FXニュース:5月の米製造業景況指数が悪化

2023年5月16日
FXニュース:5月の米製造業景況指数が悪化

 

東西FXニュース – 2023年05月16日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米債務上限引き上げ会談を控え
  • 今夜は米国小売売上高の発表も
  • 東証が1990年8月以来の高値
  • リスクオンの円売りユーロ買い

今日2023年5月16日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値136円10銭前後から高値135円74銭前後の値幅約36銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は135円78~80銭付近と、前営業日の前東京終値比で約17銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動き要因と世界FX市場のトレンド動向の分析は、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク (NY) 外国為替市場で昨夜21時半に発表された最新米国経済指標の5月の米国ニューヨーク連銀製造業景気指数が、前回の10.8と市場予想の-2.5に対し-31.8に大幅に悪化したことで円買いドル売りが起き、発表直後の21時半過ぎには一時135円71銭付近を記録した。

しかし、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国アトランタ連銀のボスティック総裁や米国ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁のタカ派寄りの発言や、米国インフレ高止まり予想などから米国利上げ停止予想や停止後の利下げ予想が後退したことでは、米国長期金利の指標となる米10年債の利回りは、昨夜21時半の米国ニューヨーク連銀製造業景気指数の発表後には一時3.46%台付近に急落したものの、22時台には3.51%付近に回復上昇し、米長期金利上昇時の日米金利差拡大や日米金利差拡大予想による円売りドル買いで、再び136円台に円相場でドルが反発した。

今朝未明5時に発表された3月対米証券投資は前回の280億ドルと前回修正の137億ドルに対し567億ドルに増加し、短期債を除いた3月対米証券投資も前回の710億ドルと前回修正の566億ドルに対し1333億ドルに大幅に増加していた。

また、米国債務上限問題の交渉についても、イエレン財務長官が、「私は希望を持っている。交渉は非常に活発だと思う。」と、進展についての前向きな発言をしたことも、以前の安全資産の米国債買いや低リスク通貨の円買いよるリスク回避姿勢を和らげた。

バイデン米国大統領も、「我々なら、米国債務上限の引き上げに合意できると考えている」と発言しており、今夜に予定されている米国野党の共和党のマッカーシー下院議長達との協議に向けての米国金融システム不安再燃への懸念が緩和され、安全資産の米国債売りで米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大時の円売りドル買いが入っていた。

ただし、市場では今夜この後に実際の米国債務上限問題会談を控えていることや、最新米国重要経済指標の米国小売指標の発表イベント前の持ち高調整や結果がわかるまでの買い控えや様子見も混ざり始めていたことでは抵抗要因もあった。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場はい円の高値は135円72銭前後から安値136円23銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を136円12銭付近の前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約42銭の円安ドル高でつけていた。

その後に今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場では、今朝までの米国トレンドを受け継いだ米国長期金利上昇時の日米金利差拡大による円売りドル買いと、昨夜発表の5月の米国ニューヨーク連銀製造業景気指数の大幅低下の影響による景気懸念の円買いドル売りや、米国債務上限問題に関するバイデン大統領達の会談などのイベント前のイベントリスクのドル売買とが拮抗し、やや横ばいに近い値動きを見せた。

今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済でも、輸入実需の円売りドル買いと輸出企業の円買いドル売りが交錯し、一方への偏りは少なかった。

しかし、午後からの欧州英国市場の参入では、今日の日本市場時間に時間外の米国債市場で米国長期金利の上昇が収まってきたことをきっかけに、イベント前のドルの持ち高調整や利益確定売りが入り始め、135円台後半の前東京終値比で小幅な円高ドル安に転じた。

ただし、今日は日本の株式市場で東証株価指数 (TOPIX) が上昇し、1990年8月以来の約33年ぶりと言われる高値を一時記録したこともあり、米国株式相場も堅調であった影響もあり、日本株高時のリスク選好のリスクオンで国内安全資産の低リスク通貨の円売りユーロ買いが起きた影響の波及もあり、ドル円相場でも僅差から小幅な円高ドル安に留まった。

