FXニュース:明日の米消費者物価指数 (CPI) を控え調整が

2023年1月11日
FXニュース:明日の米消費者物価指数 (CPI) を控え調整が

 

東西FXニュース – 2023年01月11日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米FRBパウエル議長発言は金利に言及せず
  • 米連銀ボスティック・デイリー総裁はタカ派
  • 欧州ユーロにドルが7ヶ月ぶりの一時安値圏に

今日2023年1月11日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間のドル円相場の為替レートは、円の安値132円58銭前後から高値132円7銭前後の値幅約51銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は132円40~42銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約20銭の円安ドル高であった。

今日の値動きの主な原因はまず、明日の夜の米国の最新の重要経済指標の米国消費者物価指数 (CPI) を控えた持ち高調整の動きが影響を与えていた。

また、前回の東西FXニュースでもお伝えした通り、昨夜は北欧スウェーデン中央銀行主催の国際シンポジウムが開催されており各国中銀関係者が参加する中で、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の発言が特に注目されていた。

日本時間で昨夜23時からのパウエル議長の発言以前には、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 関係者達の米アトランタ地区連銀のボスティック総裁と米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁が、「米金利が一段と上昇し、高い水準にとどまる」などのタカ派の発言をしていたために、米国市場ではパウエル議長もタカ派の発言をするのではという期待のドル買いが入り、発言前の22時台後半にはドルは円相場で132円48銭付近の米国市場での高値を記録していた。

しかし、討論会に参加したパウエル議長は、「議会による明確な立法が無い限りは、金融政策や監督手段を気候変動に基づく目標の達成に用いることは不適切」であり、「米国連邦準備制度理事会 (FRB) は、今も将来も気候政策当局ではない」、「気候変動に対処するための政策決定は政府機関が行うべきだ」と、「自らの責務に専念」する重要性を指摘する発言などをしたが、特に今後の米経済や金融政策の市場予想材料になる様な言及はなかった。ただし、同イベントは討論会であり、他の各国中銀関係者も同様の話題を中心にしていた。

「物価安定は、健全な経済の基盤で、物価安定を回復するには、人気のない行動が必要になる可能性はある」、「米連邦準備制度理事会 (FRB) は、本来の目標に焦点を合わせるべきだ」というパウエル議長の発言はあったものの、期待されていた様な米利上げに関してのタカ派の発言は特になかったことから、発言終了後にはドル売りに転じ、米長期金利も3.6%付近から3.5%台に一時急落し、日米金利差縮小時の円買いドル売りで23時台後半のドル円相場では、米国市場でのドルの安値圏の131円74銭付近にドルが一時急落した。

ただし、先週発表された米国雇用統計では賃金インフレの伸び悩みがあったことなどから、米インフレ抑制のための米国連邦準備理事会 (FRB) のこれまでの利上げ継続後の米政策金利の最終到達点のターミナルレートが5%を上回るとの米利上げ長期化予想には疑問点が出てきており、市場では米フェデラル・ファンド (FF) 政策金利目標は今年の夏頃までに5%弱でピークをつけた後には低下し始める可能性もあるのではないかという米利上げ長期化予想の減退によりドルが売られていたが、専門家の中には現在のドル安がやや行き過ぎており、もし米FRBのパウエル議長などにタカ派の発言があった場合や、明日の夜の米消費者物価指数 (CPI) によっては、再びドルが買い戻される可能性もなどが指摘されていた。

そのため、今回のパウエル議長にはタカ派の発言機会はなかったものの、明日12日の夜22時半に発表予定の米国連邦準備理事会 (FRB) が今後の金融政策決定の際に重視する最新の米国重要経済指標の米国消費者物価指数 (CPI) に市場の注目が集まった。この最新の米CPIがインフレ圧の低下を示すかどうかが、今月31日〜2月1日の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) に影響を与える可能性が高いため、重要指標として注目されている。

それを踏まえた同時進行中の米国ニューヨーク債券市場では、明日に発表予定の米国消費者物価指数 (CPI) の結果次第では、今後の市場トレンドを変える可能性のあるイベントリスクから、発表日を前にした持ち高調整による米国債売りが入り、一時3.5%台に低下していた米10年債の利回りが指標となる米長期金利は再び一時3.64%付近に上昇したが、明日の米CPIの結果が分かるまでのドルの買い控えや様子見もあり、一時131円台後半になっていたドルは円相場で132円34銭付近に回復したが、パウエル発言前の期待値での米国市場での高値には届かなかった。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は132円26銭付近で、前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約38銭の円安ドル高であった。

