FXニュース:英中銀(BoE)も0.25%の利上げ

2023年5月12日
FXニュース:英中銀(BoE)も0.25%の利上げ

 

東西FXニュース – 2023年05月12日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 欧米株安リスク回避の安全資産
  • 米インフレ懸念後退と景気懸念
  • 米地銀経営不安で長期金利低下
  • 米債務上限問題協議が翌週延期
  • リスクオフのユーロ売りドル買い

今日2023年5月12日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値134円90銭前後から高値134円39銭前後の値幅約51銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は134円82~83銭付近で、昨日17時の前東京終値比で約28銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動き要因とFX取引市場および世界市場のトレンド動向の分析は、昨夜20時の英国ロンドン外国為替市場で、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の金融政策委員会 (MPC) が新政策金利を発表し、0.25%の追加利上げで英国政策金利が計4.5%になった。同時発表の今後の英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の金融政策の見通しでは、「持続的な英国インフレ圧力の兆候を、引き続き注意深く監視していく。より持続的なインフレ圧力の証拠があれば、一層の利上げが必要になる」という部分があり、データ次第では英国利上げ継続の可能性が示されたことでは、発表時には英ポンド買いのドル売りが入った。

しかし、これまでに発表された英国経済指標などからは今回の英国中央銀行金融政策委員会 (MPC) の0.25%利上げは市場予想通りであり、また、その後にベイリー総裁の英国利上げ停止時期に関する発言があったために、上昇後の英国ポンドの利益確定売りのドル買いが徐々に強まっていった。

一方、欧州市場では、先日の報道にあった米国地方銀行のパックウエスト・バンコープ (PAWC) から、預金額の約10%が流出していたことが判明というニュースが流れ、欧米金融システム不安警戒のリスク回避の欧米売りで、時間外の米国ダウ先物が一時400ドル以上も急落するなど欧米株価が下落し、安全資産の米国債買いで米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が低下し、日米金利差縮小時の低リスク通貨の円買いドル売りが起きたため、昨夜21時過ぎの昨夜から今朝までの米国ニューヨーク (NY) 外国為替市場の開場直後のドルは円相場で一時134円3銭付近を記録した。

ただし、リスク市場に弱いと考えられているユーロや英ポンド売りに対しては、世界的な流動性の高さから安全資産でもあるドルもリスクオフで買われたことや、「米国連邦預金保険公社 (FDIC) が、預金保険基金に関する発表を本日行う予定」という報道が伝わると、他の主要通貨へのドルの買い戻しの影響で円相場でも一時134円63銭付近に反発した。

昨夜21時半に発表された最新米国経済指標の4月の米国卸売物価指数(PPI) は、前年同月比が前回の2.7%と市場予想の2.4%に対して2.3%と前回と市場予想以下に低下し、前月比も前回の-0.5%と前回修正の-0.4%と市場予想の0.3%に対し0.2%の市場予想以下で、米国の生産者物価のインフレ鈍化を示した。食品とエネルギー除いた4月米国卸売物価指数 (PPI) のコア指数も、前年同月比が前回の3.4%と市場予想の3.3%に対し3.2%の前回と市場予想以下で、前月比は前回の-0.1%と前回修正の0.0%に対し、市場予想通りの0.2%であった。

また、同時発表の前週分の米国新規失業保険申請件数は、前回の24.2万件と市場予想の24.5万件に対し26.4万件であったが、前週分の米国失業保険継続受給者数は前回の180.5万人と前回修正の180.1万人と182.0万人に対し181.3万人に悪化していた。

これらの米国経済指標で市場が想定していたよりも米国のインフレ鈍化が進み、堅調と思われていた米国雇用市場にも弱い指標が出てきたことなどを受けて、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での米国利上げ停止予想が強まり、米国雇用市場での景気懸念の安全資産の米国債の影響もあり、米国長期金利低下時の日米金利差縮小予想の円買いドル売りが再び強まり、昨夜21時55分頃にはドルは円相場で一時133円74銭付近に下落し、米国市場および日通しでの円の高値でドルの安値を更新した。

しかし、テクニカル分析では今月4日につけたドルの安値133円50銭の手前付近がサポートになり、欧米株安時のリスク市場に弱い欧州通貨やオセアニア通貨などの売りに対するドル買いが進んでいた影響が円相場にも波及したこともあり、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時102.15付近に上昇したことでは、高値の円の利益確定売りと安値のドルの買い戻しの抵抗も入り、そこからはドルは円相場でも反発上昇を続けた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は円の安値134円63銭付近から円の高値は133円74銭付近の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を134円53銭付近の前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約19銭の円安ドル高でつけていた。

