FXニュース:米CPI発表後のFRB利上げ継続予想

2023年3月15日
FXニュース:米CPI発表後のFRB利上げ継続予想

 

東西FXニュース – 2023年03月15日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米国長期金利上昇時の日米金利差拡大
  • 欧米金融不安緩和と再燃時の株価影響
  • 安全資産の米国債と低リスク通貨の円
  • 今夜の米卸売物価指数(PPI) 発表予定
  • 明日の欧ECBの新政策金利発表を控え

今日2023年3月15日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値135円6銭前後から高値134円3銭前後の値幅約1円3銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は134円86~88銭付近で、前日17時の前東京終値比で約1円32銭の大幅な円安ドル高であった。

今日のドル円の為替相場の値動き要因はまず、日本時間で昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で昨夜21時半に最新米国重要経済指標の2月米国消費者物価指数 (CPI) の発表イベントがあり、前月比は前回の0.5%に対し市場予想通りの0.4%で、前年同月比も前回の6.4%に対して市場予想通りの6.0%と8カ月連続で上昇率は鈍化したものの、依然として2%のインフレ目標から離れた高水準であることが意識され、さらにエネルギーと食品を除いたCPIコア指数の前月比が前回と市場予想の0.4%を上回る0.5%の上昇であったことから、インフレ抑制のための米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げ継続予想が強まり、米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大予想による円売りドル買いが優勢になった。

来週21~22日の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での米国新政策金利操作に関する確率を分析するフェッドウォッチ・ツール (CME FedWatch Tool) では、先週には0.5%の大幅利上げ予想値が78.6%付近と優勢であったが、今週は米国金融不安もあり、昨夜までには0.5%の大幅利上げ予想値は0.0%付近に急激に減退したものの、米国政府やFRBなどの救済案発表を受けた米国発の金融不安の緩和につれて、一時は30%を超えていた次回の米国利上げ見送り予想は20.3%付近に低下し、今日は0.25%の通常利上げ幅での米国政策金利の次回利上げ継続予想が79.7%の確定値超えの優勢になっている。

また、同時進行だった欧米の株式市場では、先日の米国シリコンバレー銀行 (SVB) の破綻などに起因した金融不安の一時緩和により、欧米の株価が回復上昇を示すにつれて、以前の株安時のリスク回避の安全資産で買われて価格が上昇していた米国債や低リスク通貨の円が利益確定で売られたことも、米10年債の利回りが指標になる米国長期金利の上昇による日米金利差拡大の円売りを加速した。

米国ニューヨーク債権市場では、米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りの終値が3.69%付近と前日比で約0.12%上昇し、米国金融政策の影響を受けやすい米国2年債の利回りも終値で4.26%付近と前日比で約0.29%上昇したほか、一時は4.40%付近と前日比で0.41%以上も上昇を示したこともあり、日米金利差拡大による円売りドル買いで、円安ドル高になった。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の高値133円85銭前後から安値134円90銭前後の値動きで、米国夏時間で今朝6時頃のニューヨーク終値を134円22円付近の前日同時刻比で約1円1銭の大幅な円安ドル高でつけていた。

今朝8時50分には、日本銀行 (日銀 / BoJ) の前回の日銀金融政策決定会合の議事要旨が発表された。金利抑制の大規模緩和の金融政策やイールドカーブコントロール (YCC) が現状維持された時の内容が改めて意識され、9時から始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、米国利上げ継続予想による日米金利差拡大予想による円売りドル買いが優勢になった。

ただし、今日は15日で、日本の貿易企業の決算日が集中しやすい「5と10が付く日の五十日 (ゴトービ) 」であったことから、10時前の仲値決済での輸入実需の円売りドル買いに続いては、輸出企業の円買いドル売りの抵抗もあり、11時台に今日の日本市場の円の高値でドルの安値の高値134円3銭付近を記録した。

しかし、前述の米国消費者物価指数 (CPI) の発表後の米国利上げ継続予想による日米金利差拡大予想の円売りドル買いトレンドも継続しており、そこから午後にかけてはドルが再び上昇を続け、16時台には一時135円6銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。

午後からの欧州英国市場の参入では、時間外の債権市場で上昇後の米長期金利がやや低下したこともあり、高値になっていたドルの利益確定売りの抵抗や、リスクオンの円売りやドル売りによるユーロ買いなどの影響も入り始めたが、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は134円86~88銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約1円32銭の大幅な円安ドル高になっていた。

