FXニュース:最新米雇用統計で日米金利差拡大

2023年6月05日
FXニュース:最新米雇用統計で日米金利差拡大

 

東西FXニュース – 2023年06月05日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 非農業部門の雇用者数が大幅増加
  • 平均時給と失業率は市場予想以下
  • 米FRBの7月利上げ予想が強まる
  • 米債務上限停止法可決リスクオン
  • 日米株高時の低リスク通貨円売り
  • 日経平均が1990年以来の株高に

今日2023年6月5日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値140円44銭前後から高値139円98銭前後の値幅約46銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は140円40~42銭付近と、前営業日同時刻の前東京終値比で約1円41銭の大幅な円安ドル高であった。直後の英国ロンドン外国為替市場では、一時140円45銭付近も記録した。

今日の為替相場の値動き要因と世界FX市場のトレンド動向はまず、日本時間で先週金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク (NY) 外国為替市場で金曜の夜21時半に発表された米国連邦準備制度理事会 (FRB) も重視する最新米国重要経済指標の米国雇用統計の5月の米国非農業部門雇用者数変化の前月比が、前回の25.3万人と前回修正の29.4万人と市場予想の19.0万人に対し33.9万人に大幅増加したことを受けて米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いが優勢になった。

5月の米国平均時給の前月比は市場予想通りの0.3%の増加で、前年同月比では市場予想の4.4%に対し4.3%と僅かに届かず、5月の米国失業率は前回の3.4%と市場予想の3.5%に対し3.7%と強弱入り混じったものの、それまでに発表されていた米国雇用動態調査 (JOLTS) やADP全米雇用報告なども合わせて、堅調な米国労働市場を背景とした米国連邦準備制度理事会の利上げ長期化予想が高まり、今月6月13〜14日に開催予定の来週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で市場予想で優勢の米国利上げのスキップ (見送り) が起きても、来月7月に米国利上げ長期化の可能性が増えたことなどから、米国金融政策の影響を受けやすいと考えられている米国中期債の利回りも米国長期債の利回りと共に上昇し、米国中長期金利上昇に伴うドル買いが主要通貨に対して起き、円相場でもドルが上昇した。

米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF) 先物から市場予想値を示すことで有名なシカゴ・マーカンタイル取引所 (CME) グループのフェドウォッチ・ツール (FedWatch Tool) では、米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の今月6月14日発表予定の米国利上げ見送り予想値は確定値超えの81.1%付近で変動中であるが、来月7月26日発表予定の米利上げ予想が高まり、7月の0.25%の追加利上げの予想率が54.5%付近に上昇し、7月の0.50%の大幅利上げ予想率も一時20%付近に上昇して変動中で、現在も10.5%付近と、米国利上げスキップ後の利上げ長期化予想による一部の日米金利差拡大予想の円売りドル買いも起きていた。

また、同時進行だった米国ニューヨーク株式市場では、先週の米国連邦債務上限停止法案の米国上院と下院での可決後のデフォルト回避の安堵感からリスクオンの株買いで米国ダウ平均株価指数 (DJI) が一時740ドル超と大幅に上昇したことなどでも、安全資産の米国債売りによる日米金利差拡大で低リスク通貨の円売りドル買いが強まり、先週土曜の午前3時過ぎにドルは円相場で一時140円7銭付近の米国市場での円の安値でドルの高値を記録した。

そのため、先週末の金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は円の高値138円74銭前後から安値140円7銭前後の値動きで、先週土曜の朝6時頃のニューヨーク終値を139円95銭付近の前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約1円15銭の大幅な円安ドル高でつけていた。

週が明け、今朝早朝の世界市場では、オセアニア市場のニュージーランドのウェリントン市場は国王誕生日の祝日休場であったものの、オーストラリアやアジア市場の早朝などを中心に、先週末の米国トレンドを受けた米国中長期金利上昇による日米金利差拡大の円売りドル買いや主要通貨に対するドル買いの影響が継続し、今朝8時42分頃と44分頃に一時140円24銭付近を記録し、ドルは円相場で先週末のニューヨーク市場高値を今朝更新した。

今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場では、高値更新後のドルの利益確定売りから始まったものの、再び米国トレンドを受けた日米金利差拡大による円売りドル買いや日米株価上昇時の低リスク通貨の円売りも入ったため、今朝9時33分頃には一時140円26銭付近の今朝のオセアニア市場時間の円の安値でドルの高値の記録をさらに更新した。

