FXニュース:米長期金利低下で円高ドル安

2023年7月11日
FXニュース:米長期金利低下で円高ドル安

 

東西FXニュース – 2023年07月11日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米消費者物価指数控えた調整
  • イベントリスクの米国債買い
  • 米インフレに鈍化の市場予想
  • 米FRB高官達の発言も相次ぐ

今日2023年7月11日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値141円46銭前後から円の高値でドルの安値140円42銭前後の値幅約1円4銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は140円51~52銭付近と、前日同時刻の前東京終値比では約1円78銭の大幅な円高ドル安であった。

また、今夜19時台の英国ロンドン外国為替市場では、さらに円高ドル安が進行している。

今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、日本時間で昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、明日6月12日の夜に発表予定の米国連邦準備制度理事会 (FRB) が金融政策の決定時に重視する最新米国重要経済指標の6月の米国消費者物価指数 (CPI) 発表イベントを控えた持ち高調整が優勢で、先週末に大規模な売りが出て4%台に乗せた後の安全資産の米国債にイベント前のポジション調整の買いが強まり、米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りが一時4.08%台から3.98%台に急落し、米国長期金利低下による日米金利差縮小時の円買いドル売りが勢いを増した。

昨夜23時に発表された5月の米国卸売売上高の前月比が、前回の0.2%と前回下方修正の0.0%と市場予想の0.6%に対し-0.2%に大幅に低下したことも、米国景気懸念は米国利上げ長期化の抵抗要因になることも意識されたドル売りなどもあった。

また、米国ニューヨーク連銀が最新の6月の米国消費者調査の期待インフレ率を発表し、1年先の米国期待インフレ率が3カ月連続で続落し、前月の5月調査時の4.07%から3.83%に低下し、2021年4月以来の低水準になったことを国際ニュース通信社のロイター (Reuters) などが報道したことで、米国のインフレ抑制のための米国利上げ長期化予想がやや減退し、他の利上げ方向の主要通貨に対するドル売りも強まった。

米国ニューヨーク連銀の最新調査の短期インフレ期待の低下の原因は、原油価格の低下が主な要因と考えられていたが、6月の米国中古車価格も前月比で4.2%下落し、パンデミック直後の2020年4月以来の最大の低下率を示したことで、明日の夜の米国消費者物価指数 (CPI) の発表イベントを前にした米国インフレ鈍化の市場予想が高まり、投資家達がイベント前のリスク回避で安全資産の米国債買いを進めたことで、米国債券価格は上昇する一方で利回りは低下し、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が大幅な低下を示した影響で、日米金利差縮小時の円買いドル売りに加えて、欧州長期金利上昇のユーロや英国の高インフレ継続で英国利上げ継続予想のポンドなどの主要通貨に対するドル売りが起きた。

さらに、米国ダウ・ジョーンズ経済通信 (Dow Jones & Company, Inc.) の市場予想調査でも、明日の米国消費者物価指数 (CPI) の食品とエネルギーを除くコア指数の前年同月比の市場予想値が、前月の5.3%増から5.0%増に鈍化する市場予想が優勢と伝えられたことで、もし明日の米国消費者物価指数 (CPI) コア指数が鈍化を示した場合には、「最新のデータ次第でライブで決める」と米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長が前回の米国公開市場委員会 (FOMC) の後の会見で語っていた今後の米国利上げが、再び見送りや終了に向かう可能性もあるため、イベント前のポジション調整のドル売り円買いが強まった。

今朝未明4時に発表された最新米国経済指標の5月の米国消費者信用残高の前月比は、前回の230.1億ドルと前回修正の203.2億ドルと市場予想の210.0億ドルに対し72.4億ドルと想定外の大幅な減少を示し、金利上昇の影響が指摘されていた。

今朝4時過ぎには、先週末に記録した市場安値の142円7銭付近と、テクニカル分析の一目均衡表基準線があった141円92銭付近のラインを下抜けて、一時141円28銭付近の米国市場および昨日の日通しのドルの安値で円の高値へとドルが円相場で下落した。

ただし、前述の米国ニューヨーク連銀の6月の米国消費者調査では、5年先の長期の方の米国期待インフレ率は2.74%から2.99%に上昇しており、1年先の短期の米国期待インフレ期待とは対照的に3カ月連続で上昇し、昨年3月の3%台以降の高水準になっており、米国連邦準備制度理事会 (FRB) も短期インフレ期待率は原油価格の影響が大きいことを認識しているとの専門家の指摘もあり、米国に長期インフレ期待率の上昇は、米国利上げ長期化予想によるドル売りの抵抗要因になった。

前回の東西FXニュースでもお伝えしていた通り、昨夜から今朝にかけては米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言も相次ぎ、米国サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は、米国のインフレ率を物価上昇率目標の2%にするためには、「年内あと2回の利上げが必要となる公算が大きい」と発言し、米国クリーブランド連銀のメスター総裁も、「インフレ率を下げるには、追加の金融引き締めが必要」と米国利上げへのタカ派発言をしたが、いずれも前提条件として、物価指標が示す米国の高インフレの抑制が条件であることが意識された。

また、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のバー副議長は、「米国金利は適切な水準に近づいて来ているものの、まだ幾分やるべきことがある」などと、ややハト派混じりではあるものの、追加利上げを示唆する発言が相次いだことでは、安値からのドルの買い戻しの抵抗も混ざった。

