FXニュース:米景気懸念再燃で長期金利低下

2023年4月26日
FXニュース:米景気懸念再燃で長期金利低下

 

東西FXニュース – 2023年04月26日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 最新米消費者信頼感指数等低下
  • 米地方銀行の大規模な預金流出
  • 欧米株決算報告期のリスク回避
  • 欧長期金利低下時の日欧金利差
  • 欧最新経済指標は市場予想以上

今日2023年4月26日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値133円78銭前後から高値133円39銭前後の値幅約39銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は133円45~46銭付近で、前日17時の前東京終値比で約69銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場のドル円の値動きの要因と世界市場のトレンド動向の分析は、昨夕の欧州英国市場では欧米株式の決算報告シーズン中に米国中堅銀行の米国ファースト・リパブリック・バンク (FRC) の1~3月期決算報告で預金額の4割減にも及ぶという大規模な預金流出が判明したとの報道を受け、3月に起きた米国シリコンバレー銀行 (SVB) の経営破綻やスイスのクレディスイスの経営難などの欧米金融システム不安が再燃し、欧州株式市場が低調になったことで、株安時のリスク回避で安全通貨の欧州債が買われて利回りが指標となる欧州長期金利が米国長期金利よりも低下時し、ユーロ売りドル買いや日欧金利差縮小時の低リスク通貨の円が買われたことで、主要通貨に対して円相場が一時全面高近くに上昇した。

同時にリスクに弱いと考えられている資源国通貨の豪ドルやカナダドルなども、世界的に流動性の高い安全資産のドルや低リスク通貨の円に対して売られていた。

しかし、欧州英国市場の後半から始まった昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場でも、米国主要企業の決算報告期が本格化している米国株式市場が、発表前の金融システム不安などもあり、三指数ともに大幅下落で始まったことでは、米株安時のリスク回避のリスクオフでは、ドルから買える低リスク通貨の円買いが強まった。

また、昨夜の米国ニューヨーク市場で発表された最新の米国経済指標の影響もあった。昨夜23時に発表された4月の米国リッチモンド連銀製造業指数は前回の-5と市場予想の-8に対し-10に悪化し、同時発表だった米国コンファレンス・ボードの4月の米国消費者信頼感指数は前回の104.2と前回修正と市場予想の104.0に対し101.3に低下し、特に米国消費者信頼感指数では所得や労働環境の短期的見通しを示す期待指数に大幅な低下が観測されたこともあり、最新の米国経済指標を受けて米国景気懸念も再燃した。

米国の主要株式の企業決算報告期の欧米金融不安によるリスクオフと、最新の米国経済指標からも景気懸念が強まったことで、安全資産の米国債買いにより米10年債の利回りが指標となる米国長期金利は3.44%付近から3.38%付近以下に低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りや、ドルから買える低リスク通貨の円買いによるリスク回避が優勢になり、円相場が対ユーロなどの他の主要通貨に対しても上昇していたことも対ドルの円相場に波及し、今朝未明の午前3時過ぎにはドル円は一時133円36〜37銭付近の米国市場および日通しでの円の高値でドルの安値を記録を更新した。

米国市場では、米国利上げ抵抗要因の景気懸念や欧米金融システム不安への配慮などから、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) を控えた米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げ継続が難しくなる可能性から日米金利差縮小予想による円買いドル売りも入っていた。

しかし、世界市場のリスク回避では、ドルも世界的に流動性が高い安全資産であるために、リスク市場で売られやすいユーロや豪ドルなどに対しては上昇していた影響が、他の主要通貨である円相場にも波及したことでは、ドル下げ幅を限定する抵抗要因になっていた。

また、外国為替市場よりも少し早く終了していた米国株式市場の株引け後に発表された米国IT大企業のグーグル (Google) の持ち株会社のアルファベット (Alphabet Inc.) や、米国マイクロソフト (Microsoft) の決算報告はいずれも市場予想以上で好感され、時間外の米国株価指数先物が上昇したことも円相場でのドルの抵抗になったことでは、大幅な円高ドル安にはならなかったが、米国債権市場では米長期金利は前日比0.09%低下の3.40%でニューヨーク終値をつけたことでは、日米金利差縮小時の円高ドル安の範囲内に留まった。

なお、米国グーグル (Google) のアルファベット (Alphabet Inc.) が発表した第1四半期決算は売上高と利益が市場予想を上回った理由は、クラウドサービスの需要と収益の増加、広告収入が市場予想以上に堅調で、6月初めの次回の年次株主総会を前に700億ドルの自社株買い上げも発表したことでは、発表後の時間外取引で株価は一時4%ほど上昇し、米国株式先物価格を押し上げたことでは、ドルの買い戻しも入った。

米マイクロソフトの決算報告も、クラウドサービスとオフィスなどのソフトウェアの売上高などが好調で、自社報告では人工知能 (AI) 関連の売上を促進しているとの発表もあり、市場予想を上回る利益を計上したことでは、同じく決算発表後の株引け後の時間外取引で株価が一時約8.3%近く上昇したが、決算発表前には約2.2%ほどの下落を見せていた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の安値134円25銭前後から高値133円36銭前後の値動きをし、今朝6時頃の米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は133円76銭付近で、前日同時刻の前ニューヨーク終値比では約48銭の円高ドル安であった。

その後に始まった今日の早朝のアジア・オセアニアの世界FX市場と、今朝9時からの日本の東京外国為替市場では、最新の米国経済指標を受けた米国景気懸念から米国長期金利が低下していたことを受けて、再び日米金利差縮小時の円買いドル売りが優勢になった。

今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需による円売りドル買いの抵抗が入ったが、続いては日本の輸出企業による円買いドル売りも入って打ち消した。