ただし、今夜その後の欧州英国市場では、18時頃に一時緩和されていた欧米の金融不安が再燃する様なニュースがあり、今日の欧州主要株価が再下落したことに加え、先週に米国証券取引委員会 (SEC) が過去2年の財務報告と管理手順の「重大な弱点」を指摘していた経営問題の可能性があるスイスのチューリッヒに本社を置くクレディ・スイス (Credit Suisse) のグループ筆頭株主のサウジ・ナショナル・バンクのアンマル・フダリ会長が「一段の金融支援を提供することはない」と否定的な発言をしたことから、安全資産の欧米の国債買いや低リスク通貨の円買いのリスク回避が再び入り、20時台には円相場が一時133円台後半に反発もしている。

また、今夜この後にも最新の米国重要経済指標の発表が続き、日本時間の今夜21時半にはFRBのパウエル議長が注目している別の米国インフレ指標である2月の米国生産者物価指数とも呼ばれている米国卸売物価指数 (PPI) や米国小売売上高などの発表予定があり、3月の米国ニューヨーク連銀製造業景気指数なども同時発表の予定で、再びイベント前の持ち高調整なども入っている。その他にも、前後に今夜20時に米国MBAローン申請指数、23時に1月米国企業在庫と3月NAHB住宅市場指数、23時半に米国週間原油在庫と29時に1月米国対米証券投資なども発表される予定である。来週のFOMCに先行して、明日には欧州中央銀行 (ECB) の新政策金利の発表も控えている。

ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は144円79~80銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約2円6銭の大幅な円安ユーロ高であった。

今朝までのリスクオンの円売りユーロ買いに加えて、明日の欧州中央銀行 (ECB) の大幅利上げ予想により、今朝の日銀の議事要旨もあって、今日は日欧金利差拡大予想による円売りユーロ買いが優勢で、ユーロが大幅に上昇していた。

ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0735~1.0736ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.47セントのユーロ高ドル安になっていた。

原因は、明日の欧州中央銀行理事会 (ECB) の新政策金利発表予定では0.5%の大幅利上げ予想が優勢であることに対し、米国の来週の次回利上げ幅予想は0.25%の通常利上げ幅の市場予想が優勢であったことなどに加えて、リスクオンのユーロ買いなども影響した。

今日の午後16時台に発表された欧州ユーロ圏のドイツの最新経済指標の2月の独卸売物価指数 (WPI) の前月比は前回の0.2%から0.1%に鈍化したものの、フランスの2月仏消費者物価指数 (CPI) の改定値は、前年同月比が前回と市場予想の6.2%に対し6.3%に上昇し、前月比でも前回と市場予想の0.9%に対し1.0%に上昇していたことから、明日の欧州中央銀行 (ECB) の新政策金利発表を前にして、0.5%の大幅利上げ予想が継続していた。

その後の今夜19時に発表された欧州ユーロ圏総合の1月の欧州鉱工業生産は、前年同月比と前月比ともに前回のマイナス圏からプラスに転じ、市場予想も上回ったことでも欧州の大幅利上げ予想は継続したが、先述の今夜18時以降の欧州英国市場での欧州株価の最下落や金融不安の再燃騒ぎがあり、再びリスク回避が優勢になり、安全資産の欧米債権や低リスクの円が買われた影響では、以前のリスクオンで買われたユーロが売られたため、今夜20時台には円高ユーロ安とユーロ安ドル高に市場反転している。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は163円92~98銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約82銭の円安ポンド高であった。

しかし、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、先述の金融不安の再燃による欧州や英国の株安時のリスク回避で、安全資産の国債や低リスク通貨の円が買われた影響があり、今夜20時台には前日比で大幅な円高ポンド安に転じている。また、欧米の利上げ継続予想のある中で、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) には利上げ停止時期が近いのではという市場予想が燻っていることもあり、来週23日に予定されている英国金融政策会合 (MPC) を控えた持ち高調整なども入っている。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年3月15日の日本時間(JST)20時17分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時17分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:17の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 133.77 〜 133.79 +0.23 (円安)
ユーロ/円 141.92 〜 141.94 -0.81 (円高)
ユーロ/ドル 1.0608 〜 1.0610 -0.0080 (ドル高)
英ポンド/円 161.41 〜 161.47 -1.69 (円高)
スイスフラン/円 144.59 〜 144.65 -2.21 (円高)
豪ドル/円 88.79 〜 88.83 -0.84 (円高)


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