その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、米国トレンドを受け継いで、日本時間の明日の夜22時半に発表予定の最新の米国重要経済指標の米消費者物価指数 (CPI) を控えたドル円の持ち高調整や様子見が入り始めた。

また、早朝に米長期金利が3.6%に上昇していた時間には、日米金利差拡大時の円売りドル買いもあった。

今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需によるまとまった円売りドル買い注文もあり、10時台には132円41銭付近に円相場が下落した。

12時前には一時132円58銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値も記録したが、その後にはイベント前のドルの利益確定売りや様子見の買い控えなども入った。

日本市場では来週の1月17~18日に予定されている日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合で金融緩和の更なる修正がある可能性もあることから、今日の日本市場の円の安値圏では円買いドル売りも入った。

原因の一つには、日銀が13時半に発表した日本の「生活意識に関するアンケート調査」の結果で、一年後の物価水準は現在と比較して「上昇する」と回答した個人の割合が85.0%になり、昨年9月の85.7%からは小幅に低下していたが依然として高水準であることから、日銀への更なる緩和修正圧と受け止めた円買いがあった。

この時間は米長期金利も一時停滞し、日米金利差縮小時の円買いドル売りもあった。

しかし、14時には日本の最新経済指標の発表もあり、前年11月分の景気一致指数 (CI) の速報値は、前回の99.6に対して市場予想通りの99.1であった。同月の景気先行指数 (CI) の速報値も、前回の98.6に対して市場予想通りの97.6に低下したことでは、円売りも入った。

新型コロナによる景気ダメージなどから回復中の日本企業などへの貸付金利上昇懸念や、国債の利回り上昇分の追加の支払いを防ぐために、日銀が今後も金利抑制の大規模緩和の金融政策を据え置く可能性もあることも意識され、円売りも入った。

また、イベントリスクを避けた短期売りで、先ほど買われた円が市場後半には売られて、以前の価格と似た水準に戻るという、日本の証券用語の「往って来い」の動きに転じた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は132円40~42銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約20銭の円安ドル高になった。

明日の夜22時半に発表予定の重要経済指標の米国消費者物価指数 (CPI) を控えた今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間の今夜21時に米MBA住宅ローン申請指数、24時半に米週間原油在庫、27時には利回りが米長期金利の指標となる米10年債入札予定があり、FXトレーダー達が注視している。

また、来週には、日銀金融政策発表と黒田総裁記者会見や米国小売売上高や米国生産者物価指数の発表なども控えている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は142円31~32銭付近で、前日同時刻比で約42銭の円安ユーロ高であった。

ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0746~1.0748ドル付近で、前日同時刻比で約0.15セントのユーロ高ドル安であった。

主な原因は、前述の今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、ドルがユーロに対しておよそ7カ月ぶりと言われる安値圏付近を記録したほか、明日の米国消費者物価指数 (CPI) の発表などを控えたイベントリスクの持ち高調整と様子見の影響を受けていたことで、イベントリスクのないユーロが上昇し、対ドル及び対円でユーロ高になっていた。

英国ポンドも、元欧州連合で経済の影響を受けやすい欧州ユーロに一時連動してつられ高になり、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は160円98銭~161円4銭付近で、前日同時刻比で約33銭の円安ポンド高であった。

ただし、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、利益確定などのポンド売りも入り、20時台の英ポンド円相場は、前東京終値比では円高ポンド安に市場反転もしている。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年1月11日の日本時間(JST)20時23分(チャート画像の時間帯は英国時間 (GMT) 11時23分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:23の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 132.43 〜 132.45 +0.21 (円安)
ユーロ/円 142.34 〜 142.36 +0.45 (円安)
ユーロ/ドル 1.0747 〜 1.0749 +0.0016 (ドル安)
英ポンド/円 160.57 〜 160.63 -0.08 (円高)
スイスフラン/円 143.25 〜 143.31 -0.01 (円高)
豪ドル/円 91.43 〜 91.47 +0.31 (円安)


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