FXニュース:米ADP雇用者数が想定以下

2023年8月31日
FXニュース:米ADP雇用者数が想定以下

 

東西FXニュース – 2023年8月31日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米GDPも市場予想を下回る
  • 今週の米重要経済指標控え
  • 欧インフレの高止まり傾向

今日2023年8月31日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の146円12銭前後から円の高値でドルの安値の145円71銭前後の値幅約41銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円90~92銭付近と、前営業日同時刻の昨夜17時の146円40~41銭付近の前東京終値比で約50銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜21時の欧州英国市場で発表された欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の8月の独消費者物価指数 (CPI) の速報値が前年同月比で前回の6.2%と市場予想の6.0%に対して6.1%と市場予想よりも鈍化し、前月比も前回と市場予想一致の0.3%と高止まりを見せたことや、他の欧州ユーロ圏のスペインなどでも欧州インフレの高止まりの傾向が観測されたことでは、欧州中央銀行 (ECB) 理事会のインフレ抑制のための利上げ継続予想が強まり、欧州長期金利が上昇し、日欧金利差拡大による円売りユーロ買いが先行したため、昨夜21時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場は、円相場でドルは市場高値圏の一時146円37銭付近から始まっていた。

しかし、昨夜21時15分に米国市場で発表された最新米国重要経済指標の8月の米国ADP雇用統計の前月比が、前回の32.4万人と前回修正の37.1万人と市場予想の19.5万人に対して17.7万人と前回を大幅に下回り、市場予想以下であったことから、堅調な米国雇用市場を背景とした米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国利上げ長期化予想が減退し、米国長期金利の低下に伴う日米金利差縮小時の円買いドル売りに転じた。

続いて、昨夜21時半に発表された最新米国重要経済指標の4〜6月の第2四半期の米国実質国内総生産 (GDP) の改定値も、前期比年率が前回と市場予想の2.4%に対し2.1%に低下し、同四半期の米国GDP個人消費の改定値の前期比年率も前回の1.6%と市場予想の1.8%に対し1.7%と市場予想に届かず、米国コア個人消費支出 (PCE) の改定値の前期比年率も前回と市場予想の3.8%に対し3.7%の市場予想以下であったことで、米国景気懸念も米国利上げに対する抵抗要因であったため、対ドルの円相場はさらに大きく反発し、米国利上げ長期化予想の後退とは対照的に欧州利上げ予想が強まっていたユーロ買いに対するドル売りや、主要通貨に対するドル売りも相まって、発表時の昨夜21時半頃にドルは円相場で一時145円55銭付近に急落した。

ただし、同時進行中の米国ニューヨーク株式市場では、米国政策金利上昇への警戒感の緩和などから米国主要株価三指数が続伸し、強気市場 (ブル・マーケット) のリスク選好ムードになったことでは、リスクオンで低リスク通貨の円が売られた抵抗が入り、投資実需などもあり、一時急落後のドルの買い戻しも始まった。

また、続いての昨夜23時に発表された最新米国経済指標の7月の米国住宅販売保留指数は、前年同月比が前回の-14.8%と前回修正の-14.7%と市場予想の-15.7%に対し-13.8%に上昇し、前月比でも前回の0.3%と前回修正の0.4%と市場予想の-1.0%に対し0.9%と、いずれも市場予想を上回ったこともドルの買い戻しの一因となり、ドルは円相場で146円台前半に向けて戻していった。

さらに、米国ニューヨーク外国為替市場の終盤の今朝5時55分頃には、前述の日欧金利差拡大による円売りユーロ売りが継続した影響もあり、ユーロ円が一時159円76銭付近の2008年8月以来のおよそ15年ぶりの円安ユーロ高を記録したため、他の主要通貨である対ドルの円相場にも影響が波及していた。

米国市場では、明日の金曜の夜に米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長も重視することで知られている市場注目度の高い最新データの米国雇用統計の発表予定のイベントを控えており、今夜この後にも、最新米国重要経済指標の7月個人消費支出 (PCE) コア・デフレーターなどの発表予定を控えているために、イベント前の持ち高調整や結果が分かるまでの様子見の値動きなども混ざっていた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の146円37銭前後から円の高値でドルの安値の145円55銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を146円24銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約36銭の円安ドル高をつけていた。

今朝8時50分には日本の最新経済指標が発表され、 7月の鉱工業生産は前月比と前月同月比ともに市場予想以下で前回のプラス圏からマイナス圏に転じていたが、同時発表だった7月の小売業販売額の前年同月比は前回の5.9%と前回修正の5.6%と市場予想の5.4%に対し6.8%に上昇し、7月の百貨店・スーパー販売額も前回の4.1%に対し5.5%に上昇し、前週分の対外対内証券売買契約等の状況も増加し、日本景気好感による円買いも入り始めた。

今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場でも、昨夜発表の最新米国経済指標のADPとGDPが市場予想を下回ったことから、米国追加利上げ予想が後退し、米国長期金利が低下していたことを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りが入ったため、今朝9時6分頃の一時146円12銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となり、対ドルの円相場が上昇を始めた。

