FXニュース:今夜最新5月米雇用統計発表控え

2023年6月02日
FXニュース:今夜最新5月米雇用統計発表控え

 

東西FXニュース – 2023年06月02日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米経済指標でインフレ懸念後退
  • 米利上げ見送り予想の調整続く
  • 米連邦債務上限停止法案が可決
  • 今日の日経平均株価が大幅上昇
  • 欧ECBラガルド総裁タカ派発言
  • 英インフレ継続でポンドが続伸

今日2023年6月2日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値139円6銭前後から高値138円60銭前後の値幅約46銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は139円5~6銭付近と、前日同時刻の前東京終値比で約86銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動き要因と世界FX市場のトレンド動向はまず、日本時間で昨夜から今朝までの米国ニューヨーク (NY) 外国為替市場では、昨夜21時15分に発表された最新米国経済指標の5月米国ADP全米雇用統計の前月比が市場予想の17.0万人以上の27.8万人であったことでは景気好感によるドル買いが先行し、発表時に一時139円88銭付近の米国市場での円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、同時発表の5月ADP全米雇用報告で賃金上昇率が鈍化したことや、前米国市場で米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェファーソン理事が次回利上げ見送り予想の原因になる発言をしていたことに加えて、米国フィラデルフィア連銀のハーカー総裁が、「米国政策金利を大幅に引き上げる必要はないかもしれない」とハト派発言をしたことなどを受け、今月13~14日に予定されている次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の利上げ見送り予想が強まり、米国長期金利が低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りが優勢に転じた。

続いて昨夜21時半に発表された前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数は市場予想以下で、同時発表の1~3月の四半期の米国非農業部門労働生産性指数の改定値は前回の-2.7%と市場予想の-2.5%に対し-2.1%であったものの、単位労働コストが速報値から下方修正されたことでは、米国賃金インフレの鈍化が観測され、米国利上げ見送り予想による日米金利差縮小による円買いドル売りが継続した。

さらに、昨夜22時45分に発表された5月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI) は前回と市場予想一致の48.5に対して48.4に小幅に低下し、昨夜23時に発表された5月の米国サプライマネジメント協会 (ISM) 製造業景況感指数も前回の47.1と市場予想の47.0に対し46.9と市場予想以下であったことに加えて、個別項目のインフレ関連の価格指数が前回4月の53.2から44.2に大幅に低下したことで、米国インフレ圧の鈍化により次回の米国利上げ見送り予想がさらに強まり、また、一部で米国利上げ停止予想も浮上してきたことから、日米金利差縮小予想の円買いドル売りが勢いを増し、ドルは円相場で一時138円45銭付近の米国市場での円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、米国ニューヨーク債券市場では、米国連邦債務上限問題の米国上下院の可決に向けてデフォルト回避の安堵感から米国株式市場ではリスクオンで安全資産の米国債や低リスク通貨の円が売られる機会もあり、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が低下幅を一時的に縮めたため、ドルの安値圏からはドル買いの抵抗も入り、一時139円6銭付近に反発した。

しかし、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が、今月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で利上げ見送りをする可能性の市場予想の高まりから米国長期金利には低下時の影響が残り、米国長期金利は3.59%の前日比で0.05%の低下で米国債券市場の終値をつけたほか、米国の金融政策の影響をより受けやすいと考えられている米国2年債の利回りも低下していたため、FX市場では日米金利差縮小時の円買いドル売りが継続し、7月の追加利上げの可能性は残るものの、138円台後半付近で推移した。

米国政策金利の市場予想値を示すことで有名な「フェッドウォッチ」 (CME FedWatch Tool) では、次回の米国利上げ見送り予想率が、確定値と考えられている70%を超えたことも影響を及ぼした。前市場ではまだ60%台で、確定値超えでは持ち高調整が強まった。今日の現時点でも、次回の米国利上げ見送り予想が75%、利上げ継続予想が25%である。

また、同時進行だった米国コモディティ市場では、WTI原油先物価格が一時4%以上も高騰したことを受けて、主要通貨に対して北米の資源国通貨のカナダドルが買われたことで、ドルや円などが売られた影響なども出ていた。

米国市場では、今夜この後の翌米国市場で米国連邦準備制度理事会 (FRB) が注視する最新重要米国経済指標の米国雇用統計の発表を控えており、イベント前の持ち高調整や、イベントリスクのドルの買い控えや様子見などの値動きが混じり始めたことでは、市場終盤の今朝早朝には横ばいに近い値動きも増えた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は円の高値138円45銭前後から安値139円88銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を138円80銭付近の前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約54銭の円高ドル安でつけていた。

