FXニュース:米経済指標を受け米長期金利上昇

2023年2月22日
FXニュース:米経済指標を受け米長期金利上昇

 

東西FXニュース – 2023年02月22日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米購買担当者景気指数(PMI)が改善
  • 日銀金融緩和修正への期待の円買い
  • 株安時の低リスク通貨の円買い抵抗
  • 米FOMC議事要旨公開を控えた調整

今日2023年2月22日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値135円6銭前後から高値134円55銭前後の値幅約51銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は134円68~69銭付近で、前営業日17時の前東京終値比で約11銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの要因は、前回の東西FXニュースでも予告していた通り、米国祝日連休明けの昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で最新米国経済指標の2月の米国購買担当者景気指数 (PMI) が発表され、総合が前回と市場予想を超えて50.2に改善し、好景気と不景気のボーダーラインの50も8カ月ぶりに上回ったため、米国の利上げ抵抗要因だった景気懸念が後退し、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げ継続予想により米長期金利が一時3.96%付近の約3カ月ぶりの高利回りに上昇し、日米金利差拡大予想による円売りドル買いが優勢になり、一時135円22~23銭付近の昨年12月以来の円安ドル高を記録した影響があった。

時間に沿った市場トレンドの動きの詳細な解説では、日本時間の昨夜23時45分に2月の米国購買担当者景気指数 (PMI) 速報値が発表され、総合が前回の46.8と市場予想の47.5に対し50.2に上昇した。製造業は前回の46.9と市場予想の47.1に対し47.8で、サービス部門も前回の46.8と市場予想の47.1に対し50.5と、いずれも市場予想以上であったことで、米国景気好感と米国利上げ継続予想で安全資産の米国債が売られて米10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いが起き、一時135円22~23銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録し、ユーロなどの他の主要通貨に対してもドルが一時全面高になった。

ただし、続いて24時に発表された最新米国経済指標の1月の米国中古住宅販売件数は、前月比が前回の-1.5%と前回修正の-2.2%と市場予想の2.0%に対して-0.7%に低下し、年率換算件数では前回の402万件と前回修正の403万件と市場予想の410万件のいずれも下回る400万件であったことでは、高値のドルの利益確定売りと低リスク通貨の円買いの抵抗が入った。

米長期金利も一時3.96%付近に上昇後、米国金利上昇への警戒感から米国株式市場で株価が下落したことにより、リスク回避で安全資産の米国債が買われて債権価格が一時上昇する一方で利回りが3.91%割れ付近に一時下げたことによる日米金利差の縮小時に、ドルから買える安全資産の低リスク通貨の円買いによるリスクオフもあったことから、ドル円は一時134円台後半に対ドルの円相場が反発し、その後の大きな流れでの日米金利差拡大予想による安全資産のドルの買い戻しやショートカバーで135円台に再び戻す様な値動きを見せた。

そのため、今朝7時頃までの冬時間の米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の安値135円23銭前後から高値134円68銭前後の値幅約55銭で、ニューヨーク終値を135円2~5銭の前営業日比で約85銭の円安ドル高でつけていた。

そのトレンドを受けて今朝9時から始まった今日の日本の東京外国為替市場では、最新の米国経済指標を受けた米利上げ継続予想と日米金利差拡大予想で、今朝9時過ぎに今日の日本市場の円の安値でドルの高値の135円6銭付近を記録した。

ただし、135円台のドルの高値圏からは利益確定のドル売りと安値の円買い抵抗も入った。原因は、日本市場では今週金曜の日本銀行 (日銀 / BoJ) 新総裁候補の植田和男氏の所信聴取での発言予定を前にして、日銀の今後の大規模緩和金融政策の修正圧への警戒や期待感で安値の円買いや円の買い戻しなどがあり、イベント前の持ち高調整が進んでいた。

また、今夜この後に前回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の議事要旨の公開予定も控えており、大幅利上げまたは米国の利上げ停止時期などに関する内容が含まれていないかという警戒感もあり、イベントリスクによる持ち高調整や、結果が分かるまでのドルの買い控えや様子見の動きもあった。

そのため、今朝10時半過ぎ頃に、一時134円55銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、今朝10時台には日銀が臨時入札方式の公開市場操作の国債買い入れオペの通知をしており、現在の日銀の金利抑止姿勢が改めて意識され、再び世界トレンドで優勢だった日米金利差拡大予想により円売りドル買いが再開し始め、134円台中盤から後半になった。

