FXニュース:聖金曜日で市場流動性が減少

2024年3月29日
FXニュース:聖金曜日で市場流動性が減少

 

東西FXニュース – 2024年3月29日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米経済指標は強弱入り混じる
  • 米GDPと個人消費が上方修正
  • 米四半期コアPCEは下方修正
  • 米長期金利一時低下後の反発
  • 米利下げ時期先送りの可能性
  • 今夜米PCEデフレーター控え
  • 米FRBパウエル議長発言予定
  • 日本の為替介入警戒感も継続
  • 欧州早期利下げ予想が高まる

今日2024年3月29日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の151円50銭付近から、円の高値でドルの安値の151円18銭付近の値幅約32銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は151円33〜35銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の151円41〜42銭付近の前東京終値比では約8銭の小幅な円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後の昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、今日3月29日の聖金曜日のグッド・フライデー (Good Friday) から、週末の英国冬時間終了と英国夏時間開始の時差変更を経て、来週月曜日のイースター・マンデー (Easter Monday) まで春の復活祭のイースターホリデーの連休であるため、欧州や英国では空港混雑等を避けた早期休暇が始まり市場流動性が減っていたが、昨日の早朝に次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のクリストファー・ウォラー理事が、「まだ急ぐ必要はない (There’s Still No Rush) 」という題のスピーチで、「想定する米国利下げの回数を減らしたり、米国利下げを更に先送りしたりすることは適切」とタカ派発言をしたことに対して、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) の高官達には欧州利下げを示唆するハト派発言が相次いだことで欧米金利差が意識されて米国長期金利が4.229%付近に上昇し、欧州景気懸念の燻りもあって世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルが欧州ユーロに対して買われた影響が対ドルの円相場にも波及し、昨夜18時53分頃にドルは円相場で一時151円50銭付近に上昇したが、先日の三者会合を受けた日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の為替介入警戒感からは、早期の利益確定が入り始めて円相場が反発した。

そのため、昨夜21時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時151円37銭付近の始値であったが、昨夜21時30分には最新米国重要経済指標の昨年10〜12月四半期の米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) 確定値の発表があり、前期比年率は前回と市場予想の3.2%を上回る3.4%に上方修正され、同四半期の米国GDP個人消費の確定値も前期比年率が前回と市場予想の3.0%を上回る3.3%に上方修正されたほか、同時発表だった前週分の米国新規失業保険申請件数も前回の21.0万件と前回修正と市場予想の21.2万件に対し21.0万件と市場予想よりも良かったことを受けては、発表時の昨夜21時30分にドルも円相場で一時151円40銭付近に瞬時反発した。

しかし、同じく同時刻に発表された前四半期の米国コアPCE (Personal Consumption Expenditure / 個人消費支出) 確定値の前期比年率は、前回と市場予想の2.1%を下回る2.0%に下方修正されたほか、前週分の米国失業保険継続受給者数は前回の180.7万人と前回修正の179.5万人と市場予想の181.5万人よりも悪化した181.9万人であったことでは、早期の利益確定売りも相まってドルは円相場で反落を始めた。

連休を控えた短縮営業だった昨夜の米国ニューヨーク債券市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は先ほどの米国GDPが発表された頃には一時4.235%付近に上昇したが、昨夜22時頃には一時4.209%付近に急落したため、この時間のドルは円相場で一時151円16銭付近にまで売られたが、強弱が入り混じる米国経済指標であったことでは米国長期金利は一時4.22%台に反発したため、ドルも円相場で再び反発していた。

続いて、昨夜22時45分頃に発表された3月の米国シカゴ購買部協会景気指数も前回の44.0と市場予想の46.0を下回る41.4であったが、昨夜23時に発表された3月の米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値は前回と市場予想の76.5を上回る79.4と、最新米国経済指標には再び強弱が入り混じった。

一方で、先述の米国ニューヨーク債券市場では、連休前の利益確定や持ち高調整の後には、短縮営業時間後半の新四半期に向けた新ポジション形成需要が入り、米国債券価格上昇に伴う利回り低下が起きた影響で、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は一時4.18%台に向けて急落したため、債券利回りを受けた日米金利差縮小により、ドルは円相場で深夜24時39分頃に一時151円15銭付近の昨夜から今朝までの米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、時短の米国ニューヨーク債券市場では終盤に利益確定売りが入り、米国長期金利は終値時には4.205%と前日比で上昇して終えたことでは、日米金利差によるドルの買い戻しが入り始めた。

