FXニュース:日米金利差拡大予想の円売りドル買い

2023年4月19日
FXニュース:日米金利差拡大予想の円売りドル買い

 

東西FXニュース – 2023年04月19日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米連邦準備制度高官達のタカ派発言
  • 最新米住宅着工件数は市場予想以上
  • 米長期金利一時低下後のドルが反発
  • 英インフレ率が10%超えの高止まり

今日2023年4月19日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値134円81銭前後から高値133円95銭前後の値幅約86銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は134円73~75銭付近で、前日17時の前東京終値比で約51銭の円安ドル高であった。

今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、ドル円は18時52分頃に一時135円13銭付近の円安ドル高も記録した。

今日のドル円の為替相場の値動きの要因と市場トレンドの動向はまず、昨日の日本市場で134円70~71銭付近の3月15日以来の高値をつけた後のドルは、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利の一時低下もあり、円相場で利益確定売りが入り始め、昨夜の欧州英国市場でドルの利益確定売りが進み、昨夜21時5分頃の米国ニューヨーク外国為替市場の始まりの頃には一時133円86銭付近の日通しの円の高値でドルの安値を記録し、この時点では前日比で円高ドル安の域に達していた。

しかし、その後の昨夜21時半に、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では最新の米国経済指標の発表があり、3月の米国住宅着工件数は、年率換算件数が前回の145.0万件と前回修正の143.2万件と市場予想の140.0万件に対し142.0万件で、前月比も前回の9.8%と前回修正の7.3%と市場予想の-3.5%に対し-0.8%と、前回からの悪化が予測されていたが市場予想ほどは悪化しなかったことでは、ドルの買い戻しが入り始まり、133円台後半から134円台前半にドルが上昇した。

ただし、同時発表だった3月の米国建設許可件数は、年率換算件数が前回の152.4万件と前回修正の155.0万件と市場予想の145.0万件に対し141.3万件で、前月比も前回の13.8%と前回修正の15.8%と市場予想の-6.5%に対し-8.8%であったことでは、上昇後のドルの利益確定売りで円相場も反発していた。

今朝未明には、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達のタカ派発言があったことで、今度は今日の日本市場での円安ドル高への再転換に至る安値のドル買いと日米金利差拡大予想の円売りの反発が始まった。

今朝未明2時頃からの次回米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を有する米国連邦準備制度理事会 (FRB) のボウマン理事のイベントでの発言は、先日の米国金融不安に対する発言から始まり、「我々米国連邦準備制度理事会 (FRB) は、米国の銀行セクターに於けるストレスの更なる兆候を注意深く見守っているところだが、現時点では、状況は落ち着いている様に見える」ことや、「対応が必要になり得る課題や変化に対して、我々がとても敏感に対応するのは明白である」ことなどに言及し、米国の金融政策への影響については、「米国の銀行を巡る状況は経済に影響を与える可能性はあるが、私の個人的見解では、米国銀行2行が経営破綻をする以前と同じ流れで物事が進むと見ている」と発言したことなどで、米国の利上げ抵抗要因の景気懸念の後退で次回の米国利上げ継続予想が高まり、利益確定売りの後の安値のドル買い戻しのトレンド転換が徐々に起き始めた。

同じく、今朝2時半頃のニュースでは、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国セントルイス地区連銀のブラード総裁がインタビューで、米国のインフレ継続を示していた最新データを受けて、米国連邦準備制度理事会 (FRB) は利上げを継続するべきであるとタカ派の発言をした。また、米国が近い将来に、利上げの副作用で金融危機や景気後退 (リセッション) に向かう可能性から早期の利下げに転じるのではないかという見解に反論し、「米国労働市場はとても堅調の様に見受けられるし、社会理念では労働市場の堅調さ、米国経済の大部分を占める消費の堅調さにつながる。今年後半に景気後退のリセッションに陥ると予測する時期ではない」発言した。

また、先日の米国シリコンバレー銀行 (SVB) などの米銀2行の経営破綻に起因する金融不安に関しても、深刻であれば自身が総裁として管轄する米国セントルイス連銀の金融ストレス指標にも表れるはずであることを指摘し、「米国で本当に深刻な金融危機が起きるとすれば、金融ストレス指数が跳ね上がる筈だが、現在はゼロ。現時点では、あまり大きなことが起きている様には見えない」ことから、次回3月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) では、もう1回の利上げを継続し、米国政策金利のフェデラルファンド (FF) 金利の誘導目標を5.0~5.25%に高める必要があり、金融引き締めサイクルの終わりには近づいているという見解には同意するものの、個人的には5.5~5.75%のターミナルレート (TR) まで利上げする必要があると考えているというタカ派の発言していた。