また、今日はオセアニアのニュージーランド準備銀行が0.5%の追加利上げをし、新政策金利が年率4.75%に達したことで、金利抑制の日銀との日新金利差拡大による円売り新ドル買いの円安の影響の波及も円相場にあり、昼頃にはドル円は134円台後半で推移した。

今日の昼頃のニュースでは、金融経済懇談会の挨拶時に日銀の田村直樹審議委員が、「いずれかのタイミングで、金融政策の枠組みや物価目標のあり方を含め点検と検証を行い、政策の効果と副作用のバランスを改めて判断することが必要」と、大規模緩和金融政策の今後に関する発言していた。

14時台には134円96銭付近のドルの高値圏に近づいて推移をしていたが、15時台に大引けをする日経平均株価が大幅に下落していたことで、日本株安時のリスク回避の低リスク通貨の円買いの抵抗が入り始めた。

日本市場では、明日の2月23日の木曜日は天皇誕生日の祝日で、祝日休場前のポジション調整の影響も見られた。 (ただし、東西FXで扱う海外FXは明日も平日開場予定で通常のFX取引が可能なため、明日も世界市場を中心としたFXニュースを配信予定である。)

また、日本時間の午後に時差で朝の欧州英国市場の参入でも、今夜のFOMC議事要旨公開イベントを控えたドルの持ち高調整の抵抗があり、高値圏からのドルの利益確定売りや安値の低リスク通貨の円買いで下げた後に、安値でドルを買い戻すポジション調整が見られた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は134円68~69銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約11銭の円安ドル高になった。

今夜この後の発表予定は、日本時間の21時に米国経済指標のMBA住宅ローン申請指数、27時に米5年債入札、28時に前回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨公表と、翌7時半に次回のFOMCで投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言予定などがあり、今週は金曜に米国のPCEデフレーターの発表予定も控えているため、今後の為替相場の値動きに影響を与える可能性から外為相場予想材料としてFXトレーダー達が注目している。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は143円48~51銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約10銭の円高ユーロ安であった。

前述の今日の低リスク通貨の円買いの影響は、ユーロに対しても見られた。また、後述のドルに対するユーロ安も円相場に波及していた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0652~1.0653ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.17セントのユーロ安ドル高であった。

原因はまず、昨夜の欧州英国市場で発表されたドイツとフランスとユーロ圏の2月の製造業の購買担当者景気指数 (PMI) が予想を下回った一方でサービス部門と総合は堅調であったものの、米国のPMIでは製造業もサービス部門も総合も市場予想以上に上昇し、ユーロ売りドル買いがあった影響が見られた。

ただし、昨夜に欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁が、3月の次回理事会でも欧州の政策金利を0.5%の大幅利上げを継続し、次回以降の利上げはデータ次第とするタカ派の利上げ発言をした時間には、ユーロ買いの抵抗もあった。

今日の午後16時には欧州ユーロ圏主要国のドイツの1月の独消費者物価指数 (CPI) の改定値が発表され、前月比は1.0%と前年同月比は8.7%と、いずれも前回と市場予想通りの横ばいだった。

16時45分にはフランスの最新経済指標の2月の仏企業景況感指数の発表があり、前回と市場予想の102に対し103に改善されていたが、今夜18時に発表されたドイツの2月のIFO企業景況感指数は、前回の90.2と市場予想の91.2に対して91.1と、前回よりは改善したものの市場予想以下であった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は163円14~20銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約16銭の円高ポンド安であった。

昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、英国の最新経済指標の2月の購買担当者景気指数 (PMI) の速報値が市場予想を上回ったことで英国の景気懸念が緩和され、ポンド買いが入っていたが、今日の日本市場で163円台の高値圏に達したため、今夜の英国市場では利益確定のポンド売り円買いが優勢になった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年2月22日の日本時間(JST)20時22分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時22分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:22の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 134.81 〜 134.83 +0.24 (円安)
ユーロ/円 143.40 〜 143.42 -0.18 (円高)
ユーロ/ドル 1.0633 〜 1.0635 -0.0036 (ドル高)
英ポンド/円 162.94 〜 163.00 -0.36 (円高)
スイスフラン/円 145.35 〜 145.41 -0.12 (円高)
豪ドル/円 92.01 〜 92.05 -0.48 (円高)


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