FXニュース:米小売売上高も市場予想を上回る

2023年2月16日
FXニュース:米小売売上高も市場予想を上回る

 

東西FXニュース – 2023年02月16日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米経済指標で利上げ継続予想優勢
  • 米長期金利上昇で日米金利差拡大
  • 英消費者物価指数 (CPI) 鈍化売り

今日2023年2月16日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値134円16銭前後から高値133円64銭前後の値幅約52銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は133円83~84銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約51銭の円安ドル高であった。

今日のドル円の為替相場の値動きの要因はまず、日本時間の昨夜22時半に米国ニューヨーク外国為替市場で最新の米国重要経済指標の1月の米国小売売上高が発表され、前月の-1.1%と市場予想の1.8%に対し3.0%に大幅に上昇し、自動車を除いた前月比も、前回の-1.1%と前回修正の-0.9%と市場予想の0.8%に対し2.3%に上昇と、市場予想を大きく上回って3カ月ぶりの増加を示し、2021年3月以来の上昇率を記録したことで、堅調な小売売上高を受け、米国連邦準備制度理事会 (FRB) による米利上げ継続予想が強まった。

同時発表の2月の米ニューヨーク連銀製造業景気指数も、前回の-32.9と市場予想の-18.0に対し-5.8に改善され、米利上げ継続の抵抗要因となる米国景気懸念も同時に後退した。

前日発表された1月の米国消費者物価指数 (CPI) や前回の米雇用統計も市場予想を上回っていたことで、ドル買いが先行していたこともあり、これらの米国経済指標を受けて米国利上げ継続予想と長期化予想が優勢になり、同時進行中の米国ニューヨーク債権市場では米10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時3.82%付近に上昇し、1月上旬以来の高水準を記録し、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大による円売りドル買いが強まった。さらに、ユーロやポンドなどの他の主要通貨に対してもドルが一時全面高になったことも円相場に波及し、一時134円36銭付近の1月6日以来の円安ドル高を記録した。

134円台の高値からは利益確定売りの抵抗も入ったが、最新の米国経済指標を受けて、米国政策金利の最終到達点であるターミナルレート (TR) の市場予想を先月時点から0.25%上昇させた5.25%付近に上方修正する米国の投資銀行関係のトレーダーやステラテジスト達が増え、次回の3月とその次の5月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で2回の0.25%の利上げ継続予想に加えて、米FRBの2%の米国インフレ抑制目標に向けて、堅調な景気指標を背景として、より長期に渡って米国のフェデラル・ファンド (FF) 政策金利上昇または高金利が維持される可能性が出てきたことが指摘され、円安要因となる日米金利差拡大予想を強めていたことなどもあり、同ニューヨーク市場の取引でのドルの下げ幅は限られていた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は、134円16~20銭付近の前日同時刻比で約1円5銭の大幅な円安ドル高であった。

今朝8時50分に日本の最新経済指標の1月の貿易統計が発表され、通関ベースの1月の貿易統計は、季調前が前回の-1兆4485億円と前回修正の-1兆4518億円と市場予想の-3兆8715億円に対し-3兆4966億円で、季調済は前回の-1兆7242億円と市場予想の-2兆4000億円に対し-1兆8213億円であった。市場予想ほどの悪化ではなかったものの、貿易赤字額が増えており、月毎の赤字額として比較が可能な1979年以来で、過去最大記録した。原因にはインフレによるコスト増に加えて円安も考えられることもあり、9時からの今日の東京外国為替市場では、高値のドルの利益確定売りと安値の円買いの円安抵抗が15分ほど一時先行して133円台に下げたが、市場予想の範囲内の貿易赤字ということもあり、日本には昨年の最新統計でもおよそ411兆円規模と言われる世界一の対外純資産額もあると考えられているためにあまり長続きはしなかった。

今朝9時55分の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需の円売りドル買いもあり、また前述の米国経済指標を受けた世界トレンドでの日米金利差拡大予想による円売りドル買いが再び優勢になったことで、10時台には一時134円16銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、ドルの市場高値圏からは最近のドル上昇を受けた利益確定売りが入りやすくなり、持ち高調整や実需での安値の円買いなどもあって、昼頃にテクニカル分析でトレンド転換を示すダブルボトムをチャートが描くまでは円買いが進んだことで、12時台に今日の日本市場での円の高値でドルの安値の一時133円64銭付近を記録した。

持ち高調整の抵抗の入った原因には、今夜この後にも最新の米国経済指標の1月の米国卸売物価指数 (PPI) などを控えており、最近の米経済指標への市場反応の大きさから、日本市場ではイベントリスクと考えて早期の利益確定のドル売りによる持ち高調整の円の買い戻しや、結果待ちのドルの買い控えなどもあった。