また、昨夜の米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500) と米国ナズダック平均 (NASDAQ Composite) が揃って上昇し、三指数とも前日比で小幅高の終値に向かっていたため、日米金利差拡大に加えて米国株価上昇時のブル・マーケット (Bull Market / 強気市場) 特有のリスク選好のリスクオン (Risk-on) でも低リスク通貨の円の利益確定売りによるドルの買い戻しが進んだほか、コモディティの商品先物市場で米国WTI (West Texas Intermediate) 原油価格が上昇したことも日本の貿易赤字リスク増加による低リスク通貨の円売り要因となり、午前4時13分頃にはドルは円相場で一時151円43銭付近の同米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、日本政府と日銀 (BoJ) の為替介入への警戒感があったことや、連休前の利益確定や持ち高調整の抵抗も混ざっていた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の151円15銭付近から、円の安値でドルの高値の151円43銭付近の値幅約28銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は151円38銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の151円33銭付近と比べて約5銭の小幅な円安ドル高をつけていた。

今朝8時30分には、日本の最新経済指標の発表があり、3月の東京都区部消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の生鮮食料品を除くコアな前年同月比は、前回の2.5%から市場予想通りの2.4%に低下したことでも、日銀の緩和的な金融環境の継続が意識された。

同時発表だった2月の日本の失業率は、前回と市場予想の2.4%に対し2.6%に増加しており、2月の日本の有効求人倍率も、前回と市場予想の1.27を下回る1.26で、今年の春の賃上げブームに先駆けて、一部企業で人員整理がされた可能性なども懸念材料になった。

一方で、続いて8時50分に発表された2月の日本小売業販売額の前年同月比は、前回の2.3%と前回修正の2.1%と市場予想の3.0%を上回る4.6%と好調で、2月の日本の既存店の百貨店・スーパー販売額の前年同月比も前回の3.3%を倍以上も上回る7.2%であった。

ただし、同時発表だった2月の日本鉱工業生産の速報値は、前月比が前回の-6.7%と市場予想の1.3%に対し-0.1%と、前回よりは大幅に改善されたものの市場予想には届かず、前年同月比では前回の-1.5%と市場予想の-2.7%を下回る-3.4%と弱かった。

今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場は平日営業であったが、今日は聖金曜日などの祝日で、朝のアジア・オセアニア市場のオーストラリアとニュージーランドとシンガポールと香港やインドが休場で、午後からの欧州と英国とスイスと今夜の米国市場も休場かつ、北米カナダや南米の一部のブラジルとメキシコと南アフリカなども休場であったため、世界市場全体の流動性の減少により、日本の春の年度末前の決算で多忙期でもある世界三大市場の中で唯一、イースターも通常営業の日本市場の値動きが今日は出やすくなっていた。

今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時151円44銭付近の始値であったが、今朝の日本のインフレ鈍化や国内雇用市場軟化の影響などもあり、日米金利差が意識された円売りドル買いが先行したことでは、今朝9時37分頃にドルは円相場で一時151円50銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、今朝も日本政府の鈴木俊一財務相が、最近の円安基調について、「行き過ぎた動きには、あらゆる手段を排除せず、適切に対応したい」と口先介入を繰り返しており、先日の三者会合後には為替介入への警戒感が高まっていたため、151円台後半を前にした為替介入警戒域を前にした早期の利益確定が入り始めて対ドルの円相場が反発したほか、日本の春の年度末の決算前の今朝の日本市場の仲値決済では、日本の輸出企業の円買いドル売りが優勢であったため、仲値決済時間の今朝9時55分頃に対ドル円相場は一時151円18銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

一方、今日の日本の東京株式市場では、昨日は大幅安になっていた日経平均株価が、今日は今朝までの米国主要株価上昇の影響もあって大幅に反発し、午後15時台に4万369円44銭の終値と前日比201円37銭高で大引けしたため、リスク選好のリスクオン市場では、低リスク通貨の円が売られて円相場でドルが反発した。