昨夜の欧米株式市場での金融システム不安再燃のリスク回避の株売りと安全資産の国債買いの影響もあり、今日は日本の株式市場でも日経平均株価が大幅下落になったことも、国内第一安全資産で世界的にも低リスク通貨である日本円買いの需要を高めた。今日の午後15時15分に日経平均株価は28,416円47銭で大引けし、前日比203円60銭安で0.71%ほど下落した。

ただし、午後からの欧州英国市場の参入に向けては、欧州ユーロや資源国通貨などのリスク通貨に対しての高値の円の利益確定売りや安全資産のドルが今朝の安値圏の後に買われた時間もあり、15時38分頃には一時133円78銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、15時台には前日比大幅安で日本の株式市場が大引け後の低リスク通貨の円買い需要もあり、また欧州中央銀行 (ECB) のタカ派姿勢継続予想も相まってユーロの買い戻しも入り、高値後のドルは利益確定売りもあって円相場で再び下落したため、今夜17時の日本市場の終値前付近が今日の日本市場での円の高値でドルの安値圏になり、ドル円は午後16時57分頃に一時133円39銭付近を記録した。

その直後には、今週の27~28日に日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合の予定では金利抑制の大規模緩和の金融政策の継続予想が優勢であるため、イベント前の持ち高調整の円売りでは、欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では日米金利差拡大予想などによるドルの買い戻しもやや入り始めた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は133円45~46銭付近で、昨日17時の前東京終値比で約69銭の円高ドル安になった。

今夜この後にも最新米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間で今夜20時に米国MBA住宅ローン申請指数、21時半から3月の米国卸売在庫と米国耐久財受注、23時半に米国週間原油在庫、26時に米5年債入札予定、そして今夜からの米国株式市場の後の時間になる予定だが、日本でもフェイスブック (FaceBook) などで有名な、メタ (Meta) こと、米国メタ・プラットフォームズ (Meta Platforms Inc.) の決算報告予定などもあり、日本や欧米の株式市場からのリスクオフやリスクオンなどの影響による値動きにも注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は147円5~7銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約95銭の円高ユーロ安であった。

主な原因は、前述の通り、欧米金融システム不安や株式市場からのリスク回避による低リスク通貨の円買いの影響が出ていた。

ただし、今日の午後15時には欧州ユーロ圏の最新経済指標の発表があり、主要国ドイツの5月の独GFK消費者信頼感調査は前回の-29.5と前回修正の-29.3と市場予想の-27.9に対し-25.7と、市場予想よりも良かったことではユーロの買い戻しも入っていた。

続いて今日の午後15時45分には、欧州ユーロ圏主要国フランスの国立統計経済研究所も最新経済指標の4月の仏消費者信頼感指数を発表し、前回の81と前回改訂値の82と市場予想の81に対し83と市場予想を上回ったことでは、ユーロは低リスク通貨の円や安全資産の対ドルなどに対して買い戻されて上昇し、今朝までの下げ幅を縮めた。

ユーロドルは、17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.1017~1.1019ドル付近で、昨日17時の前東京終値比で約0.15セントのユーロ安ドル高であった。

理由は、昨夜の欧州英国市場の欧米金融不安のリスクオフの欧州債買いで欧州長期金利低下時に、米国長期金利よりも一時欧州長期金利が低下したこともあり、世界的に流動性の高いドルが安全資産としてユーロや資源国通貨に対して買われていた影響があった。

しかし、先述の今日の午後の最新の欧州経済指標を受けたユーロ買いが対ドルで入った。

また、今日の夕方16時半には、欧州連合 (EU) ではあるが、独自の通貨を持つ北欧スウェーデンの中央銀行が政策金利を発表し、新政策金利を0.50%利上げし、市場予想通りの3.5%に達し、6月か9月の追加利上げの見通しは残す一方で、金融引き締めはほぼ終了したと表明したことも、近隣の欧州ユーロ圏の市場予想にやや影響を与えている。

その一方で、欧州の利上げ終了時期よりも、米国の利上げ終了時期の方が早いという市場予想では、日本市場終了後にもドルに対するユーロの買い戻しが現地需要もあって続き、今夜その後の19時台の欧州英国市場では、前東京終値比ではユーロ高ドル安にも転じている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は166円22~28銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約31銭の円安ポンド高であった。

主な原因は、米国発の金融不安が欧州に再び飛び火する警戒感があった中でも、米国シティに続く大金融街のある英国には、クレディスイスの英国部門等は存在したが、前回も金融不安の影響では安全資産へのユーロ売りの方が顕著であり、2桁の高インフレ継続の英国では日英金利差拡大予想の方が優勢であった。

最近は米国や欧州連合 (EU) に利上げ終了時期の市場予想が出てきている中で、記録的なインフレの英国にはインフレ抑制のための英国利上げ継続予想が優勢で、金融引き締めの終了が近いという見解から遠い部分なども指摘されていた。

そのため、今日の日本時間の午後の英国ロンドン外国為替市場の現地朝には、英ポンドは対ドルでも上昇し、ポンドドルも前日同時刻比で一時ポンド高ドル安になっており、他の主要通貨に対する上昇も円相場に影響が波及していた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年4月26日の日本時間(JST)19時15分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時15分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:15の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 133.31 〜 133.32 −0.83 (円高)
ユーロ/円 147.21 〜 147.23 -0.79 (円高)
ユーロ/ドル 1.1042 〜 1.1044 +0.0010 (ドル安)
英ポンド/円 166.22 〜 166.28 +0.31 (円安)
スイスフラン/円 149.94 〜 150.00 +0.07 (円安)
豪ドル/円 88.02 〜 88.06 -0.55 (円高)


注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。