しかし、午後からの欧州英国市場の参入では、再びドルが買われて上昇後に、夕方に利益確定売りの抵抗がさらに大きく入る途中で17時の東京終値をつけた。その原因は、それまでに上昇していた米長期金利の高止まりと停滞に連動するような動きを見せていたが、今夜その後の欧州英国市場では米利上げ長期化予想によるドル買いも入っており、抵抗後には横ばいに近いイベント前の様子見の動きも混ざった。

また、今日は日経平均株価が上昇し、低リスク通貨の円が売られる機会もあった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は133円83~84銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約51銭の円安ドル高であった。

今夜この後には最新の米国経済指標の発表予定があり、日本時間の今夜22時半に、1月の米国生産者物価指数とも呼ばれる米国卸売物価指数 (PPI) 、2月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数、1月の米国住宅着工件数と建設許可件数、前週分の米国新規失業保険申請件数と米失業保険継続受給者数が同時発表されるイベントがあり、FXトレーダー達が為替相場の値動き予想材料として注視している。

続いて、今夜22時45分から米国連邦準備制度理事会 (FRB) 関係者の米国クリーブランド連銀のメスター総裁の発言予定と、27時半から米国セントルイス連銀のブラード総裁の発言があり、明朝6時からは米国連邦準備制度理事会 (FRB) のクック理事の発言予定があり、特にクック理事は米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権があり注目されている。

米国の主要企業の決算報告期がピークを迎えた後も、米株の配当金の権利付き最終日の予定が最近相次いでいるため、株式市場からのリスクオンやリスクオフの値動きの影響も今後のFX市場に影響を与える可能性もあるために注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は143円25~27銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約47銭の円安ユーロ高であった。

主な原因は、先述の米国経済指標を受けた米利上げ継続と長期化予想による米長期金利の上昇で、日米金利差拡大による対ドルでの円安が、他の主要通貨であるユーロにも円安として波及していた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0703~1.0705ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比では約0.06セントの僅差のユーロ安ドル高であった。

1月の米小売売上高が市場予想以上に大幅上昇したことで、米長期金利が上昇時にはユーロに対してもドルが買われた影響が残ったが、今日の夕方(時差で現地の朝)の欧州英国市場では利益確定のドル売りや持ち高調整のユーロ買いも進み、横ばいレンジ圏に近い僅差のユーロ安ドル高になっていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は161円19~25銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約11銭の円高ポンド安であった。

原因は、昨夕の英国ロンドン外国為替市場で発表された英国の最新経済指標の英国消費者物価指数 (CPI) の上昇率が市場予想を下回り、伸び率が3カ月連続で鈍化したことを受けて、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) が英国の利上げペースを減速させるという市場予想が強まり、ポンド売りが優勢になった。

また、2014年に就任して以来、英国北部のスコットランド独立運動で有名で、スコットランド初の女性首相で最長在任期間を持っていたスコットランド自治政府のスタージョン首相が、現職である首相及びスコットランド民族党 (SNP) 党首を辞任する意向を昨日表明したものの、今朝のニュースでもまだ有力な後継者が決まっておらず、英国政治不安もリスク材料と取られ、安全資産のドルや低リスク通貨の円に対するポンド売りに影響していた。

ただし、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、現地実需や日英金利差もあり、20時台には横ばいレンジ圏から僅差で円安ポンド高にも市場反転もしている。

オーストラリアの豪ドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の豪ドル円相場の終値は92円59~63銭付近で、昨夜17時の前東京終値と同じ横ばいレンジであった。

ドルやユーロなどの他の主要通貨に対する円安の影響や豪州利上げ継続予想の日米金利差拡大予想もあった一方で、今朝9時半に発表されたオーストラリアの最新経済指標の1月の豪州新規雇用者数が、前回の-1.46万人と前回修正の-2.00万人と市場予想の2.00万人に対し-1.15万人に低下し、同月の豪州失業率は前回と市場予想の3.5%に対し3.7%に悪化しており、昨日のロウ総裁の発言で触れられていた豪州利上げ継続への懸念材料が増えたことで豪ドルも売られて、レンジ付近になった。また、その後の欧州英国市場では、20時台にはやや円高豪ドル安にも傾いている。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年2月16日の日本時間(JST)20時25分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時25分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:25の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 133.91 〜 133.92 +0.59 (円安)
ユーロ/円 143.25 〜 143.27 +0.47 (円安)
ユーロ/ドル 1.0697 〜 1.0699 -0.0012 (ドル高)
英ポンド/円 161.35 〜 161.41 +0.05 (円安)
スイスフラン/円 145.12 〜 145.18 +0.01 (円安)
豪ドル/円 92.55 〜 92.59 -0.04 (円高)


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