FXニュース:米債務上限停止法案が下院可決

2023年6月01日
FXニュース:米債務上限停止法案が下院可決

 

東西FXニュース – 2023年06月01日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米JOLTS非農業部門求人数増加
  • 米FRB理事と高官のハト派発言
  • 6月の米利上げ見送り予想強まる
  • 7月米追加利上げの可能性は残る
  • 日本株高時の低リスク通貨円売り

今日2023年6月1日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値139円94銭前後から高値139円8銭前後の値幅約86銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は139円93~95銭付近と、前日同時刻の前東京終値比で約19銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動き要因と世界FX市場のトレンド動向はまず、日本時間で昨夜から今朝までの米国ニューヨーク (NY) 外国為替市場で昨夜23時に発表された最新米国経済指標の4月の米国雇用動態調査 (JOLTS) 求人件数が前回の959.0万件と前回修正の974.5万件と市場予想の937.5万件に対し1010.3万件と大幅に増加したことを受け、発表時の昨夜23時頃にドルは円相場で一時140円40銭付近に上昇し、米国市場での円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、市場後半が米国市場と同時進行だった欧州英国市場では、昨日の朝に発表されていた5月の中国製造業購買担当者景気指数 (PMI) の悪化により、世界景気への影響の懸念が高まり、中国が主要貿易先である欧州などの株安が世界的な株安として波及し、米国株式市場でもダウ平均株価 (DJI) が一時300ドル以上も下落したため、米国株安時のリスク回避で安全資産の米国債が買われて利回りが指標となる米国長期金利が低下したため、高値後のドルの利益確定売りに相まって日米金利差縮小時の円買いドル売りが起き始め、ドルから買える低リスク通貨の円買いドル売りが優勢に転じた。

また、昨日の東西FXニュースでも予告していた通り、日本時間で今朝未明の午前1時半頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国フィラデルフィア連銀のハーカー総裁の発言があり、今月に迫った6月13~14日の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) に関して、「現時点では、6月の会合では米国利上げを見送るのが適切だろうという考えに傾いている」とのハト派発言を含んでいたこともドル売りを進めた。ただし、明日の夜に発表予定の最新米国経済指標の「米国雇用統計次第では、考えが変わる可能性もある」とした。

さらに、午前2時半頃から今月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェファーソン理事にも、「米国利上げのスキップ (見送り) は、データを精査する時間を産出する」と、今月の米国利上げ見送りの可能性を示唆するハト派発言があったため、6月の米国利上げ見送り予想の高まりにより、日米金利差下縮小予想の円買いドル売りも加わったことで、午前3時40分過ぎには米国市場および日通しでの円の高値でドルの安値の一時139円24銭付近を記録した。

ただし、ジェファーソン理事は、「利上げ停止は、サイクルのピークを意味するわけではない」としており、6月の米国利上げ見送りの一方で、データ次第では7月に追加利上げがされる可能性もあることからは、この日の堅調な米国雇用市場データを受けての市場安値からのドルの買い戻しの抵抗も混ざった。

また、米国議会下院が、米国連邦債務上限を来年1月まで一時停止する法案を賛成多数で可決し、米国議会上院も週内に採決する見通しで、両院で可決されれば、バイデン米国大統領が署名して正式に成立することから、6月5日が期限のデフォルト (債務不履行) の可能性が減ったことでも、ドルの買い戻しが始まった。

しかし、米国債券市場では、米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りが先週に約2カ月半ぶりの高水準と債券価格の安値を記録後であったため、日本時間から時差遅れの米国市場はまだ5月末の月末のポジション調整時で、投資保有の米国債の残存期間の延長のための買い注文も入っていたことなどからは、米国長期金利は3.64%の前日比0.04%低下で終えており、日米金利差縮小時のために市場安値圏からのドルの買い戻し幅は限られていた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値140円40銭前後から高値139円24銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は139円34銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約45銭の円高ドル安をつけていた。

今朝早朝のオセアニア市場でも、米国利上げ見送り予想のトレンドを受けて、今朝8時34分頃にはドル円は一時138円96銭付近の5月25日以来の円の高値でドルの安値を更新したが、そこからは米国連邦債務上限問題に解決の兆しが見えたことや、中国発の世界景気懸念の世界株安のリスク回避では世界的に流動性の高いドルも安全資産でもあるために、安値からのドルの買い戻しが強まった。

