FXニュース:米雇用統計の平均時給伸び悩みでドル反落

2023年1月09日
FXニュース:米雇用統計の平均時給伸び悩みでドル反落

 

東西FXニュース – 2023年01月09日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米利上げ長期化予想減退で米長期金利低下
  • 日米金利差縮小時の円買いドル売りの影響
  • 金利警戒緩和で米欧英株高時のリスクオン

今日2023年1月9日月曜日の日本の東京外国為替市場は成人の日で祝日休場ですが、海外FXは通常営業で世界市場の9時から17時までの外為取引相当時間のドル円相場の為替レートは、円の安値132円36銭前後から高値131円31銭前後の値幅約1円5銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は132円20~22銭付近で、前営業である先週金曜17時の前東京終値の134円25~27銭付近と比較すると、約2円5銭の大幅な円高ドル安であった。

今日の値動きの主な原因は、先週末金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で発表された最新の米国重要経済指標の米国雇用統計の発表を受けて、米国の平均時給が伸び悩んだことがきっかけとなり、堅調な雇用市場と賃金上昇を背景とした米国インフレ抑制のための米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米利上げ長期化予想がやや後退し、米長期金利低下に伴って日米金利差縮小時の円買いドル売りが優勢に転じ、発表前には円安要因の日米金利差拡大予想で一時上昇していたドルが、発表後に一時2円78銭ほど急落した。

時間に沿った市場トレンドでは、日本時間の先週金曜の夜22時半に米国ニューヨーク外国為替市場で発表された先月12月分の最新の米国雇用統計で米国の失業率は前回と市場予想の3.7%よりも改善された3.5%の完全雇用に近い好水準で、非農業部門雇用者数変化の前月比も市場予想の20万人を上回る22.3万人に増加し、ドルは一時134円台後半で推移していた。

しかし、同時発表の米国平均時給の前年同月比が前回の5.1%と前回修正の4.8%と市場予想の5.0%に対して4.6%に低下し、前月比でも前回の0.6%と前回修正と市場予想の0.4%に対して0.3%に伸び悩んだことで、米賃金インフレ鈍化による米インフレ鈍化予測から、高インフレ抑制が目的の米連邦準備制度理事会 (FRB) の積極的な利上げ長期化予想が減退し、前述の日米金利差縮小予想から急速な円買いドル売りに転じ、132円0銭付近に向かってドルが反落した。

続いて、先週金曜の深夜に同米国市場で発表された別の最新米国経済指標の前年12月分の米ISM (Institute for Supply Management = 米供給管理協会) 非製造業景況指数の総合が、前回の56.5と市場予想の55.0と好不況のボーダ―ラインの50を2年7ヶ月ぶりに下回る49.6であったことで、米利上げ継続の抵抗要因となる米景気懸念も加わったことでもドル売りが継続していた。

また、同日発表の前年11月分の米製造業新規受注も前月の1.0%と市場予想の-0.8%に対し-1.8%と想定以上に減少したことも、米景気懸念のドル売りの一因となっていた。

同時進行中だった米国ニューヨーク債権市場でも、米利上げ長期化予想の減退を受けて、前日終値では3.72%付近だった米10年債利回りが指標となる米長期金利が一時3.55%付近に急落し、日米金利差縮小時の円買いドル売りが優勢になった。

また、米国ニューヨーク株式市場では、米国金利上昇の影響による企業決算への影響などの警戒感の緩和から米株価が上昇し、米株高時のリスクオン市場になったことで安全資産のドルが売られ、ユーロなどが買われた影響もドル円相場に波及した。

そのため、先週末の土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の値動きはドルの高値で円の安値の134円78銭付近からドルの安値で円の高値の132円0銭付近の値幅約2円78銭で、終値は132円5~15銭付近で前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約1円30銭の大幅な円高ドル安であった。

先週末の日曜の朝には、岸田文雄首相が日本放送協会 (NHK) の日曜討論にテレビ出演し、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) の関係について、今年4月に任期を終える予定の日銀の黒田東彦総裁の後任人事で、異次元大規模緩和の黒田路線を継承することが要件になるかとの質問の回答で、「黒田総裁の任期である4月の時点においてもっともふさわしい人事を考える必要があり、新しい総裁とともに政府と日銀の関係を引き続き議論しないといけない」「構造的な賃上げを実現する経済成長と、物価の持続的安定的な維持を、政府と日銀が連携して進める必要がある」などと発言し、次期日銀総裁と引き続き議論していく意向を示した。

