FXニュース:米経済指標を受け景気懸念浮上

2023年4月21日
FXニュース:米経済指標を受け景気懸念浮上|

 

東西FXニュース – 2023年04月21日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米新規失業保険申請件数が増加
  • 米PHL連銀製造業景況指数低下
  • 今夜の米製造業PMI発表を控え
  • 欧英利上げ継続予想と景気懸念

今日2023年4月21日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値134円25銭前後から高値133円70銭前後の値幅約45銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は133円92~94銭付近で、前日17時の前東京終値比で約68銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの要因と市場トレンドの動向の分析は、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で発表された最新の米国経済指標を受けて米国景気懸念が浮上し、安全資産の米国債買いで米国長期金利が低下したことなどで日米金利差縮小時の円売りドル買いが優勢になった。

昨夜21時半の米国市場で発表された前週分の米国新規失業保険申請件数は、前回の23.9万件と前回修正と市場予想の24.0万件に対し24.5万件に悪化し、米国失業保険継続受給者数も前回の181.0万人と前回修正の180.4万人と市場予想の182.0万人に対し186.5万人に市場予想以上に悪化していた。

同時発表だった4月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数も、前回の-23.2と市場予想の-19.2に対し-31.3と市場予想を大幅に下回って低下したことで、米国景気懸念が強まった。

続いて昨夜23時に発表された3月の米国中古住宅販売件数も、年率換算件数が前回458万件と前回修正の455万件と市場予想の450万件に対し444万件と弱く、前月比も前回の14.5%と前回修正の13.8%と市場予想の-1.8%に対し-2.4%であった。

同時発表の3月の米国景気先行指標総合指数の前月比も、前回の-0.3%と前回修正の-0.5%と市場予想の-0.6%に対し-1.2%と、市場予想を大きく下回る弱い米国経済指標が相次いで発表されたことで、米国景気懸念によるドル売りが進行した。

また、米国主要企業の決算報告シーズンや株主総会の時期の米国ニューヨーク株式市場でも、一部の企業決算報告などを受けて、リスク回避の安全資産の米国債買いや低リスク通貨の円買いが入っており、米10年債の利回りが指標となる米国長期金利低下時の日米金利差縮小による円買いドル売りに合わさったことや、今週は一時135円台にドル高が進んだ後で利益確定売りや持ち高調整も入りやすかったこともあり、米国景気懸念を強める米国経済指標発表後には米国長期金利は一時3.5223%付近に低下し、昨夜の深夜前にドル円は一時134円1銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録し、円の日通し高値も更新した。

しかし、134円手前までドルが下げた後には、高値の円の利益確定売りと安値のドル買いなどが抵抗要因となり、134円36銭付近に反発した。

その一因には、日本時間で深夜過ぎの今朝未明1時20分頃から、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国クリーブランド連銀のメスター総裁の講演発言の影響などがあり、「米国政策金利を5%以上に引き上げ、しばらく維持する必要がある」というタカ派の発言があった。ただし、その一方で、先日の米国金融不安への配慮もあり、「米国の金融環境の引き締まりが、経済に与える影響にも注目している」と慎重な意見も混じっていたことでは、買われたドルが反発後に短期で売られる利益確定も混じった。

今朝未明4時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事の発言もあったが、「我々、米国連邦準備制度理事会 (FRB) は、米国のインフレ抑制に注力している」と言及はしたものの、今後の金融政策などに対する自身の見解を述べることは控えており、大きなドルの買い戻しには至らなかった。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の安値134円82銭前後から高値134円1銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を134円24銭付近の前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約48銭の円高ドル安で終えていた。

ほぼ同時刻の今朝6時頃からは、米国アトランタ連銀のボスティック総裁が、「米国の銀行セクターのストレスが、米経済への逆風を生んでいる」という理由で、「後1回の追加利上げ後の休止を引き続き支持する」と発言した影響で、再びドル売りが優勢になった。ただし、ボスティック総裁は今年の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) では投票権は持っておらず、一つの意見と見ることもできるが、ボスティック総裁は米国アトランタ連銀総裁としては初のアフリカ系米国人であるために一部での注目度は高く、日本でも今朝のニュース記事になっており、今朝8時台に一時133円95銭付近にドルが売られた。

今朝8時半には日本の最新経済指標の発表もあり、3月の全国消費者物価指数 (CPI) が発表され、前年同月比は前回の3.3%に対し市場予想通りの3.2%であった。気象などの影響で価格変動の激しい生鮮食料品を除いた全国消費者物価指数 (CPI) の前年同月比は前回と市場予想と同じ3.1%で、生鮮食料品とエネルギー除いた全国消費者物価指数 (CPI) は前回の3.5%と市場予想の3.6%に対し3.8%に上昇していた。

今朝8時45分頃からは、米国ペンシルベニア大学での講演で次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国フィラデルフィア連銀のハーカー総裁の発言があり、「米国の今尚高いインフレを2%の目標に戻すためには、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が政策面で更に努力する必要がある」と発言し、「十分に制約的であることを確実にするため、幾らかの追加引き締めが必要かもしれない。今年中になるであろうが、その時点に到達すれば、金利を据え置くと想定している」とタカ派の発言したことでは、8時台の一時133円台から9時台に向けて134円台にドルが買われた。

