FXニュース:日米金利差で今年の円安記録更新

2023年2月28日
FXニュース:日米金利差で今年の円安記録更新

 

東西FXニュース – 2023年02月28日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利に連動しやすいドル円
  • 米国耐久財受注は市場予想以下に
  • 欧米株高時リスクオンと利益確定
  • 英国と欧州が新通商ルールで合意
  • 仏消費者物価指数が市場予想以上

今日2023年2月28日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値136円81銭前後から高値136円11銭前後の値幅約70銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は136円74~75銭付近で、前営業日17時の前東京終値比で約57銭の円安ドル高であった。

その後の今夜17時台の英国ロンドン外国為替市場では、ドル円は一時136円84~85銭付近に上昇し、昨年の12月20日以来の今年これまでの円安ドル高の記録を更新した。

今日の為替相場の値動きの主な要因はやはり、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大によるものが大きい。金利抑制の大規模緩和金融政策を継続予想の日本銀行 (日銀 / BoJ) と、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国インフレ抑制のための米国政策金利の利上げ長期化予想の日米の金融政策の方向性の違いも意識されていた。

ただし、時間に沿った市場トレンドの動きでは、ドル高への抵抗要因がある時間もあった。まず、昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、英国と欧州連合 (EU) の陸続きの関税境界線が国内にある北アイルランドでの物流規則問題を巡って英国のブレグジット (EU離脱) 後の欧州との対立が続いていた件について、問題解決を目指すべく新通商ルールの「ウィンザー枠組み (Windsor Framework) 」が英国と欧州の双方で合意されたことが欧州英国市場で好感され、英国や欧州の株価が上昇してリスクオンになり、英国ポンドや欧州ユーロが買われて上昇し、安全資産のドルや低リスク通貨の円が売られて下げていた。

欧州英国市場の後半から始まった米国ニューヨーク外国為替市場でも、昨夜22時半に発表された最新米国経済指標の1月の米国耐久財受注の前月比が、前回の5.6%と前回修正の5.1%と市場予想の-3.9%を下回る-4.5%に低下しており、米利上げ抵抗の景気懸念の一因ともなり得ることで、それまでに上昇していた米長期金利が一時低下に転じたことで、ドルの利益確定売りや月末前の持ち高調整があり、ドル高への一時抵抗が入った。

米10年債利回りが指標となる米長期金利はこれまでに一時3.97%付近の高利回りを記録した後に、一時3.89%付近に低下したため、ドルの136円台の高値圏からの利益確定売りで、ドル円は一時135円92銭付近を記録した。

ただし、同時発表の輸送用機器を除いた1月の米国耐久財受注の前月比では、前回の-0.2%と前回修正の-0.4%と市場予想の0.1%に対して0.7%の市場予想以上であったことでは、深刻な米利上げ抵抗の景気懸念とは受け止められず、昨日の日本市場で一時136円55銭付近の円安ドル高を記録した後の高値感のあったドルの利益確定売りの動きが主となり、ドル円は米10年債の利回りが指標となる米長期金利の上下に連動しやすい値動きになる一方で、安値でのドルの買い戻しも混ざり、すぐにドルは136円台に回復した。

深夜に発表された1月の米国中古住宅販売成約指数も前月比で大きく上昇し、2020年6月以来の上昇率となったことでは、米国利上げ抵抗要因の景気懸念もやや緩和された。

しかし、同時進行の米国ニューヨーク株式市場では、前述の英国と欧州の株価上昇の影響もあって、先週末に米国金利上昇警戒で米株安をつけた後の米株価が三指数共に上昇回復してきたことでは、リスクオンで安全資産のドルや低リスク通貨の円が売られていた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の値動きは円の高値135円92銭前後から安値136円35銭前後の値幅約43銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値は136円19~20銭付近で、前営業日同時刻比で約29銭の小幅な円高ドル安のドル高への一時抵抗が入っていた。

その後に今朝9時から始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、早朝には高値圏のドルの利益確定売りの抵抗も入り、10時過ぎに今日の日本市場での円の高値でドルの安値の高値の一時136円11銭付近を記録した。

