FXニュース:円安要因の日米金利差拡大予想継続

2023年5月01日
FXニュース:円安要因の日米金利差拡大予想継続

 

東西FXニュース – 2023年05月01日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 主要通貨に対し円が一時全面安記録
  • 最新米経済指標を受けたドル買いも
  • 金利抑制の日銀と欧米英利上げ予想
  • 14年ぶりの150円台の円安ユーロ高

今日2023年5月1日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値136円98銭前後から高値136円25銭前後の値幅約73銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は136円73~74銭付近で、前営業日17時の前東京終値比で約1円2銭の連日での大幅な円安ドル高であった。

先週金曜に続いて今日の対ドル円相場の大幅な円安ドル高の為替相場の値動きの要因も、先週金曜に発表された日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合による金利抑制の大規模緩和金融政策を維持の決定により、米国、欧州、英国などの利上げ方向の金融政策の主要通貨に対し、日本との金融政策の方向性の違いから、日米欧英金利差拡大予想による円売りの一時円相場の主要通貨に対する全面安の影響が継続した。

前回の東西FXニュースでもお伝えしていた通り、円安要因の日米金利差拡大予想は、日銀会合後の植田和男新総裁が定例記者会見で、「安定的、持続的な物価上昇の実現に向けて、もう少し辛抱して、粘り強く金融緩和を続けたい」との発言や、日銀の金融政策の見直しのレビューにも一年以上かかる予定などの発表を受けて早期の金融緩和の修正予想も減退し、日米金利差拡大長期化予想が強まり、先週金曜の夜の欧州英国市場でも、主要通貨に対して円相場が一時全面安になっていた。

また、その他のドル円の為替相場の値動きの要因と、時間に沿った世界市場トレンドの動向の分析を含めた解説は、先週金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で日本時間の先週金曜の夜21時半から発表された最新米国重要経済指標を受けたドル買いもあった。

米国連邦準備制度理事会 (FRB) も注目していることで知られている最新の米国重要経済指標の1~3月四半期の米国雇用コスト指数の前期比は前回の1.0%と前回修正と市場予想の1.1%に対し1.2%に上昇し、3月の米国個人消費支出のPCEデフレーターの前年同月比も前回の5.0%と前回修正の5.1%と市場予想の4.1%に対し4.2%と市場予想を上回り、食品とエネルギー除く3月の米国個人消費支出のPCEコア・デフレーターの前年同月比も前回の4.6%と前回修正の4.7%と市場予想の4.5%に対し4.6%で、前月比でも前回と横ばいの高止まりを示す市場予想以上の発表が相次ぎ、3月の米国個人消費支出 (PCE) やPCEコア・デフレーターなどが、前年同月比と前月比ともに軒並み市場予想またはそれ以上の米国のインフレ高止まり傾向を示したことを受けて、次回の米国現地時間の明日5月2日から3日にかけて開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) でも、米国インフレ抑制のための利上げ継続予想が優勢になったことでも、日米金利差拡大予想が強まった。

さらに、同時発表だった3月の米国個人所得の前月比も、市場予想の0.2%に対して前回と同じ0.3%で、賃金インフレの高止まりも示していたことで、米国のインフレ圧の強さが認識され、米国連邦準備理事会 (FRB) のインフレ抑制のための米国利上げや金融引き締めが長期化する可能性も意識された円売りドル買いの勢いが強まった。

続いて、先週金曜の夜22時45分に米国ニューヨーク外国為替市場で発表された最新米国経済指標の4月の米国シカゴ購買部協会景気指数も、前回の43.8と市場予想の43.5に対し48.6と好調で、米国景気好感によるドル買いも加わった。

直後の23時に発表された4月の米国ミシガン大学消費者態度指数に確報値も、前回と市場予想に一致する63.5であったことで、ドル買いが続いた。

同時進行中の米国ニューヨーク株式市場でも、米国主要企業の決算報告期に好調な株式が市場価格を押し上げた強気市場のブル・マーケットのリスクオンの経緯もあり、安全資産の米国債買いや低リスク通貨の円買い需要が少なく、米国長期金利も前日比で上昇し、円売りドル買いの勢いが継続し、先週金曜の夜23時半前頃にはドル円相場は一時136円56銭付近の米国市場での円の安値でドルの高値を記録した。

一時136円56銭付近の高値後のドルの利益確定売りや週末の持ち高調整の抵抗も135円96銭付近に留まり、再び日米金利差拡大予想の円売りドル買いトレンドが継続した。

そのため、先週末の金曜の夜から土曜の朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場のニューヨーク終値は136円30銭付近で、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約2円33銭の大幅な円安ドル高になっていた。

週が明けて月も明け、今日は5月1日のメーデー (May Day) で世界各地の労働者の祭典であったことから、アジア市場でも香港や中国やシンガポールなど祝日休場の市場が多く、欧州市場のドイツ、フランスとスイスも今日は祝日休場で、英国市場もアーリー・メイ・バンクホリデー (Early May Bank Holiday) と呼ばれる春の祝日休場で、他にもメキシコや南アフリカやトルコなども祝日休場で、日本も今日と明日がゴールデンウィークの祝日連休の合間の平日であるために、今日は世界市場全体の流動性がホリデームードであることもあり、週末前からの米国市場での円安トレンドの継続となった。

