FXニュース:137円10銭記録後のドル売り調整

2023年3月03日
FXニュース:137円10銭記録後のドル売り調整

 

東西FXニュース – 2023年03月03日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利一時4.089%を記録
  • 米新規失業保険申請件数が減少
  • 米経済指標が賃金インフレ示す
  • 米FRB高官達の発言の市場影響
  • 米ISM非製造業景況感指数を控え

今日2023年3月3日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値136円79銭前後から高値136円28銭前後の値幅約51銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は136円41~42銭付近で、前営業日17時の前東京終値比では約37銭の円高ドル安であった。

今日のドル円の為替相場の値動きの要因は、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で発表された最新米国経済指標を受けた米国利上げ長期化予想により米長期金利が一時4.089%付近に上昇し、日米金利差拡大の円売りドル買いでドル円が一時137円10銭の今年最大の高値を記録したが、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国アトランタ連銀のボスティック総裁が0.25%の利上げ幅を支持する発言をしたために、高値圏からのドルの利益確定売りと安値圏からの低リスク通貨の円買いが優勢に転じた影響が見られた。

また、今夜この後にも最新の重要米国経済指標の米国ISM非製造業景況指数などの発表イベントを控えており、今日の日本市場と欧州英国市場ではイベントリスクによる利益確定のドル売りの持ち高調整や、結果が分かるまでのドルの買い控えと様子見と、週末前のポジション調整も今夜の市場に影響を与えている。

時間に沿った市場トレンドの動きの変化では、まず日本時間の昨夜22時半に米国ニューヨーク外国為替市場で発表された最新米国経済指標の前週分の米国新規失業保険申請件数が前回の19.2万件と市場予想の19.5万件に対し19.0万件に改善し、米国失業保険継続受給者数も前回の165.4万人と前回修正の166.0万人と市場予想の166.5万人に対し165.5万人にいずれも想定以上の改善をしたことで、堅調な米国雇用市場を背景とした米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げ長期化予想が強まった。

また、同時発表だった昨年10~12月四半期の米国非農業部門労働生産性の前期比の改定値は前回の3.0%と市場予想の2.6%に対し1.7%に減少した一方で、企業の賃金負担を示す単位労働コストは前期比年率で市場予想の1.6%を上回る3.2%増加に上方修正され、米国の賃金インフレが市場予想以上に進んだことが注目され、インフレ抑制のための米国の利上げ長期化予想をさらに強めた。

米国利上げ長期化予想の高まりにより、米長期金利は一時4.083〜4.089%と4.09%近くに上昇し、昨年11月10日以来の今年最大の高利回りを記録したことで、円安要因の日米金利差拡大の円売りドル買いの勢いが増し、一時137円10銭付近の昨年12月20日以来の年内最大の円安ドル高を記録した。

しかし、137円10銭付近の今年初のドルの高値からは、週末を前にした利益確定の円買いドル売りの抵抗が入り始めた。

また、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国アトランタ連銀のボスティック総裁が、「FRBによる利上げの影響が本格的に発現するのは、今春以降となる可能性がある」と発言し、「当分は0.25%ポイントの緩やかな利上げを行う根拠になる」と記者会見で話し、最近発表された市場予想以上のインフレ指標が今後のFRBの政策にどう影響するかについては、「まだ検討中」であり、「インフレが減速しなければ利上げを継続する用意はある」とも述べたが、市場では今月21〜22日の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での0.5%の大幅利上げ期待値が高まってきていたところであったため、次回0.25%の利上げ幅の可能性が指摘されたことで、高値のドルの利益確定売りの持ち高調整が起き始めた。

ただし、ボスティック総裁は今年の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) では投票権を持っておらず、一つの「意見」に過ぎないという見解もあったことでは、市場予想への影響は限られ、現時点でもフェッドウォッチツール (CME FedWatch Tool) では、約26.2%の一部の市場予想が次回0.5%の大幅利上げ幅予想を示し、その他も0.25%の利上げ幅での米国利上げ継続の予想値を示していることでは、米国利上げ長期化予想によるドル買いもあった。

今朝6時からは今月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で投票権を持つ、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のウォラー理事の発言があり、「米国のインフレは期待ほど下がっておらず、データが過熱するなら、追加利上げが必要」と述べたこともドル買いに影響したが、今夜発表予定の最新の米国経済指標の「データ」に注目が集まり、ドルの持ち高調整や様子見なども入り始めた。

そのため、昨夜から今朝までのニューヨーク外国為替市場のドル円相場の円の安値は137円10銭前後から高値は136円56銭前後の値幅約54銭で、今朝7時のニューヨーク終値は136円75~85銭付近の前日同時刻比で約60銭の円安ドル高であった。

