FXニュース:最新の米国CPIが市場予想を上回る

2023年2月15日
FXニュース:最新の米国CPIが市場予想を上回る

 

東西FXニュース – 2023年02月15日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米利上げ継続予想で日米金利差拡大
  • ピーク時からの鈍化では利益確定も
  • 米長期金利に連動しやすいドル円

今日2023年2月15日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値133円43銭前後から高値132円55銭前後の値幅約88銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は133円31~33銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約1円24銭の大幅な円安ドル高であった。

今日の外国為替相場の値動きの要因は、昨日の東西FXニュースのタイトルでもあった注目の最新米国重要経済指標の1月の米国消費者物価指数 (CPI) が昨夜22時半に発表され、市場予想を上回ったことで、米国連邦準備制度理事会 (FRB) による米利上げ継続予想が強まり、日米金利差拡大予想による円売りドル買いの市場反応が大きな影響を与えた。

世界のFX市場のトレンドの動きの解説では、まず昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で現地の朝にあたる日本時間の昨夜22時半に前述の1月の米国消費者物価指数 (CPI) が発表され、前月比は市場予想通りの0.5%の上昇ではあったが前回分が-0.1%から0.1%に上方修正されたほか、前年同月比が前回の6.5%と市場予想の6.2%に対し6.4%の市場予想以上であった。

同時発表の米CPIコア指数の前年同月比も前回の5.7%と市場予想の5.5%に対して5.6%で市場予想を上回り、米CPIコア指数の前月比の前回分も0.3%から0.4%に上方修正された上で、市場予想通りの0.4%上昇という米国インフレの高止まり感を示し、市場予想を上回る米国の消費者物価インフレの継続により、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の次回とその次の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での米利上げ継続と長期化の市場予想が強まり、米長期金利が上昇し、日米金利差拡大予想による円売りドル買いで、米CPI発表前には一時131円台後半だったドル円は133円台前半に向けてドルが上昇した。

また、米CPI発表を受けた米長期金利の上昇時には、ユーロなどの他の主要通貨に対してもドルの一時全面高を記録した。米国長期金利は一時3.79%付近に上昇し、一時133円30銭付近の1月上旬以来の円安ドル高を記録した。

ただし、昨夏の米国インフレのピーク時と比較すると、7ヶ月連続で米CPIの前年同月比が上昇幅を縮めた鈍化傾向を示していたことでは、米インフレのピークアウト感も残り、米長期金利が一時3.7%台後半に上昇した後にやや低下した抵抗に連動する様に、高値圏に達したドルには利益確定売りの抵抗も混ざった。

米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達の発言も値動きに影響を与えており、米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁はタカ派発言を続けたが、米リッチモンド連銀のバーキン総裁は、「インフレを目標(の2%)に戻すには、しばらく時間がかかる」と発言した一方で、「インフレが落ち着いた場合には、金利はピークに達しない可能性もある。すべてはデータ次第」というハト派発言が混ざったことも、利益確定売りの抵抗が混ざる一因になった。

米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁が米ラサール大学の講演で、「私の考えでは、 (米国のインフレは) まだ終わっていないが、もう一息と思われる。年内のある時点で、政策金利は十分に景気抑制的になると見込んでいる。そうなれば、金利を据え置いて金融政策それ自体に仕事を任せることになる」と発言した影響でのドル売りの一時反応も見られた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の高値131円50銭前後から安値133円30銭前後の値幅約1円80銭で、今朝のニューヨーク終値を133円5~15銭付近の前日同時刻比で約70銭の円安ドル高で終えていた。

その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場では、今日は15日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10の付く日の「五十 (ゴトー) 日」で、今朝9時台から久しぶりのドルの133円台で高値感のあったことから、輸出企業のまとまったドル売りの円買いや、高値のドルの利益確定売りと安値の円買いが先行し、10時台には今日の日本市場での円の高値でドルの安値の132円55銭付近を記録した。

しかし、そこからは、日本市場でも最新の米国経済指標の米CPIを受けた日米金利差拡大予想による円売りドル買いの円相場でのドル上昇トレンドになり、加えて、日本市場では日本銀行 (日銀 / BoJ) の新総裁が早期の大規模緩和金融政策の修正やマイナス金利政策の終了をしないという先週末からの市場予想があったため、ドル上昇に加えての円の下げもあり、午後からの欧州英国市場参入後には一時133円43銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録する大幅な円安ドル高になった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は133円31~33銭付近で、昨日17時の前東京終値比で約1円24銭の大幅な円安ドル高になっていた。

