FXニュース:米長期金利4%台上昇で金利差拡大

2023年3月02日
FXニュース:米長期金利4%台上昇で金利差拡大

 

東西FXニュース – 2023年03月02日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 円安ドル高要因の日米金利差拡大
  • 米ISMの支払価格指数は想定以上
  • 米ミネアポリス連銀総裁の発言
  • 明日の米ISM非製造業景況指数控え

今日2023年3月2日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値136円87銭前後から高値136円5銭前後の値幅約82銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は136円74~75銭付近で、前営業日17時の前東京終値比で約82銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因は、最新の米国経済指標を受けた米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げ長期化予想と、米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で投票権を持つ米国ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の次回の0.5%の大幅利上げの可能性を排除しないという発言や、日本銀行 (日銀 / BoJ) の高田創審議委員が現在の大規模緩和金融政策の継続を支持したというニュースの影響などがあり、米国長期金利が4%を超えて上昇し、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大による円売りドル買いが再燃した影響が大きかった。

時間に沿った市場トレンドの動きとしては、まず昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、昨日の東西FXニュースで予告していた通り、日本時間で昨夜23時頃から米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国ミネアポリス連銀カシュカリ総裁の発言があり、次回FOMCでの0.5%の大幅利上げの可能性を排除しなかったことから、最新の米国経済指標のデータに注目が集まっていた。

昨夜24時に発表された注目の最新重要米国経済指標の2月の米国供給管理協会のサプライマネジメント協会 (ISM) 製造業景況感指数 (NMI) は、前回の47.4に対し市場予想の47.6~48.0の範囲内の47.7の小幅上昇ではあったものの、新規受注指数は前月の42.5から47.0に上昇し、原料などの支払い価格を示す投入価格指数は前回の44.5から市場予想を超えた51.3に大幅に上昇し、ボーダーラインの50も5カ月ぶりに上回ったことを受けて、米国のインフレが高止まりする可能性から、米国のインフレ抑制のための米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げ長期化予想と、今月の21~22日に予定されている次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での0.5%の大幅利上げ予想が強まった。

そのため、米国長期金利が一時4.0%を超えて上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いが優勢になった。

ただし、より注目度は低かったが、直前に発表されていた米国経済指標の2月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は前回の47.8と市場予想の47.8に対し47.3に低下し、ほぼ同時発表のより重要度が低めの1月の米国建設支出の前月比も前回の-0.4%と市場予想の0.2%に対し-0.1%の市場予想以下であったことは抵抗の一因になり、ドル上昇時には短期でのドルの利益確定売りと、金利上昇警戒への米株売りリスク回避時には安値の低リスク通貨の円買い抵抗なども混じり、やや横ばいに近い値動きも見られた。

また、米国供給管理協会 (ISM) では引き続き、明日の金曜日にも非製造業景況感指数の発表を予定していることなどから、米国の製造業と非製造業と総合の景況感指数の全結果が分かるまでの様子見や、持ち高調整のための短期の利益確定や買い待ちなども入っていた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の値動きは、円の安値136円34銭前後から高値135円40銭前後の値幅約94銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値を136円19~20銭付近の前日比の約2銭の小幅な円安ドル高でつけていた。

そのトレンドを受け継いで今朝9時から始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、一時3.9%に低下した米国長期金利が再び4%を超え、日米金利差拡大による円売りドル買いが再び優勢になった。

ただし、9時55分頃の仲値決済では、輸出企業の円買いドル売りの抵抗もあり、一時136円5銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録したが、その後には再び円相場が下落してドルが上昇した。

日本市場では、日本銀行 (日銀 / BoJ) の長短金利操作のイールドカーブコントロール (YCC) に限界が近い可能性があることなどから、日銀への再修正の期待も根強かったが、今日は日銀の高田創審議委員の金融経済懇談会での講演が午前にあり、市場機能に配慮しながらも「現行の大規模な金融緩和を続ける必要がある」と発言し、金融政策修正に関しても「追加的なものは念頭に置いてない」と発言したニュースを受けて、日銀への早期修正期待が減退し、日米金利差拡大予想による円売りドル買いが強まった。

時間外の米国債権市場では米長期金利が一時4.04%台に上昇したこともあり、午後16時台には一時136円87銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、今年になってからの円相場のドルの年内高値圏の137円手前に近づいたことでは、そこからは高値のドルの利益確定売りと安値の円買いの持ち高調整の抵抗が入り始めた。

午後からの欧州英国市場の参入では、欧州中央銀行 (ECB) にも大幅利上げ継続予想があり、欧州長期金利が上昇していたために、ユーロ買いドル売りの円相場への影響の波及もあった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は136円74~75銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約82銭の円安ドル高になった。

今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定があり、今夜22時半に前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数と、昨年10~12月四半期の米国非農業部門労働生産性と単位労働費用の改定値の発表予定がある。また、先述の通り、明日の金曜の夜23時45分の米国ISM非製造業景況感指数と総合の発表予定も注目されている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は145円44~45銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約82銭の円安ユーロ高であった。

原因は、昨夜の英国ロンドン外国為替市場で発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標のドイツの2月の独消費者物価指数 (CPI) が市場予想以上に上昇し、それまでに発表されたフランスやスペインのCPIも同様であったことなどから、欧州中央銀行 (ECB) の大幅利上げ長期化予想により、日欧金利差拡大予想の円売りユーロ買いが優勢であった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0633~1.0637ドル付近で、前日17時の前東京終値比で約0.07セントのユーロ安ドル高であった。

欧州長期金利上昇時のユーロ買いドル売りもあったものの、前述の米国長期金利の上昇もあり、今日はユーロ売りドル買いも入ったことなどが影響していた。

今夜19時には欧州ユーロ圏の重要経済指標の2月の欧州消費者物価指数 (HICP) の前年同月比の速報値が発表され、前回の8.6%と市場予想の8.2%に対し8.5%で、欧州HICPコア指数も前回と市場予想の5.3%に対し5.6%に上昇しており、日欧金利差拡大予想は優勢であった。

ただし、同時発表の欧州ユーロ圏総合の1月の失業率は前回と市場予想の6.6%に対して前回修正値の6.7%にやや悪化したことでは、同じ利上げ予想のある安全資産のドルに対しては、欧州大幅利上げ予想の傍らでやや景気懸念も残っていた。

今夜21時半には、前回2月開催分の欧州中央銀行 (ECB) 議事要旨の発表予定もある。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は163円75~81銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約12銭の円安ポンド高であった。

昨夜の英国ロンドン外国為替市場で英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) のベイリー総裁が一段の利上げには慎重な姿勢を示す発言をした影響もあり、英国ポンドは今日の円相場で上げ幅を縮めていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年3月2日の日本時間(JST)20時20分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時20分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:20の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 136.72 〜 136.73 +0.80 (円安)
ユーロ/円 145.24 〜 145.26 +0.62 (円安)
ユーロ/ドル 1.0622 〜 1.0624 -0.0018 (ドル高)
英ポンド/円 163.72 〜 163.78 +0.09 (円安)
スイスフラン/円 145.29 〜 145.35 +0.41 (円安)
豪ドル/円 92.00 〜 92.04 +0.04 (円安)


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