FXニュース:米消費者物価指数 (CPI) が鈍化

2023年5月11日
FXニュース:米消費者物価指数 (CPI) が鈍化

 

東西FXニュース – 2023年05月11日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米FOMCの次回利上げ停止予想
  • 米インフレ鈍化で長期金利低下
  • 日米金利差縮小のドル売り円買い
  • 米債務上限問題警戒の欧米株安も
  • 英中銀(BoE)が新政策金利を発表

今日2023年5月11日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値134円56銭前後から高値133円89銭前後の値幅約67銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は134円55~56銭付近で、昨日17時の前東京終値比で約68銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動き要因とFX取引市場および世界市場のトレンド動向の分析は、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク (NY) 外国為替市場では、昨夜21時半の米国連邦準備制度理事会 (FRB) も注目の最新重要米国経済指標の4月の米国消費者物価指数 (CPI) の発表前には、市場予想での持ち高調整に加えて、昨夜20時に発表された最新米国経済指標の米国MBA住宅ローン申請指数の前週比が前回の-1.2%に対して6.3%に上昇したことなどもあり一時135円41銭付近にドルが買われて円相場で上昇していたが、昨夜21時半に発表された4月の米国消費者物価指数 (CPI) が米国インフレの鈍化を示したことを受け、発表後のドル円は134円前半に急落した。

昨夜21時半の最新米国重要経済指標の4月の米国消費者物価指数 (CPI) は、前年同月比が前回と市場予想の5.0%に対し4.9%と米国インフレの鈍化を示した。前月比では前回の0.1%に対し市場予想通りの0.4%で、生鮮食品を除いたコア指数も前年同月比は前回の5.6%に対し市場予想と一致の5.5%で前月比でも前回と市場予想と同じ0.4%の横ばいで市場予想の範囲内であったが、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長が特に注目していると語っていた住居費を除いたサービス業のインフレ動向のスーパーコアが前月比で前回の0.4%から0.1%に低下しており、市場予想を下回った約2年ぶりの一部の低水準のインフレ鈍化の指標を受けて、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の米国利上げ停止予想が強まり、さらには年内利下げの可能性も一部で浮上したことで米国長期金利が低下し、日米金利差縮小による円買いドル売りが起き、主要通貨に対するドル売りも相まって一時ドルが全面安を記録した。

また、決算報告期や株主総会時シーズンの欧米株式市場では、米国債務上限問題に関しての米国バイデン大統領と米国野党の共和党のマッカーシー下院議長との会談に特に進展が見られなかったことで、この状況のままであると最悪の場合には6月にもデフォルトになる可能性への警戒があることで、欧米金融システム不安以来の警戒感が続いており、米国消費者物価指数 (CPI) 発表後の金利上昇警戒の後退で米国ダウ平均株価が一時前日比で210ドル以上も上昇後には早期の利益確定売りが起き、一時320ドル超も下落して前日比のマイナス圏に達したことで、欧米株安時のリスク回避の低リスク通貨の円買いで円相場が上昇した。

今朝未明の午前2時台には、米国株安時の安全資産の米国債買いも影響し、米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りが一時3.43%付近とさらに低下を見せたことで、今朝午前2時40分頃には一時134円11銭付近の米国市場での円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、米国消費者物価指数 (CPI) が低下傾向を示したとはいえ、ほぼ市場予想通りの指標も多く、物価目標の2%と比較すると、今でも米国のインフレの高止まり傾向はまだ見られることから、次回の米国利上げ停止予想は以前からも優勢だったものがさらに今回で強まったが、一部で浮上した年内の早期利下げの可能性はまだ低く、昨日の東西FXニュースでもお伝えした通り、前日の米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言のように、「米国インフレ率は、なお高止まりしている。年内に利下げをする理由は、見いだせない」という高官もいることからは、米国市場のドルの安値からは買い戻しも入った。

しかし、今朝未明3時に発表された4月の米国月次財政収支も、前回の-3781億ドルと市場予想の2350億ドルに対し1762億ドルと、前回よりは改善されたものの、市場予想以下であったことなどでは、大きなドルの買い戻しには至らなかった。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は円の安値135円41銭前後から高値134円11銭前後で、今朝6時頃のニューヨーク終値を134円34銭付近の前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約89銭の円高ドル安でつけていた。

今朝8時50分には日本の最新経済指標の3月の国際収支が発表され、3月の貿易収支は、前回の-6041億円と市場予想の-4500億円に対し-4544億円であった。3月の経常収支は、季調前が前回の2兆1972億円と市場予想の2兆9473億円に対し2兆2781億円で、季調済が前回の1兆892億円と前回修正の1兆2279億円と市場予想の1兆3110億円に対し1兆90億円であった。

