FXニュース:米卸売物価指数も市場予想以上

2023年2月17日
FXニュース:米卸売物価指数も市場予想以上

 

東西FXニュース – 2023年02月17日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米FRB高官がタカ派利上げ発言
  • 米長期金利3.9%上昇で135円台
  • 米株安時のリスクオフの影響も

今日2023年2月17日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値134円89銭前後から高値133円94銭前後の値幅約95銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は134円85~87銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1円8銭の大幅な円安ドル高であった。今夜17時台後半の欧州英国市場では、昨年12月以来の一時135円台も記録した。

今日の為替相場の値動きの要因はまず、前回の東西FXニュースでも予告していた通り、日本時間で昨夜22時半の米国ニューヨーク外国為替市場で最新の米国経済指標の1月の米国生産者物価指数とも呼ばれる米国卸売物価指数 (PPI) が発表され、前月比が前回の-0.5%と前回修正の-0.2%と市場予想の0.4%に対し0.7%上昇し、前年同月比も前回の6.2%と前回修正の6.5%と市場予想の5.4%に対し6.0%上昇と、いずれも市場予想以上の米国の物価インフレの継続を示したことで、米国のインフレ抑制のための米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げ継続と長期化予想が強まって米国長期金利が上昇し、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大予想による円売りドル買いが再燃したことが挙げられる。

米国卸売物価指数 (PPI) から食品とエネルギーを除いた米PPIコア指数も、市場予想の0.3%に対し0.5%上昇し、前年同月比も市場予想の4.9%に対し5.4%上昇していた。同時発表の1月の米国建設許可件数の前月比や前週分の米国新規失業保険申請件数も前回と市場予想よりも改善していた。

一方で、同時発表の2月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数は前回の-8.9と市場予想の-7.4に対し-24.3に大幅低下したものの、同指数は米国内の一部地域であるペンシルベニア州とニュージャージー州とデラウェア州の製造業のみの景況感を示す経済指標であるために、全米レベルでの米国卸売物価指数 (PPI) でのインフレ指標と比較すると反応薄ではあったが、上昇後のドルに利益確定売りの抵抗が混じる一因になっていた。

続いて、昨夜22時45分から米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国クリーブランド連銀のメスター総裁が、米国のインフレは目標の2%と比較して依然として高過ぎることから、「米国政策金利を5%超に利上げして、しばらくそこにとどめる必要がある。前回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) では、0.5%の利上げでも説得力があった」というタカ派発言をしたことを受けて、市場では次回3月のFOMCでも、0.5%の大幅利上げの可能性もあることが意識され始め、米利上げ継続予想が強まり米長期金利が上昇し、日米金利差拡大予想の円売りドル買いで、深夜24時前に一時134円46銭付近の1月6日以来の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、同時進行中の米国ニューヨーク株式市場では、深夜過ぎから配当落ち日後や金利上昇警戒によるリスク回避のリスクオフの株売りで、安全資産の米国債が買われたことでは米国債価格が一時上昇する一方で上昇後の利回りが3.87%付近から3.82%付近まで低下したことで米長期金利上昇後の一時低下に連動する様に、134円台中盤の市場高値圏からのドルの短期の利益確定売りと低リスク通貨の円買いの抵抗で、ドル円は133円台後半に戻した。

昨夜27時半からは、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 関係者の米国セントルイス連銀のブラード総裁のタカ派発言もあり、「前回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で0.5%の大幅利上げを主張していた」ことや、「次回3月のFOMCでも、0.5%の利上げを支持する可能性は排除しない」という発言を受けて、再び一時134円台にドルが買われる機会もあった。

しかし、米国市場では来週の月曜日が大統領の日とも呼ばれるワシントン誕生日のプレジデンツ・デーの祝日で、今週末から連休のため、連休前のポジション調整や持ち高調整もあり、早期の利益確定売りが入りやすく、市場内の上昇分を下げる抵抗が入った。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、一時134円46銭付近のドルの高値後の一時抵抗の大きさにより、133円94銭~134円0銭付近の前日同時刻比では約20銭の小幅な円高ドル安で終値をつけていた。

しかし、その後に始まった今日の世界市場と日本の東京外国為替市場では、再び前述の米国卸売物価指数 (PPI) を受けた米利上げ継続予想により、米長期金利が再上昇して一時3.9%付近を記録したこともあり、日米金利差拡大による円売りドル買いが再燃し、ドルは円相場で134円台前半から後半へと上昇し、円安ドル高になった。