今朝8時半には日本の最新経済指標が発表され、2月の生鮮食料品を除く総合の東京都区部消費者物価指数 (CPI) の前年同月比が、前回の4.3%に対し、市場予想の3.2%〜3.3%に近い3.3%の上昇率に鈍化し、日本銀行 (日銀 / BoJ) への金融緩和修正圧がやや緩和された一方で、同時発表だった1月の日本の失業率は前回と市場予想の2.5%に対し2.4%の完全雇用に近い改善を見せており、日本景気好感により、安値感が出ていた低リスク通貨の円買いの持ち高調整も入り始め、日米金利差拡大予想で年内高値を記録後のドルの利益確定売りのイベント前の持ち高調整と、今夜発表予定の最新重要米国経済指標の結果が分かるまでのドルの買い控えと様子見も混ざり始めたことで、横ばいに近い値動きも混ざった。

そのため、今朝9時から始まった今日の日本の東京外国為替市場では、9時台に日米金利差拡大による136円79銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値付近から始まったが、週末前のポジション調整もあって利益確定の高値のドル売りと持ち高調整の安値の円買いが入り、やや横ばいに近い小幅な値動きも見られたが、午後からの欧州英国市場の参入では、ドルの利益確定売りとイベント前の持ち高調整やドルの買い控えが再び強まり、今朝9時から午後15時頃までは136円台後半で安定の横ばい推移をしていたドル円は、時間外の米10年債利回りが午後に一時4.02%台付近に低下したこともあり、利益確定のドル売りや今夜の最新米国経済指標発表のイベント前の持ち高調整や週末を控えたポジション調整などの強まりで、夕方に136円台前半へと向かった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は136円41~42銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約37銭の円高ドル安になった。

ただし、今夜この後には最新米国経済指標などの発表を控えており、結果によっては再びイベント後のドル買いで市場が反転する可能性があることには注意が必要である。

日本時間の今夜23時45分の米国ニューヨーク外国為替市場では、2月の米国サービス部門購買担当者景気指数と米国総合購買担当者景気指数が発表予定で、深夜24時には重要度が高く注目されている2月の米国サプライマネジメント協会 (ISM) 非製造業景況指数が発表される。25時からは次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国ダラス連銀のローガン総裁の発言予定、26時からは米国アトランタ連銀ボスティック総裁の再発言予定、28時からはFOMC投票権のある米国連邦準備制度理事会 (FRB) のウォラーFRB理事の再発言と、同じく投票権ありのボウマン理事の発言が29時から予定されており、FXトレーダー達が今後の値動き予想データとして注目している。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は144円73~75銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約75銭の円高ユーロ安であった。

主な原因は、基軸通貨で主要通貨でもあるドルへの円相場の今日の値動きの影響が、ユーロ円に対しても波及した影響が見られた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0609~1.0611ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.27セントのユーロ安ドル高であった。

今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で、米国経済指標の発表を受けて米長期金利が一時4.089%付近の高利回りを記録した時には、ドルはユーロなどに対しても一時高騰したが、今夜の欧州英国市場では米長期金利が4.02%台付近に低下したことで利益確定売りが入り、対ユーロでも上げ幅を縮めていた。

今日の夕方16時45分には欧州ユーロ圏のフランスの最新経済紙指標が発表され、1月の仏鉱工業生産の前月比は前回の1.1%と前回修正の1.5%と市場予想の0.1%に対し-1.9%に悪化し、安全資産のドル買いもあったために、利益確定のドル売りでもドルが上げ幅を縮める形になった。

今夜17時50分には、フランスの2月仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値が発表され、前回と市場予想の52.8に対し53.1に上昇したことではユーロ買い抵抗もあった。

しかし、続いて17時55分にドイツの2月独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値の発表もあり、前回と市場予想の51.3に対し50.9に低下しており、18時には欧州ユーロ圏総合の2月欧サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も発表され、前回と市場予想の53.0に対し52.7に低下したことでは、今日のユーロ安の一因になった。

また、今夜19時に発表された欧州ユーロ圏の1月の欧州卸売物価指数 (PPI) が、前年同月比と前月比ともに前回と市場予想よりも大幅に低下したことで、欧州大幅利上げ後の利上げ停止時期についても意識されていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は163円32~38銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.01円の横ばいに近い小幅な円高ポンド安であった。

ただし、今夜18時半に発表された英国の最新経済指標の2月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値が、前回と市場予想の53.3に対し53.5に上昇したことではポンド買い抵抗も入り、一時小幅な前日比での円安ポンド高に市場反転をしてから、また元通りの小幅な円高ポンド安に戻すような横ばいレンジ圏付近での値動きも観測されている。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年3月3日の日本時間(JST)20時22分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時22分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:22の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 136.21 〜 136.22 -0.57 (円高)
ユーロ/円 144.59 〜 144.61 -0.89 (円高)
ユーロ/ドル 1.0614 〜 1.0616 -0.0022 (ドル高)
英ポンド/円 163.26 〜 163.32 -0.07 (円高)
スイスフラン/円 145.03 〜 145.09 -0.10 (円高)
豪ドル/円 92.04 〜 92.08 +0.03 (円安)


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