また、今日は月末の日本市場の仲値決済でも、日本企業の売買が交錯していたものの、月末決済のための円の買い戻しも強まり、対ドルの円相場が上昇し、145円台後半に向かった。

日本市場と時間帯が近いアジア市場では、今朝10時半に中国の最新経済指標の8月の中国製造業購買担当者景気指数 (PMI) が発表され、前回の49.3と市場予想の49.4に対し49.7と、前回と市場予想以上であったことでは、好景気と不景気のボーダーラインの50をやや下回っているとはいえ、アジアの景気懸念の緩和からアジア通貨でもある円が買われやすくなり、今朝に今年最大の円安ユーロ高を記録後の高値後の欧州ユーロの利益確定売りなどで、低リスク通貨の円が買われる値動きも出ていた。

ただし、今朝までの米国株式市場の影響もあり、今日は日本の東京株式市場でも日経平均株価 (Nikkei 225 / JP225) が大幅に上昇したことでは、リスクオンの低リスク通貨の円売りでドルが円相場で昼頃から反発し、午後15時15分に今日の日経平均株価が3万2619円34銭の終値をつけて、前日比285円88銭高の大幅高で大引けしたことでは、欧州英国市場の参入も始まった午後15時58分頃に、ドルは円相場で再び146円4銭付近に戻していた。

しかし、ドル円の146円台からは、今夜この後や今週に最新米国重要経済指標の発表予定のイベントの数々を控えたドルには利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入り始めたことや、時間外の米国債券市場で米国長期金利の指標となる米10年債の利回りが低下しているほか、ハト派で知られる米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国アトランタ連銀のボスティック総裁が、「過度な金融引き締めは、無用な害を及ぼす」とハト派発言を再開したことなどの影響を受けて、午後16時33分頃に一時145円71銭付近の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、ボスティック総裁は次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) では、投票権は持っていないこともあり、やや買い戻しも混ざった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は145円90~92銭付近で、昨夜17時の146円40~41銭付近の前東京終値比では約50銭の円高ドル安になった。

今夜この後にも最新米国経済指標の発表予定などが続き、日本時間の経済市場カレンダーでは、今夜20時半に8月の米国チャレンジャー人員削減数、21時半に重要度の高い7月の米国個人所得と米国個人消費支出 (PCE)とPCEデフレーターおよびPCEコアデフレーター、同時刻に前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数、22時に米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国ボストン連銀のコリンズ総裁の発言予定、22時45分に 8月の米国シカゴ購買部協会景気指数、23時半に週間の米国天然ガス貯蔵などの発表予定がある。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は158円91~94銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時158円94~95銭付近の前東京終値比でやや横ばいに近い約3銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、今朝に2008年以来の今年最大の円安ユーロ高を記録後の高値のユーロには、今日の日本市場では利益確定売りの抵抗が強まったことなどが影響を及ぼした。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0890~1.0892ドル付近と、昨夜17時の1.0855~1.0857ドル付近の前東京終値比で約0.35セントのユーロ高ドル安だった。

主な原因は、欧州利上げ継続予想に対し、昨夜の米国経済指標を受けた米国追加利上げ予想の後退による欧米金利差予想が影響を及ぼしていた。

ただし、今日の午後の欧州市場では、ドイツの最新経済指標の7月の独小売売上高の前月比が低下したことや8月のドイツの失業者数が前月比で増加するなど、欧州消費者物価指数 (CPI) や8月の欧州消費者物価指数 (HICP) 速報値などが示す欧州インフレ高止まり傾向の傍らで、欧州景気懸念もあり、欧州ユーロ圏主要国のドイツの独長期金利が低下して始まったことや、欧州中央銀行 (ECB) のシュナーベル専務理事が、「欧州ユーロ圏の先行きは、依然として極めて不透明」と発言したことなどで、ドルに対してユーロが売られた抵抗の時間もあった。

今夜20時半頃には、 欧州中央銀行 (ECB) 理事会議事要旨の発表予定も控えている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は185円42~48銭付近と、昨夜17時の185円2~8銭付近の前東京終値比で約40銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、近隣の欧州周辺のインフレ高止まり傾向から、英国も利上げ継続予想が強まっており、日英金利差拡大予想による円売りドル買いの影響が見られた。

ただし、欧州同様にインフレの影響による英国景気懸念もあり、今夜19時台の英国ロンドン外国為替市場では、前日比で横ばいレンジ圏から小幅な円高ポンド安にも転じている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年8月31日の日本時間(JST)19時28分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時28分) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:28の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 145.88 〜 145.90 −0.52 (円高)
ユーロ/円 158.57 〜 158.59 −0.37 (円高)
ユーロ/ドル 1.0868 〜 1.0870 +0.0013 (ドル安)
英ポンド/円 185.00 〜 185.06 −0.02 (円高)
スイスフラン/円 165.48 〜 165.54 −0.92 (円高)
豪ドル/円 94.34 〜 94.38 −0.28 (円高)


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