ただし、8時50分に日本の最新経済指標の発表があり、前週分の対外対内証券売買契約等の状況の対内株式は前回の8675億円に対し3792億円に低下する一方で、対外中長期債は前回の9647億円に対し1兆288億円に増加し、同時発表の1~3月四半期の法人企業統計調査のソフトウェア含む全産業設備投資額の前年同期比は、前回の7.7%と市場予想の6.0%に対して11.0%に大幅上昇し、日本景気好感もあり、今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場は、今朝9時2分頃に一時139円8銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、米国連邦債務上限問題のデフォルト回避の見通しと、日本景気の好感などから、今朝の日本の株式市場では日経平均株価が上昇し、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) の為替介入警戒ゾーンの140円台から少し離れていたこともあり、日本株上昇時のリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りドル買いの勢いが増し、今日の日本市場ではドルが円相場で上昇を続けた。

また、今日発表された5月の中国の財新製造業購買担当者景気指数 (PMI) の前月比が1.4上昇した50.9であったことでは、昨夜の中国景気の世界景気への影響のリスク回避が緩和され、今日の日本時間の時間外取引では米国長期金利の低下が収まってきたことでも、低リスク通貨の円売りドル買いを進行させた。

午後15時台には今日の日経平均株価が上昇したまま大引けしたことや、午後からの欧州英国市場の参入もあり、16時45〜46分頃に139円94銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

日本市場では140円台の目前では、日本政府と日銀の為替介入警戒ゾーンの140円台が意識され、高値のドルの利益確定売りと安値の円買いの持ち高調整が抵抗要因になったが、世界的に流動性の高いドル需要の影響などもあり、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は139円93~95銭付近と、昨日17時の前東京終値比では約19銭の円安ドル高になった。

今夜この後にも最新米国経済指標の発表や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定などがあり、日本時間でのスケジュールは20時半に5月の米国チャレンジャー人員削減数、21時15分に5月の全米ADP雇用統計、21時半に1〜3月四半期の米国非農業部門労働生産性と単位労働費用の確報値と、前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数、22時45分に5月の米国製造業購買担当者景気指数、23時に5月の米国ISM製造業景況指数と4月の米国建設支出、24時に週間の米国原油在庫、そして26時頃から今月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国フィラデルフィア連銀のハーカー総裁の発言予定などが、今夜の為替相場の値動き予想材料としてFXトレーダー達に注目されている。また、明日の夜には、より重要度が高い米国雇用統計の発表予定もある。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は149円31~32銭付近と、昨夜17時の前東京終値比で約17銭の円安ユーロ高であった。

主な原因は、今日の対ドルなどへの低リスク通貨の円売りの影響がユーロ円に波及した。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0668~1.0670ドル付近と、昨夜17時の前東京終値比で約0.04セントのユーロ安ドル高であった。

主な原因は、昨夜からの欧州株安時のリスク回避の安全資産のユーロ売りドル買いの影響や、今日の午後に発表された欧州ユーロ圏のフランス、ドイツ、ユーロ圏総合の5月の製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値が、市場予想に対しては強弱入り混じったものの、いずれもボーダーラインの50以下の不景気寄りであったことに対して、最近の米国景気指標の強さから世界的に流動性の高い安全資産であるドル需要の影響が残っていた。

また、欧州インフレ関連でも、昨日発表の5月のドイツとフランスの消費者物価指数 (CPI) が市場予想以下であったために、欧州中央銀行 (ECB) にも利上げ継続予想が減退していることも一因となった。

今夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の5月の欧州消費者物価指数 (HICP) の速報値も、前年同月比で前回の7.0%と市場予想の6.3%に対し6.1%に低下し、コア指数でも欧州インフレ率が低下していた。なお、同時発表の欧州失業率は6.5%の横ばいであった。

今夜18時半頃からは欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁の発言があり、今夜この後の20時半には欧州中央銀行 (ECB) 理事会議事要旨の発表予定もある。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は173円54~60銭付近と、昨夜17時の前東京終値比で約21銭の円安ポンド高であった。

主な原因は、欧州インフレの鈍化と比較すると、英国の今日15時発表の最新経済指標の5月の英国ネーションワイド住宅価格の前月比が市場予想以上で、英国はインフレ継続のための利上げ継続予想による日英金利差拡大予想が強まっていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年6月1日の日本時間(JST)19時26分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時26分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:26の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 139.75 ~ 139.76 +0.01 (円安)
ユーロ/円 149.58 ~ 149.59 +0.44 (円安)
ユーロ/ドル 1.0702 ~ 1.0704 +0.0030 (ドル安)
英ポンド/円 173.99 ~ 174.05 +0.66 (円安)
スイスフラン/円 153.73 ~ 153.79 +0.75 (円安)
豪ドル/円 91.08 ~ 91.12 +0.49 (円安)


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