今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場では、昨夜の最新米国経済指標を受けた米国のインフレ鈍化と堅調だった米国雇用市場に景気懸念材料が出たことなどで、米国長期金利低下時の日米金利差縮小による円買いドル売りが先行したが、欧米金融システム不安警戒の欧米株式市場のリスク回避の影響で欧州ユーロや英ポンドなどに対して世界的に流動性の高い安全資産でもあるドルが買われていたこともあり、今朝9時36分頃の一時134円39銭付近が今日の日本市場での円の高値でドルの安値になり、それからはドルが今日の円相場で上昇した。

今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済に向けても、日本企業の輸入実需による円売りドル買い需要がトレンドを継続させた。

ただし、米国債務上限問題についての米国のバイデン大統領の協議が、来週に延期されたニュースがあり、米国地方銀行の経営不安もあり、先行き不透明感から米国金融システム不安への警戒感や米国景気懸念も燻っており、安全資産の米国債買いの影響で米国長期金利の低下時には、日米金利差縮小時の円買いドル売りが円相場での抵抗要因になっていた。

今日の夕方16時頃には、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のボウマン理事が、ドイツで開催の会議で発言をしたというニュースがあり、「米国シリコンバレー銀行 (SVB) の経営破綻を完全に理解するため、独立した外部機関に委託して、限られた内部調査を補完する報告書を準備すべきだ」と、バー副議長の内部調査報告書についての追加提案をした上で、「我々が責任を取る上で、これが論理的な次のステップになるだろう。これは、理事会のたった一人のメンバーが用意してまとめた自己査定に当然付随し得る疑念の解消に役立つ」と指摘し、「一連の銀行倒産を口実にして、銀行規制とは無関係な変更を求めることは避けるべきだ」と言及していた。

午後からの欧州英国市場の参入によるリスク通貨売りの安全資産のドル買いの影響もあり、ドルは円相場で16時56分頃に一時134円90銭付近に上昇し、今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。ただし、そこからはドルの利益確定売りの抵抗が入り始めた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は134円82~83銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約28銭の円安ドル高になった。

今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定があり、日本時間で21時半に4月の米国輸入物価指数と米国輸出物価指数、23時に5月の米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値、27時20分頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国サンフランシスコ連銀のデイリー総裁の発言予定などが注目されている。

また、今日は週末前のため、決算報告期の欧米株式市場からのリスク回避や持ち高調整などの為替相場の値動きへの影響などにも注意が必要である。昨日に続き、G7財務相中央銀行総裁会議も13日まで開催中である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は147円5~7銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1銭の僅差の円安ユーロ高であった。

主な原因は、前述の欧米株時の低リスク通貨の円買いユーロ売りのリスク回避が影響した。一方で、欧州中央銀行 (ECB) のデギンドス副総裁は、欧州のサービスインフレの懸や、追加利上げの可能性があること、そして、将来の利上げの規模はデータと信用状況に次第とタカ派の発言をしていたことなどでは、日欧金利差拡大予想の円売りユーロ買いの抵抗も混ざっていた。

ただし、今日の午後15時45分に欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の4月の仏消費者物価指数 (CPI) の改定値が発表されたが、前年同月比と前月比ともに前回と市場予想一致の横ばいであった。

そして、今夜その後の欧州市場では、19時台に僅差で円高ユーロ安にも転じている。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0907~1.0911ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.22セントのユーロ安ドル高であった。

昨夜の米国市場でも、欧米金融システム不安警戒による欧米株安時のリスクオフのユーロ売りドル買いが優勢で、昨夜23時過ぎには一時1.0900ドルの日通しでのドルの高値でユーロの安値を記録していた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は168円74~80銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約37銭の僅差の円安ポンド高であった。

欧州ユーロ同様にリスク回避市場では英ポンドに対し低リスク通貨の円が買われる動きもあったが、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の昨夜の英国利上げ継続により、日英金利差拡大による円売り英ポンド買いも入った。

ただし、イングランド銀行 (BoE) のベイリー総裁の利上げ停止時期への言及があったことや、今日の午後15時に発表された最新英国経済指標の1~3月期四半期の英国国内総生産 (GDP) の速報値は、前年同期比が前回の0.6%に対し市場予想通りの0.2%で、前期比でも横ばいで、前月比では前回と市場予想の0.0%に対し-0.3%に低下していた。

一方で同時発表だった3月の英国製造業生産指数は前月比が前回の0.0%と市場予想の-0.1%に対し0.7%に上昇し、3月の英国鉱工業生産の前年同月比も市場予想よりmも強く、貿易収支も赤字額が市場予想よりも改善していた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年5月12日の日本時間(JST)19時25分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時25分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:25の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 134.70 ~ 134.72 +0.16 (円安)
ユーロ/円 147.01 ~ 147.03 -0.03 (円高)
ユーロ/ドル 1.0912 ~ 1.0914 -0.0017 (ドル高)
英ポンド/円 168.84 ~ 168.90 +0.47 (円安)
スイスフラン/円 150.88 ~ 150.94 +0.40 (円安)
豪ドル/円 90.08 ~ 90.12 -0.07 (円高)


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