FXニュース:三者会合受けた為替介入警戒

2024年3月28日
FXニュース:三者会合受けた為替介入警戒

 

東西FXニュース – 2024年3月28日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利低下一時4.18%台
  • 米ダウ反発とS&P史上最高値
  • 米FRBウォラー理事先送り可
  • 日銀要旨利上げに慎重緩和的
  • 日経平均株価反発後の大反落
  • 米GDPとPCE物価指数を控え
  • 欧ECB高官達利下げ発言続く

今日2024年3月28日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の151円55銭付近から、円の高値でドルの安値の151円25銭付近の値幅約30銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は151円41〜42銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の151円67〜69銭付近の前東京終値比では約26銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場では、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の中でも市場でタカ派と考えられていた田村直樹審議委員が「当面、緩和的な金融環境が継続する」と想定外のハト派発言をしたことや、中国市場からの人民元安ドル高の影響の波及などを受けて、ストップロスを巻き込み円相場が下落し、午前11時43分頃に一時151円97銭付近の1990年7月以来の約34年ぶりの円安ドル高を記録したが、その後には日本政府の財務省と金融庁と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) による為替介入警戒感が高まり、夕方の三者会合のニュースを受けて日本の為替介入が現実味を増したことで大規模な調整が起き、明日の聖金曜日のグッドフライデー (Good Friday) からイースターマンデー (Easter Monday) の月曜日までキリスト教の春の復活祭のイースター (Easter) の祝日連休予定の英国市場ではポジション調整が進み、欧州では混雑を避けた早期休暇も始まり市場流動性が減り始めていたため、値動きが荒く出やすくなってきていた昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、ドルや主要通貨に対して円相場が一時急反発して全面高になり、昨夜20時36分頃にドルは円相場で一時151円2〜3銭付近の日通しの円の高値でドルの安値を記録していた。

しかし、昨夜その後の米国ニューヨーク外国為替市場に向けては、伝統的なキリスト教国の英国や欧州よりも米国ではイースターホリデーの連休が短めで、来週の月曜日には米国市場は日本市場同様に開場予定で、今週には今夜この後の最新米国重要経済指標の昨年10〜12月四半期の米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) 確定値と米国GDP個人消費や米国コアPCE (Personal Consumption Expenditures / 個人消費支出) の発表を控えているほか、その翌日の聖金曜日には米国市場は休場予定であるにも関わらず、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で今後の米国の新政策金利や金融政策を決める上で注視している「最新データ」の米国インフレ物価指数でもある米国PCEデフレーターの発表イベント予定や休日出勤のジェローム・パウエル議長の発言予定などが続くため、最近の米国経済指標のインフレ圧や最近の米国インフレ指標の上振れ後の警戒感などもあり、米国市場での円相場のドルの下値は堅く、昨夜21時頃の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値では、ドルは円相場で一時151円23銭付近に反発し、昨夜22時50分頃にはドルは円相場で一時151円37銭付近まで買い戻された。

また、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のピエロ・チポローネ専務理事が、今後の最新データが現在の見通しを裏付ける内容であれば、「制約的な欧州金融政策のスタンスを、速やかに転換する準備が整うだろう」と早期の欧州利下げに言及したほか、ラトビア中銀のマーティン・カザークス総裁も、6月に欧州利下げ開始の市場予想について、「異論はない」と欧州利下げ転換に関する発言をしており、今年のドイツの独国内総生産 (GDP) の見通しが引き下げられた欧州景気懸念を受けて、欧州国債市場では欧州ユーロ圏主要国のドイツ連邦10年債の利回りが指標となる欧州長期金利が低下したことも、欧米金利差による欧州ユーロ売りが対ドルで入った影響も対ドルの円相場に波及していた。