しかし、今朝10時頃からは、昨日の日本銀行 (日銀/ BoJ) の新総裁候補の植田和男氏の参院所信聴取と質疑での発言に続いて日銀の新副総裁候補の内田真一日銀理事と氷見野良三前金融庁長官が参院での所信聴取と質疑で発言し、日銀新総裁候補の植田和男氏と同様に、「現在の大規模緩和の金融政策が適切」と賛同したことから、日銀新メンバーによる早期の大規模緩和金融政策の修正期待が減退し、金利抑制の日銀と利上げ方向の欧米との金融政策の違いから、日米金利差拡大予想による円売りドル買いが再び優勢になり、円相場が下落して、ドルが再上昇を始めた。

午後からの欧州英国市場の参入では、今日の夕方16時台に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標を受けて欧州長期金利が上昇した影響で、米国長期金利も再び3.95%台付近に向けて上昇したことで、日米金利差拡大による円売りドル買いの勢いが増した。

フランスの2月の仏消費者物価指数 (CPI) の速報値は、前年同月比が前回の6.0%と市場予想の6.1%を上回る6.2%に上昇し、欧州中央銀行 (ECB) の大幅利上げ予想が強まり、欧州長期金利が上昇していた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は136円74~75銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約57銭の円安ドル高になった。

また、17時台の英国ロンドン外国為替市場では、ドル円は一時136円84~85銭付近の2022年12月20日以来の今年これまでの円安ドル高の記録を更新し、19時台になっても136円台後半付近で高止まりをして推移している。

今夜この後にも最新米国経済指標などの発表予定があり、日本時間でのスケジュールは22時半に1月の米国卸売在庫、23時に10~12月四半期の米国住宅価格指数と12月の米国住宅価格指数と、12月の米国ケース・シラー住宅価格指数、23時45分に2月の米国シカゴ購買部協会景気指数、24時に2月の米国リッチモンド連銀製造業指数と2月の米国消費者信頼感指数、28時半からは次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) でも投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国シカゴ連銀グールズビー総裁の発言予定などがFXトレーディングの値動き予想材料として注目されている。

また、この後の米国市場では、月末を控えた持ち高調整や株式市場からのリスクオンやリスクオフなどの影響などにも注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は144円94~96銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1円32銭の大幅な円安ユーロ高であった。

欧州大幅利上げ継続予想により、金利抑制の日銀と利上げ予想の欧州中央銀行 (ECB) との金融政策の違いも意識され、日欧金利差拡大予想による円売りユーロ買いが優勢だった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0599~1.0601ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.52セントのユーロ高ドル安であった。

欧州利上げ継続予想により欧州長期金利が上昇したが、米金利もつられて上昇したため、円相場と比べると比較的小幅なユーロ高ではあったものの、欧米金利差縮小時のユーロ買いドル売りの影響があった。

また、先述の欧州と英国の通商問題解決への市場好感時のユーロ上昇の影響や、昨夜の欧米の主要株価指数上昇時のリスクオン市場でもユーロが買われて、高値のドルの利益確定売りや安全資産のドル売りの持ち高調整が進んだ時のユーロの一時高値の影響も残っていた。

しかし、今夜の欧州英国市場では、高値圏になったユーロやポンドの利益確定売りのドル買いの抵抗もあったために、大幅なユーロ高ドル安にはなっていなかった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は164円58~64銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約35銭の円安ポンド高であった。

前述の昨夜の英国と欧州連合 (EU) の北アイルランドの新通商ツールのウィンザー枠組み (ウィンザー・フレームワーク) を受け、英ポンドが買われて上昇した影響等が見られた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年2月28日の日本時間(JST)20時21分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時21分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:21の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 136.69 〜 136.70 +0.52 (円安)
ユーロ/円 145.09 〜 145.11 +1.47 (円安)
ユーロ/ドル 1.0613 〜 1.0615 +0.0066 (ドル安)
英ポンド/円 165.32 〜 165.38 +1.09 (円安)
スイスフラン/円 145.65 〜 145.71 +0.11 (円安)
豪ドル/円 92.01 〜 92.05 +0.25 (円安)


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