今朝の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のクック理事の発言は米国シンクタンクのブルッキングス研究所主催のイベントの歓迎挨拶の範囲内ではあったものの、今朝は米国でも中央銀行にあたる米国連邦準備制度理事会 (FRB) の副総裁の後任人事問題に関するニュースがあり、米国大統領のバイデン米大統領が米国連邦準備理事会 (FRB) の中でもハト派代表で知られていたブレイナード副議長を国家経済会議 (NEC) の次期委員長に指名したことで、次期FRB副議長の後任人事によっては、FRBが以前よりもタカ派寄りになる可能性が注目されており、後任はまだ未定ではあるが、有力候補にはクック理事やタカ派の名前も挙がっていることから、最近のFRB高官の相次ぐタカ派発言もあり、以前に日銀新総裁の後任報道の時と似た様な市場反応が出ていた。

日本市場でも、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が利上げを長期化するとの市場予想が強まり、そこにタカ派の米国大幅利上げの可能性も加わったことで、日米金利差拡大による円売りドル買いが優勢になった。

午前の仲値決済でも、日本企業の輸入実需による円売りドル買いが優勢だった。

午後の欧州英国市場の参入でも、16時台に先述の米国の利上げ予想の強まりもあり、米国長期金利が3.9%台に上昇したことで、日米金利差拡大による円売りドル買いで、今日の日本市場時間の円の安値でドルの高値の134円89銭付近を記録した。 高値からは抵抗も入ったものの、再び買われて同レベルを抜けて上昇を続けた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドルの円相場の終値は134円85~87銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1円8銭の大幅な円安ドル高になった。

そして、今夜17時台後半の欧州英国市場では、昨年12月20以来の135円3銭付近も記録した。また、20時台にも135円台の今日の高値を更新している。

今夜この後にも、最新の米国経済指標や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定があり、日本時間22時半に1月の米国輸入物価指数と輸出物価指数、22時半から米国リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言予定、22時45分に米FRBのボウマン理事の発言予定と、深夜24時に1月の米国景気先行指標総合指数などが発表される予定である。また、今夜この後の米国市場でも、連休前のポジション調整もあることにも注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は143円50~52銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約25銭の円安ユーロ高であった。

主な原因は、日米金利差拡大による基軸通貨のドルに対する今日の円安は、ユーロに対しても波及していた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0640~1.0642ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.68セントのユーロ安ドル高であった。

ユーロに対しても、相次ぐ米国経済指標や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達のタカ派発言などにより、米利上げ継続予想が強まったことで、米長期金利上昇時のドル上昇の影響が観測された。

今日の午後16時に発表された欧州ユーロ圏主要国のドイツの1月の独生産者物価指数 (PPI) の前月比は、前回の-0.4%と市場予想の-1.6%に対し-1.0%で、ドイツのインフレも市場予想ほどは改善していない可能性はあるが、マイナス方向に低下はしており、続いて、16時45分に発表されたフランスの1月の仏消費者物価指数 (CPI) の改定値は、前月比も前年同月比も前回と市場予想と同じ横ばいであったことから、米国のインフレ率の方が欧州インフレよりも根強く、ターミナルレート (TR) も高くなる可能性が指摘されていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は160円91~97銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約38銭の円安ポンド高であった。今日のドルやユーロなどの他の主要通貨に対する円安の影響は、英国ポンドにも波及した。

また、今日の夕方16時に発表された最新の英国経済指標の1月の英国小売売上高は、前月比が前回の-1.0%と前回修正の-1.2%と市場予想の-0.3%に対しプラスの0.5%に改善されていたこともポンド買いの一因となっていた。

オーストラリアの豪ドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対豪ドルの円相場の終値は92円22~26銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約10銭の小幅な円安豪ドル高であった。

今日のドルやユーロなどの主要通貨に対する円安の影響は波及したものの、今日は豪中央銀行のオーストラリア準備銀行 (RBA) のロウ総裁が、「インフレを抑制できれば、来年に金利の引き下げ開始もあり得る」と議会で発言したことなどで、豪ドルもドルなどの他の主要通貨に対して下落していたことから、比較的小幅な円安に留まった。

そして、今夜その後の欧州英国市場では、20時台に小幅な円高豪ドル安にも転じている。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年2月17日の日本時間(JST)20時33分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時33分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:33の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 135.00 〜 135.01 +1.23 (円安)
ユーロ/円 143.54 〜 143.56 +0.29 (円安)
ユーロ/ドル 1.0632 〜 1.0634 -0.0076 (ドル高)
英ポンド/円 161.12 〜 161.18 +0.59 (円安)
スイスフラン/円 144.69 〜 144.75 +0.07 (円安)
豪ドル/円 92.02 〜 92.06 -0.10 (円高)


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