FXニュース:一時135円台記録後のドル円の利益確定

2023年4月20日
FXニュース:一時135円台記録後のドル円の利益確定

 

東西FXニュース – 2023年04月20日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日銀の早期の金融政策修正予想後退報道
  • 米欧英長期金利上昇後の持ち高調整反発
  • 日米金利差拡大後の縮小時の円買い戻し
  • 日本の最新経済指標が市場予想を上回る

今日2023年4月20日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値134円96銭前後から高値134円39銭前後の値幅約57銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は134円59~60銭付近で、前日17時の前東京終値比で約14銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの要因と市場トレンドの動向はまず、昨日の東西FXニュースでもお伝えしたとおり、昨夜18時52分頃の欧州英国市場時間に、英国ロンドン外国為替市場でドル円は一時135円13銭付近の3月10日以来の円安ドル高を記録したが、その後の今日は高値後のドルの利益確定売りと安値圏からの円買いの持ち高調整が優勢になった。

この昨夜の135円台の円安ドル高の原因は、昨日の欧州英国市場で発表された英国経済指標の2桁の高インフレ率の継続を受けて、英国や欧米の利上げ継続予想が優勢になっており、英欧米の長期金利が軒並み上昇し、金利抑制の日本との金利差拡大で円相場が多通貨に対して下げていた影響に加えて、米国ブルームバーグ通信などのニュースが今月27~28日に開催予定の次の日本銀行 (日銀 / BoJ) 金融政策決定会合で、日銀の金利抑制の長短金利操作のイールドカーブ・コントロール (YCC) の修正について、「日銀内で、慎重な意見が広がっている」と報道したことで、日銀の早期の金融緩和政策の修正予想が減退し、日米金利差拡大予想が強まったことが影響を及ぼした。

しかし、欧州英国市場の後半から始まった昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、135円台の大台の高値記録後のドルの利益確定売りと、安値の低リスク通貨の円買いの持ち高調整の反発が入った。

昨夜20時に発表された最新の米国経済指標の米国抵当銀行協会 (MBA) 住宅ローン申請指数は、利上げ長期化の影響もあり、前週比で前回の5.3%から-8.8%に低下しており、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の次回利上げ継続予想のある中で、終了時期も近づいてきているという市場予想もあったことも、短期でのドルの利益確定売りに影響を及ぼしていた。

また、欧米の株式市場が決算報告シーズンで、株の銘柄によっては、決算報告からの市場予想などで一部のリスク回避の安全資産の米国債買いや、ドルから買える低リスク通貨の円の安値買いなども入ったことも一因で、一時134円台前半付近にまで円相場が反発した。

しかし、市場予想を大きく上回っていた最新3月の英国消費者物価指数 (CPI) 発表後の英国長期金利の上昇につられる様に、元欧州連合の英国から独立した歴史のある米国では共通する文化などが残る部分もあるために、欧州や米国の長期金利もつられる様に上昇傾向であったために、反発後の円は再び日米金利差拡大で、今度は円の短期の利益確定売りで売られる再反発もあり、米国市場のドル円はその後には134円台後半付近で推移を続けた。

日本時間で今朝未明3時頃には、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が米国地区連銀経済報告の「ベージュブック」を公開し、米国の経済活動は、ここ数週間は全般的にはほとんど変化が見られなかったとしながらも、「米国雇用市場の伸び率は緩やかになり、米国物価上昇は鈍化したようだ」と指摘されていたことでは、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での利上げを最後に米国利上げが終了し、その後に金利が維持される可能性についての市場予想が高まっていた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、昨夜の欧州英国市場でつけた135円台の大台から再び134円台に円が反発後の円の高値134円29銭前後から安値134円85銭前後の値動きをし、今朝6時頃のニューヨーク終値は134円72銭付近で前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約60銭の円安ドル高であった。

今朝6時半頃からは、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国シカゴ連銀グールズビー総裁の発言があり、先日の米国シリコンバレー銀行 (SVB) などの「米銀2行の連鎖的な経営破綻の影響で、米国の経済成長が予想よりも鈍化するかどうかを、尚見守っている」と発言しており、利上げ継続に対して慎重であると受け止められた。

今朝8時頃からは、同じく米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で投票権を有する米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が、「米国銀行の経営破綻としては史上2番目の規模となったシリコンバレー銀行 (SVB) の経営破綻後、米国の銀行セクターは安定してきた」と指摘する一方で、「家計や企業にとって信用状況の多少の引き締まりにつながって、支出を圧迫する可能性がある」と発言し、「こうした効果の規模と持続期間を判断するにはまだ時期尚早で、信用状況の推移や、それが経済に及ぼす潜在的効果を注視する」と言及した。

また、同氏は、「米国のインフレ率はこのところ鈍化しており、最近のデータは米国のインフレ減速を示唆している」と指摘し、「2%の目標に米国インフレ率を抑えるため、十分に景気抑制的なスタンスを達成し、それを維持すると確信している」と、両氏共にややハト派寄りの発言とも受け止められる発言をしていたことでは、発言後の今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間にはややドル売り円買いが入り始めていた。

