FXニュース:米FOMC議事要旨で利上げ継続予想

2023年2月23日
FXニュース:米FOMC議事要旨で利上げ継続予想

 

東西FXニュース – 2023年02月23日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日本市場が祝日休場中の世界市場の動き
  • ドルの利益確定売りと持ち高調整の抵抗
  • 米株安時の国債と低リスク通貨の円買いも
  • 明日に日銀新総裁候補の発言予定を控え
  • 仏中銀ビルロワドガロー総裁の再発言

今日2023年2月23日木曜日の日本の東京外国為替市場は天皇誕生日の祝日休場であるが、日本市場相当時間の9時から17時までの世界市場での対ドル円相場の為替レートは、円の安値134円96銭前後から高値134円70銭前後の値幅約26銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値相当時間は134円84~85銭付近で、昨夜17時の134円68~69銭付近の前東京終値と比較すると、約16銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きに影響を与えた主な要因は、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場時間に発表された1月31日~2月1日に開催分の前回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨の内容で、大多数が0.25%の利上げ決定に賛成した傍らで、少数は0.5%の大幅利上げを主張していたことが明らかになり、また米国のインフレ率が目標の2%を大きく上回っている現状や堅調な米国労働市場や経済指標などにより、「継続的な利上げが適切」との意見で一致していたことなどから、米利上げ継続予想が優勢であった。

時間に沿った市場トレンドの動きでは、まず昨夜の日本市場が終わった後の英国ロンドン外国為替市場の後半から始まった米国ニューヨーク外国為替市場では、開場時には前日にドル円が一時135円23銭付近の昨年12月以来の約2カ月ぶりの円安ドル高を記録した後であったため、高値のドルの利益確定売りの持ち高調整や、米株安時の安全資産の米国債買いやドルから買える低リスク通貨の円買いのリスク回避の抵抗の影響があり、米国債の利回りが指標となる米長期金利が上昇後に一時低下したことをきっかけに、開場時には円買いドル売りが入りやすくなって円相場が上昇し、134円台前半から中盤付近に反発していた。

その一因には、昨夜21時に発表された最新米国経済指標のMBA住宅ローン申請指数が、金利上昇後の影響もあり、前週の-7.7%から-13.3%に低下していたことも影響していた。

しかし、より重要度が高いその後の28時の米国連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨待ちの間に、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官のセントルイス連銀のブラード総裁がCNBCのインタビューで、米国政策金利を5%以上に引き上げる必要があるとの考えを再表明し、5.375%の予想について言及したことから、ドルの買い戻しも入り始めた。

そして、昨夜28時 (日本時間の今朝未明4時) に公表された重要度高い前述の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨と議事録の内容を受けて、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米利上げ継続予想により、一時の高値記録後の利益確定売りや持ち高調整やイベントリスクによる買い控えなどで下げていたドルが再び買われ始めた。

ただし、以前の2月17日の東西FXニュースでもお伝えした通り、米国セントルイス連銀のブラード総裁などの一部の米FRB高官らが既に前回の米FOMCで0.5%の大幅利上げを主張したことを公言しており、また次回の大幅利上げも否定しておらず、米国クリーブランド連銀のメスター総裁も前回の利上げも0.5%でも説得力があったと以前に発言し、すでに市場予想による値動きに影響を与えた後であったために、今回の議事録はややタカ派寄りではあるものの、市場予想の範囲内であると受け止められたことでは、今回は135円台手前の134円98〜99銭付近のドル買いに留まり、高値のドルの利益確定売りや株安時の低リスク通貨の円の安値買いの抵抗も交えていた。

また、翌日の米国市場では最新の米国経済指標の発表イベント予定があり、米国GDP改定値やPCEデフレーターなどの発表を控えたイベント前のドルの持ち高調整や買い控えの影響なども同市場での円安ドル高の抵抗要素になっていた。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は円の高値134円41銭前後から安値134円99銭前後の値幅約58銭で、今朝7時頃の冬時間の米国ニューヨーク終値を134円85~95銭付近でつけており、同市場では前日同時刻が135円台の円安ドル高であったために、前日同時刻比では約10銭の円高ドル安であった。

その後に始まった今日のアジアとオセアニア市場に時間帯の近い世界FX市場でも、米FOMC議事録の内容を受けた米国利上げ継続予想により、今朝9時の日本市場の開始相当時間の頃のドル円は、一時134円96銭付近の今日の日本市場相当時間の円の安値でドルの高値を記録していた。

