FXニュース:米消費者期待調査で短期インフレ率鈍化

2023年1月10日
FXニュース:米消費者期待調査で短期インフレ率鈍化

 

東西FXニュース – 2023年01月10日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米利上げ長期化予想が減退し多通貨にドル売り
  • 日米金利差縮小時の円買いドル売りと買い戻し
  • 米FRBパウエル議長や各国中銀高官発言予定
  • 欧米金利差縮小予想とリスクオンのユーロ高

今日2023年1月10日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間のドル円相場の為替レートは、円の安値132円29銭前後から高値131円39銭前後の値幅約90銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は132円16~18銭付近で、昨夜17時の世界市場の132円20~22銭付近と比較すると約4銭の小幅な円高ドル安であるが、日本市場の連休前の前営業日にあたる先週金曜17時の前東京終値の134円25~27銭付近と比較すると、約2円9銭の大幅な円高ドル安であった。

今日の値動きの原因はまず、昨夜に米国ニューヨーク連銀が発表した最新の前年12月分の米国消費者期待調査のニュースがあり、米国連邦準備理事会 (FRB) によるインフレ抑制のための積極的な米利上げが続いてきたことなどで、米国の消費者のインフレ期待の1年先が11月の5.2%から5.0%に低下し、2021年7月以来と言われる低水準を記録した。ただし、長期的な3年先の米国の消費者のインフレ期待値は前回からほぼ横ばいであった。

同調査でのポイントは、米国インフレによる収入上昇率の期待値は前月よりも上昇の4.6%で調査開始以来の最高値になったにも関わらず、家計支出の増加に関しては11月の6.9%から5.9%に大幅に低下し、賃金インフレの有無に関わらず、米国消費者は幅広い年代と所得層で、買い控えなどで消費を鈍化させる予想を示した。

この米国の短期インフレ率の鈍化に加えて、支出による消費期待値の鈍化が広範囲に及んだことで、消費停滞による企業の値引き合戦などもインフレを鈍化させる原因となるために、米国のインフレ抑制のための米国連邦準備理事会 (FRB) の米利上げ長期化予想が減退し、米長期金利が低下したことで、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、日米金利差縮小時の円買いドル売りが優勢になり、対ドルの円相場が上昇した。

加えて、昨日の東西FXニュースでもお伝えしていた通り、日本の連休前の先週末に発表された最新の重要経済指標の米国雇用統計でも、米平均時給の上昇率が市場予想を下回ったことから賃金インフレ鈍化による米インフレ鈍化予測があり、また米ISM非製造業景況指数が好景気と不景気のボーダーラインを数年ぶりに下回ったことから米利上げ継続の抵抗要因となる米国の景気懸念もあり、ドル高要因であった米利上げ長期化予想が減退しており、前日までの米国ニューヨーク外国為替市場でも、米長期金利低下による日米金利差縮小時の円買いドル売りにより、大幅なドル反落が起きた後であった。

新年ポジションの持ち高調整などもあり、世界的に流動性が高い基軸通貨のドルには安値ではドル買いやショートカバーの買い戻しの抵抗も入ったものの、ユーロドル相場でも欧米金利差縮小予想からドルが売られてユーロが上昇していた影響も、ドル円相場に波及した。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の安値でドルの高値の132円27銭前後から円の高値でドルの安値の131円54銭前後の値動きの値幅約73銭で、今朝の米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は131円85~95銭付近で、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比では約20銭の円高ドル安であったが、祝日連休だった日本市場の前営業にあたる先週金曜17時の前東京終値の134円25~27銭付近と比較すると、約2円32銭の大幅な円高ドル安であった。

今朝は連休明けの日本市場の開場前の8時半に日本の最新経済指標の発表があり、日本政府の総務省の前年12月分の東京都区部消費者物価指数 (CPI) の生鮮食品を除く総合の前年同月比が前回の3.6%と市場予想の3.8%を超えた4.0%上昇の103.9で、1982年4月以来40年8カ月ぶりの上昇率を記録したことでも、日本のインフレ圧が今後の日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) の金融政策修正圧に繋がる可能性から、世界市場の一部で円が買われた。

ただし、同時発表の日本の経済指標の前年11月分の全世帯家計調査・消費支出の前年同月比は、前回の1.2%と市場予想の0.5%に対して-1.2%で、日本でも買い控えによる消費支出の低下によるインフレ鈍化予測も観測されていたことでは大きな円買いにはならなかった。

