FXニュース:欧ECB高官達の連続タカ派発言

2023年4月25日
FXニュース:欧ECB高官達の連続タカ派発言

 

東西FXニュース – 2023年04月25日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日欧金利差拡大予想のユーロ高
  • 米長期金利低下時の欧米金利差
  • 欧中銀の大幅利上げ長期化予想
  • ユーロ円が一時148円台を記録

今日2023年4月25日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値134円48銭前後から高値134円0銭前後の値幅約48銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は134円13~15銭付近で、前日17時の前東京終値比で約9銭の小幅な円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの要因と世界の市場トレンドの動向の分析はまず、昨夜の欧州市場では円は主要通貨に対し一時全面安を記録したが、その原因は今週金曜に開催が予定されている日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合で大規模緩和金融政策の継続予想が強まる中、金利抑制予想の日本と利上げ継続予想の欧米との金利差拡大予想による円売りが影響を及ぼしていたのだが、昨夜は米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達が5月2~3日の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) を控えた発言自粛期間のブラックアウト期間に入っていることに対して、欧州中央銀行 (ECB) 高官達の相次ぐタカ派発言があったことで、ドルに対してもユーロ高が進行し、他の主要通貨である円相場でもドルが米欧金利差でユーロに対して売られて下げた影響が今日のドル円の東京終値に波及していた。

昨日の欧州中央銀行 (ECB) 高官達のタカ派発言の内容は、欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーの欧州ベルギーの中央銀行のベルギー国立銀行 (BNB) のウンシュ総裁が、「賃金の伸び率が鈍化しない限り、欧州利上げを続ける」ことや、「欧州の金利をある時点で4%にしなければならないとしても、驚きはない」などとタカ派の発言したことを、英国経済紙「フィナンシャル・タイムズ (FT) 」が報道した。

昨夜には欧州中央銀行 (ECB) のシュナーベル専務理事も、「欧州連合 (EU) のインフレについて、勝利宣言するのには時期尚早」であることや、「次回の理事会での、0.5%の大幅利上げの可能性を排除しない」と発言したことが伝わり、市場予想以上の欧州金利上昇の可能性が話題になった。

また、欧州中央銀行 (ECB) のパネッタ専務理事も、「地政学リスクがインフレ率を押し上げている」ことや、「グローバリゼーションが、自然利子率に影響を及ぼしている」ことを指摘しており、タカ派の発言の連続と受け止められた。

さらに、欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーのフランス中央銀行のフランス銀行 (BdF / BoF) のビルロワドガロー総裁が、マクロン仏大統領宛ての年次報告書の中で、「欧州中央銀行 (ECB) の金融政策引き締めは正当であり、根本的なインフレ圧力が緩和される兆しはない」と述べていたことも話題になった。

これらの欧州中央銀行 (ECB) 高官達の相次ぐタカ派発言の影響で、日欧金利差拡大予想による円売りユーロ買いの影響が、他の主要通貨である対ドル円相場にも円安として波及し、昨夜の欧州英国市場のドル円相場は、21時半前に一時134円72〜73銭付近の日通しでの円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、ビルロワドガロー仏中銀総裁は、昨夕のフランスの「フィガロ (Le Figaro) 」紙のインタビューでは、「我々、欧州中央銀行 (ECB) は、道のりの殆どを歩んできた。あと数回の利上げは必要かもしれないが、その回数と規模は限定的であるべきだ」と発言したことでは、欧州中央銀行 (ECB) の今後の利上げ停止時期予想に影響を及ぼしたものの、次回にあと1回の利上げ後に停止の予想が強まっている米国連邦準備制度理事会 (FRB) と比較すると、欧州利上げ長期化予想が優勢になり、日欧金利差拡大予想の円売りユーロ買いに続いては、円相場で高値後のドルの利益確定売りも入り始め、欧米金利差予想によるドル売りユーロ買いのドル安の影響も円相場に波及し始めた。

昨夜の欧州英国市場の後半から始まった今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、米国主要企業の決算報告期の米国株式市場での一部のリスク回避の安全資産の米国債買いの影響で、米10年債の利回りが指標となる米国長期金利が低下した影響もあり、日米金利差縮小時の円買いドル売りが入り、対ドルの円相場は下げ幅を縮めた。

原因は、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、先述の通り、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達が米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 前のブラックアウト期間に入っていることで発言による値動き予想ができないことや、特に注目度が高い経済指標の発表予定のない日であったことから、普段は特に注目されていなかった毎月最終月曜日に米国のテキサス州の地方銀行が現地の製造業の見通し調査をアンケート実施でまとめた4月の米国ダラス連銀製造業活動指数の市場予想以上の悪化が話題になり、米国景気予想に影響を及ぼし、一部の米株決算シーズンのリスク回避の低リスク通貨の円買いに加えて、安全資産の米国債買いを促し、米国債価格が上昇する一方で利回りは低下し、米10年債の利回りが指標となる米国長期金利が低下したことを受けて、日米金利差縮小時の円買いドル売りが強まり、対ドルの円相場は一時134円23銭付近に下げ幅を縮めた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の今朝6時頃のニューヨーク終値は134円24銭付近で、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約8銭の小幅な円安ドル高であった。