その上で、米国のインフレの抑制に向けた米国政策金利のFF金利目標が、充分なレベルになれば、インフレが完全に抑制されることを確認するための長期間に、その金利水準を維持することになるという、今朝のタカ派発言の連続になったことで、ニュースが伝わるにつれて、ドルの買い戻しが始まった。ただし、この時点では、「金融引き締めサイクルの終わりには近づいている」ということも意識されており、急激な買い戻しにはなっていなかった。

一因は、欧米は決算シーズンで、欧州株価上昇時のリスク選好のリスクオン市場の株式市場でユーロが買われて安全資産のドルが売られていたことなども円相場に影響が波及しており、低リスク通貨の円も売られたものの、ドルの方が欧州市場でのそれまで下げ幅が大きかった。

そのため、ドルは円相場で昨夜の欧州英国市場での利益確定売りの下げ幅が大きかったため、米国市場ではやや上昇や横ばいに近い動きを示したものの、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は円の高値133円86銭前後から安値134円32銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は134円12銭付近で、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比では約35銭の円高ドル安であった。

しかし、その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場では、今朝のニュースで早朝未明の米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達のタカ派発言などが伝わり、日米金利差拡大予想の円売りドル買いが優勢になった。

今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けても、日本企業の輸入実需などの円売りドル買いも優勢で、その直後に輸出企業の円買いドル売りの一時抵抗があった今朝10時15分頃の133円95銭付近が今日の日本市場での円の高値でドルの安値となり、その後にはドルが上昇した。

また、昨夜の欧州英国市場でドル売り要因となっていた米10年債の利回りが指標となる米国長期金利の一時低下が、今日の日本市場時間の時間外の債券市場で収まってきたことも、日米金利差拡大時の円売りドル買い要因になり、午後からの今日の欧州英国市場の参入でも円相場ではドルが上昇を続け、午後16時44分頃に今日の日本市場での円の安値でドルの高値の一時134円81銭付近を記録し、前日比で円安ドル高に転じていた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は134円73~75銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約51銭の円安ドル高になった。

今夜その後の欧州英国市場でも円相場でのドル上昇が継続しており、18時52分頃に一時135円13銭付近を記録した。その直後には高値のドルの利益確定売りの一時抵抗も入ったが、19時過ぎにも134円台後半の再上昇トレンドで推移している。今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定があり、今夜20時に米国MBA住宅ローン申請指数、23時半に週間の米国原油在庫と27時に米国地区連銀経済報告のベージュブックなどが発表される予定である。

また今夜21時頃に米国モルガン・スタンレーなどの決算報告なども続き、決算報告期の欧米株式市場からのリスクオンやリスクオフの債券売買などが為替相場に影響を及ぼす可能性もあるため、プロのトレーダー達に注視されている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は147円69~70銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約46銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、欧州英国市場で欧州株価上昇時のリスクオンのユーロ買いで低リスク通貨の円が売られた影響が出たことや、日欧金利差拡大予想も円売りユーロ買いに影響を及ぼしていた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0960~1.0961ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.09セントの小幅なユーロ安ドル高であった。

原因は、昨夜の欧州英国市場ではドルが利益確定などで売られていたが、今日は米国利上げ継続予想もあり米国長期金利低下も止まったことで、ドルの買い戻しが入ったことなどが影響した。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は167円86~92銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1円28銭の大幅な円安ポンド高であった。

原因は、今日の午後15時に発表された最新の英国経済指標の3月の英国消費者物価指数 (CPI) が、前年同月比で前回の10.4%と市場予想の9.8%に対し10.1%と、市場予想を超えた10%超えの2桁の高インフレ継続を示したことで、記録的な高インフレ抑制のための英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の利上げ継続予想が高まり、日英金利差拡大予想の円売りポンド買いが強まったことなどが影響を及ぼした。

3月の英国消費者物価指数 (CPI) は、前月比でも前回の1.1%と市場予想の0.5%に対し0.8%で、英国消費者物価指数 (CPI) のコア指数の前年同月比も、前回の6.2%と市場予想の6.0%に対し6.2%のインフレ高止まりであった。

同時発表の3月の英国小売物価指数 (RPI) も、前年同月比で前回の13.8%と市場予想の13.3%に対し13.5%で想定以上の英国のインフレ継続を示していたことで、今日は英国の利上げ継続予想により、主要通貨に対して英国ポンドが上昇し、その影響の波及もあり、日英金利差拡大予想のあった円相場では大幅な円安ポンド高を記録した。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年4月19日の日本時間(JST)19時12分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時12分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:12の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 134.86 〜 134.87 +0.64 (円安)
ユーロ/円 147.46 〜 147.48 +0.23 (円安)
ユーロ/ドル 1.0933 〜 1.0935 -0.0036 (ドル高)
英ポンド/円 167.50 〜 167.56 +0.92 (円安)
スイスフラン/円 149.94 〜 150.00 +0.38 (円安)
豪ドル/円 90.32 〜 90.36 +0.13 (円安)


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