また、今夜この後には、最新米国重要経済指標の米国個人消費支出 (PCE) 物価指標である米国PCEデフレーターなどの発表イベントを控えていることに加えて、市場への影響力が大きい米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の要人発言予定も控えているため、今夜の米国市場は祝日休場予定ではあるものの、聖金曜日の市場流動性の減少により、少しの値動きでも大きな荒い値動きに拡張される可能性もあるイベントリスクへの対応のため、一部の海外投資系や国際的な金融機関ではパウエル議長同様の休日出勤などが報告されており、イベント前の利益確定と持ち高調整と様子見などが混在し、昨日のウォラー理事の発言にもあった米国利下げ時期が遅れる可能性が意識され、最近の米国のインフレ指標の上振れに警戒したドル買いも入っていたことでは、午後15時31分頃にドルは円相場で一時151円47銭付近に戻す抵抗も見せていた。

ただし、今夜19時には日本の外国為替平衡操作の実施状況の発表もあり、151円台後半を前にした為替介入警戒感による早期の利益確定売りで円相場は反発し、小幅ながらも前東京終値比では円高ドル安に傾いた今日の東京終値に向かった。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は151円33〜35銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の151円41〜42銭付近の前東京終値比では約8銭の小幅な円高ドル安になった。

今夜この後には、最新米国重要経済指標の発表予定と米国連邦準備制度理事会 (FRB) 総裁と高官の発言予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に2月の米国個人所得と 米国個人消費支出 (PCE) と米国PCEデフレーターと米国PCEコア・デフレーターと、2月の米国卸売在庫も同時発表されるイベント時間があり、続いて深夜24時15分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国サンフランシスコ連銀のデイリー総裁の発言予定、そして、深夜24時30分頃から同じくFOMC投票権を持ち市場影響力の大きいFRBのジェローム・パウエル議長の発言予定がある。

一方、欧州ユーロの円相場は、今夜17時の今日の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は162円95~96銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の163円50~52銭付近の前東京終値比で約55銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、前述の通り、日本の年度末や為替介入警戒による円買いの影響に加えて、欧州中央銀行 (ECB) 高官達の発言と欧州景気懸念により、米国よりも開始時期が早くなる可能性がある欧州利下げ予想が高まる中で、米国よりも長い今週金曜日から来週月曜日までのイースターホリデーで欧州ユーロには実需もないことなどが影響を及ぼしていた。

さらに、今日の夕方16時45分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の3月の仏消費者物価指数 (CPI) 速報値は、前月比が前回の0.9%と市場予想の0.5%に対し0.2%にインフレ鈍化し、前年同月比も前回の3.0%と市場予想の2.6%を下回る2.3%で、2月の仏卸売物価指数 (PPI / Producer Price Index) の前月比も前回の-1.3%と前回修正の-1.0%から-1.7%に低下し、2月の仏消費支出の前月比も市場予想以下であったため、欧州早期利下げ予想がさらに強まり、欧州ユーロは円相場だけでなく、対ドルでも下落した。

このため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0768〜1.0769ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0798〜1.0802ドル付近の前東京終値比では約0.30セントのユーロ安ドル高であった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は190円91〜97銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の190円92〜98銭付近の前東京終値比では約1銭の僅差の円高ポンド安であった。

主な要因は、為替介入警戒感を受けた低リスク通貨の円買いの影響は続いたものの、早期の欧州利下げ予想が高まる欧州ユーロや今夜のイベントリスクを控えたドルよりも、今日の日経平均株価上昇によるリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りでは、日英金利差や米国原油価格上昇時には産油国のカナダドルだけでなく北海油田を持つ英国ポンドなども買われていたため、英国市場は来週月曜日までイースターホリデーで実需はないものの、横ばいレンジ圏に近い僅差の円高ポンド安の今日の東京終値になっていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年3月29日の日本時間(JST)20時42分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時42分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、サマータイム制のある英国市場の英国夏時間 (BST / JST-8) への変更は今週末の3月最終日曜日の3月31日からであるが、米国市場では3月第二日曜日の3月10日から既に米国夏時間 (EDT / JST-13) になっており、日本市場や英国市場との時差が1時間変わっていることには注意が必要である。)

通貨ペア JST 20:42の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 151.34 〜 151.36 -0.07 (円高)
ユーロ/円 163.22 〜 163.27 -0.28 (円高)
ユーロ/ドル 1.0787 〜 1.0788 -0.0011 (ドル高)
英ポンド/円 190.83 〜 190.89 -0.09 (円高)
スイスフラン/円 167.78 〜 167.84 +0.67 (円安)
豪ドル/円 98.54 〜 98.58 +0.08 (円安)


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