FXニュース:米FRB議長利下げ急がず発言

2024年4月01日
FXニュース:米FRB議長利下げ急がず発言

 

東西FXニュース – 2024年4月1日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米PCE物価指数市場予想通り
  • 米景気背景のインフレ警戒感
  • 欧英復活祭連休と米連休明け
  • 欧年内1%利下げの可能性も
  • 昨日から英国夏時間BST開始
  • 日銀短観製造悪化非製造改善
  • 日経平均株価が大幅に再反落
  • 今週米ISMや雇用統計を控え

今日2024年4月1日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の151円43銭付近から、円の高値でドルの安値の151円25銭付近の値幅約18銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は151円33〜35銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の151円33〜35銭付近の前東京終値比で約0銭と同価格の横ばいレンジ圏であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、日本市場の前営業日にあたる先週金曜日は、英国ロンドン外国為替市場を始めとする欧米市場ではキリスト教の春の復活祭のイースター (Easter) 連休の始まりの聖金曜日のグッド・フライデー (Good Friday) で祝日休場であったが、日本市場を始めとする世界外国為替 (FX / Forex / Foreign Exchange) 市場の一部は開いており、米国ニューヨーク市場も米国株式市場や米国債券市場は祝日休場で全く取引はなかったが、多民族国家の自由の国の米国では州によって連邦祝日制度が異なることや休日出勤などがあり、先週金曜日の夜には最新米国重要経済指標の発表や、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ主要メンバーの中でも市場への影響力が大きく注目されていた米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の要人発言などがあり、先週末の米国ニューヨーク外国為替市場相当時間の世界FX市場外国為替市場の値動きが影響を及ぼしていた。

先週金曜日の夜21時頃の祝日の米国ニューヨーク外国為替市場相当時間の対ドル円相場の始値は一時151円35銭付近で、欧米市場が聖金曜日の祝日休場中であったため市場全体の流動性の減少により、やや横ばいに近い小動きがしばらく続いていた。

しかし、先週金曜日の夜21時30分に同時発表された最新米国経済指標の2月の米国個人所得の前月比は前回の1.0%と市場予想の0.4%を下回る0.3%で、2月の米国個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditure) の同月比は前回の0.2%と市場予想の0.5%を上回る0.8%に上昇したが、最新米国重要物価指標の2月の米国PCEデフレーターは前年同月比が前回の2.4%に対し市場予想通りの2.5%で、天候条件などで価格変動の激しい食品とエネルギー除き物価基調を見る2月の米国PCEコア・デフレーターも前月比が前回の0.4%と前回修正の0.5%に対し市場予想通りの0.3%で、前年同月比でも前回の2.8%と前回修正の2.9%に対し市場予想通りの2.8%と市場予想と一致したことからは、3月中旬に発表されていた2月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) や米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) などが市場予想を上振れしたことから、今回も予想比上振れへの警戒感などで買われていたドルが持ち高調整で売られた。

米国ニューヨーク債券市場や米国ニューヨーク株式市場とコモディティ市場などは祝日休場中で特に外国為替市場に波及するような影響力はなかったため、世界FX市場のトレンドがしばらく継続し、先週金曜日の夜23時21分頃にドルは円相場で一時151円17銭付近の先週末の米国市場相当時間の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、深夜24時30分頃からは、米国連邦公開市場委員会 (FRB) のジェローム・パウエル総裁の要人発言予定があったため、米国市場相当時間の市場安値圏からはタカ派発言への警戒でドルの買い戻しが入り始め、ドルは円相場で上昇トレンドに転換した。

深夜24時30分頃から米国サンフランシスコ連銀主催のイベントで始まった注目の米国連邦公開市場委員会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の発言内容は、「今日の米国PCEデフレーターは、我々の予想とほぼ一致」したものの、最近の米国景気影響のインフレ圧を考慮すると、「米国経済が非常に堅調なペースで成長し、米国労働市場も極めて強いという事実は、我々が米国利下げという重要な一歩を踏み出す前に、米国のインフレ率の低下について、もう少し確信を強めるための機会を持つようにさせる。もう少し確信を強めるため、あと2カ月程度の今後のデータを待ちたい」として、今後のデータ重視の慎重な姿勢を改めて示し、「米国利下げを急ぐ必要はない」と、タカ派寄りの発言もしていた。

