FXニュース:ドル円一時160円台で介入か

2024年4月29日
FXニュース:ドル円一時160円台で介入か

 

東西FXニュース – 2024年4月29日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米PCE物価指数前年比上振れ
  • 米インフレ高金利長期化予想
  • 日銀総裁円安物価影響限定的
  • 米主要株価三指数は反発上昇
  • 日連休で円需要と流動性低下
  • 主要通貨に歴史的円安進行後
  • 日本休場で為替介入の可能性
  • 明日と明後日の米FOMC控え

今日2024年4月29日月曜日の日本の東京外国為替市場は「昭和の日」の祝日休場ですが、世界FX市場は平日営業のため日本市場相当時間の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の160円21銭付近から、円の高値でドルの安値の154円51銭付近の値幅約5円70銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値相当時間は155円54〜57銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の156円42〜45銭付近の前東京終値比で約88銭の円高ドル安であった。

今日の日本市場相当時間の世界FX市場では、対ドル円相場は一時160円台の1990年以来のおよそ34年ぶりの今年最大の円安ドル高を記録したほか、1999年に欧州ユーロが制定されて以来の史上最大レベルの一時171円台の円安ユーロ高も記録し、英国ポンドの円相場も一時200円台に乗るなど、ドルだけでなく他の主要通貨に対する歴史的な円安を再び更新したが、日本市場休場中のため日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の為替介入の可能性が世界市場で警戒される円相場の大幅反発と一時急伸時の影響があり、日本市場の終値相当時間には、前東京終値比で小幅域の円高ドル安になっていた。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、先週金曜日に日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合が、「当面は緩和的な金融政策を継続」することを決定し、植田和男日銀総裁も「基調的な物価上昇率に、円安が今のところ大きな影響を与えているということではない」とハト派発言をしたことが市場で話題になり日銀の追加利上げ予想が後退したため、金利差予想によりドルや主要通貨に対する円安が進行したが、昨年の秋には日銀イベント後の日本市場時間外の欧米市場で円安が大幅に進行した時に日本政府と日銀の為替介入が実施された経緯上、為替介入警戒が一時急速に高まり、先週金曜日の夜の日本市場終了直後の17時2分頃の英国ロンドン外国為替市場では対ドルの円相場は一時154円97銭付近に一時大幅に反発したが、その時は為替介入ではない様な値動きであったためにすぐにドルの買い戻しが進み、英国市場の後半にあたる先週金曜日の夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時156円82銭付近の始値であった。

先週金曜日の米国ニューヨーク外国為替市場では、米国の中央銀行制度にあたる米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国の政策金利や金融政策を決定する米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) を今週の4月30日〜5月1日に控え、同委員会で米国インフレ指標として重視されている最新米国重要経済指標の3月の米国個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) 物価指数の米国PCEデフレーターと米国PCEコア・デフレーターなどの発表のイベントを控えたイベントリスクの持ち高調整では、先週金曜日の夜21時30分頃にドルは円相場で一時156円62銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、先週金曜日の夜21時30分頃に発表された最新米国重要インフレ指標の3月の米国個人消費支出 (PCE) 物価指標のPCEデフレーターの前年同月比は、前回の2.5%と市場予想の2.6%を上回る2.7%に上昇して市場予想を上振れし、前月比でも市場予想の0.6%に対し前回と同じ0.8%で高止まりをしたほか、天候条件などで価格変動が激しい食品とエネルギー除き物価基調を見るPCEコア・デフレーターの前年同月比も市場予想の2.7%を上振れした前回と横ばいの2.8%の高止まりで、前月比は前回と市場予想一致の0.3%で、3月の米国個人消費支出 (PCE) の前月比も市場予想の0.6%を上回り前回同様の0.8%の高止まりを見せており、同時発表の3月の個人所得の前月比も前回よりも上昇した市場予想通りの0.5%で、米国重要物価指標の市場予想上振れと個人所得の増加によるインフレ圧による根強い米国インフレと再燃への警戒により、米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) が高金利で長期化する可能性や、年内の米国利下げが難しくなる可能性が指摘され、インフレが再燃した場合には米国追加利上げの可能性も排除できないことなどから日米の金利差が意識され、ドルは円相場で上昇した。

