FXニュース:今夜のFOMCとFRB議長発表控え

2023年3月22日
FXニュース:今夜のFOMCとFRB議長発表控え

 

東西FXニュース – 2023年03月22日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 欧米金融不安緩和のリスクオン
  • 欧米日株価上昇で安全資産売り
  • 欧米政府と金融当局の預金保護
  • 英新金利発表前のCPIが10.4%

時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値132円78銭前後から高値132円26銭前後の値幅約52銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は132円60~61銭付近で、昨夜17時の世界市場の131円84~85銭付近と比較すると約76銭の円安ドル高であるが、昨日の日本市場は春分の日で祝日休場だったため、祝日前の前営業日の20日の17時の前東京終値比では、約1円56銭の大幅な円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの要因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、これまでの日米欧英瑞加の政府や金融当局による6中央銀行の金融システム安定のためのドル資金供給協調による対応や、スイス政府の仲介によるUBSのクレディ・スイス買収や欧米英の政府や金融当局によるAT1債市場急落の沈静化への対応や、米国のイエレン財務長官の発言などを受けて、欧米の金システム融不安が一時緩和され、欧米の株価が回復上昇を示したことでリスク選好のリスクオンになり、以前の欧米株安時のリスク回避のリスクオフで買われた安全資産の米国債が売られて米長期金利が上昇し、低リスク通貨の円がユーロやドルに売られて円安になった。

昨夜の全米銀行協会会合の講演で米国のイエレン財務長官は、「米国の銀行システムは規制当局の対応により安定しつつあるが、中小金融機関で預金流出の取り付け騒ぎなどが起きた場合には、預金者保護に向けた更に強力な措置が正当化される」ことを強調し、先日破綻した米国シリコンバレー銀行などの2銀行の保証対象外の預金の保護や、米国連邦準備制度 (FRS) による新たな流動性の供給など、米国政府の措置は預金者の預金や銀行システムの安全確保に必要な措置を講じる断固たるコミットメントを示していると発言した。

更にイエレン財務長官は、「我々の措置は特定の銀行や銀行のクラスの支援に注力したものに限らず、我々の介入はより広範な米国銀行システムを保護するために必要」であったことに言及し、もしも他の中小金融機関でも預金流出が発生し、他に波及する恐れがある場合には、同様の措置が正当化される可能性があることで、米連邦預金保険公社 (FDIC) や米国連邦準備制度 (FRB) 、そして米国財務省の措置により、さらなる銀行破綻のリスクが低減したと主張し、金融システム不安の沈静化に働きかけた。

金融システム不安の緩和により、欧米株価が回復を示し、米国ニューヨーク株式市場では米国主要株価が三指数とも大幅上昇を示したことで、以前のリスクオフ市場からリスクオン市場に転じ、以前の株安時のリスク回避で買われていた安全資産の米国債が売られて利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大もあって低リスク通貨の円が売られてユーロやドルなどに対して円安になった。

また、昨夜から米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の初日が始まり、金融不安緩和に伴って利上げ見送り予想が12.2%付近に減退し、0.25%の米国利上げ継続予想が87.8%付近の確定値超えの優勢になったことも、日米金利差拡大予想の円売りドル買い要因になった。

今夜この後の日本時間の明日未明27時には、世界中で注目されている米国新政策金利や金融政策の発表を含む米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 結果発表と、27時半からの米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の定例記者会見の発言予定などがあり、米ドルの重要イベント前の市場予想による持ち高調整なども進んでいた。

その一方で、米国の利上げ継続の場合には平常時であれば円安要因の日米金利差が拡大するが、最近の為替相場の値動きに影響を与えている株式市場で金利上昇警戒などによる欧米株安が起きると、再び金融不安や景気不安で安全資産の米国債や低リスク通貨の円が買い戻される可能性なども今回はやや懸念されることなどから、持ち高調整の後にはイベントの結果が分かるまでのドルの買い控えや様子見の値動きなどもやや混ざった。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の安値132円63銭前後から高値131円79銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を132円50~51銭付近の前日同時刻比で約1円15銭の大幅な円安ドル高でつけていた。

今朝その後に始まった祝日休場明けの今日の日本の東京外国為替市場でも、米国の金融システム不安緩和のニュースを受けた米長期金利の上昇で円安要因の日米金利差が拡大し、今日は日経平均株価も大幅上昇を見せたことで低リスク通貨の円売りトレンドの影響が続いた。

今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済も、日本企業の輸入実需の円売りドル買いに続いて、輸出企業の円買いドル売りが入り、売買のバランスが取られていた。

ただし、今夜この後の日本時間で明日未明の米国新政策金利発表イベント前の日米金利差拡大予想による円売りドル買いや持ち高調整の一方で、イベントリスクによるドルの買い控えや結果が分かるまでの様子見等の動きが強まり、日本市場では横ばいに近い動きが増えた。

