FXニュース:米国連休でドル高値後の持ち高調整

2023年2月20日
FXニュース:米国連休でドル高値後の持ち高調整

 

東西FXニュース – 2023年02月20日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利上昇後の日米金利差縮小
  • 米FRBのタカ派とハト派発言も影響
  • 聴取前の日銀金融緩和修正発言警戒
  • 欧州ECB年内金利ピークと維持予想

今日2023年2月20日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値134円54銭前後から高値133円96銭前後の値幅約58銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は134円5~6銭付近で、前営業日17時の前東京終値比で約74銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの要因は、先週金曜の夜に米国経済指標や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達のタカ派発言を受けた米利上げ継続と長期化予想により、米長期金利が一時3.925%台付近に上昇し、日米金利差拡大により一時135円台の大幅な円安ドル高を記録した後に、米国の連休に向けたポジション調整で高値のドルの利益確定売りで円相場が反発し、米長期金利も上昇後の下げに転じたこともあり、今日は米国の祝日連休中でドルの実需減や、今週の日本銀行 (日銀 / BoJ) 新総裁候補の聴取を控え金融緩和修正警戒をやや強める一部の報道もあり、安値からの低リスク通貨の円買いなどもあって円相場が反発した。

時間に沿った市場トレンドの動向は、まず先週末の金曜の夜の英国ロンドン外国為替市場では、米利上げ長期化予想により一時135円10〜12銭付近の2022年12月20日以来のおよそ2カ月ぶりの円安ドル高を記録したが、金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、米国の連休前のポジション調整で、高値のドルの利益確定売りが強まった。

また、これまでに米国連邦準備制度理事会 (FRB) のボウマン理事や米国クリーブランド連銀のメスター総裁などのタカ派発言が相次いだこともあり、米利上げ継続と長期化予想に加えて、次回3月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) では0.25%から0.5%の大幅利上げ予想も一部で浮上したため、米長期金利が一時3.925%付近に上昇し、2022年11月以来の高利回りを記録し、日米金利差拡大による円売りドル買いでドルを135円台の高値圏に押し上げた後ということでも、米国連休前にはポジション調整で高値のドルの利益確定売りの抵抗が起きやすくなっていたのだが、米国リッチモンド連銀のバーキン総裁が「0.25%の段階的な利上げが好ましい」と、0.5%の大幅利上げを支持しない発言をしたというニュースをきっかけに米長期金利が上昇後の下げに転じ、ドルの利益確定売りや持ち高調整が進んだ。

米国ニューヨーク債権市場でも、2月20日の大統領の日 (Presidents’ Day) の米国祝日連休前のポジション調整が入り、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時の3.925%付近から一時3.82%付近に低下したことで、日米金利差拡大後の縮小によるドル売り円買いで円相場が反発した。

そのため、先週末の土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場でのドル円相場の終値は134円10~20銭付近で、前日同時刻比で約20銭の小幅な円安ドル高になっていた。

週が明け、その後に始まった日本の東京外国為替市場でも、今日は米国市場が祝日ということで日本の貿易企業のドル実需が少ない一方で、低リスク通貨の円買い需要はあり、日本市場でも前日の円安の後の高値後のドルの利益確定売りで円の買い戻しや持ち高調整が入りやすくなった。

今日の日本のニュースでは、北朝鮮のミサイルが日本の排他的経済水域 (EEZ) 近くの海域に再び着弾したことによる警戒による低リスク通貨の円需要や、今週金曜に日本銀行 (日銀 / BoJ) の新総裁候補の植田氏や副総裁候補の所信聴取と質疑応答の発言予定を控えており、一部の日本の経済紙等に大規模緩和金融政策の修正予測記事が掲載されたことなどもあり、発言内容が分かるまでの警戒感から安値の円買いに加えて持ち高調整の円買いが入り、大幅な円安ドル高だった前営業日の先週金曜の17時比では今日は円高ドル安に転じた。

午後からの欧州英国市場の参入でも、今夜の米国市場が休場予定であるために大きな流れでの米利上げ長期化予想によりドルの底値は限られたものの、今日の米国祝日のドル需要減に対して、円やユーロやポンドの需要はあり、やや横ばいに近い動きが混ざった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドルの円相場の終値は134円5~6銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約74銭の円高ドル安になった。

尚、今夜の米国市場は祝日休場のため、米国経済指標の発表予定はないが、明日の夜には欧米の購買担当者景気指数 (PMI) 速報値の発表予定もあるため、今夜の欧州英国市場では、17時過ぎからは明日を控えたドルの買い戻しの抵抗なども入り始めている。

また、今夜は北米のカナダ市場も休場であるために、開場中の市場の値動きの影響が普段よりも大きく出やすい点には注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は143円43~45銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約3銭の僅差の円高ユーロ安であった。基軸通貨のドルに対する今日の円高の影響は、ユーロにも波及していた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0698~1.0700ドル付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約0.55セントのユーロ高ドル安であった。

先週末の米長期金利の一時上昇後の低下を受けたドルの利益確定売りや持ち高調整の影響に加えて、欧州中央銀行 (ECB) メンバーのフランス中央銀行のビルロワドガロー総裁が、「欧州の政策金利は夏にかけて、遅くとも9月にはピークに達するであろう」とタカ派の発言をしたことで、次回の欧州中央銀行 (ECB) 政策理事会での大幅利上げ継続予想が強まった。更に、年内はピーク時のターミナルレート (TR) の高金利のままで維持する意向も示唆したことで年内の早期利下げ予想が減退し、前述の高値のドルの利益確定売りでユーロ買いが入った影響も見られていた。

今夜19時には欧州ユーロ圏の最新経済指標が発表され、前年12月の欧州建設支出の前月比は前回の-0.8%と前回修正の-0.1%に対し-2.5%で、前年同月比も前回の1.3%と前回修正の1.6%に対し-1.3%に悪化したことも、今夜の欧州市場でのドルがやや買い戻された時の一因となっていた。

今夜この後の欧州英国市場では、日本時間の深夜24時に欧州ユーロ圏の最新経済指標の2月の欧州消費者信頼感の速報値の発表予定もある。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は161円50~56銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約3銭の僅差の円高ポンド安であった。ユーロ同様に、ドルに対する今日の円高の影響が、英ポンドにも波及していた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年2月20日の日本時間(JST)20時7分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時7分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:07の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 134.05 〜 134.06 -0.74 (円高)
ユーロ/円 143.24 〜 143.26 -0.22 (円高)
ユーロ/ドル 1.0684 〜 1.0686 +0.0041 (ドル安)
英ポンド/円 161.24 〜 161.30 -0.29 (円高)
スイスフラン/円 145.17 〜 145.23 +0.11 (円安)
豪ドル/円 92.51 〜 92.55 +0.23 (円安)


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