新日銀総裁が、昨年に大幅な円安の要因となった金利抑制の大規模緩和金融政策を修正する可能性については、「金融政策は、先行きの見通しがしっかりないといけない。丁寧な説明、市場(マーケット)との対話を考えながら、状況を考えていく」と説明し、「引き続き、政府と日銀が連携しながら、それぞれの責任を果たしていきたい」と発言していた。

週が明けて始まった今朝の世界市場では、日本市場は祝日休場ではあるが、9時台に発表されたオーストラリアの最新経済指標の前年11月分の豪住宅建設許可件数の前月比が前回の-6.0%と市場予想の0.0%に対し-9.0%に大幅低下したことなどを受けて、今朝9時台から10時前にかけては、前米国市場から売られて下げていた安全資産のドルが一時買われて131円80銭付近から132円10銭付近に上昇したが、132円台からは利益確定売りが入り、今日のアジア・オセアニア市場でも先週末の欧米株価上昇の影響を受けた株高時のリスクオン市場になりドル売りでアジア・オセアニア通貨が買われたほか、中国のゼロコロナ規制緩和による安全資産のドル売りの影響などもありドルが下落して円相場が上昇し、正午12時頃に一時131円31銭付近の今日の日本市場相当時間の円の高値でドルの安値を記録した。

その後には高値の円の利益確定売りでクロス円がユーロやポンドなどに対して低下したことや、世界的に流動性の高い安全資産のドルの安値での買い戻しなどでドル円相場は反発し、特に午後からの欧州英国市場の参入では、16時台に発表されたドイツやフランスの経済指標が低下していた影響もあり、先週末の米国ニューヨーク市場で一時3.55%付近に低下していた米長期金利が、今日の夕方には再び安全資産の米国債買いがあり3.6%台に向かって回復傾向であったこともドル買いにつながり、夕方には再びドル円は132円台になった。

そのため、今夜17時の日本の東京外国為替市場の終値相当時間のドル円相場は132円20~22銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値比では約2円5銭の大幅な円高ドル安になった。

今夜この後には、日本時間で26時半頃から米連邦準備制度理事会 (FRB) 関係者の米アトランタ連銀のボスティック総裁の発言予定と、29時に最新の米国経済指標の前年11月分の米消費者信用残高の発表予定があるが、明日10日の夜に予定されているパウエル議長の発言や、今週12日の夜に予定されている米国消費者物価指数 (CPI) の発表予定の方が、市場のFXトレーダー達にはより重要視されている印象がある。また今週金曜には日米首脳会談や、米国の大手金融機関の決算発表シーズンが始まることにも注意が必要である。

一方、欧州ユーロは今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間のユーロ円相場は141円12~14銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値の141円13~16銭付近と比較すると、ほぼ横ばいレンジに近い僅差の約2銭の円高ユーロ安であった。ただし、今夜その後の欧州英国市場では、円安ユーロ高にも転じている。

欧米株高時のリスクオン市場では安全資産のドルや低リスク通貨の円売りもあったものの、主要通貨のドルに対する今日の円高の影響は、他の主要通貨であるユーロにも波及していたが、日本祝日で実需がなく、その後の円売りユーロ買いの影響などでは市場反転した。

ユーロドルは、17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間は1.0674~1.0676ドル付近で、前営業日同時刻の前東京終値の1.0511~1.0512ドル付近と比較すると、約1.64セントの大幅なユーロ高ドル安であった。

原因は、先述のドル売りと、欧米株高時のリスクオン市場で安全資産のドルが売られてユーロが買われた影響があり、中国のゼロコロナ規制緩和によるアジアやオセアニアの資源国通貨に対する今日のドル売りの影響が残っていた。

英国ポンドは、17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間のポンド円相場は160円50~56銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値の159円70~76銭付近と比較すると、約80銭の円安ポンド高であった。

原因は、米国株高を受けた欧州や英国の株価上昇時のリスク選好のリスクオン市場で、大金融街シティのある英国ロンドン市場でも安全資産のドルや低リスク通貨の円売りで英ポンドが買われた影響が出ていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年1月9日の日本時間(JST)20時27分(チャート画像の時間帯の英国時間 (GMT) 11時27分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:27の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 132.42 〜 132.44 -1.83 (円高)
ユーロ/円 141.46 〜 141.48 +0.32 (円安)
ユーロ/ドル 1.0681 〜 1.0683 +0.0171 (ドル安)
英ポンド/円 160.70 〜 160.76 +1.00 (円安)
スイスフラン/円 143.34 〜 143.40 +0.29 (円安)
豪ドル/円 91.57 〜 91.61 +0.94 (円安)


注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。