ただし、欧州債券市場での債券利回りを受けた欧州長期金利低下の影響は、欧州と経済的に近い英国長期金利の低下に影響が波及したほか、英国から独立後も文化的な共通点のある米国の世界的な安全資産でもある米国債買いにも影響を及ぼしたほか、米国ニューヨーク債券市場でも午前2時に米国7年債の入札を控えていたことなどから、米国債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は、昨夜20時前の一時4.24%台付近から低下を始め、入札前頃からの一時4.19%台に向かったことでは、日米金利差縮小時の円買いドル売りもあり、深夜24時13分頃にドルは円相場で一時151円17銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、151円台前半での値動きが続き、為替介入警戒感がやや緩和されてきたことや、米国長期金利低下時には米国債券価格が上昇していたため、同時進行していた米国ニューヨーク株式市場では、前日に揃って小幅安だった米国主要株価三指数が反発後に上昇し、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が、前日に米国食品医薬品局 (FDA/ Food and Drug Administration) が米国製薬会社メルクの肺動脈性肺高血圧症治療薬を承認した株価牽引もあって、前日比477.75ドル高の大幅高の終値に向けたほか、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500) は史上最高値を更新し、今年の第一四半期の上昇率が2019年以来の大きさになる見込みになるなど好調で、米国ナズダック平均 (NASDAQ Composite) も含め三指数揃って上昇したまま終値に向かったことを受けては、ホリデー気分のブル・マーケット (Bull Market / 強気市場) もあり、リスク選好のリスクオン (Risk-on) の低リスク通貨の円売りによるドルの買い戻しも入り、四半期末前のロンドン・フィキシング (London Fixing) に向けたドル実需もやや入り、午前1時21分頃にはドルは円相場で一時151円43銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

とはいえ、午前2時の米国ニューヨーク債券市場では米国債入札があり、一時4.19%台付近に低下して推移し、その後にも四半期末の調整後の早期ポジション形成もあったことから、米国長期金利低下したまま一時4.189%付近の米国ニューヨーク債券市場の終値に向けたことでは、先述の為替介入警戒感などもあり、ドルの買い戻し幅は限られた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の151円17銭付近から、円の安値でドルの高値の151円43銭付近の値幅約26銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は151円33銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の151円56銭付近と比べて約23銭の円高ドル安をつけていた。

今朝7時頃からは米国連邦準備制度理事会 (FRB) のクリストファー・ウォラー理事の発言があり、「まだ急ぐ必要はない (There’s Still No Rush) 」というお題でスピーチし、「想定する米国利下げの回数を減らしたり、米国利下げをさらに先送りしたりすることは適切」とタカ派発言をした。

その一方で、今朝8時50分に発表された日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合の主な意見では、日本の利上げを慎重に進める姿勢が顕著で緩和的な金融政策の継続が改めて意識された。

早朝のアジア・オセアニア市場では、日本の為替介入警戒感で円売りドル買いはしにくかったが、日本市場の開場後の時間には日本企業への影響懸念から余程の急激なボラティリティ (Volatility / 価格変動性) でもないと日本政府と日銀は日本市場終了時間までは為替介入がしにくくなるとの思惑もあり、日本時間を待っての為替介入警戒域前までのドル買いが徐々に入り始めた。

そのため、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時151円29銭付近であったが、日本市場にとっては西洋のイースターよりも日本の春の年度末前の決算期でもあるため、今朝9時55分の仲値決済で日本企業の輸入実需の円売りドル買いに頃に混じってドルが買われており、午前10時25分頃と10時28分頃にドルは円相場で一時151円55銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、151円台後半に差し掛かったことでは、152円手前の為替介入警戒感から早期の利益確定売りや持ち高調整が入り始めたほか、二度目で上抜けできなかったことでは、テクニカル分析的な「毛抜き天井」のダブルトップ (Double Top) の売りサインを描いたことでは、利益確定売りに加えて、年度末や四半期末前の決算を控えた日本の輸出企業の円買いドル売り需要もあり、上昇後に上昇前の元のレベルに戻すという「往って来い」になった。

さらに、今日の東京株式市場では、昨日は前日比364円高に反発した日経平均株価が、今日は大幅に反落し、前日比で一時700円以上の大幅安になったため、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) では国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いが対ドルでも強まり、午後14時50分頃に対ドルの円相場は一時151円25銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

その直後の午後15時台には、今日の日経平均株価はやや低下幅は縮めたものの大幅安の4万168円7銭の終値をつけ、前日比594円66銭安で大引けした。

一方で、日本の緩和的な金融環境が継続するという市場予想の高まりもあり、この時間の日本の長期債の利回りは0.705%付近に下げており、その傍らで、米国長期金利は金利先高感の影響もあって反発し、夕方の英国ロンドン外国為替市場参入後には4.23%台に向かっており、為替介入警戒感による持ち高調整により円相場でのドルの上値は抑えられてはいるものの、債券利回りを受けた日米金利差拡大も意識され、欧州英国市場ではホリデー前の買い控えも混ざり始めていたものの、ドルは円相場で買い戻される場面もあった。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は151円41〜42銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の151円67〜69銭付近の前東京終値比では約26銭の円高ドル安になった。