ただし、日本市場が天皇誕生日の祝日休場で全体的な流動性が限定されており、昨夜から今朝までの欧米市場と比較するとやや小幅な値動きになった。

今朝9時半には、日本と時間帯の近いオセアニア市場のオーストラリアの最新経済指標が発表され、前年10~12月四半期の豪州民間設備投資が前回の-0.6%と前回修正の0.6%と市場予想の1.3%に対し2.2%と好調であったことから、豪ドル買いの米ドル売りの影響があり、この時間から円相場でも米ドルがやや下げ始めた。

アジア市場でも、今夜の米国経済指標の発表イベントや、明日金曜の日本銀行 (日銀 / BoJ) の新総裁候補の植田氏の衆院所信聴取を控えた持ち高調整などの動きがあり、正午頃に一時134円70銭付近の今日の日本市場相当時間の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、そこからは安値感の出たドルの買い戻しやショートカバーなども入ってドルが再び上昇し、利益確定売りでの抵抗時にも前回の下げに達しなかったことで再び買われて、134円台後半の135円手前付近で推移した。

午後からの欧州英国市場の参入でも、米国利上げ継続予想によるドル買いのある一方で、今夜の米国イベントを控えた持ち高調整の抵抗に加えて、結果が分かるまでの様子見の横ばいに近い値動きも見られた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値相当時間は134円84~85銭付近で、昨夜17時比で約16銭の小幅な円安ドル高になっていた。

今夜この後には、日本時間で今夜22時半に最新の米国重要経済指標の2022年10~12月四半期の米国実質国内総生産 (GDP) と米GDP個人消費とコアPCEの改定値の発表イベント予定があり、また同時刻に前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数も発表される。24時50分からは米FRB高官の米国アトランタ連銀のボスティック総裁の発言予定、25時に週間の米国原油在庫、27時に米7年債入札、28時から米FRB高官の米国サンフランシスコ連銀のデイリー総裁の発言予定などもあり、海外FXトレーダー達が外国為替相場の値動き予想材料として注目している。

明日も米PCEデフレーターの発表予定があり、米国経済データに注目が集まっている。一方で、明日は日本でも最新重要経済指標の1月の全国消費者物価指数 (CPI) の発表予定と日銀新総裁候補の植田氏の所信聴取を控えており、イベント前の持ち高調整や様子見の動きが観測されている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値相当時間は143円15~16銭付近で、昨夜17時の143円52~53銭付近と比較すると、約37銭の円高ユーロ安であった。ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間は1.0614~1.0616ドル付近で、昨夜17時の1.0651~1.0655ドル付近と比較すると、約0.37セントのユーロ安ドル高であった。

原因は、昨夜の英国ロンドン外国為替市場時間に、欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーのフランス中央銀行のビルロワドガロー総裁が、「ECBは、9月までの会合の度に利上げをする義務はない」と発言したとフランスの経済紙のレゼコー (Les Echos) が報道したことにより、以前のタカ派からハト派寄りになったと市場では受け止められ、欧州利上げ継続予想の減退によるユーロ売りの安全資産のドルや円買いが起きていたことなどが影響した。

それに加えて、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場での米FOMC議事要旨と議事録の内容を受けた米欧金利差予想によるドル買いも影響を及ぼしていた。

今夜19時には欧州ユーロ圏の最新経済指標の1月の欧州消費者物価指数 (HICP) の改定値が発表されたが、前年同月比は前回の8.5%に対して市場予想通りの8.6%で、HICPコア指数の改定値の前年同月比は前回と市場予想の5.2%に対し5.3%のほぼ想定内であった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値相当時間は162円60~62銭付近で、昨夜17時の163円14~20銭付近と比較すると約54銭の円高ポンド安であった。元欧州連合 (EU) の英国ポンドも、今日の欧州ユーロにつられた値動きを見せている。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年2月23日の日本時間(JST)20時24分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時24分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:24の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 134.96 〜 134.97 +0.28 (円安)
ユーロ/円 142.91 〜 142.93 -0.61 (円高)
ユーロ/ドル 1.0587 〜 1.0589 -0.0064 (ドル高)
英ポンド/円 162.24 〜 162.30 -0.90 (円高)
スイスフラン/円 144.68 〜 144.74 -0.85 (円高)
豪ドル/円 92.00 〜 92.04 +0.04 (円安)


注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。