ただし、先週金曜日の夜23時に発表された4月の米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値は、前回と市場予想の77.9をやや下回る77.2に下方修正されたことを受けては、安値圏からの安全資産の米国債買いの影響があり、米国ニューヨーク債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.65%台に低下したことがこの時間には対ドル円相場の抵抗になっていた。

しかし、米国ニューヨーク株式市場では、米国主要企業の決算報告シーズン中に市場予想を超える好決算が出ていた影響などから、米国主要株価三指数が上昇したことを受けたリスク選考のリスクオン (Risk-on) で、安全資産の米国債売りで米国長期金利が一時4.67%台後半に反発上昇した日米金利差拡大もあり、低金利かつ低リスク通貨の円が売られて対ドルの円相場が下落し、ドル円は157円台に乗せて更に上昇を続けた。

米国ニューヨーク外国為替市場よりも早く終了する米国ニューヨーク株式市場が、週末を控えた利益確定や持ち高調整の後にも、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が前日比153ドル86セント高の大幅高、S&P500種 (Standard and Poor’s 500) も前日比51ドル54セント高、ナスダック総合 (NASDAQ Composite) も前日比316ドル14セント高の大幅高と、三指数揃った全面高で大引けすると、低リスク通貨の円売りの勢いが増し、先週土曜日の朝5時36分頃にドルは円相場で一時158円44銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録し、この時点での1990年5月以来の今年最大の円安ドル高の記録を再び更新していた。

米国ニューヨーク債券市場の終値時点では、米国長期金利は4.666%付近にやや低下したため、市場高値後のドルには利益確定売りの抵抗も入ったものの、先週金曜日の夜から土曜日の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の156円62銭付近から、円の安値でドルの高値の158円44銭付近の値幅約1円82銭で、先週土曜日の朝6時頃のニューヨーク終値は158円33銭付近で、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の155円65銭付近と比べて約2円68銭の円安ドル高をつけて週末を迎えていた。

週が明けた今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、今年最大の円安ドル高が進んだことで、利益確定や為替介入警戒のドル売りの持ち高調整のオーダーが先行し、窓開きの一時157円87銭付近の今週の始値であったが、日米金利差拡大予想のドル買いの勢いも続いていたことからドルは円相場で上昇し、今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場は国民の休日の「昭和の日」の祝日で先週末からゴールデンウィーク始めの連休で休場中であったが、今朝9時頃にはドルは円相場で一時158円20銭付近の買い戻し進行中の始値となった。

英国や米国と並ぶ世界三大市場の日本市場の休場による円需要や市場流動性低下の影響で、少しの値動きでも大きく増幅されて出やすくなる荒い値動きになっていた日本市場相当時間の今朝10時35分頃には更に大幅な円安ドル高が進行し、ドルは円相場で一時160円20〜21銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録して、1990年以来の円安ドル高の記録を続伸した。

また、対ドルだけでなく、クロス円にも大幅に増幅された円安の影響が波及しており、ユーロ円は1999年の欧州ユーロ制定以来の一時171円56銭付近の史上最高レベルの円安ユーロ高を記録し、英国ポンド円も2008年のリーマンショック以前の様な200円台の円安ポンド高を記録するなど、主要通貨に対する価格変動性のボラティリティ (Volatility) の大きな大幅な円安が一時進行し、一時は円暴落への警戒感も高まった。

歴史的な円安後の利益確定や持ち高調整の抵抗も入ったものの、直後には159円台に留まり、横ばいに近い高止まりの様な値動きをしばらく見せて数時間が経過したが、先日に米国のジャネット・イエレン財務長官が、為替介入の前には連絡があることが望ましいと言っていたことを思いいこさせる様な十分な連絡時間を経て、160円台を一時記録後から数時間経過後の昼の13時4分頃の一時159円59銭付近から、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) の祝日の日本市場時間外を狙った為替介入の可能性が指摘される大規模な円買いフローが観測され始め、14時台に日本政府の神田眞人財務官が為替介入について、「今は、ノーコメント」と発言したことではドルの買い戻しもやや混ざったものの、「今」ではないが5月31日の19時には日本政府の財務省が公式に外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)を発表する予定があったため、為替介入警戒感も続き、対ドルの円相場が一時大幅に急伸したほか、影響の波及で主要通貨に対するクロス円でも円相場が大幅に反発上昇し、午後16時36分に対ドル円相場は一時154円51銭付近の今日の日本市場相当時間の円の高値でドルの安値を記録した。