日本の貿易赤字は低リスク通貨の日本円のリスク増加要因となるが、前回よりは赤字額が改善されて買われた円が高値をつけると、市場予想以下であった点では高値の円の利益確定売りも入った。

また、同じく今朝8時50分には、日本銀行 (日銀 / BoJ) が、4月27~28日開催分の日銀金融政策決定会合の「主な意見」を公開し、政策委員の主な意見の中には、日銀の大規模緩和金融政策の継続を求める意見があったものの、日本経済の賃金および物価の好循環の兆しが見え始めているということから政策対応が後手に回らないように「基調判断を適切に」行う必要があると言う意見などもあった。

今朝9時から始まった今日の日本の東京外国為替市場では、米国インフレ鈍化を受けた日米金利差縮小予想の円買いドル売りが先行し、今朝9時24分と27分に133円89銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、そこからは安値のドル買い抵抗が入り始めたことに加え、今朝9時55分頃の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要もあり、そこからはドルが円相場で反発し、日本市場で下げ幅を縮め始めた。

その背景には、米国市場での抵抗要因と同じく、米国インフレの鈍化傾向は見られるものの、米国のインフレは依然として高く、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が早期の利下げに転じる可能性が低く、米国利上げ停止があっても高金利が継続する市場予想が優勢であったことも影響しており、午後からの欧州英国市場の参入では、米国長期金利の低下が収まってきたこともあり、円やユーロなど主要通貨に対する世界的に流動性の高いドルの買い戻しが続き、今日の日本市場のドルの円相場での高値付近で今日の東京終値をつけ、今夜その後の欧州英国市場でもドル上昇が継続したことで、今朝までの大幅な下げ幅を縮めている。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は134円55~56銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約68銭の円高ドル安になった。

また、その後の今夜17時55分頃の欧州英国市場では、ドルは円相場で一時134円84銭付近にドルが買い戻されて下げ幅を縮めたが、昨夜の急落前のレベルには達していない。

今夜この後にも最新米国経済指標や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定などがあり、為替相場の値動きへの影響の可能性から注目されている。日本時間では今夜21時半に4月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI) とコア指数、同時刻に前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数、21時45分頃から次回FOMCの投票権を持つミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の発言予定、23時半頃からは米国連邦準備制度理事会 (FRB) のウォラーFRB理事の発言、26時には米国30年債の入札予定などがある。

また、本日11日から13日にかけて、G7財務相中央銀行総裁会議も開催される。米国の主要企業の決算発表シーズンも続いており、

ニュースによる値動きにも注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は147円8~10銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約1円19銭の大幅な円高ユーロ安であった。主な原因は、欧米株安時のリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いの影響が大きく、相対的にリスク市場に弱いユーロが売られていた。

また、基軸通貨のドルに対する円高の影響の波及もあり、大幅な円高ユーロ安になった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0930~1.0932ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.34セントのユーロ安ドル高であった。

昨夜に発表された前述の4月の米消費者物価指数 (CPI) を受けては、一時は欧米金利差縮小によるユーロ買いドル売りが優勢になったものの、その後に欧米金融システム不安が燻る欧州株式市場の下落によりリスク回避市場に転じ、欧米株安時のリスクオフの円買いユーロ売りが優勢となり、円相場でユーロが大幅安になった影響が、他の主要通貨であるドルに対してもユーロ安として波及していた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は169円16~22銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約45銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、今夜20時に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の新政策金利と声明の発表を控えたイベントリスクが英国ポンドにあるほか、欧米株安時の低リスク通貨の円買いで、今日の東京終値では主要通貨に対して円相場が上昇し、前東京終値比で一時全面円高になっていた影響が、英国ポンドの円相場にも波及した。

今夜この後には、20時に注目の英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の英国新政策金利と声明の発表と、金融政策委員会 (MPC) 議事要旨と四半期金融政策報告も発表される予定で、20時半からは英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) のベイリー総裁の記者会見での発言予定もあり、高インフレ抑制のための英国利上げ継続予想が優勢のため、イベント時の値動きには注意が必要である。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年5月11日の日本時間(JST)19時12分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時12分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:12の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 134.65 ~ 134.66 -0.58 (円高)
ユーロ/円 147.09 ~ 147.11 -1.18 (円高)
ユーロ/ドル 1.0923 ~ 1.0925 -0.0041 (ドル高)
英ポンド/円 169.42 ~ 169.48 -0.19 (円高)
スイスフラン/円 150.52 ~ 150.58 -0.50 (円高)
豪ドル/円 90.70 ~ 90.74 -0.36 (円高)


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