先週には、同僚の米国連邦公開市場委員会 (FRB) のクリストファー・ウォラー理事が、「まだ急ぐ必要はない (There’s Still No Rush) 」というタイトルのスピーチで、「想定する米国利下げの回数を減らしたり、米国利下げを更に先送りしたりすることは適切」とタカ派発言をしていたことを市場は改めて意識したため、ドルは円相場で反発し、先週土曜日の午前3時59分頃から午前4時0分頃にかけて一時151円39銭付近の先週末の米国市場相当時間の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、イースターの連休の週末を控えた利益確定やポジション調整の抵抗が入り始めたことや、今週に「今後のデータ」である米国雇用統計などの重要データの発表イベント予定を控えていることなどからでは、始値と同じ151円35銭付近の同レベルに戻すという「往って来い」の終値に向かったため、先週金曜日の夜から土曜日の朝までの先週末の米国ニューヨーク外国為替市場相当時間の世界FX市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の151円17銭付近から、円の安値でドルの高値の151円39銭付近の値幅約22銭で、前ニューヨーク終値の151円38銭付近と比較すると、約3銭の小幅な円高ドル安をつけていた。

週が明けた今朝のアジア・オセアニア市場でも香港やオーストラリア、ニュージランドなどの一部市場が今日もイースターマンデー (Easter Monday) の連休で、日本市場の午後と市場時間が重なる英国や欧州市場も連休と、今夜から米国市場は開場予定であるものの、今日の日本時間の世界FX市場では、今日は日本市場の値動きの影響が出やすくなっていた。

今朝8時50分には、日本の最新重要経済指標でもある日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の今年の1〜3月四半期の全国企業短期経済観測調査 (日銀短観) の四半期大企業製造業業況判断 (DI) が発表され、品質不正問題による自動車生産の減少等の影響があり、前回の12より4期ぶりに悪化したが予想の10ほどではない11で、四半期大企業製造業先行きは前回の8よりは上昇したものの市場予想の11には届かない10であった。

一方、製造業に対して非製造業の方は堅調で、同1〜3月四半期日銀短観の四半期大企業非製造業業況判断 (DI) は、前回の30と市場予想の33を上回る34に8期連続で上昇し、1991年8月以来のおよそ33年ぶりの高水準なるなど堅調であったが、四半期大企業非製造業先行きの方は、前回の24よりは上昇したものの想定の30には届かない27であった。

また、同日銀短観の四半期大企業全産業設備投資は、前年度比が前回の13.5%と予想の9.2%を半分以下に下回る4.0%で、今回の日銀短観で全規模全産業の日本企業が想定している2024年度の為替レートは、ドル円が141円42銭、欧州ユーロ円が151円86銭の想定レートで、大規模製造業ではドル円が140円40銭と欧州ユーロ円が151円7銭の想定値となっていた。

今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時151円40銭付近で、先週末の米国市場での米国利下げを急がないという米国連邦準備制度理事会 (FRB) 議長達の発言を受けた日米金利差予想や、今夜から再開予定の米国市場に向けた日本企業の輸入実需のドル買いでは、瞬時に一時151円43銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、世界FX市場でも今朝8時47分頃にも同価格まで買われていたため、テクニカル分析的な「毛抜き天井」のダブルトップ (Double Top) の売りサインになり、今朝9時25分頃と今朝10時54分頃に同じくテクニカル分析的に相反的である「毛抜き底」のダブルボトム (Double Bottom) の買いサインになるまで、チャート上では日本市場時間のテクニカル分析のアルゴリズム売買などもあり、やや方向性の定まらない値動きを見せた。

なお、今朝10時45分には中国の3月の中国Caixin製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) が発表され、前回の50.9と市場予想の51.0を上回る51.1であった対ドルの外貨相場の影響も円相場に波及していた。