なお、日本の一部金融機関では、ゴールデンウィークの日本企業の連休中にも、日本政府と日銀 (BoJ) の為替介入警戒による休日出勤が朝から話題になっていた。

夕方の欧州英国市場では、今週の明日から始まる4月30日〜5月1日開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) とその後の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の要人発言予定などのビッグイベントを控え、米国利下げ時期の先送り予想も高まっていたこともあり、円相場でのドルの買い戻しでドル円は155円台後半に向かったものの、日本政府と日銀の欧米市場を狙った為替介入への警戒感はドルの上値を抑えていた。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値相当時間は155円54〜57銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の156円42〜45銭付近の前東京終値比では約88銭の円高ドル安になっていた。

今夜この後の米国市場は平日であるが、明日からの米国連邦公開市場委員会 (FOMC) を控えて米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達は発言自粛のブラックアウト期間 (Blackout period) に入っており要人発言予定はないものの、米国株式市場では米国主要企業の決算報告シーズンの影響が続いているほか、日本時間の経済指標カレンダーでは今夜23時30分頃に最新米国経済指標の4月の米国ダラス連銀製造業活動指数の発表予定がある。

また、同じく平日営業の欧州市場では、今夜21時に欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新重要経済指標の4月の独消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の速報値などが発表される予定があり、日本のゴールデンウィーク中も世界FX 市場は動いている。

一方、欧州ユーロも、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値相当時間には166円66~70銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の167円86~87銭付近の前東京終値比では約1円20銭の大幅な円高ユーロ安に転じた。

主な要因は、今日は1999年の欧州ユーロ史上でも最大規模の歴史的な一時171円56銭付近の円安ユーロ高が進行後に、昼下がりからの為替介入の可能性のある大規模な円買いフローでドルだけでなく、欧州ユーロや英国ポンドなどのクロス円でも円相場は大幅に反発上昇した。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間は1.0716〜1.0718ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.0729〜1.0731ドル付近の前東京終値比では約0.13セントのユーロ安ドル高であった。

主な要因は、先週末の最新米国インフレ指標を受けて、米国利下げ時期が後退し、欧州ユーロの利下げ時期の方が早期になる市場予想が影響を及ぼしたほか、今日の午後の欧州市場ではユーロ圏のスペインで政治汚職問題を受けたサンチェス首相が辞任表明の意向であるとの報道を受けたユーロ売りも入ったが、夕方には、サンチェス首相は辞任しないと表明しており、欧州ユーロ圏の国の政治不信感も欧州ユーロの上値を抑えていた。

今夜18時に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標の4月の欧州消費者信頼感の確定値は前回と市場予想通りの-14.7であったが、同時発表の4月の欧州経済信頼感は前回の96.3と前回下方修正の96.2と市場予想の96.7を下回る95.6に低下し、欧州景気懸念も燻っている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値相当時間は195円2〜8銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の195円88〜94銭付近の前東京終値比では約86銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、先週に日銀が緩和的な金融政策と低金利を維持したことを受けた日英金利差トレードの低金利の円売りとリスクオンの低リスク通貨の円売りの影響もあり、ドルや欧州ユーロなどと同様に、今朝10時35分頃には英国ポンドは円相場で一時200円51〜52銭付近の2008年のリーマンショックや英国リセッション前の様な今年最大の円安ポンド高を記録したが、その後の昼下がりと午後には日本政府と日銀 (BoJ) の為替介入の可能性のある大規模な円買いフローでは、円高ポンド安に転じていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年4月29日の日本時間(JST)19時56分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時56分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:56の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 155.88 〜 155.89 -0.54 (円高)
ユーロ/円 167.00 〜 167.05 -0.86 (円高)
ユーロ/ドル 1.0717 〜 1.0719 -0.0012 (ドル高)
英ポンド/円 195.32 〜 195.38 -0.56 (円高)
スイスフラン/円 170.97 〜 171.03 -0.81 (円高)
豪ドル/円 102.31 〜 102.35 -0.17 (円高)


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