FXニュース:日銀が大規模緩和策を現状維持

2023年4月28日
FXニュース:日銀が大規模緩和策を現状維持

 

東西FXニュース – 2023年04月28日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日銀発表後に円が一時全面安に
  • 日銀のYCC早期修正予想が後退
  • 日米金利差拡大予想の136円台
  • 米PCEコア価格指数がインフレ
  • 東京CPI総合が前年比3.5%上昇

今日2023年4月28日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値135円85銭前後から高値133円61銭前後の値幅約2円24銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は135円69~70銭付近で、前日17時の前東京終値比で約1円91銭の大幅な円安ドル高であった。今夜18時台の欧州英国市場では、一時136円台の円安ドル高も記録した。

今日の大幅な円安ドル高の東京終値の為替相場の値動きの要因は、今日の昼13時頃に日本銀行 (日銀 / BoJ) が今日までの日銀金融政策決定会合で、かねてから円安要因だった大規模緩和の金融政策を現状維持する決定をした日米金利差拡大予想の影響が最も大きかった。

その他の要因と時間に沿った世界の市場トレンドの動向の分析を含めた解説では、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で日本時間の昨夜21時半に発表された最新の米国重要経済指標の1~3月の四半期の米国内総生産 (GDP) 速報値の前期比年率は、前回の2.6%増加と市場予想の2.0%増加に対し1.1%増加で、市場予想を下回ったことではドルは円相場で一時133円24銭の日通し安値を記録した。

しかし、米商務省が同時発表した米国内総生産 (GDP) の内容では、米国在庫投資の減少が今回の市場予想以下の増加率に影響を及ぼした一方で、米国個人消費支出 (PCE) は前回の1.0%に対して市場予想の4.1%ほどではないものの3.7%増加と大きな上昇を見せ、同時発表の前週分の米国新規失業保険申請件数と前週分失業保険継続受給者数が市場予想よりも良かったこともあり、ドル売りでの反応は一時的なものに留まり、市場ではすぐにドルの買い戻しが始まった。

また、米国連邦準備理事会 (FRB) が物価のインフレ指標として重視している米国個人消費支出 (PCE) 価格指数のエネルギーと食品を除くコア指数の前期比年率は前回の4.4%と市場予想の4.7%を上回る4.9%の上昇で、前回から上昇率が加速し、市場予想以上のインフレ指標であったことから、データ次第では米国連邦準備理事会 (FRB) は5月2~3日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で0.25%の利上げ後にもインフレ抑制のための利上げ継続の可能性も指摘されていたことから米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いが優勢になり、22時半過ぎにはドルは円相場で一時134円20銭付近の日通し高値を記録した。

ただし、その後の昨夜23時に発表された3月の米国住宅販売保留指数は、前月比が前回の0.8%と市場予想の0.5%に対し-5.2%の大幅な低下で、前年同月比でも前回の-21.1%に対し-23.3%であったことではドル買いは弱まり、やや横ばいに近い値動きから、今朝未明の午前3時前には133円台後半付近に推移した。

一方、米国連邦準備理事会 (FRB) の利上げ継続予想の日米金利差拡大予想の米国長期金利上昇に加えて、米国主要企業の決算報告期が本格化している米国株式市場では、フェイスブックで有名なメタ (Meta) の株が前日比で一時15%も高騰するなど、ハイテク株などを中心に一部の株式が好調な強気市場 (ブル・マーケット) になり、ダウ工業株30種平均は前日比で524ドル高の3万3826ドルで大引けしたことでは、リスク選好のリスクオンで安全資産の米国債が売られて米国長期金利の指標となる米10年債の利回りが上昇したこともあり、米国ニューヨーク債券市場では米国長期金利は前日比0.07%上昇の高い3.52%で終値をつけ、今日は日米金利差拡大による円売りドル買いが起きやすくなっていた。

ただし、今朝早朝までの米国市場では、今日の昼頃の日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合の発表を前にしたイベント前のドル円の持ち高調整や様子見の抵抗も入っていた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は円の安値134円20銭前後から高値133円20銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は133円97銭付近と、前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約30銭の円安ドル高であった。

続いて、今朝8時台には日本の最新経済指標の発表があった。8時半に発表された4月の東京都区部消費者物価指数 (CPI) は、生鮮食料品除く前年同月比が前回と市場予想の3.2%に対し3.5%に上昇し、インフレ傾向を示したことでは、この後の日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合での金利抑制の長短金利操作のイールドカーブコントロール (YCC) の見直し期待の一部の円買いがやや入り、8時半頃には円相場は133円78銭付近になった。

同時に発表された日本の3月失業率は前回の2.6%と市場予想の2.5%に対し2.8%にやや増加し、3月有効求人倍率も前回と市場予想の1.34に対し1.32にやや減少したことでは、インフレ対応の企業の賃上げの傍らで、人件費上昇時のコスト削減のために1人あたりの仕事割り当て量を増やした人員整理が行われている可能性などが一部で指摘されていた。

今朝8時50分には日本の3月鉱工業生産の速報値も発表され、前年同月比は前回の-0.5%と市場予想の-1.2%に対し-0.7%で、前月比は前回の4.6%と市場予想の0.5%に対し0.8%で、前回よりは下げたものの市場予想ほどの低下は見られなかった。

同時発表の日本の3月小売業販売額の前年同月比は、前回の6.6%と前回修正の7.3%と市場予想の5.8%に対し7.2%で、3月の既存店の百貨店とスーパーの販売額の前年同月比は前回の4.7%に対し3.2%であった。