今朝8時50分に日本の財務省が発表した日本の最新経済指標の3月の通関ベースの貿易統計の速報値では、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支が、1兆2948億円の赤字の市場予想を下回る7545億円の赤字であったことも、原油価格上昇などで貿易赤字リスクが意識されてきた低リスク通貨の円の買い戻しがやや入っていた。

ただし、今朝9時から始まった今日の東京外国為替市場では、日銀の大規模緩和継続予想と、英欧米の長期金利上昇を受けた日米金利差拡大による円売りドル買いが再び優勢になった。

また、日本市場の今朝9時55分頃の仲値決済では、今日は20日で日本の貿易企業の決算日が集中しやすい5と10のつく日の「五十日 (ゴトービ) 」にあたるため、日本企業の輸入実需によるまとまった円売りドル買いも入り、今朝10時25分頃には一時134円96銭付近に円相場が下落し、今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、今朝の米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言の影響もあり、次回の米国利上げ後には利上げ終了で金利維持の予想も強まっており、今朝の市場高値後のドルには再び利益確定売りが入り、持ち高調整の円買いドル売りに五十日の日本の輸出企業の円買いドル売りも相まって、その後には円相場が反発上昇を始めた。

今日の昼13時半には日本の最新経済指標の2月の第三次産業活動指数の前月比が発表され、前回の0.9%と前回修正の0.7%と市場予想の0.4%に対し0.7%と、市場予想を上回って前回修正と同レベルの推移となっており、今朝の大幅赤字予想ほど悪化しなかった日本の貿易収支に続いて、日本景気好感による低リスク通貨の円買いも入っていた。

午後からの欧州英国市場の参入でも、時間外の米国債券市場で安値の米国債買いなどで米10年債の利回りが一時3.55%台付近に低下したことをきっかけに、日米金利差縮小時のドルの利益確定売りや持ち高調整の円買いが強まり、特に昨日の欧州英国市場で一時135円台の大台の高値をドルが記録後に、今朝の日本市場では再び135円台に乗らずに伸び悩んだこともあり、ドル売り円買いが優勢に転じ、15時46分頃に一時134円39銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録し、前日比で円高ドル安の域に達した。

その後にはややドルの買い戻しや円の利益確定売りの抵抗も入ったが、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は134円59~60銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約14銭の円高ドル安になった。

今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間で21時半に前週分の米国失業保険継続受給者数と米国新規失業保険申請件数、4月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数、23時に3月の米国中古住宅販売件数と3月の米国景気先行指標総合指数、25時頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のウォラー理事の発言予定、25時20分頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官で投票権はないがご意見番の米国クリーブランド連銀のメスター総裁の発言、28時頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のボウマン理事の発言予定などが注目されている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は147円50~52銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約20銭の円高ユーロ安になった。

主な原因は、昨夜は英国や欧州のインフレ高止まり観測から、欧州中央銀行 (ECB) の利上げ継続予想が優勢で、欧州中央銀行 (ECB) のチーフ・エコノミストでもあるレーン専務理事が利上げを支持し、欧州ユーロ圏のスペイン中銀のデコス総裁も利上げ継続の必要性を言及する発言をしており、ユーロ円も一時147円85銭付近の2022年10月21日以来の円安ユーロ高を記録後であったため、今日はドル同様にユーロの利益確定売りや持ち高調整の低リスク通貨の円買いで円相場が反発した。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0958~1.0960ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.04セントのユーロ安ドル高になった。

原因は、昨夜から今朝までの米国市場では、米国長期金利上昇を受けて、欧米金利差縮小時のユーロ売りドル買いが優勢だったドル高の影響が残っていた。

また、今日の午後15時に発表されたドイツの3月独生産者物価指数 (PPI) の前月比は、前回の-0.3%と市場予想の-0.5%を大きく下回った-2.6%であったことも、ユーロ売りドル買いに繋がった。

しかし、今夜この後には、20時半から欧州中央銀行 (ECB) 議事要旨公表 (3月16日開催分) の発表予定も控えており、イベント前のユーロの持ち高調整なども入っており、今夜その後の欧州英国市場ではユーロドルは横ばいレンジ圏付近でも推移している。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は167円12~18銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約36銭の円高ポンド安になった。

同じく、昨日の英国インフレによる利上げ予想を受けた円安ポンド高の後の、利益確定や持ち高調整などが今日の日本市場に影響を与えていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年4月20日の日本時間(JST)19時34分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時34分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:34の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 134.60 〜 134.61 -0.13 (円高)
ユーロ/円 147.56 〜 147.58 -0.14 (円高)
ユーロ/ドル 1.0962 〜 1.0963 ±0.0000 (レンジ)
英ポンド/円 167.37 〜 167.43 -0.11 (円高)
スイスフラン/円 150.47 〜 150.53 +0.44 (円安)
豪ドル/円 90.51 〜 90.55 +0.12 (円安)


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