FXニュース:米消費者期待インフレ率が上昇

2023年5月15日
FXニュース:米消費者期待インフレ率が上昇

 

東西FXニュース – 2023年05月15日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米FRBのボウマン理事の発言も
  • 米長期金利上昇時の日米金利差
  • 主要通貨のドル買い円売り調整
  • 日経平均株価上昇時の円売りも

今日2023年5月15日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値136円26銭前後から高値135円73銭前後の値幅約53銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は135円98~99銭付近と、前営業日である先週金曜17時の前東京終値比で約1円13銭の大幅な円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動き要因と世界FX市場のトレンド動向の分析は、先週金曜の夜から土曜の朝までの先週末の米国ニューヨーク (NY) 外国為替市場で先週金曜の夜23時に発表された最新米国経済指標の米国ミシガン大学の5月米国消費者態度指数の速報値は市場予想の63.0 に対して57.7で昨年11月以来の低水準であったものの、同時発表の米国消費者期待インフレ率の速報値は1年先が市場予想の4.4%に対し4.5%、5年先は市場予想の2.9%に対して3.2%と、特に米国連邦準備制度理事会 (FRB) が金融政策を決める上で注視している5~10年期待インフレ率の速報値が市場予想を超えた2011年3月以来の高インフレ予想率の米国インフレの高止まりと継続予測を示し、欧米市場では米国連邦準備制度理事会 (FRB) による米国利上げ継続の可能性が意識され、米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大時の円売りドル買いが起きて、ドルは円相場で4月10日の高値135.47円を超え、一時135円76銭付近の米国市場での円の安値でドルの高値を記録した。

また、市場での注目度は当初は低かったものの、同じく金曜の夜に発表されていた最新米国経済指標の4月の米国輸出物価指数の前月比は前回の-0.3%に対し市場予想通りの0.2%であったが、4月の米国輸入物価指数の前月比は前回の-0.6%と市場予想の0.3%に対し0.4%に上昇していたことも、米国のインフレ圧を示していた。

さらに、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のボウマン理事が、「米国のインフレが高止まりすれば、追加の利上げが必要になる」とタカ派の発言をしたこともニュースになり、これまでは次回で米国利上げ停止予想が優勢だったが、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つボウマン理事の発言の影響を受けて、今後の米国利上げ継続の可能性から、日米金利差拡大予想による円売りドル買いも加わった。

同時進行中だった米国ニューヨーク債権市場では、米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りは3.44%付近に上昇し、終値も3.46%付近でつけた。安全資産でもある米国債に関しては、米国債務上限問題や米国金融システム不安についての不透明感は残るものの、先週にバイデン米国大統領が米国債務上限問題の協議を今週に延長したことで、今週の進展への期待感もあり、先週末の週末前の持ち高調整では、先週に入札予定が相次いだ米国債券売りが優勢で、米国債売りで米国長期金利上昇時のドル買いが強まった。

欧州ユーロや英国ポンドなどの他の主要通貨に対してもドルが買われて上昇し、主要通貨に対するドルインデックスは、一時102.71付近の4月10日以来の高値を記録していた。

そのため、先週金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は円の高値134円72銭前後から安値135円76銭前後の値動きをし、先週末土曜の朝6時頃のニューヨーク終値は135円70銭付近で、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約1円17銭の大幅な円安ドル高をつけていた。

週が明けて、今朝8時50分のアジア・オセアニアの世界市場時間には日本の最新経済指標の発表があり、4月の国内企業物価指数は、前年同月比が前回の7.2%と市場予想の5.6%に対し5.8%で、前月比は前回と市場予想の0.0%に対し0.2%であったが、米国とは異なり日本の場合にはインフレ抑制のための利上げの可能性は考えられていないことから、先週末の米国市場トレンドを引き継いだ日米金利差拡大による円売りドル買いが優勢だった。

また、先週は米国金融システム不安や米国債務上限問題の株安時に低リスク通貨の円が買われていたため、持ち高調整の円売りドル買いも入っていた。

今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場でも、日米金利差拡大による円売りドル買いが優勢で、9時38分頃にはドル円は136円2銭付近の136円台を記録した。

