FXニュース:米金利維持後に為替介入か

2024年5月02日
FXニュース:米金利維持後に為替介入か

 

東西FXニュース – 2024年5月02日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米重要経済指標は強弱混合
  • 米政策金利5.25〜5.5%維持
  • 米FOMCが高金利長期化示唆
  • 米FRB議長はタカ派発言なし
  • 米国債の量的引き締めを減速
  • 米国債利回り低下と介入観測
  • 円相場一時153円付近に急伸
  • 為替介入の実弾残り約7発か

今日2024年5月2日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の156円29銭付近から、円の高値でドルの安値の155円16銭付近の値幅約1円13銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は155円48〜49銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の157円87〜88銭付近の前東京終値比では約2円39銭の大幅な円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と、時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析は、まず昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場は、欧州市場のドイツやフランスなどの一部の国が現地の労働者の日の祝日休場であったことに加えて、米国市場で午前3時に予定されていた米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) とその半時間後の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の記者会見での要人発言の大イベントを控えた様子見などで小動きの推移を続けたため、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は、昨夕17時の東京終値とほぼ同レベルの一時157円88銭付近の始値であった。

昨夜の米国ニューヨーク外国為替市場では、最新米国重要経済指標の発表が相次ぎ、昨夜21時15分に発表された4月の米国ADP (Automatic Data Processing) 雇用統計の前月比が、前回の18.4万人が前回20.8万人に上方修正されたほか、市場予想の17.5万人を上回る19.2万人に市場予想を上振れしたことでは、米国の賃金インフレ圧が意識され、ドルが円や主要通貨に対して買われて上昇し、昨夜21時21分頃にドルは円相場で一時157円92銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

続いて、昨夜22時45分に発表された4月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) の改定値も、前回と市場予想の49.9を上回る50.0に上方修正され、不景気と好景気を分ける境界線の50に改善したことは好感されたものの、同時進行だった米国ニューヨーク債券市場では、米国新政策金利発表イベント前のイベントリスクによる安全資産の米国債買いの影響で、米国債券価格上昇に伴う利回りの低下の影響があり、先行の英国ロンドン外国市場では昨夜19時5分頃には一時4.698%付近に上昇後の米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が、昨夜22時25分頃には一時4.644%付近に低下していたため、市場高値後のドルの早期の利益確定売りと、日米金利差縮小時の低リスク通貨のドル売り円買いの持ち高調整の方が優勢になっていた。

また、昨夜23時に発表された最新米国重要経済指標の4月の米国ISM (Institute for Supply Management / 米国サプライマネジメント協会) 製造業景況指数は、前回の50.3と市場予想の50.0を下回る49.2で、同時発表だった3月の米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数も前回の875.6万件は前回881.3万件に上方修正されたものの、前月比は市場予想の868.6万件を下振れする848.8万件に減少し、同じく発表された3月の米国建設支出も前回の-0.3%と前回上方修正の0.0%と市場予想の0.3%に対し-0.2%と市場予想以下であったことでは、昨夜23時5分頃にはドルは円相場で一時157円38銭付近に売られていた。

ただし、昨夜23時30分の週間の米国原油在庫は、前回マイナス圏だった-636.8万バレルと市場予想の-240.0万バレルを大幅に上回るプラス圏の726.5万バレルに上昇するなど、中東情勢への警戒感が今でも燻る中で、原油在庫懸念がやや緩和されたことでは、米国長期金利が一時4.66%台に反発していた影響もあり、ドルの買い戻しも混ざっていた。

午前3時には、米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 終了後の米国新政策金利と声明文の発表があり、市場予想通りに米国政策金利のフェデラルファンド (FF / Federal Funds) 誘導目標レートを現状据え置きの5.25〜5.50%のままで維持することを発表し、「米国のインフレ率はこの1年で緩和したものの、依然として高止まりをしている。ここ数カ月間には、委員会の2%のインフレ目標に向けての更なる進展は見られなかった。米国連邦公開市場委員会 (FOMC) は、雇用の最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目指す」とし、「委員会は、米国のインフレ率が持続的に目標の2%に向かっているとの確信が更に強まるまでは、目標誘導レンジの引き下げが適切になるとは予想していない」と、米国利下げ時期の見通しがまだであることや、米国政策金利の据え置きによる米国高金利の長期化の可能性も示唆していたことでは、発表時に瞬時157円75銭付近のドルが円相場で上昇した。