また、日本市場や欧州英国市場では、米国債務上限問題に関するバイデン大統領と共和党のマッカーシー下院議長達との今夜の会談について、もし上限引き上げや対策に合意できない場合には、6月にデフォルトになる可能性についての慎重な見解もあり、会談の結果待ちのイベントリスクのドルの買い控えや様子見も多かった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は135円78~80銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約17銭の円高ドル安になっていた。

今夜この後には、米国債務上限問題に関するバイデン大統領と共和党のマッカーシー下院議長達との会談以外にも、最新米国経済指標や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定などがあり、日本時間の今夜のスケジュールは21時15分頃から米国クリーブランド連銀のメスター総裁の発言予定、21時半に最新米国重要経済指標の4月の米国小売売上高、22時15分に4月の米国設備稼働率と4月の米国鉱工業生産、23時に5月の米国NAHB住宅市場指と3月の米国企業在庫と、23時頃から米国下院金融サービス委員会での米銀破綻関連の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のバー副議長の議会証言での発言予定、25時15分頃から米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言予定、27時半頃から米国シカゴ連銀のグールズビー総裁の発言予定、28時15分頃から米国ダラス連銀のローガン総裁の発言予定などの為替相場への影響に市場が注目している。

また、今夜と明後日には、先日に経営破綻した米国銀行2行の元幹部に対する公聴会なども予定されている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は147円85~86銭付近と、昨夜17時の前東京終値比で約3銭の小幅な円安ユーロ高であった。

主な原因は、昨夜に欧州国債利回りの上昇によるユーロ買いがあった日欧金利差拡大の影響や、今日の日本株高時のリスクオンでは低リスク通貨の円売りユーロ買いが入っていた。ただし、昨夜の欧州ユーロ圏の最新経済指標が市場予想を下回ったことで、比較的小幅域となった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0887~1.0889ドル付近と、昨夜17時の前東京終値比で約0.14セントのユーロ高ドル安であった。

原因は、円相場同様に昨夜の欧州長期金利上昇時や今日の午後の日本株高時のユーロ買いの影響の波及に加えて、今日の米ドルのイベント前のイベントリスクによる持ち高調整や結果が分かるまでのドルの買い控えや様子見が影響を及ぼしていた。

今夜18時の欧州英国市場では、欧州ユーロ圏の最新重要経済指標の1~3月期四半期の欧州域内総生産 (GDP) の改定値が発表され、前年同期比は前回と市場予想と同じ1.3%で、前期比も同様に前回と市場予想一致の0.1%であった。

しかし、今夜18時に同時発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの5月の独ZEW景況感調査の期待指数は、前回の6.4に対して-9.4に大幅に低下していた。

ただし、3月の欧州貿易収支は、季調前が前回の46億ユーロに対し256億ユーロに増加し、季調済も前回の-1億ユーロと前回修正の-2億ユーロに対し170億ユーロだった。

また、今夜23時頃からの欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁の発言予定が注目されている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は169円93~99銭付近と、昨夜17時の前東京終値比で約54銭の円高ポンド安であった。

今日の午後15時に発表された最新英国経済指標の4月の英国失業率が、前回の3.9%から4.0%に悪化し、4月の英国失業保険申請件数も前回の2.82万件と前回修正の2.65万件から4.67万件に悪化したことを受けて、円相場でもポンドが売られていた。

また、同時発表だったILO方式の3月の英国失業率も前回と市場予想の3.8%に対し3.9%に悪化していたことなども、英国景気懸念による今日の円高ポンド安の一因になった。

ただし、英国では賃金インフレは鈍化しておらず、対ドルや対円で英国ポンドが買われる機会もあったことでは、大幅な円高にはならずにその後には比較的小幅域に留まっていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年5月16日の日本時間(JST)18時44分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 10時44分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 18:44の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 135.72 ~ 135.73 -0.23 (円高)
ユーロ/円 147.88 ~ 147.90 +0.06 (円安)
ユーロ/ドル 1.0895 ~ 1.0897 +0.0022 (ドル安)
英ポンド/円 170.13 ~ 170.19 -0.34 (円高)
スイスフラン/円 151.98 ~ 152.04 +0.03 (円安)
豪ドル/円 90.77 ~ 90.81 -0.41 (円高)


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