ただし、今日は15日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10の付く日の「五十日 (ごとおび) 」にあたるため、今朝9時55分頃の仲値決済に向けては、輸入実需の円売りドル買いと輸出企業の円買いドル売りが交錯して一時135円台後半に戻し、今朝10時18分頃に今日の日本市場での円の高値でドルの安値の135円73銭付近を記録した。

しかし、その後には再び、日本市場でも米国長期金利上昇時の日米金利差拡大による円売りドル買いと、先週末の米国インフレ率予想と米国連邦準備制度理事会 (FRB) 理事の発言を受けた日米金利差拡大予想による円売りドル買いが優勢になってドルが円相場で上昇し、昼頃には再び136円台に達し、15時3分頃には一時136円26銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

今日の日本の東京株式市場では、15時台に日経平均株価が約1年半ぶりの高値を記録して大引けしており、日本株高時のリスクオンで国内安全資産の低リスク通貨の日本円がドルやユーロなどに対し売られたことなども、為替相場の値動きに影響を及ぼした。

午後からの欧州英国市場の参入では、高値のドルの利益確定売りの抵抗はあったものの、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は135円98~99銭付近で、前営業日である先週金曜17時の前東京終値比では約1円13銭の大幅な円安ドル高になった。

今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定や、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定等があり、市場のFXトレーダー達が注目している。日本時間の今夜の予定は、21時半に米国ニューヨーク連銀製造業景気指数、21時45分頃から米国アトランタ連銀のボスティック総裁の発言予定、22時15分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の発言予定、29時に3月の対米証券投資などの発表があり、米国株式市場でも決算報告と株主総会のシーズンが続いている。また、明日の夜には、米国重要経済指標の米国小売売上高の発表予定も控えている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は147円88~89銭付近で、前営業日である先週金曜17時の前東京終値比で約81銭の円安ユーロ高であった。

主な原因は、日米金利差拡大による基軸通貨のドルに対する今日の大幅な円安の影響が、他の主要通貨であるユーロなどにも円安として波及した。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0874~1.0875ドル付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比では約0.32セントのユーロ安ドル高であった。

原因は、米国長期金利上昇時の主要通貨に対するドル買いの影響に加えて、米国インフレ率予想が高止まりや継続予測を示したことを受けて、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が米国利上げ後の政策金利を高金利で据え置く可能性が高まり、さらには追加利上げの可能性も浮上してきたことから、これまでに欧州中央銀行 (ECB) の利上げ長期化予想に対しての次回の米国利上げ停止予想で買われていたユーロが持ち高調整で売られてドルが買われていた。

また、今日の午後15時には欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標が発表され、ドイツの4月の独卸売物価指数 (WPI) の前月比が前回の0.2%に対し-0.4%に低下したことも、世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルに対するユーロ売りの一因となった。

続いて、今夜18時の欧州市場で発表された欧州ユーロ圏の3月欧鉱工業生産も、前年同月比が前回の2.0%と市場予想の0.9%に対し-1.4%に低下し、前月比も前回の1.5%と市場予想の-2.5%に対し-4.1%に悪化していた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は169円73~79銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約79銭の円安ポンド高であった。

先週金曜の夜の欧米市場では、米国長期金利上昇時のドル買いに加えて、前日に英国利上げ継続予想が優勢だった中で、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) のベイリー総裁が、「利上げを一時停止できる時期に近づいている」と発言した影響もあり、一時高値圏を記録後の英ポンドがドルに対して利益確定や持ち高調整で売られており、対ドルでは英ポンドはポンド安ドル高であったが、円相場ではドルやユーロなどの他の主要通貨に対する今日の円安の影響の波及や、英国利上げ後の日英金利差拡大で円安ポンド高になっていた。

そして、今日の日本市場と今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、19時台には日英金利差拡大による円安ポンド高がさらに大幅に進行している。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年5月15日の日本時間(JST)19時6分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時6分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:06の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 136.22 ~ 136.23 +1.37 (円安)
ユーロ/円 148.05 ~ 148.07 +0.98 (円安)
ユーロ/ドル 1.0867 ~ 1.0870 -0.0039 (ドル高)
英ポンド/円 170.11 ~ 170.17 +1.17 (円安)
スイスフラン/円 151.86 ~ 151.92 +0.82 (円安)
豪ドル/円 90.99 ~ 91.03 +0.85 (円安)


注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。