しかし、その一方で、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国アトランタ連銀のボスティック総裁は、「追加利上げをしなくても、物価上昇は十分、縮小する可能性がある」とハト派の発言をしたことでは、市場でのドルの買い戻しは、持ち高調整とイベント前の買い控えや様子見の動きの中では限定的なものになった。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値142円51銭前後から円の高値でドルの安値141円28銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を141円31銭付近の前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約90銭の円高ドル安でつけていた。

また、米国ニューヨーク債券市場では、米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りの終値は4.00%付近になり、前営業日同時刻の前終値比で約0.07%の低下となった。

今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、明日の夜の6月の米国消費者物価指数 (CPI) 発表イベントを前にした持ち高調整の世界市場トレンドが継続し、今月になってから上昇傾向が続いていた米国長期金利が低下に転じたことを受けて、日米金利差縮小時の円買いドル売りが優勢になった。

ただし、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需の円売りドル買いもあったため、今朝9時11分頃の一時141円46銭付近が今日の日本市場での円の安値でドルの高値となった。

しかし、米国インフレ鈍化の市場予想を受けた日米金利差縮小予想の円買いドル売りや、イベントリスクのドルの主要通貨に対するロングポジションの利益確定や持ち高調整や、結果が分かるまでのドルの買い控えなども入ったことで、主要通貨に対して全般的にドルが下落したことも、今日の円相場に円高ドル安圧として影響が波及しており、9時55分の仲値決済の後には、円相場でドルが再び下落を続けた。

今日は米国長期金利低下により、円に対してだけでなく、ユーロなどの他の主要通貨に対してもイベントリスクのドルが売られていた。

今日は日経平均株価の続落がストップし、午後15時15分に3万2203円57銭の前日比13円84高の小幅高で大引けしたことでは、日本の株式市場からの為替相場への影響は限定的であった。

しかし、午後からの欧州英国市場の参入では、米国長期金利低下時のドル売りに加えて、明日の夜の米国消費者物価指数 (CPI) 発表イベント前に米国インフレ鈍化の市場予想が優勢になっていることから、イベントリスクのドルには持ち高調整の売りが継続し、午後16時48分頃には一時140円42銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は140円51~52銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1円78銭の大幅な円高ドル安になった。

明日の夜21時半に最新米国重要経済指標の米国消費者物価指数 (CPI) 発表予定の大イベントを控えているドルには、今夜この後には特に注目度の高い経済指標の発表予定はないものの、今夜この後の日本時間26時には、米国3年債の入札予定があり、最近の米国債の利回りの動向が、ドルの為替相場に影響を及ぼしている傾向からはやや注意が必要である。

また、明日12日の水曜の夜の米国消費者物価指数 (CPI) 発表の後にも、明後日の13日の木曜に米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI) の発表予定が控えており、今月7月25〜26日開催予定の次回の米国公開市場委員会 (FOMC) で今後の米国金融政策を決めるための注目の最新データの発表予定が続いている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は154円66~67銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1円22銭の大幅な円高ユーロ安であった。

主な要因は、今日のドルに対する日米金利差縮小時の大幅な円高ドル安が、他の主要通貨であるユーロなどに対しても、円高として影響が波及した。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.1006〜1.1008ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.51セントのユーロ高ドル安だった。

主な原因は、米国長期金利低下時の欧州長期金利上昇の欧米金利差によるユーロ買いドル売りが影響を及ぼしたほか、前述のドル円のドル安も他の主要通貨に対して波及していた。

今日の午後15時に発表された最新欧州経済指標の欧州ユーロ圏主要国のドイツの6月の独消費者物価指数 (CPI) の改定値は、前年同月比と同月比ともに前回と市場予想一致の横ばいで、欧州のインフレ高止まりを示していた。

ただし、18時に発表された7月のZEW景況感調査は、欧州ユーロ圏総合が前回の-10.0に対し-12.2に低下し、ドイツの7月の独ZEW景況感調査の期待指数も前回の-8.5と市場予想の-10.5に対し-14.7に低下したことでは、欧州景気懸念も浮上していた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は180円88~94銭付近で、昨夜17時の182円32〜38銭付近の前東京終値比では約1円44銭の大幅な円高ポンド安であった。

主な原因は、今日の午後15時に発表された最新英国経済指標の英国雇用統計で、6月の英国失業率が前回の3.9%から4.0%に悪化し、6月の英国失業保険申請件数も前回の-1.36万件と前回下方修正の-2.25万件に対し2.57万件に悪化したことで、高インフレの英国に景気懸念が浮上し、低リスク通貨の円に対してポンドが売られた。同時発表のILO方式の5月の英国失業率も、前回と市場予想の3.8%に対し4.0%に悪化していた。

また、今日の対ドルでの大幅な円高ドル安の他の主要通貨への影響の波及もあり、英ポンドに対しても円相場は大幅な円高ポンド安で今日の日本市場の終値をつけていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年7月11日の日本時間(JST)19時18分(チャートの時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時18分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:18の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 140.31 ~ 140.33 -1.98 (円高)
ユーロ/円 154.46 ~ 154.48 -1.42 (円高)
ユーロ/ドル 1.1007 ~ 1.1009 +0.0052 (ドル安)
英ポンド/円 181.20 ~ 181.26 -1.12 (円高)
スイスフラン/円 159.11 ~ 159.17 -0.67 (円高)
豪ドル/円 93.67 ~ 93.71 -0.95 (円高)


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