今朝時8時50分には日本の最新経済指標の5月マネタリーベースの前年同月比が発表され、前回の-1.7%に対し-1.1%であった。

今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場でも、米国トレンドを受けた次回の米国利上げ見送り予想による日米金利差縮小による円買いドル売りが先行した。

ただし、今朝9時55分頃の仲値決済に向けては、138円台では日本企業の輸入実需による円売りドル買い注文が入りやすく、今朝10時8分頃には一時139円5銭付近を記録した。

また、今日の昼前には米国連邦議会の上院が、下院に続いて米国政府の米国連邦債務上限を一時停止する財政責任法案を可決したことがニュースになり、米国のデフォルト懸念が緩和されていた。

しかし、日本市場でのドルの高値圏からは輸出企業の円買いドル売りや、投資系などを中心に、次回の米国利上げ見送り予想の市場予想の確定値超えが要因となり、米国長期金利低下時の日米金利差縮小による円買いドル売りが再び入り、昼の12時20分頃には一時138円60銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、日本時間の午後の時間外の米国債券取引では米国長期金利の低下が収まってきたことでは安値圏からのドルの買い戻しも入り始め、また今日の日経平均株価が午後15時台に前日比の大幅高で大引けしたことも低リスク通貨の円売りに影響を及ぼし、139円台に反発し、午後からの欧州英国市場の参入でも、今夜この後に発表予定の最新米国重要経済指標の米国雇用統計に注目が集まり、イベント前の持ち高調整や様子見の値動きが混ざった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は139円5~6銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値であったが、ドルはそれまでの日米金利差縮小時の円相場での下げ幅が大きかったため、昨日17時の前東京終値比では約86銭の円高ドル安になった。

今夜この後には、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が金融政策を決める上で重視している最新重要経済指標の5月の米国雇用統計の非農業部門雇用者数変化、失業率、製造業雇用者数、平均時給などが日本時間の今夜21時半に発表される予定で、今夜の米国市場での世界的に注目のイベントになっており、結果次第では為替相場の値動きの影響に加えて、今後の米国の金融政策にも影響を与える可能性があると考えられているため、イベント時の値動きには注意が必要である。

米国経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル (WSJ) 」から毎回の様にパウエル議長の記者会見に最前列付近に出席して質問をしているフェッド (FED) ウォッチャーのニック・ティミラオス記者は、今夜の米国雇用統計が「好調」な場合を除き、今月6月の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で米国利上げ見送りの可能性があると指摘していた。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は149円63~64銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約34銭の円安ユーロ高であった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0759~1.0761ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比では約0.89セントのユーロ高ドル安であった。

円やドルに対する今日のユーロ高の主な原因は、昨夜の欧州市場で欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁が、「欧州ユーロ圏のインフレ率は、依然高すぎる」、「欧州のインフレ率が2%の目標に回帰できる確信が持てるまでは、利上げサイクルを継続する必要がある」というタカ派発言をしたというニュースが伝わり、欧州利上げ継続予想が強まり、ユーロ買いに対する円売りやドル売りが優勢になった。

また、昨夜の欧米株式市場では欧州株価が上昇してリスクオンになっており安全資産のドルや低リスク通貨の円に対するユーロ買いがあったほか、今日の日本市場でも日経株価大幅上昇時のリスクオンの低リスク通貨の円売りで、ユーロや英国ポンドなども買われていた。

ただし、今日の午後のニュースでは、欧州中央銀行 (ECB) のパネッタ専務理事がフランスの新聞に対して、「欧州利上げサイクルの終点には到達していないものの、さほど遠くはない」というややハト派寄りの意見もあった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は174円13~19銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約28銭の円安ポンド高であった。

主な原因は、英国インフレ継続による英国利上げ継続予想の日英金利差拡大予想に加えて、次回の利上げ見送り予想が優勢になったドルに対しても、昨夜の英国ロンドン外国為替市場で英国ポンドが大幅に上昇した影響なども波及しており、昨夜から今朝までの米国市場でも、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスが、一時103.50と5月24日以来の安値を記録した際には、ポンドドルも影響を及ぼしていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年6月2日の日本時間(JST)19時11分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時11分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:11の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 138.76 ~ 138.78 -1.15 (円高)
ユーロ/円 149.46 ~ 149.47 +0.17 (円安)
ユーロ/ドル 1.0769 ~ 1.0771 +0.0099 (ドル安)
英ポンド/円 173.98 ~ 174.04 +0.13 (円安)
スイスフラン/円 153.27 ~ 153.33 +0.03 (円安)
豪ドル/円 92.03 ~ 92.07 +0.80 (円安)


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