FXニュース:米消費者物価指数 (CPI) 発表前の調整

2023年3月14日
FXニュース:米消費者物価指数 (CPI) 発表前の調整

 

東西FXニュース – 2023年03月14日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米国発の金融不安で米長期金利が低下
  • 米2銀破綻の影響で欧米日リスク回避
  • 米国債利回り低下時の円買いドル売り
  • 株安時の低リスク通貨の円買いの影響

今日2023年3月14日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値134円3銭前後から高値133円3銭前後の値幅約1円で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は133円54~55銭付近で、前日17時の前東京終値比で約95銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場のドル円の値動き要因はまず、昨夜から今朝までの米国夏時間になった米国ニューヨーク外国為替市場では、先日のお伝えした米国カリフォルニア州が拠点の米国中堅銀行のシリコンバレーバンク (SVB) に続き、米国ニューヨーク州が拠点の仮想通貨企業への融資で有名だった商業銀行のシグネチャーバンク (SBNY) も経営破綻し、米国政府と米国連邦準備制度理事会 (FRB) 及び米国連邦預金保険公社 (FDIC) が預金者保護と資金供給プログラムを新設したが、米国株式市場では金融不安から銀行系を中心に株売りが続き、米国株安時のリスク回避の安全資産で安値になっていた米国債が買われた影響で利回りが指標となる米国長期金利が低下し、日米金利差縮小時の円買いドル買いが起きたほか、低リスク通貨の円買いによるリスクオフで円高ドル安が進行した。

また、米国の金融不安のきっかけとなったシリコンバレーバンク (SVB) 破綻の原因が、米国の利上げ継続の影響による保有の米長期債価格の低下により、預金引き出し時の売却時損失額の負債額が大きかったことが注目され、市場予想の一部では、来週の21~22日に予定されている次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が米国金融不安に配慮して今月の利上げは見送るのではないかという予想も一部で浮上し、米国市場でそれまで優勢であった大幅利上げ予想値をやや減退させたことも、日米金利差縮小予想による低リスク通貨の円買いとイベントリスクのあるドル売りの一因となった。

米国ニューヨーク債券市場では米10年債の利回りが指標となる米国長期金利の低下に加えて、米国の金融政策予想の影響を受けやすい米2年債の利回り一時3.93%と昨年9月下旬以来の低利回りに急落し、後半が同時進行中だった欧州英国市場でも欧州や英国の株安時の低リスク通貨の円買いとドル売りのリスク回避が入っていたため、ドル円は昨夜22時前頃に一時132円29〜30銭付近の2月中旬以来の大幅な円高ドル安を記録した。

ただし、今夜この後には最新の米国重要経済指標の米国消費者物価指数 (CPI) の発表予定があり、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長も今後の金融政策を決めるための重要な米国インフレのデータとして注目していることが知られており、米国のインフレが上昇を示した場合には再びドルが買われる可能性があり、米国の次回の利上げ幅予想値を示すフェドウォッチ・ツール (CME FedWatch Tool) では、今日この時点でも0.5%の大幅利上げ予想が73.1%の優勢で、0.25%の通常利上げ幅予想が26.9%を示していることでは、イベント前の持ち高調整の高値の円の利益確定売りや安値のドルの買い戻しの抵抗も入った。

また、米国のバイデン大統領が演説で、「米国の銀行システムは安全であり、預金も安全なので国民は安心して下さい。我々は必要なことは何でもすると断言する」と全面支援の発言をしたことも影響し、米国ニューヨーク株式市場では米株価が下落後の上昇に一時転じたこともあり、高値の円の利益確定売りや安値のドルの買いなどで今朝未明の4時過ぎには、ドル円は一時133円61~62銭付近にドルが反発した。

しかし、今夜や来週にイベントリスクがある買い控えや様子見も入りやすいドルに対して、イベントリスクのない低リスク通貨の円買いによるリスク回避姿勢も優勢であった。

そのため、今週から現地の夏時間で今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は133円21銭付近で、前営業日比で約1円82銭の大幅な円高ドル安であった。

その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、今朝のアジア・オセアニア市場でも低リスク通貨の円買いによるリスク回避が入っていたことや、今朝までの日米金利差縮小時の円買いドル売りの影響があり、今朝9時台に一時133円3~5銭付近に対ドルの円相場が上昇した。