今朝9時からの今日の日本の東京外国為替市場では、世界市場のハーカー総裁のタカ派発言のドル買いと今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いで、今朝9時54分頃に一時134円25銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、その後には輸出企業の円買いドル売りも入ったことや、日本市場でも昨夜の米国経済指標を受けた景気懸念による米国長期金利の低下などを受けて、日米金利差縮小時の円買いドル売りが再び優勢になり、円相場が上昇を続け、午後15時35分頃には一時133円70銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。

午後からの欧州英国市場の参入では、時間外の米国債券市場で高値になった米国債が売られた影響もあり、米国長期金利がプラス圏に転じたことで、高値の円の利益確定売りと安値のドル買いの抵抗が入り、ドル円は一時134円台にドルが反発したが、今夜発表予定の4月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI) 発表前のイベント前のドルの持ち高調整なども影響を及ぼし、133円後半に戻したあたりで、今夜17時の日本市場の終値の時間になった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は133円92~94銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約68銭の円高ドル安になった。

今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間で今夜22時45分から4月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI) 、米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 、米国総合購買担当者景気指数(PMI) の速報値が発表されるほか、29時35分頃からは米国連邦準備制度理事会 (FRB) のクック理事の発言予定などもあり、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つことから、FXトレーダー達に市場予想データとして注目されている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は146円75~76銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約76銭の円高ユーロ安であった。

原因は、昨夜の欧州英国市場では、欧州中央銀行 (ECB) の前回の3月の理事会の議事要旨が発表され、金融不安の中でも前回3月の0.5%の大幅利上げに、「極めて大多数のメンバーが同意」したことで、欧州利上げ継続予想が優勢で一時はユーロ買いが起きたものの、米欧の金融システム不安が高まっていた中でも、「宣言し意図した金利パスに従うことが、信頼を醸成し、金融市場にさらなる不確実性を生むのを避けるために重要」で、「インフレが目標を遥かに上回り、インフレ動向が依然強すぎる」と、大幅利上げが継続されたことで、先日の欧米の金融不安に関しては、利上げ継続の副作用という懸念もあり、欧州景気懸念への警戒感なども強く、「複数のメンバーが、全期間に渡り、リスクは上向きに傾いていると見ていた」などというリスク回避を高める内容もあり、欧米株の決算報告シーズンのリスク回避の安全資産のドルや低リスク通貨の円買いもあって、上昇後のユーロが利益確定売りや持ち高調整で安全資産のドルや低リスク通貨の円に売られる反発が起きたことなどが、今日の日本市場の終値付近に影響を及ぼしていた。

そのため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0956~1.0957ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.03セントのユーロ安ドル高であった。

また、今日の夕方16時15分には欧州ユーロ圏の最新経済指標も発表され、フランスの4月の仏製造業購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は前回の47.3と市場予想の47.8に対し45.5に低下していたが、4月の仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は前回の53.9と市場予想の53.4に対し56.3に上昇し、強弱入り混じった。

続いて16時半のドイツの4月の独製造業購買担当者景気指数 (PMI) の速報値も前回の44.7と市場予想の45.7に対し44.0に低下したが、4月の独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は前回の53.7と市場予想の53.3に対し55.7に上昇と、フランス同様の結果であった。

今夜17時には欧州ユーロ圏総合の4月の欧製造業購買担当者景気指数 (PMI) の速報値が発表され、前回の47.3と市場予想の48.0に対し45.5に低下していたが、4月の欧サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は前回の55.0と市場予想の54.5に対し56.6に上昇し、強弱入り混じる結果となった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は166円1~7銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約99銭の円高ポンド安であった。

原因は、今日の午後15時に発表された最新の英国経済指標の3月の英国小売売上高が、英国の記録的な2桁の高インフレ継続の影響もあり、市場予想よりも悪く、高インフレ抑制のための英国利上げ継続予想もある中で、英国景気懸念が浮上した。

3月の英国小売売上高は、前年同月比では市場予想通りの-3.1%であったが、前月比が前回の1.2%と前回修正の1.1%と市場予想の-0.5%に対し-0.9%に低下した。

ただし、今夜17時半には英国の4月の英製造業購買担当者景気指数 (PMI) の速報値が発表され、前回の47.9と市場予想の48.5に対し市場予想に反して46.6に低下したものの、4月の英サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は、前回と市場予想の52.9に対し54.9に上昇と、欧州同様に強弱混ざった結果になっていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年4月21日の日本時間(JST)19時12分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時12分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:12の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 133.77 〜 133.78 -0.92 (円高)
ユーロ/円 146.59 〜 146.61 -0.92 (円高)
ユーロ/ドル 1.0957 〜 1.0959 -0.0002 (ドル高)
英ポンド/円 165.72 〜 165.78 -1.28 (円高)
スイスフラン/円 149.64 〜 149.70 -0.71 (円高)
豪ドル/円 89.54 〜 89.58 -0.94 (円高)


注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。