ただし、「委員会は6月以降、米国債の毎月の償還上限を600億ドルから250億ドルへ引き下げることで、保有証券の減少ペースを鈍化させる」と米国債の保有額を圧縮する量的金融引き締め政策 (QT / Quantitative Tightening) のペースを減速する発表があり、市場予想の300億ドル規模よりも更に減速する上限250億規模であったことからは、米国債の価格が一時高騰し、発表前には一時4.67%台に上昇していた米国債の利回りが指標となる米国長期金利が発表後に急落を始めたため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りで対ドル円相場が反発し、午前3時30分頃に米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の記者会見が始まる頃のドル円は一時157円35銭付近になっていた。

午前3時30分頃からライブ中継で始まった米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の要人発言では、「米国のインフレは、依然として高すぎる」ことや「米国利下げのための確信を得るには、想定よりも時間かかる見通し」と高金利長期化を示唆した冒頭の発言では、午前3時35分頃にドルは円相場で一時157円58銭付近に買われたが、市場で警戒されていたタカ派の追加利上げの可能性についての質問には、状況によっては可能性を排除はしないものの、「次の行動が、米国の追加利上げになる可能性は低い」とむしろハト派寄りの発言があったことでは、市場でこれまでにタカ派発言への警戒感から買われていたドルが売られたほか、米国債保有残高圧縮ペースの減速に再び触れたことでは、米国債価格が更に一時高騰し、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が急落を続け、午前3時45分頃には、米国長期金利が一時4.591%付近にまで大幅に急落したため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りで、午前3時52分頃にはドルは円相場で一時157円0銭付近になった。

会見までのイベント終了後には、イベントリスクによるドルの様子見の買い控えの減少により、ドルは円相場で反発を始めて上昇トレンドになり、午前5時8〜9分頃には一時157円59付近に達していたが、この直後から日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の為替介入と観測される大規模な円買いドル売りのフロー (Flow / 流れ) が起き始めて、対ドルの円相場が大幅に急伸し、他の主要通貨にも影響が波及し、ストップロス (SL / Stop Loss) や米国市場終盤の利益確定や持ち高調整なども巻き込んで円相場が高騰していき、対ドルの円相場は、午前5時49分頃に一時153円0銭付近 (152.997) の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

米国市場では前日にも、先月29日の為替介入観測後の日銀当座預金残高の見通しからの推定で、日本が為替介入にすぐに使える実弾は前日までの時点でも残り8発分はあることが話題になり、今回の介入観測でもまだ残り7発分の即戦力があることに加えて、世界一の対外純資産額の多くをドルで保有する日本には日銀当座預金以外の為替介入への追加資金があることなども推測されており、市場では為替介入への警戒感が続いたが、この日には米国連邦公開市場委員会 (FOMC) のイベント後でイベントリスクの警戒感がやや和らいだドル上昇トレンドを、再び「ノーコメント」の追撃のステルス (覆面) 介入で叩き落とす様な形になっており、市場安値後のドルにはイベント後の買い戻しも引き続き入り始めたものの、為替介入警戒感や市場終盤で利益確定や持ち高調整もあったことから、反発幅は限られた。

また、米国ニューヨーク株式市場でも、米国主要株価三指数のうち、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) は米国長期金利低下などを受けて前日比で上昇して終値をつけていたものの、今夜この後の翌米国市場の株引け後に決算報告イベントが予定されている米国主要企業のアップル (APPL / Apple, Inc.) などを含めた米国ナズダック総合 (NASDAQ Composite) は前日比で小幅安になり、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500) も前日比小幅安と、三指数中の二指数が下落したことでも、低リスク通貨の円買いが混在していた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の157円92銭付近から、円の高値でドルの安値の153円0銭付近の値幅約4円92銭の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は154円57銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の157円80銭付近と比べて約3円23銭の大幅な円高ドル安に転じていた。

今朝8時50分には、3月18〜19日開催分の日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合議事要旨が公開され、先日の金利正常化の後には、当面の間、緩和的な金融政策が続くことが、米国の高金利維持と長期化の可能性に加えて、世界市場では改めて意識されていた。

今朝のアジア・オセアニア市場では、中国が連休である以外は市場参加国が昨日よりも増えており、昨日の祝日休場明けの早朝には、為替介入への警戒感が続く中でも、米ドルのイベント後のイベントリスク緩和によるドル買いが入ったため、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時155円73銭付近の始値であった。

