影響が続き、また対ドルや対ユーロでの低金利通貨の円売りの影響が波及した。
なお、今日の午後15時に発表された最新英国経済指標の4月の英国ネーションワイド住宅価格の前月比は、前回の−0.2%と市場予想の0.2%に対し−0.4%に鈍化したほか、今夜17時30分に発表された最新英国経済指標の4月の英国製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想の48.7を上回る49.1に上方修正されたものの、好景気と不景気を分ける境界線の景気ボーダーラインの50をやや下回る不景気側であったことでは、景気影響による英国インフレ圧は、欧州同様に米国よほどは強くないのではないかとの市場予想もあり、低金利通貨の円に対しては英国ポンドが買われたものの、ドルに対しては英国ポンドが売られていた時間が観測された。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年5月1日の日本時間(JST)20時3分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の12時3分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 20:03の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 157.87 〜 157.88 | +1.02 (円安) |
ユーロ/円 | 168.44 〜 168.46 | +0.64 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0667 〜 1.0669 | -0.0036 (ドル高) |
英ポンド/円 | 197.02 〜 197.08 | +0.32 (円安) |
スイスフラン/円 | 171.46 〜 171.52 | -0.28 (円高) |
豪ドル/円 | 102.28 〜 102.32 | -0.11 (円高) |
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