しかし、午後からの欧州英国市場の参入では、明日に英国新金利発表を控えた英国中央銀行イングランド銀行 (BoE) の金融政策委員会 (MPC) の初日が今日から始まり、以前には利上げ終了時期が近いという噂があった英国の最新のインフレ指標が今日の午後16時頃に発表されたのだが、最新の英国経済指標の2月の英国消費者物価指数 (CPI) の前年同月比は前回の10.1%と市場予想の9.9%を上回る10.4%の高インフレ率で、急きょ英国の利上げ継続予想が強まり、元欧州連合 (EU) の英国ポンド買いの影響で欧州ユーロも対ドルや対円で上昇し、ドル円相場など他の主要通貨の相場にも影響が波及した。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は132円60~61銭付近で、世界市場の昨夜17時の131円84~85銭付近と比較すると約76銭の円安ドル高で、日本の祝日前の前営業日の一昨日の17時の前東京終値比では、約1円56銭の大幅な円安ドル高になっていた。

今夜この後には、最新の米国経済指標の発表と、世界が注目する米国新政策金利と金融政策の発表イベントやパウエル議長の発言予定などの重大イベントの予定がある。

日本時間の今夜のスケジュールは、20時に米国経済指標のMBA住宅ローン申請指数、23時半に米国週間原油在庫、そして、27時に重要イベントの米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 最終日の新政策金利と声明発表があり、27時半からは注目度の高い米国連邦準備理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の定例記者会見での発言イベントの予定もあり、米国の新政策金利や金融政策などを特に世界の投資家たちが注視している。また、明日には米国に続き、スイスと英国の新政策金利と金融政策の発表イベントも予定されている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は142円77~78銭付近で、祝日前の前営業日17時の前東京終値比では約3円13銭の大幅な円安ユーロ高であった。

原因は、ドル同様に以前の欧州の金融システム不安の時のリスク回避で買われていた低リスク通貨の円が、欧州経済域に近いスイスのUBSのクレディ・スイス買収後の欧米金融システム不安緩和に伴った欧米株価回復や安全資産の国債売りで欧米の長期金利が上昇し、日欧金利差拡大とリスクオンでユーロ買いと低リスク通貨の円売りに転じた影響が大きかった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0767~1.0768ドル付近で、前営業日17時の前東京終値比で約1.12セントの大幅なユーロ高ドル安であった。

欧州金融不安の時には、安全資産の米国債や低リスク通貨の円だけでなく、世界的に流動性のドルも買われていたのだが、大幅値上げが継続した欧州ユーロに対し米国の小幅利上げ予想に加えての米国発の金融不安を受けた一部の利上げ終了時期に関する市場予想などもあり、今夜の米国の新政策金利と金融政策発表イベント前のイベントリスクによる持ち高調整やドルの買い控えや様子見などもあり、今日は対ドルでもユーロが英国ポンドにつられたこともあって大幅に上昇していた。

また、今夜17時45分からは、欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁の発言機会もあった。

18時に発表された欧州ユーロ圏の1月の欧州経常収支は、季調済が前回の159億ユーロに対し170億ユーロに上昇もしており、リスクオンのユーロ買いが優勢だった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は162円58~64銭付近で、祝日前の前営業日17時の前東京終値比で約76銭の円安ポンド高であった。

今日は、欧米英の金融不安緩和で英国ロンドン外国為替市場でも低リスク通貨の円が売られていたが、それに加えて、今日から明日の英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の金融政策委員会 (MPC) が始まっており、今日発表された英国の最新経済指標の2月の英国消費者物価指数 (CPI) や英国小売物価指数(RPI) が市場予想を超えるインフレ率であったことで、英国利上げ継続予想が強まり、日英金利差拡大予想の円売り英ポンド買いが起きた。

最新の2月の英国消費者物価指数 (CPI) は、前年同月比が前回の10.1%と市場予想の9.9%に対し10.4%、前月比も前回の-0.6%と市場予想の0.6%に対し1.1%に上昇した。

2月の英国小売物価指数 (RPI)も、前年同月比が前回の13.4%と市場予想の13.3%に対し13.8%、前月比も前回の0.0%と市場予想の0.6%に対し1.2%に上昇していた。

ただし、明日の英国新政策金利と声明発表などのイベントを控え、持ち高調整や様子見も混じっている。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年3月22日の日本時間(JST)20時24分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時24分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:21の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 132.21 〜 132.22 +1.09 (円安)
ユーロ/円 142.42 〜 142.44 +2.61 (円安)
ユーロ/ドル 1.0771 〜 1.0773 +0.0110 (ドル安)
英ポンド/円 162.01 〜 162.07 +2.17 (円安)
スイスフラン/円 142.87 〜 142.93 +1.57 (円安)
豪ドル/円 88.33 〜 88.37 +0.60 (円安)


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