今日はゴールデンウィークの大型連休の谷間ではあるが、日本企業の営業日のビジネスアワーの日本市場時間には、日本企業の取引への影響から日本政府と日銀 (BoJ) の為替介入の警戒感が一時やや緩和され、今朝9時55分の仲値決済では、日本の貿易企業の輸入実需の円売りドル買いが入ったほか、円高時に有利に準備しておくための追加注文などが入ってドルが円相場で上昇を続け、今朝10時33分頃にドルは円相場で一時156円29銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、今日の東京株式市場では、日経平均株価が円高時には海外投資家達の利益確定売りが入りやすいこともあって下落しており、日本の株価低下時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で買われやすい国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いがあり円相場が反発し、日経平均株価は今日の午後15時台には3万8,236円7銭の終値をつけ、前営業日比37円98銭安の小幅安のままで大引けしたことでも、午後からの欧州英国市場参入に向けた外市場をターゲットとした為替介入への警戒感も相まって、低リスク通貨の円買いや、日本の大型連休を控えた利益確定や持ち高調整の円の買い戻しが入り、午後15時16分頃に対ドル円相場は一時155円16銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

また、日本市場の時間外米国債取引でも、今朝は一時4.64%台に上昇していた米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が、夕方には一時4.59%台にまで一時低下したことも、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りに影響を与えていた。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円48〜49銭付近で、日本市場の前営業日同時刻にあたる昨夜17時の157円87〜88銭付近の前東京終値比では約2円39銭の大幅な円高ドル安になった。

今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定が続き、日本時間の経済カレンダーのスケジュール予定は、今夜20時30分に4月の米国チャレンジャー人員削減数、21時30分に前週分の米国失業保険継続受給者数と米国新規失業保険申請件数、1〜3月四半期の米国単位労働コストと同四半期の米国非農業部門労働生産性の速報値、 3月の米国貿易収支が同時発表され、続いて今夜23時には3月の米国製造業新規受注と、米国株式市場の株引け後に米国アップル (APPL / Apple) 社の決算報告予定などを控えている。

また、米国連邦公開市場委員会 (FOMC) のイベント後にあたるため、今夜からはブラックアウト期間明けの米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達の発言の機会も予定される。

一方、欧州ユーロも、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は166円60〜62銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の168円34〜36銭付近の前東京終値比で約1円74銭の大幅な円高ユーロ安であった。

主な要因は、前述の今朝早朝のニューヨーク市場終盤の円買いドル売りの為替介入観測時に、円相場が対象のドルだけでなく、影響の波及で欧州ユーロや英国ポンドなどの他の主要通貨に対しても大幅に急伸した影響が残った。

その対円でのドルの下落圧や米国長期金利低下時の影響もあり、今日のユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0714〜1.0715ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0660〜1.0662ドル付近の前東京終値比では、約0.54セントのユーロ高ドル安になっていた。

また、他の要因として、今日の午後16時50分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の4月の仏製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想の44.9を上回る45.3に上方修正されたほか、続いて午後16時55分に発表されたドイツの4月の独製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も前回と市場予想の42.2を上回る42.5で、今夜17時に発表された欧州ユーロ圏総合の4月の欧州製造業購買担当者景気指数 (PMI) 改定値も前回と市場予想の45.6をやや上回る45.7に上方修正されたことも、好景気と不景気の境界線の50には届かなかったものの、一部で祝日明けの欧州市場での欧州景気懸念をやや緩和していた。

今日は英国ポンドも、欧州ユーロ同様に、円相場で為替介入観測影響の波及で下げており、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は194円76〜82銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の197円11〜17銭付近の前東京終値比では約2円35銭の大幅な円高ポンド安であった。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年5月2日の日本時間(JST)19時51分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時51分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:51の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 155.12 〜 155.13 -2.75 (円高)
ユーロ/円 166.08 〜 166.09 -2.26 (円高)
ユーロ/ドル 1.0704 〜 1.0706 +0.0044 (ドル安)
英ポンド/円 194.14 〜 194.20 -2.97 (円高)
スイスフラン/円 170.17 〜 170.23 -1.21 (円高)
豪ドル/円 101.22 〜 101.26 -1.05 (円高)


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