今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、今日は日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10の付く日の五十日であったため、国内輸出企業の円買いドル売りと輸入実需の円売りドル買いが交錯し、140円台の推移では投資系などの高値のドルの利益確定売りの抵抗が入り、14時台には一時139円98銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、先週末の米国株価上昇の影響もあり、今日は日本の株式市場でも日経平均株価が3万2000円を超える1990年7月以来の記録的な株高でリスク選好のリスクオン市場になり、午後15時台に今日の日経平均株価は3万2217円43銭の前営業日比で693円21銭高の2.20%の大幅上昇で大引けしたこともあり、低リスク通貨の円が売られて円相場が下落し、午後からの欧州英国市場の参入も相まって、16時20分頃には今日の日本市場時間の円の安値でドルの高値の140円44銭付近を記録した。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は140円40~42銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約1円41銭の大幅な円安ドル高になった。

また、直後の欧州英国市場では、今夜17時2〜4分頃にかけてドル円は一時140円45銭付近の今日の世界市場の円安ドル高記録を更新したが、数分かけても上抜けをしない高止まり感や、米国長期金利の上昇トレンドに一服感が出てきたことなどから、高値のドルの利益確定売りも入り始めたが、19時台になっても140円台前半での推移を続けている。

今夜この後にもFXの為替相場に影響を与える可能性のある最新米国経済指標の発表予定や、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定があり、日本時間での今夜のスケジュールは、22時45分に5月の総合部門とサービス部門の米国購買担当者景気指数 (PMI) の改定値、23時に4月の米国製造業新規受注と5月の米国サプライマネジメント協会 (ISM) 非製造業景況指数、26時半頃から米国クリーブランド連銀のメスター総裁の発言予定などが今夜の為替相場の値動き予想材料としてFXトレーダー達に注目されている。

なお、来週の13〜14日開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) が行われる1週間前くらいからは、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達が公的発言を自粛するブラックアウト期間が訪れる予定があるため、今週の発言が開催前の最終になる可能性がある。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は150円7~8銭付近で、週末前の前営業日同時刻にあたる先週金曜17時の前東京終値比で約49銭の円安ユーロ高であった。

主な原因は、日米株高時のリスクオンの低リスク通貨の円売りユーロ買いや、米国雇用統計発表後の日米金利差拡大による今日の大幅な円安ドル高の影響が、他の主要通貨であるユーロに対しても円安として波及していた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0687~1.0689ドル付近で、先週金曜17時の前東京終値比で約0.74セントのユーロ安ドル高だった。

主な原因は、米国雇用統計を受けた米国長期金利上昇による主要通貨へのドル買いや、米国利上げスキップ後の長期化予想による欧米金利差予想も、今日のユーロ安ドル高の為替相場に影響を与えていた。

また、今日の夕方16時50分と17時に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標のフランス、ドイツ、欧州総合の5月サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値がいずれも市場予想以下に留まったが、不景気と好景気のボーダーラインである50は上回っていた。フランスは前回と市場予想の52.8に対し52.5、ドイツは前回と市場予想の57.8に対し57.2、ユーロ圏総合は前回と市場予想の55.9に対し55.1であった。

しかし、今夜18時に発表された欧州ユーロ圏の4月の欧州卸売物価指数 (PPI) は、前月比が前回の-1.6%と前回修正の-1.3%と市場予想の-3.0%に対し-3.2%で、前年同月比も前回の5.9%と前回修正の5.5%と市場予想の1.5%に対し1.0%で、欧州インフレは市場予想以下であったことは、ユーロ安ドル高要因になった。

ただし、今夜この後の22時頃からは欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁の発言予定があり、タカ派発言が出た場合にはユーロが買い戻される可能性もあることなどから市場で注目されている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は174円8~14銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約5銭の小幅な円高ポンド安であった。

主な原因は、先週末の米国雇用統計を受けた米国長期金利上昇によりドルが主要通貨に対して一時全面高を記録するなど、英ポンドも対ドルで下げた影響が他の主要通貨である円相場にも今日の英ポンド安要因として波及したが、円に対しては英国のインフレの影響で日英金利差拡大予想の英ポンド高要因もあったためにやや相殺され、小幅な前営業日比での英ポンド安となっていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年6月5日の日本時間(JST)19時6分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時6分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:06の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 140.27 ~ 140.29 +1.28 (円安)
ユーロ/円 149.95 ~ 150.00 +0.37 (円安)
ユーロ/ドル 1.0690 ~ 1.0692 -0.0071 (ドル高)
英ポンド/円 173.84 ~ 173.90 -0.39 (円高)
スイスフラン/円 154.03 ~ 154.09 +0.09 (円安)
豪ドル/円 92.42 ~ 92.46 ±0.00 (レンジ)


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