続いて始まった今朝早朝の世界市場では、今日はオセアニア市場のオーストラリアとニュージーランドが祝日休場であったため、アジア市場などを中心に米国市場のトレンドが継続し、時間外の米国債市場で米国債価格が上昇トレンドであったことから国債買いで米国長期金利がさらに低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りが先行し、今朝7時20分頃にはドル円は一時133円98銭付近の円高ドル安を記録していた。

今朝9時からの日本の東京外国為替市場が始まり、今朝早朝の世界市場の流れを受けてドル円は前東京終値比で円高ドル安の範囲から始まったため、今朝9時2分頃には一時134円0銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済に向けては、今日は25日で日本企業の決済日が集中しやすい5と10の付く日の五十日(ゴトービ) にあたるため、円相場では輸入実需勢による円売りドル買いの抵抗が入り、ドルは今朝までの下げ幅を縮め始めた。

また、日本市場でも、植田和男日銀新総裁が今日の衆院の財務金融委員会に出席し、「現行の長短金利操作のイールドカーブ・コントロール (YCC) による金融緩和を継続するのが適当だ」と再び発言したことも影響を及ぼした。

昨夜の欧州中央銀行 (ECB) 高官達のタカ派発言の連続による利上げ長期化予想で、今週の日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀会合では金利抑制方向の大規模緩和金融政策の継続予想が強まったために、日欧金利差拡大予想による円売りユーロ買いが優勢になり、他の主要通貨であるドル円相場にも影響が波及した。

午後からの欧州英国市場ではドル買い参入となり、午後15時59分頃にはドル円は一時134円48銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、その後には時間外の米国債買いで債券価格の上昇が続いたことで、10年物の米国債の利回りが指標となる米国長期金利の低下も続いたため、高値後のドルの利益確定売りと安値の低リスク通貨の円買いなどで、ドル円は証券用語で言うところの上昇前の価格と同レベルに戻す「往って来い」になり、今朝の市場開始時に近い134円5銭付近に戻していた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は134円13~15銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約9銭の小幅な円高ドル安になった。

今夜この後には最新の米国経済指標の発表があり、日本時間で今夜22時から2月の米国住宅価格指数の前月比と、2月の米国ケース・シラー米国住宅価格指数の前年同月比、23時には3月の米国新築住宅販売件数と、4月の米国リッチモンド連銀製造業指数、4月の米国消費者信頼感指数と続き、26時には米2年債入札予定もある。

また、今夜の米国株式市場の後の頃の時間になる予定であると株主には現在伝えられているが、米国IT大手のグーグル (Google) のアルファベット (Alphabet Inc) の決算報告予定や、マイクロソフト (Microsoft) の決算報告なども発表される予定である。日本時間では明日未明か早朝となる予定である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は147円97~99銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約51銭の円安ユーロ高であった。

昨夜の欧州英国市場では、一時148円47銭付近の2014年12月以来のおよそ約8年4カ月ぶりの円安ユーロ高も記録していた。

主な原因は、先述の欧州中央銀行 (ECB) 高官達の発言を受けた欧州利上げ長期化予想による、日欧金利差拡大予想の円安ユーロ高が影響を及ぼした。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.1030~1.1032ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.44セントのドル安ユーロ高だった。

原因は、先述の欧州中央銀行 (ECB) 高官達の発言を受けた欧州利上げ長期化予想のユーロ高に対し、米国の利上げは次回の小幅利上げで終了する可能性が指摘されており、今日は欧米の金利差予想の影響があったことに加えて、米国長期金利低下時の主要通貨に対するドル売りも影響を及ぼしていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は167円18~24銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約41銭の円高ポンド安であった。

原因は、英国債利回りの低下時の日英金利差縮小時の円買いポンド売りの影響が出ていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年4月25日の日本時間(JST)19時22分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時22分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:22の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 133.95 〜 133.96 −0.27 (円高)
ユーロ/円 147.73 〜 147.74 +0.27 (円安)
ユーロ/ドル 1.1028 〜 1.1030 +0.0042 (ドル安)
英ポンド/円 166.97 〜 167.03 -0.62 (円高)
スイスフラン/円 151.01 〜 151.07 -0.20 (円高)
豪ドル/円 89.27 〜 89.31 -0.60 (円高)


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