今朝9時からは連休明けの日本の東京外国為替市場が再開し、今朝9時55分頃の仲値決済に向けては、今日は日本の貿易企業の決済日が集中しやすい五と十のつく日の「五十(ゴトー)日」で、日本企業の輸入実需のまとまった円売りドル買い注文が先行し、9時台には一時132円22銭付近にドルが上昇したが、続いては日本の輸出企業によるまとまった円買いドル売り注文が入り始め、10時台後半には一時131円39銭付近に対ドルの円相場が上昇し、今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、11時前の安値圏からは、世界的に流動性が高い基軸通貨のドルには、日本市場などでも新年ポジションの持ち高調整などの安値のドル買いや、ショートカバーのドルの買い戻しなどが14時頃まで続き、午後からの欧州英国市場の参入時の抵抗はあったものの、17時前には一時132円29銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、先週末の米国雇用統計の賃金インフレ伸び悩みなどに起因した米国トレンドを世界的に継承した米利上げ長期化予想の減退による日米欧金利差縮小による円買いドル売りやユーロ買いドル売りなどの影響も続いており、夕方に132円台の今日の日本市場での高値をつけたドルには利益確定売りなども入り、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は132円16~18銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比では約2円9銭の大幅な円高ドル安になっていた。

今夜は北欧スウェーデン中央銀行主催の国際シンポジウムが開催されており、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長や、日銀 (BoJ) の黒田東彦総裁、欧州中央銀行 (ECB) のシュナーベル理事、英国中央銀行 (BoE) のベイリー総裁などを含めた多数の各国中銀関係者達が参加するために、発言予定があることが注目されている。

今夜この後のドル円相場の市場予想で注目度が高いのは、日本時間の23時からの米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の発言予定で、同国際シンポジウムでは「中央銀行の独立性と権限」に関する討論会に参加する予定である。

今夜の日本時間の深夜24時には最新の米国経済指標の11月の米卸売売上高の発表予定もあり、27時には米3年債入札予定もある。

今週は12日の木曜に、より重要度が高い米国重要経済指標の米国消費者物価指数 (CPI)の発表を控えており、結果によっては現在のドル売りトレンドに再び変更が生じる可能性もあるために、ロングポジション用の安値のドル買いなどの持ち高調整なども始まっている。

また、今週金曜には日米首脳会談、来週には日銀金融政策発表も予定されており、イベント時の値動きには注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は141円87~90銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値比では約75銭の円安ユーロ高であった。後述の欧米金利差予想やリスクオン市場でのドルに対する今日のユーロの大幅高の影響が、円相場にも波及していた。

ユーロドルは、17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0734~1.0735ドル付近で、前営業日同時刻の前東京終値比では約2.22セントの大幅なユーロ高ドル安であった。

原因は、先週末からの最新の米国経済指標の発表や米国インフレ鈍化予測のニュースを受けて、米国連邦準備制度理事会 (FRB) による米利上げ長期化予想の減退による米欧金利差縮小予想や、欧米金利上昇への警戒感の緩和から欧米株上昇時のリスクオン市場になったことで、安全資産のドルや低リスク通貨の円が売られてユーロが買われた影響が大きかった。

今日の午後16時45分には、欧州ユーロ圏のフランスの最新の経済指標の発表もあり、前年11月分の仏鉱工業生産の前月比は、前回の-2.6%と市場予想の0.8%から大幅に改善された2.0%に上昇していたことなども、今日のドルや円に対するユーロ高の一因になった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は160円56~62銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値比では約5銭の僅差の円高ポンド安であった。

昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、欧州ユーロと共に英ポンドも対ドルで上昇していたが、今日の日本市場では英ポンドは対ドルで利益確定売りやドルのショートカバーの買い戻し時に売られていたことや、前営業日比での大幅な円高ドル安の影響の波及などもあった。

ただし、今朝発表された最新の英国経済指標の前年12月の英小売連合 (BRC) 小売売上高調査では、前年同月比で前回の4.1%に対して6.5%に上昇はしており、前東京終値比でも小幅な円高ポンド安の範囲にとどまっていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年1月10日の日本時間(JST)20時29分(チャート画像の時間帯は英国時間 (GMT) 11時29分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:29の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 132.03 〜 132.05 -2.21 (円高)
ユーロ/円 141.80 〜 141.82 +0.68 (円安)
ユーロ/ドル 1.0738 〜 1.0740 +0.0226 (ドル安)
英ポンド/円 160.68 〜 160.74 +0.07 (円安)
スイスフラン/円 143.31 〜 143.37 +0.20 (円安)
豪ドル/円 90.96 〜 91.00 -0.15 (円高)


注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。