今朝9時に始まった今日の日本の東京外国為替市場では、今朝発表の東京都のインフレ率を受け、今日の昼頃の日銀の金融政策の発表が注目を集め、金利抑制が円安要因になっている日銀の長短金利操作のイールドカーブ・コントロール (YCC) を含めた大規模緩和の金融政策維持の市場予想が優勢ではあったが、今回は日銀に新総裁の植田和男総裁が就任して以来の初の会合であるため、学者出身の新総裁参加の結果待ちの様子見の値動きも強かった。

ただし、今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需での円売りドル買い注文が入り、ドル円は10時前には一時134円18銭付近の円安ドル高になった。

そして、当初は正午頃に発表の予定と言われていた日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合だが、やや遅れて13時頃の発表になっていたことから、発表前の待ち時間に今朝の日本の一部の経済紙が「長期緩和の検証実施へ」という報道をしていたことが話題になり、発表前には大規模緩和の金融政策の見直し期待では対ドルの円相場が一時133円61銭付近にも上昇したが、実際の報道内容ではイールドカーブコントロール (YCC) の修正について今回は見送るとみられているとされていたことや、検証にかかる時期も長期的になる見込みとのことなども伝わり、大きな流れの中での円売りドル買いは継続していた。

そして、今日の昼の13時頃に日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合後の発表があり、日銀の長短金利操作のイールドカーブ・コントロール (YCC) を含めた大規模緩和の金融政策の現状維持を決定し、欧米英などの利上げ方向に対しての日米欧英金利差拡大予想による円売りが強まり、午後からの欧州英国市場の参入もあり、今日の午後にドル円は135円台の円安ドル高を記録し、欧州ユーロやポンドなどの他の主要通貨に対しても円相場が一時全面安になる円安となる要因になった。

経済学者出身の日銀の植田新総裁は会合後の発言で、日本では「2%以上のインフレ率のリスクよりも、拙速な金融引き締めで2%の物価安定目標を実現できなくなることのリスクの方が大きい」と指摘しており、粘り強く金融緩和を継続していく意向を示し、声明文でも、「1年~1年半程度の時間をかけ、多角的なレビューを行う」と、大規模緩和継続の長期化を示す表現があり、「政策のレビューの間に、金融緩和の正常化を始める可能性は、ゼロではない」としながらも、逆に遅く始める可能性もあることなどでは、市場予想では早期の金融緩和の修正期待が大きく後退し、日米金利差拡大予想による円売りドル買いが継続した。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は135円69~70銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1円91銭の大幅な円安ドル高になった。

そして、今夜18時59分頃の英国ロンドン外国為替市場では、一時136円18銭付近の円安ドル高も記録した。

今夜この後には最新の米国重要経済指標の発表予定などもあり、日本時間で今夜21時半には米国連邦準備制度理事会 (FRB) も注目している米国個人所得、個人消費支出 (PCE) 、PCEデフレーター、PCEコア・デフレーターや、1~3月四半期の米国雇用コスト指数、22時45分に4月の米国シカゴ購買部協会景気指数、23時に4月の米国ミシガン大学消費者態度指数などが予定されている。

日本の来週はゴールデンウィークだが、欧米では株式市場の決算報告シーズンが継続するなどのイベントも多く、海外FXではゴールデンウィーク中も通常通りFX取引が可能である。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値も149円26~29銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1円44銭の大幅な円安ユーロ高であった。

主な要因は、今日の日銀発表を受けて、日欧金利差拡大予想による円売りユーロ買いが影響を及ぼした。

また、今日は最新の欧州ユーロ圏の経済指標の発表があり、日本市場時間の14時半に発表された1~3月期の仏国内総生産 (GDP) の速報値は前期比で前回の0.1%に対し市場予想通りの0.2%に上昇したことなども好感された。

日本の日経平均株価も上昇し、リスクオン市場でも円売りユーロ買いが優勢だった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.1006~1.1008ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.43セントのユーロ安ドル高だった。

原因は、前述の米国長期金利上昇時の日欧金利差に加えて、米国インフレ指標を受けて、欧州の利上げ継続に対して米国にも利上げ継続予想が強まってきたことなどが影響していた。今夜は、欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁の発言もあった。

一方で、今日の午後に発表されたフランスの4月仏消費者物価指数 (CPI) の速報値は前月比と前年同月比ともに市場予想を上回り、インフレ対策の欧州中央銀行 (ECB) の利上げ継続予想も優勢であった。

しかし、今夜17時に発表されたドイツの1~3月期独国内総生産 (GDP) の速報値は、前年同期比と前月比ともに市場予想以下であったことや、今夜18時の欧州ユーロ圏の1~3月期欧州四半期域内総生産 (GDP) 速報値も同様であったことでは、前日比でのユーロ安ドル高が継続している。

英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値が169円31~37銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1円85銭の大幅な円安ポンド高であった。

主な原因は、高インフレで利上げ継続予想の英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) に対し、今日の日銀の大規模緩和継続決定による日英金利差拡大予想が影響を及ぼしていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年4月28日の日本時間(JST)19時23分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時23分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:23の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 135.95 〜 135.97 +2.17 (円安)
ユーロ/円 149.39 〜 149.40 +1.57 (円安)
ユーロ/ドル 1.0993 〜 1.0995 -0.0056 (ドル高)
英ポンド/円 169.41 〜 169.47 +1.95 (円安)
スイスフラン/円 151.79 〜 151.85 +1.99 (円安)
豪ドル/円 89.59 〜 89.63 +0.78 (円安)


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