ただし、今朝9時55分頃の仲値決済では日本企業の輸出実需のまとまった円売りのドル買いがあり、また日本時間の午前の取引で時間外債権市場の米国債利回りの低下が落ち着いてきたこともあり、今夜発表予定の最新の米国重要経済指標の米国消費者物価指数 (CPI) の発表イベントを控えた持ち高調整による高値の円売りと安値のドル買いが入り、11時頃には133円台後半へとドルが円相場で反発を続け、午後14時前には一時134円3銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、前日の欧米株安の影響もあって今日は日本の株式市場でも株価が下落し、日経平均株価が15時15分に27,222円4銭の前日比で610円92銭の大幅安で大引けしたことで、日本の株安時の安全資産の低リスク通貨の円買いの勢いが今日の日本市場での円の安値圏から優勢になり、今日の日本市場での高値のドルの利益確定売りも相まって、ドル円は15時15分過ぎには132円19銭付近に円相場が再び急伸した。

その後には欧州英国市場の参入があり、今夜の米国消費者物価指数 (CPI) の発表イベントを控えた持ち高調整で、米国インフレ継続予想が優勢で米長期金利や米国債利回りが下落後の一時上昇に転じ、金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りも4.07%台に上昇し回復を示して、米国利上げ予想による日米金利差拡大による円売りドル買いの抵抗が入った。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は133円54~55銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約95銭の円高ドル安になった。

今夜その後の欧州英国市場ではドルは下げ幅をさらに縮め、19時台には一時134円台のより小幅な円高ドル安になり、20時台にも133円台後半付近から134円台で推移している。

ただし、今夜この後には、日本時間で21時半に前述の最新の米国重要経済指標の2月の米国消費者物価指数 (CPI) の発表イベントがあり、世界の投資家やFXトレーダーや米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長や高官達が注目し、持ち高調整や様子見の値動きなども出ている。

また、明日の水曜の夜にも米国小売売上高や米国生産者物価指数 (PPI) などの米国重要経済指標の発表予定があり、明後日の木曜には欧州中央銀行 (ECB) の新金融政策の発表予定があることから、イベントリスクのある欧州ユーロに対しても、リスク回避で低リスク通貨の円が買われていた。来週にはスイス、英国、そして米国の新政策金利と金融政策の発表イベントの予定もある。

欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は143円73~75銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1円53銭の大幅な円高ユーロ安であった。

原因は、先述の米国金融不安の飛び火に警戒した欧州株安時のリスクオフの安全資産買いの影響や、今週の欧州のイベント前のリスク回避でもイベントリスクのない低リスク通貨の円が買われた影響に加えて、主要通貨のドルに対する今日の円高の影響などが波及していた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0688~1.0689ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.37セントのユーロ安ドル高であった。

前日に約1カ月ぶりのユーロ高ドル安を記録したため、今日は米国インフレ指標の発表前の持ち高調整もあり、高値感の出ていたユーロ売りと安値のドル買いが入ったほか、米国の利上げの副作用の米国債価格下落の負債で米国の中堅銀行が破綻した状況が、今週の欧州の利上げでも起きる可能性なども警戒されており、米国政府の支援もあり米株や米長期金利の回復時には、低リスク通貨の円に加えて安全資産のドル買いのリスク回避の影響もあった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は162円30~36銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約4銭の僅差の円安ポンド高であった。

今日の夕方16時には英国の最新経済指標の2月の英国失業率が発表され、前回の3.9%に対し3.8%で、同月の英国失業保険申請件数も前回の-1.29万件に対し-1.12万件に改善していた。ただし、前回修正分ほどの改善ではなかったことや、同時発表だったILO方式の1月の英国失業率は、前回の3.7%と市場予想の3.8%に対し3.7%のほぼ横ばいであったことでは、比較的小幅なポンド高で今夜17時の東京終値をつけていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年3月14日の日本時間(JST)20時13分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時13分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:13の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 133.98 〜 134.00 -0.51 (円高)
ユーロ/円 143.57 - 143.59 -0.69 (円高)
ユーロ/ドル 1.0715 - 1.0716 -0.0010 (ドル高)
英ポンド/円 162.86 - 162.92 +0.60 (円安)
スイスフラン/円 147.09 - 147.15 +1.03 (円安)
豪ドル/円 89.21 - 89.25 +0.40 (円安)


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