今夜この後には、最新米国重要経済指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に重要度の高い 10〜12月四半期の米国実質国内総生産 (GDP) と米国GDP個人消費と米国コアPCE (Personal Consumption Expenditures / 個人消費支出) の確報値と、 前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数が同時発表され、続いて今夜22時45分に 3月の米国シカゴ購買部協会景気指数、今夜23時に3月の米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値と、2月の米国住宅販売保留指数などが発表される予定である。

また、今夜の前四半期の米国コアPCEに続き、明日の金曜日の夜には、欧米市場が休場中で価格変動が大きく出やすい聖金曜日の夜に、前月比や前年同月比の方の最新の米国個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) デフレーターの物価指数の発表や、米国個人所得とFRBのパウエル議長発言のイベントも控えていることには注意が必要である。

一方、欧州ユーロの円相場は、今夜17時の今日の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は163円50~52銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の164円9~10銭付近の前東京終値比では約59銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、先述通り、昨夜の日本の為替介入警戒による円買いの影響に加えて、欧州中央銀行 (ECB) 高官達の発言や欧州景気懸念により欧州長期金利が低下して対ドルでも売られやすかったほか、欧州の早期利下げ転換が意識される中で日銀も緩和的な金融環境の継続が意識されているものの、今週金曜日から来週月曜日までのイースターホリデーの連休前で欧州ユーロには買い戻しの後には実需買いも減り、今日の日経平均株価の大幅反落を受けたリスク回避の低リスク通貨の円買いでは、欧州ユーロは円相場で売られやすかった。

このため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0798〜1.0802ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0824〜1.0826ドル付近の前東京終値比では約0.26セントのユーロ安ドル高であった。

また、今日の夕方16時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標の2月の独小売売上高は、前月比が前回の-0.4%と前回修正の-0.3%と市場予想の0.3%を大幅に下回る-1.9%で、前年同月比では前回の-1.6%と前回修正の-1.3%と市場予想の-0.8%を上回る1.7%で強弱混合であったが、前述の今年の独GDPの見通しの引き下げの影響もあり、最近の米国景気と比較した欧州景気懸念は、早期利下げ予想の一因としても燻っており、欧州中央銀行 (ECB) よりも米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利下げ時期が遅れる可能性が意識されていた。

今夜17時55分に発表されたドイツの3月の独失業者数の前月比は、前回の1.10万人と前回修正の1.20万人と市場予想の1.00万人よりも改善された0.40万人であったが、欧州域内は移民が自由に移動できることもあり、3月の独失業率は前回と市場予想通りの5.9%の横ばいのままであった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は190円92〜98銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の191円47〜53銭付近の前東京終値比では約55銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、為替介入警戒感や日経平均株価下落を受けたリスクオフの低リスク通貨の円買いの影響も続いたものの、今日の夕方16時に発表された最新英国重要経済指標の10〜12月四半期の英国国内総生産 (GDP) の改定値は、前期比が前回と市場予想通りの-0.3%のマイナス成長で、前年同期比も同じく前回と市場予想一致の-0.2%のマイナス成長であったため、英国景気懸念も英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の早期の英国利下げ転換につながる可能性が意識されていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年3月28日の日本時間(JST)21時00分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の12時0分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、サマータイム制のある英国市場の英国夏時間 (BST / JST-8) への変更は今週末の3月最終日曜日の3月31日からであるが、米国市場では3月第二日曜日の3月10日から既に米国夏時間 (EDT / JST-13) になっており、日本市場や英国市場との時差が1時間変わっていることには注意が必要である。)

通貨ペア JST 21:00の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 151.36 〜 151.38 -0.31 (円高)
ユーロ/円 163.18 〜 163.19 -0.91 (円高)
ユーロ/ドル 1.0783 〜 1.0784 -0.0041 (ドル高)
英ポンド/円 190.86 〜 190.92 -0.61 (円高)
スイスフラン/円 167.06 〜 167.12 -0.33 (円高)
豪ドル/円 98.19 〜 98.23 -0.72 (円高)


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