また、今夜から米国市場は連休明けとなるものの、午後からの欧州や英国市場がまだ連休であるため、日本市場の今朝の仲値決済でも輸出入に関する外貨実需がやや限られていたが、今日の今日は4月初めの新年度で様子見の値動きがある中でも、当面の間は日米金利差が拡大したままになるという市場予想からは対円のドルの買い戻しが入り始めた。

一方で、今日の東京株式市場ではイースター休暇の海外投資家達の株買いの勢いがないことや、日本でも新年度の買い控えの様子見などもあり、日経平均株価が一時660円以上も大幅に反落したため、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフでは国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われる抵抗もあった。

今日の午後15時台に今日の日経平均株価はやや下げ幅を縮めたものの、3万9803円9銭の終値をつけ、前営業日比で566円35銭安の大幅安で大引けしたため、午後からの欧州英国市場が休場で、日本市場の日米金利差予想のドル買いと、日本株価下落時のリスクオフの円買いが拮抗するような形になった。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は151円33〜35銭付近と、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の151円33〜35銭付近の前東京終値比では約0銭と同じ価格帯の横ばいレンジになった。

今夜この後には、連休明けの米国市場で最新米国重要経済指標を含む経済指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時45分に 3月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI) 改定値、今夜23時に重要経済指標の 3月の米国ISM (Institute for Supply Management) 製造業景況指数が発表される予定で、同時刻には 2月の米国建設支出も発表される予定で、今夜19時台の発表を控えた世界市場では市場予想などにより、前東京終値比でやや小幅な円安ドル高にも傾いている。

一方、欧州ユーロの円相場は、今夜17時の今日の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は163円23~24銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の162円95~96銭付近の前東京終値比で約28銭の円安ユーロ高であった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0784〜1.0786ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.0768〜1.0769ドル付近の前東京終値比では約0.16セントのユーロ高ドル安であった。

主な要因は、欧州現地はイースターホリデーで企業実需などはないものの、伝統的なキリスト教会などの建物の多く残る欧州では春の復活祭のイースターホリデーは観光シーズンで、観光などの旅行者や里帰りなどで外貨から欧州ユーロが買われるホリデー需要があった。

しかし、欧州中央銀行 (ECB) 高官達の発言と欧州景気懸念では、米国よりも欧州利下げの開始時期は早くなる可能性が市場で意識されているほか、昨日付の新聞では、欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーのギリシャ中銀のストゥルナラス総裁が年内4回の合計1%の欧州利下げを実施する可能性もあるという自身の見解をギリシャのプロト・テマ紙のインタビューで、「個人的には今年中に4回、各0.25%ずつの欧州利下げが可能と考えている」とハト派発言しており、「一部の同僚は、より懐疑的で、欧州利下げは、より緩やかであるべきだと考えている」とも言及していたが、米国よりもハト派の欧州利下げ予想は高まっている。

英国ポンドも、欧州ユーロ同様にイースターホリデーの人気の旅行時期の観光需要買いの影響などがあり、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は190円97銭〜191円3銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の190円91〜97銭付近の前東京終値比では約6銭の小幅な円安ポンド高であった。

ただし、今夜の東京終値後には、小幅域であったために低リスク通貨の円買いに対して、横ばいレンジ圏から小幅な円高ポンド安に市場反転なども見せながらの推移もしている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年4月1日の日本時間(JST)19時58分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日の3月31日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に+1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時58分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場では3月第二日曜日の3月10日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / JST-13) になっていたが、今回の変更で、EDTは英国冬のGMT-5から夏のGMT-4に変更された。)

通貨ペア JST 19:58の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 151.36 〜 151.37 +0.03 (円安)
ユーロ/円 163.17 〜 163.19 +0.22 (円安)
ユーロ/ドル 1.0779 〜 1.0781 +0.0011(ドル安)
英ポンド/円 190.86 〜 190.92 -0.05 (円高)
スイスフラン/円 167.80 〜 167.86 +0.05 (円安)
豪ドル/円 98.63 〜 98.67 +0.15 (円安)


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