なお、米国市場は今夜も営業中で、米国現地時間で明日5月2日から明後日5月3日 (日本時間では時差が進んでいるために5月4日の早朝未明頃にあたる) には、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が米国新政策金利などを決める次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) のビッグイベントを控えている。

今朝9時から始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、先週末の日銀発表後の米国トレンドを受けた日米金利差拡大予想の円売りドル買いの円安トレンドが今日も継続し、今朝9時3分頃の開場直後の一時136円25銭付近が今日の日本市場での円の高値でドルの安値圏となり、その後はドルが上昇を続けたことで、9時半頃には先週末の米国市場でのドルの高値記録の136円56銭付近を超えた136円台後半の円安ドル高が更に進んだ。

円安の内的要因である日銀の金利抑制の大規模緩和継続での円売りに加えて、外的要因の米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げ継続予想や米国景気好感などによるドル買いがあり、また利上げ継続予想の欧州ユーロや英国ポンドなどに対しての他の主要通貨に対する円安の影響もドル円相場に波及していた。

今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済に向けても、日本企業の輸入実需での円売りドル買いがあり、円相場でドルが上昇を続けた。

また、先週末の米国市場が強気市場のブル・マーケットだった影響もあり、今日は日本の日経平均株価も大幅上昇して午後15時台に大引けしたことで、リスク選好のリスクオン市場になり、原油高も影響して低リスク通貨の円買いの需要が少なく、日本や欧米株高時のリスクオンで低リスク通貨の円が売られたことなども円相場を押し下げた。

米国金融システム不安に関しても、今日、米国連邦預金保険公社 (FDIC) が、懸念材料になっていた大規模預金流出のあった米国地方銀行のファーストリパブリック銀行(FRC) の応札を、米国金融大手のJPモルガン・チェースが受け入れたと発表したことで米国金融システム不安による景気懸念が緩和された。

午後から参入の欧州ユーロ圏主要国のドイツ、フランス、ポーランドと、英国やスイスなどは本日祝日休場であるが、他の欧州周辺の時間帯の一部市場などの世界市場は開いているところもあるため、日米金利差拡大予想などの円売りドル買いは続き、午後15時40分頃には一時136円98銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録し、今年3月上旬以来の円安ドル高になった。

ただし、今夜この後にも重要度の高い米国経済統計の発表予定があり、また今週は米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の米国新政策金利の発表予定も控えているため、イベント前のドル円の持ち高調整や、高値後のドルの利益確定売りや安値の円買いやイベント前やホリデー時期の買い控えはやや抵抗要因となり、今日の日本市場時間には137円台の大台には目前にまでは迫ったものの乗らなかった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は136円73~74銭付近で、前営業日17時の前東京終値比で約1円2銭の大幅な円安ドル高になった。

今夜この後にも最新米国経済指標の発表予定があり、日本時間で今夜22時45分に4月の米国製造業購買担当者景気指数、23時に重要度と注目度の高い4月の米国ISM製造業景況指数と、3月の米国建設支出などが発表される予定である。

明日も主要通貨の最新の重要経済指標の発表予定も続き、明日はオーストラリアの豪中央銀行 (RBA) 新政策金利の発表予定があり、今週の木曜の早朝未明に世界的に注目されている米国新政策金利の発表予定と、木曜の夜には欧州の新政策金利の発表予定などもあるため注意が必要である。来週には英国新政策金利の発表も予定されている。

一方、欧州ユーロも、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は150円49~50銭付近で、前営業日17時の前東京終値比で約1円10銭の大幅な円安ユーロ高であった。

今日の昼12時台後半には、ユーロ円は一時150円85銭付近の2008年9月以来の約14年7カ月ぶりの円安ユーロ高を記録した。

主な原因は、日欧金利差拡大予想の円売りユーロ買いの影響や、原油高時の低リスク通貨の円売りとリスクオンのユーロ買いが優勢であった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.1001~1.100ドル付近で、前営業日17時の前東京終値比で約0.06セントの小幅なユーロ安ドル高であった。

原因は、先述の米国経済指標を受けたドル買いの影響に加えて、欧州中央銀行 (ECB) 理事会の欧州利上げ長期化予想に対し、米国にも利上げ長期化予想が出てきたことが影響を及ぼした。

ただし、米国の利上げが次回の米連邦公開市場委員会 (FOMC) での小幅利上げ後に終了するという従来の市場予想もまだ依然として優勢であることや、今週の米国の大イベント前の持ち高調整では、ユーロドルは前営業日比で小幅な市場反転域付近に留まっていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は171円36~42銭付近で、前営業日17時の前東京終値比で約27銭の円安ポンド高であった。

今日も主要通貨に対する円安が目立ち、来週に利上げ予想の英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) に対しても、日英金利差拡大予想によりポンド円も171円台に乗せていた。

ただし、今日は英国の連休で、英国ポンドの現地需要が少ないこともあり、今夜その後の19時台には僅差で円高ポンド安にも市場反転を見せている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年5月1日の日本時間(JST)19時20分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時20分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:20の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 136.62 〜 136.63 +0.91 (円安)
ユーロ/円 150.36 〜 150.37 +0.97 (円安)
ユーロ/ドル 1.1001 〜 1.1003 -0.0006 (ドル高)
英ポンド/円 171.07 〜 171.13 -0.02 (円高)
スイスフラン/円 153.03 〜 153.09 +0.79 (円安)
豪ドル/円 90.69 〜 90.73 +0.54 (円安)


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