今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間のスケジュールは21時に米国MBA住宅ローン申請指数、22時半に今夜の指標の中で市場の注目度が最も高い1月の米国小売売上高と、2月の米ニューヨーク連銀製造業景気指数、23時15分に1月の米国鉱工業生産と設備稼働率、24時に2月の米国NAHB住宅市場指数と12月の米国企業在庫、24時半には週間米国原油在庫、27時には米20年債入札などが予定されており、FXトレーダー達が値動き予想材料にしている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は142円79~81銭付近で、昨日17時の前東京終値比で約1円5銭の大幅な円安ユーロ高であった。

主な原因は、今日の対ドルでの大幅円安の影響が波及したことに加えて、日欧金利差拡大予想による円売りユーロ買いも値動きに影響を及ぼしていた。

ユーロドルは今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0710~1.0712ドル付近で、昨日17時の前東京終値比で約0.22セントのユーロ安ドル高であった。

米CPI発表後の米長期金利上昇を受けて、ドルは円だけでなく、ユーロなどの利上げ継続予想のある主要通貨に対しても上昇したが、それまでのユーロの上昇幅もあったことで、今朝までの米国ニューヨーク終値では小幅なユーロ高ドル安だったのだが、今日の午後の日本市場と欧州英国市場でのドル上昇で横ばいレンジ圏を抜けてユーロ安ドル高に転じていた。

その後の今夜19時の欧州英国市場では、欧州ユーロ圏の最新の経済指標の発表があり、12月の欧州鉱工業生産の前年同月比は前回の2.0%と前回修正の2.8%と市場予想の-0.7%に対し-1.7%に悪化し、前月比でも前回の1.0%と前回修正の1.4%と市場予想の-0.8%に対して-1.1%に低下したことで、欧州景気懸念のユーロ売りも見られた。

同時発表の欧州ユーロ圏の12月貿易収支も、季調前は前回の-117億ユーロと市場予想の-125億ユーロに対し-88億ユーロであったが、季調済が前回の-152億ユーロと前回修正の-144億ユーロと市場予想の-160億ユーロに対して-181億ユーロに赤字額が増えていたことも、欧州景気懸念に繋がった。

ただし、今夜この後には、日本時間の23時から、欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁の発言予定があり、もし大幅利上げ継続などのタカ派発言があれば再びドルに対してもユーロが買われる可能性もあり、また逆にもし利上げ終了時期などに関するハト派発言があった場合にはユーロ売りに繋がる可能性もあることから、FXトレーダー達が注視している。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は161円11~17銭付近で、昨日17時の前東京終値比で約85銭の円高ポンド安であった。

今日の午後16時には英国の最新経済指標の発表があり、1月の英国消費者物価指数(CPI) は、前年同月比が前回の10.5%と市場予想の10.3%に対し10.1%で、前月比でも前回の0.4%と市場予想の-0.4%に対して-0.6%と、想定以上の英国のインフレ鈍化を示したことで、日英金利差縮小予想の円買いポンド売りが入った。英国CPIコア指数も、前回の6.3%と市場予想の6.2%に対し5.8%だった。

ただし、同時発表の1月の英国小売物価指数 (RPI) は、前年同月比が前回の13.4%と市場予想の13.2%に対し13.4%で、英国の小売物価のインフレはまだ高止まりを示していたが、前月比では前回の0.6%と市場予想の-0.2%に対して0.0%で、昨夕発表された賃金インフレの影響などもあり、やや抵抗も交えた形の円高ポンド安になった。

オーストラリアの豪ドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の豪ドル円の終値は92円3~7銭付近で、昨日17時の前東京終値比で約97銭の円高豪ドル安であった。

今朝、豪州中央銀行のオーストラリア準備銀行 (RBA) のロウ総裁が議会証言で、「利上げは常に人気がない措置であるが、我々の仕事はインフレ抑制を確実に図ることであり、可能であれば、これまでに創出された雇用を守ることだ」と発言し、明日に予定されている1月の豪州雇用統計の発表イベントが注視され、今日はイベントリスクの持ち高調整などが入っていた。

今日は日経平均株価が下げて大引けしたこともあり、日本株安時のリスク回避では豪ドルはリスクに弱く、低リスク通貨の円に対して売られやすかったことなども影響していた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年2月15日の日本時間(JST)20時13分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時13分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:13の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 133.33 〜 133.34 +1.26 (円安)
ユーロ/円 142.88 〜 142.93 +1.14 (円安)
ユーロ/ドル 1.0718 〜 1.0720 -0.0014 (ドル高)
英ポンド/円 160.97 〜 161.03 +0.68 (円安)
スイスフラン/円 143.91 〜 143.97 -0.99 (円高)
豪ドル/円 91.94 〜 91.98 -1.06 (円高)


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